召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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三百十五話~side 雨水~

前回のあらすじ

 

紫天の四人やギアーズ姉妹の二人との別れ→恐らく無事に成功→なんとなく記憶が曖昧→向こうの時間遡行システムの効果と勝手に解釈

 

とりあえず現状の確認をしよう

 

エルトリアでの出来事は部分的な欠落は見られるが、基本的には残っていた

 

大人状態に戻ってる事から、恐らく記憶封鎖みたいな魔法と俺の特典スキルが同時に効果を発揮した結果と思われる

 

 

「んん、浴槽って事は分かるけど・・・練習会の後くらいか?」

 

 

はぁなんで浴槽に・・・まぁそれより練習会の後だとすると、二日目の夜と言う事になるな

 

 

「い、イクスお姉ちゃん!」

 

 

ん、ヴィヴィオか

 

たった二日くらいしか聞いてないはずなのに凄く懐かしい気分だ

 

 

「出る前に一応確認しておくか」

 

 

魔法が使えるか使えないかの確認。まぁどうせこの状態なら使えないんだろうけどね

 

もしかしたら、なんて事もあるし・・・使えるなら使いたい

 

 

「少し複雑な強化魔法くらいにしておくか」

 

 

術式を展開して魔力を通す

 

すると、放電に似た現象が起こり痛みが走る

 

 

「魔力光は元に戻ってる。って事は特典スキルも全部戻ってるって事で良いのか?」

 

 

観察眼も発動してみる

 

久しぶりで感覚を忘れていたが、発動は成功し様々な情報が突然目の前に表示された

 

 

「うっ、結構キツイな」

 

 

前まで平然と使ってたんだよなぁ

 

いまは絞って使おう

 

 

「あきパパ?」

 

 

浴室と脱衣所を隔てる扉にヴィヴィオのシルエットが映る

 

 

「どうした?」

 

「どうしたって、魔力垂れ流しだし・・・イクスお姉ちゃんがあきパパの血の匂いがするって言うから」

 

 

よく見ると指先が切れて血が出ている

 

いや、この量でよく血が出てるって分かったな

 

 

「ああ、大丈夫。すぐに上がるから心配しないでいいよ」

 

「にゃはは、いや、お姉ちゃん。流石にそれは・・・ってわわっ押さないで」

 

 

どうやら見えないがイクスも居たらしい

 

ヴィヴィオと一緒に扉も押された

 

 

「はぁ、イクス」

 

 

なぜかイクスは恐る恐ると言った感じで顔を覗かせる

 

 

「あの、えと、お父様」

 

「にゃはは、あのね。お姉ちゃんは自分が騒いでパパが怒ってるんじゃないかって心配してるの」

 

「タオル取ってくれる?」

 

「ふぇ? あ、うん」

 

 

ヴィヴィオからタオルを受け取って、腰に巻きながら上がりイクスの頭に手を置いた

 

うん、懐かしい

 

いつもと違うのに気がついたのか、イクスは首を傾げながら俺を見上げる

 

 

「お父様、濡れます」

 

「嫌か?」

 

「いいえ、大好きです」

 

「むぅ、パパ! お姉ちゃん! ヴィヴィオが居るのを忘れてないかな!」

 

 

怒りながらもバスタオルを渡すヴィヴィオ

 

苦笑しながら受け取り拭き始めると今度はイクスが不満そうにしている

 

 

「もぉ、まったく。放って置いたら二人の世界に行っちゃうんだから」

 

「なら少しは空気を読んで出て行くのが妹では?」

 

「空気を読んで横から掻っ攫うのが妹だよ」

 

 

不適に笑ったヴィヴィオは着替え終わった俺の腕に自分の腕を絡めて引っ張った

 

んー、どっちに味方した方が良いか

 

 

「なっ」

 

「にゃはは~パパはわたしのモノだー」

 

 

そろそろイクスがキレるな

 

そう思ったのだが、イクスは頬を赤らめてごにょごにょと小さく呟く

 

 

「お、お父様は私の・・・です」

 

「え? なになに? 聞こえないなぁ~」

 

「・・・。」

 

 

可愛く唸っていたイクスは次第に目が据わり右手を握り締めていた

 

どうやら限界を迎えたらしい

 

 

「わっ、あきパパ、ヴィヴィオ逃げるから後はよろしくね」

 

「逃げれるのか?」

 

「もちろん」

 

 

組んでいた俺の腕を上手く捻って、無理やりイクスの方向に体を動かさせると突き飛ばす

 

その後は、とうぜん俺はそのままイクス組み敷く形で倒れた

 

 

「じゃっまた夕食にね!」

 

 

そのままヴィヴィオはダッシュで脱衣所から姿を消した




相変わらず、妹扱いの荒いイクスと姉の扱いが上手いヴィヴィオでした

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