召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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イクスのお説教の話は書くつもりが無かったんですが、いつもの様に思い付きで書いていたら結局書いてしまいました

後書きに、無し。なんて書いた意味が無かったですね

・・・と、言う訳でどうぞ!


三百四十九話~side 雨水~

前回のあらすじ

 

学院に着くとシャンテちゃんが待っていた→そのまま教会へ連行される→相変わらず不真面目な騎士カリムと大変そうなシスターシャッハがお出迎え→色んな名目の下、いつも通りの単なるお茶会→帰り際にイクスが教会での検診をサボっていた事が判明した

 

学院に戻った俺は、昼休みに為るや否や早々にイクスを呼んで叱っていた。最初は教会に対して怒っていたイクスだったが、次第に落ち込み口数も減って最後には一言も喋らなくなってしまっている

 

 

「イクス、聞いてる?」

 

 

普段は言い訳を余りしないイクスなのだが、今回の事柄に限っては何故か頑として非を認める気がないらしい

 

注意程度で終わると思っていたのに誤算だった

 

 

「・・・。」

 

「あのね、確かにイクスは自分である程度の体調変化を感じ取れるかも知れない。ノノの機能にも幾つか対策は入ってる。だけどね、やっぱり不安なんだよ。今後も家族が笑って生活を送れる為にも、きちんと教会で診て貰おうね」

 

 

返事が無い

 

とうとう無視をする事に決めたか。と思いながら俯いていたイクスを注視すると、口元が僅かに動いていた

 

考え事の最中に口元が動く事は珍しくないが、何だか会話している様に見える

 

 

「イクス」

 

 

返事は無し

 

仕方がないので、久しぶりに観察眼を使ってみた。イクスの状況や状態を観る、当然ながら会話をしているなら、会話中と分かる。もちろん、俺との会話が成立していない以上は、会話中などと成るはずも無い

 

 

「ふぅん」

 

 

念話中

 

念話か。俺が使うとノイズが入るらしくて、キャロが普通に端末を使ってと言って来たアレね

 

イクスも補助系に分類される念話は比較的苦手の部類のはずだったんだけど、相手が相手だから問題なかったのか?

 

 

「はぁ」

 

 

デコピンでもして念話を中断させようと考えていると、その表示が消えてイクスが顔を上げた

 

 

「お父様?」

 

 

可愛らしく小首を傾げたイクスの動作は、既にデコピンの態勢に入ってしまっていた俺によって涙目になりながら額を押さえると言う動作に切り替えられた

 

 

「あぅ」

 

「さて、念話は終わった?」

 

「な、なぜそれを」

 

「念話だけに意識を使い過ぎだよ。こっちの話は全然聞こえてなかっただろ」

 

「・・・。」

 

 

横を向いて口を閉ざした

 

普段から念話を使う機会のある高町一尉達は、念話をしながらの普通の会話も出来るらしいけど、イクスが持つ技能では難しい

 

 

「お父様」

 

「なに」

 

「検診。ごめんなさいでした・・・他人に触れられたくないと言う私の我侭でヴィヴィオを巻き込み、そしてお父様を騙す事をしてしまい。本当に申し訳ありません」

 

 

さっきまでの誤魔化すような態度が嘘の様な素直さ

 

 

「今度からはキチンと行くって約束できる?」

 

「はい・・・出来れば、お父様も一緒に」

 

「うん、なるべく一緒に行けるようにするよ。結果は直接聞いた方が分かり易いからね」

 

 

一緒に行くと言うとイクスは嬉しそうに、はにかんだ。それと同時に昼休みの終わりを告げる鐘が鳴り始める

 

 

「もう、こんな時間か。イクス、次の授業は移動じゃないよね」

 

 

相談室から中等科までなら、いまから行っても十分間に合うので、イクスはゆっくりとソファーから立ち上がっていた

 

 

「はい」

 

「それなら間に合うか、昼からも勉強頑張るんだよ。この前みたいに問題が分からないからって先生を睨んだら駄目だからな」

 

「あ、あれは違うんです!」

 

 

慌てて弁解しようと寄ってきたイクスの頭を撫でて、再び教室に向かわせる為に扉の外まで見送る。渋々と言った感じで時計をチラ見したイクスは何度か振り向きながら小走りで教室に戻って行った


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