召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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三百二十五話~side ヴィヴィオ~

家族旅行最終日

 

最後くらいは、それぞれのやり残した事をしようって事になりました

 

えと、だからね。ヴィヴィオが何を言いたいかと言いますと・・・

 

 

「ヴィヴィオさん? 上の空に見えますが、考え事ですか?」

 

 

デート中です!

 

 

「はにゃっ! ちょっとイクスお姉ちゃんの事で。それよりごめんなさい、訓練とかあったですよね?」

 

「訓練ですか? それなら大丈夫です。今日は自主トレしか考えてなかったので・・・ヴィヴィオさんの方こそ、最後の日を私と過ごして良かったのですか? せっかくの家族旅行なのに」

 

「にゃはは、それは、ほら、あれですよ。アインハルトさんは・・・未来の、かぞく・・・な訳ですしぃー」

 

 

いった! いっちゃったよぉ! うにゃ、はずかしい!

 

そして、ドキドキしながらも、アインハルトさんの表情を見る為に覗き込んだ

 

 

「・・・。」

 

 

固まってました

 

 

「アインハルトさん? アインハルトさーん」

 

「はっ! わ、わわ、私もヴィヴィオさんとは、その、そう言う仲になれたら大変嬉しいといいますか」

 

「と、いいますか?」

 

「嬉しいです!」

 

「にゃはは、おんなじだね」

 

 

心地の良い、嫌じゃない静寂の中で歩く。本当は手を繋いでみたいけど、それはハードルが高いので今度の楽しみにとっておきます

 

 

「ヴィヴィオさんは、昔のことを、クラウスとオリヴィエの事を何処まで覚えているのですか?」

 

「えと、んー。九割かな」

 

「九割?!」

 

 

あれ? 言ってなかったですっけ?

 

わたしの場合は、継承じゃなくて人工での移植なので、他の末裔みたいに薄れたりしてない

 

何故か半端に欠けてる所はあるけど、基本的にはオリヴィエの記憶を丸々持っている

 

 

「それは、でも、いま生きている時間より永い年月ですよね」

 

「そうですね。決して長生きだった訳じゃないですけど、いまのわたし達より年上ですから」

 

 

何より結構二人とも濃い人生送ってましたからね

 

 

「大丈夫。なのですか? 私も時折怖くなるくらい自分とは違う感情に動かされたりします・・・極一部の記憶の継承の私がそうなのに」

 

 

殆ど全部のわたしの場合、オリヴィエに記憶も心も塗り染められてもおかしくない。かな

 

あきパパもそれは不思議そうにしてたっけ・・・説明し辛いんだけどね

 

 

「あ、でも大丈夫ですよ? きちんとわたしはわたしですし、わたしは覇王の末裔だからとかじゃなくて、アインハルトさんだから好きなんです」

 

 

きっと一人だけだったら、駄目だったと思うの

 

あきパパやなのはママやイクス。それにアインハルトさんだって、周りに誰かが一緒に居てくれたから、わたしは自分のままでいれた

 

わたしのまま、アインハルトさんを好きなった・・・きっかけにクラウスが無関係とまでは言えないですけどね

 

いまは関係ないもん

 

 

「そう、ですね。私もヴィヴィオさんだから好きです」

 

 

アインハルトさんの曇りのない真っ直ぐな気持ちに赤面してしまう

 

きゅうっと胸が締め付けられて。そのあとに暖かいモノが満ちて、思わず顔が綻んだ

 

もぉーニヤけてないかが心配だよぉっ


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