召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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三百十七話~side なのは~

異世界旅行二日目

 

練習会の後

 

フェイトちゃんと子供達の事で話が盛り上がっちゃって、ワインを飲んでハメを外している最中をヴィヴィオに見られてしまった

 

 

「なのはママ! フェイトさん! 正座!」

 

 

シャワーを浴びてリビングに行くと、笑顔で怒りを表現するヴィヴィオが仁王立ちして待っていた

 

隣でアインハルトちゃんが無表情でジュースを飲んでいたのが、余計ヴィヴィオの怒りの様を目立たせていたかなぁって思います

 

 

「なのはママ! 聞いてるの!」

 

「はい! もう絶対飲みません!」

 

「あのね。わたしだって、いつも頑張ってるママが少しくらい羽を休める意味でお酒を飲んだりするのは怒らないよ?」

 

 

ヴィヴィオは少しくらいを強調する

 

 

「う、うん」

 

「でもね、アレは無いよ。冷蔵庫ギッシリだったよ? だいたいなのはママってお酒弱いよね?」

 

「はい」

 

「だよね」

 

 

絶対言えない

 

フェイトちゃんの酔った姿が可愛くて美味しいの沢山用意しちゃったなんて言えないよ

 

 

「ルーテシアに返します」

 

「よろしい。次にフェイトさん!」

 

「ひゃい!」

 

 

体をビクンと跳ねさせてフェイトちゃんはヴィヴィオを見上げる

 

 

「なのはママを甘やかさないで下さい」

 

「うん、気を付けるね」

 

 

フェイトちゃんにはあまり強く言わないみたい

 

それにフェイトちゃんはほっとして胸を撫で下ろしている

 

 

「あのぉヴィヴィオ?」

 

「なにかな? なのはママ」

 

「その、ヴィヴィオとアインハルトちゃんは何の用だったのかなぁー・・・なんて」

 

 

ジトーッと私の真意を読むように瞳の奥を覗き込まれる

 

にゃ、にゃはは、ヴィヴィオに嘘は付けないな

 

 

「練習会の反省会。かな。なのはママなら、たぶん私達の課題とか考えてそうだったから」

 

「あ、それならフェイトちゃんと一緒に考えてるよ。レイジングハート、お願い」

 

 

数回点滅を繰り返したレイジングハートは空中にモニターを展開して、私達が纏めた資料を並べて表示する

 

 

「えっ」

 

 

最初に声を上げたのはアインハルトちゃんだった

 

アインハルトちゃん自身も声に出すつもりはなかったみたいで、恥ずかしそうに顔を伏せる

 

 

「何か気になる事でもあったんですか?」

 

 

ヴィヴィオは、アインハルトちゃんの声に反応しながらも、真剣な表情で全体を見詰めている

 

 

「いえ、私の資料が」

 

「ん? えっと、相手によって勝率が左右されやすい?」

 

「・・・覇王流は相手を選びません」

 

 

相手を選ばない万能の力なんて中々無いよ

 

私が知る中で、戦闘能力の汎用性が高いのは、様々な魔法を操るはやてちゃんや特化し過ぎなくらい戦闘に特化したイクスちゃんくらいだと思うの

 

 

「にゃはは、これはねぇ。アインハルトさんには悪いけど、ヴィヴィオも同じ意見になるかなぁ」

 

 

あれ? ちょっと予想外なの

 

 

「ヴィヴィオさん?」

 

「だって・・・はい、手を握ってくれますか?」

 

「はい」

 

 

差し出された手を握ったアインハルトちゃんの体は宙を舞った

 

 

「え?」

 

 

痛みは感じてないみたいだけど、かなり困惑している

 

それにしても、凄い

 

よほどその道を極めた一流の人でも無い限り、殆ど動いていない相手を無動作に近い形で投げるなんて出来ないのに

 

 

 

「ね? えっと、覇王流とか、そう言うのじゃなくて、アインハルトさんは素が弱いの。いまのなら、酔ってるなのはママやフェイトさんでも防げるし、イクスお姉ちゃんなら反撃もできる」

 

 

解釈の仕方だけど、ヴィヴィオの説明は概ね間違ってない

 

アインハルトちゃんの弱点は、魔法による強化をしないと戦えないところにある

 

 

「・・・。」

 

 

壁に逆さになっていたアインハルトちゃんは無言で立ち上がる

 

そこに、ヴィヴィオはゆっくりと近づいて抱きついていた

 

その後すぐにアインハルトちゃんの表情が変わったから、きっと耳元で何か言ったんだと思う

 

 

「ねぇねぇフェイトちゃん」

 

「な、なにかな・・・足が痺れて。もう良いよね」

 

「うん、私もそれを言おうと思ってた」

 

 

私とフェイトちゃんは顔を見合わせて溜息を吐いた

 

きっと目の前のヴィヴィオとアインハルトちゃんの話が終わらないと解放されないんだと思います




なのはさんとフェイトさんは会話中ずっと正座です

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