召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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三百四十三話~side ヴィヴィオ~

最初はフェイトさんかと思った

 

まぁそんな勘違いも、一言目で違うって気付きましたけど・・・ただ、その人はなんだか不思議なことを言った

 

 

「あ、おっはよー! ヴィヴィオだったよねっ! ちっちゃい時のあっきーとは似てないんだね!」

 

「あれ? あ、おはよ、ございます」

 

 

ちっちゃい?

 

あきパパの子供の頃の知り合いさんなのかな。でも、外見から判断できる年齢でそれはないと思うけれど

 

 

「あれ? 覚えて無い? 僕だよ、レヴィだよ!」

 

「あきパパのお知り合いですか?」

 

「あっれぇ? 記憶封鎖って風じゃないから・・・うん。ごめんねっ! 初対面だった!」

 

「はぁ」

 

 

なんだか不思議な人だなぁ

 

そして、たぶんこの視線の感覚は観察されている。不快にさせない為に露骨には見てない見たいだけど、あんまり好きじゃないからよく分かる

 

 

「な、なんですか?」

 

 

警戒すると、レヴィさんは顔の手の前で手を振って申し訳なさそうに謝る

 

 

「あーごめんねっ。僕の知ってるヴィヴィオと随分違うみたいだったから・・・」

 

「ん?」

 

 

僕の知ってる

 

見たことないはずだけど、教会か騎士団関係の人なのかな?

 

 

「レヴィ~。ちょっと手伝って」

 

「分かった!」

 

 

お姉ちゃんに確認とってみよう

 

クリスを呼んでノノに連絡を取ってみる

 

 

「え? 来いって? うにゃー、それが出来ないから通信でって・・・クリス、もうワンチャン!」

 

 

まぁお姉ちゃんが家族以外に興味を示すなんて、滅多にある事じゃないから知り合いとは思えないけど。念の為だよね、念の為

 

今度は繋がったけど、着替え中のお姉ちゃんは物凄くむすっとしている

 

 

「あ、繋がった・・・お姉ちゃん! 知らない人が居る!」

 

「そうですか」

 

 

いまにも切りそうなの

 

 

「で? その知らぬ人とは?」

 

 

ちょうど朝食を持ってきたレヴィさんを手招く

 

 

「え? なになにっ!」

 

「お姉ちゃんに紹介しますね。その、フェイトさんと勘違いすると思うけど・・・じゃっじゃーん!」

 

 

お姉ちゃんはレヴィさんを見て、眉を歪めて目を細めた

 

 

「知らない? 忘れるほど久しく会ってない訳じゃないと思いますが・・・まぁ良いです。ルシエさんのお母様、お久しぶりです」

 

「あははっ、本当にヴィヴィオの言った通りだねっ! うんうん!」

 

 

あ、やっぱり間違えた

 

流石に流石のお姉ちゃんでも、他人と間違う事は無いと思いたいから、知らない人って事で良いんだよね

 

 

「にゃはは、んぅと、色々説明したいから、早く降りてきてね」

 

「説明?」

 

 

黙ったお姉ちゃんは口を開きかけて閉じた。きっと何か言おうと思ったけど、降りてからの方が良いと判断したんだろうなぁ

 

 

「もうすぐ終わります」

 

「うん、待ってるね」

 

「バイバーイ」

 

 

うん、一先ずこれで知り合いじゃないって事は確認できた

 

 

「ふぅん、ちっちゃい時のあっきーから、写真だけは見せてもらってたけど・・・大人しい子だねっ! それにシュテるんみたいに凛々しい感じだ!」

 

 

シュテるんさん?

 

何だか愛称っぽいけど、一応覚えておくことにしました

 

 

「えと、レヴィ、さん? そのちっちゃい時のあきパパって何ですか? 小さい頃って意味ですか?」

 

「え? ちっちゃい時だよ。ほらっ、えぇ確か家族旅行中の出来事なんだっけ?」

 

「・・・。」

 

 

家族旅行中、それって皆でルールーの所に行った時の事かな?

 

わたし達が遠出で旅行したのはそれくらいだもんね。でも、あの時のあきパパはちっちゃくとも何とも無いし

 

疑っている視線に気付いてなのか、レヴィさんは慌てて言葉を続ける

 

 

「僕は王様の横で聞いたていただけだから、はっきりとは覚えて無いんだよ? でも、ウルって研究者が居たんでしょ? あっきー、その子にロストロギアもどきであーだこーだってされたんだよね・・・あれ、ちがった?」

 

「ウルのロストロギアもどき?」

 

 

・・・あ、うん。そう言えば、液状化された未完成版ロストロギアみたいなのが冷蔵庫に忍ばせてあったっけ

 

あれ? でも、それって結局あきパパに見抜かれて未然に防がれてたよね?

 

 

「いまの大人のあっきーも好きだけど、ちっちゃいあっきーも僕は好きだなぁ。あ! そう言えば、あの時しか魔法は使えなかったみたいだし、折角なら勝負してもらえば良かった・・・くぅ、残念!」

 

「え? あきパパが魔法を使えたの?!」

 

「う、うん」

 

「ホントにっ?! レヴィさんの冗談とか夢とかじゃなくて?!」

 

「ホントっ、ホントだってば」

 

 

わたしが詰め寄り過ぎたのか、深く追求する前にキャロのお手伝いに逃げられてしまいました

 

 

「魔法が、使える?」

 

そりゃ、あきパパだって全然魔法を使えない訳じゃないけど、基礎的な魔法は使えるはずだよ。でも、レヴィさんが戦いたいと思ってくれる程に高い資質を持っている訳じゃない

 

レヴィさんは、あの時しか使えなかったって言ってた

 

 

「有り得ない。と、言うよりこの場合はレヴィさんの妄言って考えた方が辻褄が合うけど・・・そんな感じじゃなかった気がするし」

 

 

気がする。なんて曖昧な言い方をしてるけど、レヴィさんがそんな人じゃないって言うのは、少しの会話でも十二分に分かった

 

これでも王様ですから、対人はかなり自身のある分野なんだよ

 

 

「あぁもう。あきパパ本人に聞こうっと」

 

 

それが一番だよね。もし誤魔化そうとしても、あきパパはともかくレヴィさんはあんまり器用そうじゃなかったから

 

さて、朝ご飯の準備を手伝わないと。お姉ちゃんもそろそろ降りてくる頃だからね


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