召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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三百三十一話~side ヴィヴィオ~

最近お姉ちゃんが優しい

 

・・・いや、優しいのは良い事だけど、過ぎれば不安になる

 

昔だったら絶対しない仕草を私に対してもしてくれる。昨日私がCMに出ることを伝えた時だって、どうせ薄いリアクションしかしないだろうなって思ってたのに、素直に喜んでくれて、応援してくれた

 

 

「なんだか嬉しそうですね」

 

「そ、そうですか?」

 

 

アインハルトさんの声で考え事を一時中断して、目の前に迫る掌底打ちを身を引いてかわす

 

目の前で空気が弾けて凄い音が鳴った

 

 

「はい」

 

「ちょっと、お姉ちゃんと色々ありまして」

 

「イクスさんですか。あのような素敵なお姉さんがいて羨ましいです」

 

「にゃはは、アインハルトさんにそう言って貰えると嬉しいです。お姉ちゃんって誤解を生み易い性格ですから」

 

 

ほんとぉーに、誤解されやすく、一時は校内暴力を噂された程なのです

 

まぁそれでも、天性のカリスマのおかげなのか。お姉ちゃんを支持し憧れる人は絶えない

 

 

「私が言える事ではありませんが、イクスさんは口数の少ない方ですからね」

 

「んー少ないって言うか、無い。に近いよ」

 

 

イクスお姉ちゃんがクラスメイトと話している姿なんて見た事ないし

 

 

「それは、流石に無いと思いますが・・・」

 

「そぉかな?」

 

 

あ、断空の構えだ

 

どうなんだろう。構えのある流派って先読みされる事とか考えてるのかな?

 

 

「読まれても当てれば良い話です」

 

「にゃっ!」

 

「顔にそう書いてあったので」

 

 

不意に心を読まれてしまったので、驚いて動きを止めてしまった

 

とうぜんアインハルトさん程の人にはその隙は十分で、必殺の一撃がわたしのバリアジャケットを抉る

 

 

「ッ、きゃう!」

 

 

防御に魔力を回して直撃は防げたけど、衝撃で後ろの壁まで飛ばされた

 

 

「大丈夫ですか! ヴィヴィオさん!」

 

「にゃ、にゃはは、負け一個追加になっちゃった」

 

「怪我はありませんか? すみません、いまのは完全に不意打ちでした」

 

「いえ、真剣な勝負に気を逸らしたわたしも悪いし」

 

 

そ、それよりアインハルトさん!

 

心配してだとは思うけど、ちょっとアインハルトさんの手が・・・その、言い難い場所に

 

 

「あ、ん、あのっ、アインハルトさん? 怪我は無いので、大丈夫です」

 

「いえ! 確かに防ぎきってましたけど、断空の衝撃は緩和出来ていない様に見えました!」

 

「クリスが頑張ってくれたから平気ですよ」

 

 

ふぅ、危なかった

 

あれ以上はちょっと我慢の限界だったの

 

 

「すみません」

 

「にゃはは、だから、気にしないで下さいって。それに、そんなの気にしてたら、勝てませんよ?」

 

「そうですが」

 

「そうですよ」

 

 

蓄積ダメージは無し

 

うん、大丈夫。ちょっとぶつけた余韻はあるけど、このくらいなら特に問題ない

 

 

「一度休憩しましょうか」

 

「そうですねっ。あ、わたしジュース買ってきますよ」

 

「それならば私も」

 

「良いですよ~、アインハルトさんはゆっくり休んでいて下さい」

 

 

被弾率はアインハルトさんの方が高いんですから

 

ぐいぐいとアインハルトさんを押して椅子に座らせ、小走りで離れた自動販売機に向かう

 

 

「あ・・・アインハルトさんって何飲むんだろう?」

 

 

スポーツドリンクで良いよね

 

缶ジュースを買って戻ろうとした所でクリスが目の前に飛び出してきた

 

 

「にゃっ、え? あきパパから通信?」

 

 

わざわざ通信で連絡してきたって事は急用なのかな?

 

 

「もしもし」

 

「もしもし? いま大丈夫か?」

 

「うん、へいきだけど?」

 

 

あきパパなんか急いでる?

 

 

「そうか、なら伝言良いか」

 

「うん」

 

「今日は帰りは遅くなるって伝えてくれ」

 

「は~い・・・お仕事?」

 

「まぁ範疇だな」

 

「そっか、頑張ってね」

 

「おう、電気とかガスとか寝る時はチェックしろよ」

 

 

そのくらい大丈夫だもん!

 

通信を切った後、すぐにイクスお姉ちゃんに伝えようか悩んだけど、帰ってからで良いかな~って思ったので帰ってからに言う事にしました

 

 

「クリス、あきパパに頑張ってねってメールで送っておいて」

 

 

あきパパが遅いなら、もしかしたらなのはママが来るかも

 

そうだ! せっかくだから、イクスお姉ちゃんと一緒に三人で外に食べに行こうかな・・・好い加減、なのはママと仲良くなってもらいたいの

 

 

「すみません、アインハルトさん。ちょっとあきパパから通信が来まして」

 

「良いですよ。こちらからも見えていました。何か急な用事では無かったのですか?」

 

「あきパパの帰りが遅くなるってだけです」

 

「なるほど、雨水先生も忙しい方ですからね」

 

 

この後は、夕暮れになるまで、アインハルトさんと組み手をしたり、技の研究を行ったりして過ごしました


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