前回のあらすじ
帰宅→イクスの出迎え→キャロが帰ってきており、ルネッサちゃんが居た→またキャロは無茶をしているらしい→続くようなら、フェイトさんに相談する事にする
ルネッサちゃんの子供に好かれ難いと言う悩みは、今後も笑顔の練習をすると言う事で解決したのだが、正直成果が出るのは当分先の話になりそうだ
「んーんー」
夕食を終えて、イクスとテレビを見ているとヴィヴィオが珍しく課題を前に首を傾げていた
「どうした? さっきから悩んでるみたいだけど」
「ん? んー分からない問題があるの」
「ヴィヴィオにか? それは問題の方が間違ってるかもな」
「大袈裟だよぉ」
否定するように手を振ったヴィヴィオは、用紙を片手に俺の隣に来る
「これなんだけどね?」
「A君は大好物のケーキを友達のB君と分けました。その際、A君は大きく切れた方のケーキをB君に渡しました。それは何故だと思いますか? なんか道徳みたいな問題だな」
正確な答えが無い類の問題か
色々候補を出しすぎて逆に分からなくでもなったか
「何故だと思いますか? って変な話だよね。その場の状況とか、A君の気分とか、不確定要素が多すぎるよ」
「そうか。なら、まぁ例え話にすると分かり易いかな・・・ヴィヴィオの好きなシュークリームがあったとするだろ?」
「うん」
「それをイクスと分けるとする。この際、アインハルトちゃんでも良いんだけどさ」
「うん」
「そうなったら、って話だよ。ヴィヴィオならどうする?」
ヴィヴィオは向けられる視線を無視しながらテレビを見るイクスと、問題が書かれた用紙を交互に見ながら考え始める
次に目を閉じたのは、たぶんアインハルトちゃんを想定してるんだろう
「等分するかな」
「数が奇数だったら?」
「・・・分かんない。イクスお姉ちゃんとだったら、最後の一個は取り合うけど、アインハルトさんとだったら、アインハルトさんに食べて欲しいかな」
「大雑把にそんな話だよ。この話は」
ふぅん。と納得したのか、してないのか、曖昧な返事をするとソファーから立ち上がってテーブルに戻った
そして課題を解き始めるヴィヴィオを確認してテレビに視線を移す
「ちなみにイクスはどう思う?」
まぁ意味は無いけど、イクスならどう解くか興味が沸いた
「シュークリームの話ですか?」
「ケーキの話」
隣に静かに座っていたので、聞いているかと思ったらテレビに集中していて殆ど聞いてなかったみたい
なので、課題に出ていた話をそのままイクスに伝えてみる
「ヴィヴィオの言う通り、判断するには少しばかり言葉数の足らない話ですね」
「そうか? 要は、ヴィヴィオとイクスが三つのシュークリームを分けて食べる。みたい話だよ」
「・・・なるほど」
なっとくしたように頷いたイクスは、俺に寄り掛かりながら考え始める
「しかし、シュークリームをヴィヴィオとイクスが分け合って食べるなんて・・・普通によくある事だな」
すぐにその光景が頭に思い浮かぶ
高町一尉がよく持ってきてくれるので、割りと日常的に取り合っていると言っても過言じゃない
「そうですね。言葉巧みにヴィヴィオが勝ち取る時もあれば、力に訴えて私が勝ち取る時もあります」
「結局その時々か」
「はい。そもそも、その程度の行動に逐一理由を求めていては何も出来ません」
ま、それもそうだね
恐らく期待されている答えからは外れているだろうけど、イクスの意見もまた一つの答えとして成立しているような気がした