召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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三百四十七話side キャロ~

「此処が?」

 

 

朝食を終えて、片付けも済ませた私は、レヴィを連れてルネが待つ現場まで来ていた

 

 

「はい、ルシエ執務官とあの子が出会った十数分前。ここで小規模次元震による爆発が観測されていました・・・関係があるのかは分かりませんが、調査の結果がこれです」

 

「ありがとう、ルネ」

 

 

渡された資料には観測された爆発の規模に、同じく観測されていた魔力が書かれている

 

 

「映像は? 監視カメラは多いみたいだけど」

 

「それが、一斉に機材トラブルを起こしているようで。その際の映像は見当たりませんでした」

 

「機材トラブル?」

 

「はい、恐らくは電気系統の故障では無いかと。その子は魔力変換資質の持ち主のようですし」

 

 

レヴィがミッドに迷い込んでしまった際に魔力暴発を起こして機材を軒並みダウンさせた?

 

まぁ疑うような部分は無いし、いまのところはその可能性が一番高そう

 

 

「あれ? なんでレヴィちゃんが魔力変換資質持ちって分かったの?」

 

 

この資料にはそこまでの情報は書いてない。それに、まだレヴィちゃんの魔法は私も見せてもらってないのに

 

 

「次元漂流は稀な事件なので、マース査察長官に協力を仰いだところ。十数年前に起こった闇の書事件、それに関連した事件である闇の欠片事件、砕けえぬ闇事件、その二つの事件にその子の名前があった事が分かりまして」

 

「嘘! って事はレヴィちゃんって私達より年上?!」

 

「え? あー、年上って言うかぁ」

 

 

この見た目で年上。正直年下かなって思って接していたので、実感が沸かない

 

秋春も、そうならそうと教えてくれれば良い物を

 

 

「ルネ。その資料は取り寄せられた?」

 

「私の権限では詳細データは持ち出せませんでした。一応持ち出せた範囲のデータは持ってきていますが、ケリュケイオンに転送しても?」

 

「お願い」

 

「では」

 

 

・・・事件に関わった人物名の中にフェイトさんの名前がある

 

通信ではこんな事件の事は一言も言ってなかった。秘匿性が高い案件なのか、それとも言えない事情があるのか。どちらにしても会った時には聞かないといけない

 

 

「ちょうどフェイトさんと会う約束してるから、これは確認しないといけないね」

 

「ハラオウン執務官に? では、二つの事件の詳細は、このまま任せても宜しかったでしょうか」

 

「うん。ルネは、現場の更に詳しい情報と、周辺の聞き込みをお願い。目撃情報があったりなんかしたら嬉しいな」

 

「はい。では、ハラオウン執務官のところまで送ります」

 

 

そう言って、ルネは近くに停めてあった車に乗り込み私達の前まで持ってくる

 

 

「レヴィさんは車酔いなどは大丈夫ですか?」

 

「だいじょーぶ!」

 

「分かりました。それでは多少荒くても問題は無いようですね」

 

「え、それはちょっと。ま、良いや! よろしくね~!」

 

 

レヴィに続いて私が入ろうとした瞬間、端末を耳に当てていたルネが運転席から後部座席に身を乗り出して私を力強く引き寄せた

 

そして、私とレヴィに覆いかぶさるようにして端へと追いやる

 

 

「ちょッ」

 

 

抗議の声を上げようと口を開くと大きな音と強い風が車を襲った

 

 

「・・・大丈夫ですか。ルシエ執務官、レヴィさん」

 

「あ、ありがとう。ルネ」

 

「僕も大丈夫」

 

「なによりです」

 

 

溜息を吐きながら身を起こして端末を操作しモニターを展開する

 

 

「小規模次元震レベルの観測だったのですが、それにしては被害が少ないですね。すみません、突然だったので、説明が間に合いませんでした」

 

「いや、ルネの判断は間違ってない。おかげで全員無事だったもんね、ルネも怪我はないよね?」

 

「はい・・・平気ですが、いったい何が起こったのでしょうか」

 

 

私とルネが爆発の発生源辺りに視線を向け、目を凝らしていると先に何かに気付いた様子のレヴィさんが大声を上げた

 

咄嗟のことだったので、耳が痛い

 

 

「あ~~!」

 

「な、何々!」

 

「どうされました?」

 

「思い出した! なんで忘れてたんだろう、王様に怒られるぅ~!」

 

 

思い出した。と何度も連呼するレヴィさんは、ルネの腕の中から抜け出して外で右往左往し始めた。そして、偶然にも慌てるレヴィさんの頭上に、ふわりと何処からとも無く現れた手紙が舞い降りた


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