召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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三百五十五話~side イクス~

レヴィさんから帰りの目処がついたと知らされて、安心したのでしょう。高町なのは達は昔話に花を咲かせていた

 

私は興味が無かった為、話の殆どを聞き流し食事に集中していたのですが、ルシエさんがデザートを持ってくる前にお父様は食事を終えて姿を消されていました

 

 

「ねぇお姉ちゃん」

 

 

いつもとは違う行動にもやっとした気持ちが生まれます

 

お父様がルシエさんが戻ってくる前に二階に上がってしまうなんていつもは無いのに

 

 

「なんですか?」

 

「手紙を読んでからのあきパパ。ちょっと変だったよね?」

 

 

曖昧に返事をした私は目の前のデザートを急いで食べてルシエさんにお礼を言っておきます

 

そしてヴィヴィオにそんな事を言われてしまったので、思わず気になってお父様の部屋の前まで来てしまっている・・・いや、でもお父様が一人になりたいと思われて部屋に戻られたのなら、私が来るべきじゃないような気もしてきました

 

 

「お父様、あの、少し良いでしょうか」

 

 

控えめにノックをしてみる

 

返事はありません

 

寝るにはまだ早いので、先程の手紙について考え込んでいるのかも知れない

 

 

「お父様?」

 

 

音を立てずに開けると部屋は真っ暗で誰かがいる様子は無かった

 

首を傾げながらも部屋の中に入ると、ベット脇にあの手紙が置いてありました。ヴィヴィオはあれを気にしているようでしたし、私としても気にならないと言えば嘘になります

 

 

「・・・。」

 

 

そっと拾い上げ開いて、暗闇に目を慣れさせながら目を通していく。すると、突如私は浮遊感に見舞われ頭に衝撃を受ける

 

 

「あ、ごめんごめん。思ったより高く上げすぎた」

 

 

頭を抑えると、お父様が持ち上げられて天井に激突した私を受け止めていた

 

 

「お、お父様?」

 

「あれ? てっきりヴィヴィオが来るんだと思った」

 

「な、なぜヴィヴィオだと?」

 

「手紙の内容について俺が言った言葉を信じてなさそうな顔してたし、それに食事中も考え事に夢中だったからな・・・まぁでも、イクスが来たって事はヴィヴィオは高町一尉達の話を優先したのかな? あの三人の話に俺が登場しないといいけど」

 

 

話の内容が分からずにボーっとしていると、お父様は笑って私の頭を撫でた。そして電気を着けて、ベットに座る

 

 

「手紙。一緒に見ようか」

 

「いいのですか?」

 

「隠す事は書かれてなかったからね。ちょっと難しい話なだけだよ」

 

 

そう言われて手紙に再び目を通す

 

この度の来訪は偶然だから気にするな。そこまではお父様が言ったとおり、しかし次に続く言葉があった

 

 

「が、このタイミングの事故だからな。少しだけ言いたい事がある。あれから、元には戻れたか? 戻れていたのなら、息災だ。我らも言う事はない・・・しかし、元の状態にもどれてなかったとしたら、すぐに何らかの処置を受けるべきだ。どうせ貴様は小さなペナルティくらい気にせず生活してしまうかもしれんが、貴様の内包するロストロギアの凶悪さを考えると、お勧めできた選択ではない。信頼できる筋に行き治してもらえ。それでは、レヴィが世話になった。縁があったら会おう。調略師へ」

 

 

元の状態に?

 

やっぱり私にはよく分からない話でした。唯一お父様のいまを確認しないといけないって事は分かりましたけど

 

 

「追伸。まだ婚約はしてないのか? こちらに来ればいつでもシュテルを娶れるぞ。紫天一同はいつでも歓迎する」

 

 

くしゃ。と私の手の中で音が聞こえましたけど無視です

 

 

「イクス? ぐしゃぐしゃにされるのは困る」

 

「あ、すみません。つい。えと、お父様、この元の状態にとは、何を指すのですか?」

 

「・・・ん~イクスは俺の中にロストロギアあるって知ってたよね?」

 

「はい」

 

「そっか。それなら話は早いけど、それが、ルーテシアちゃんのところに行った辺りから、微妙に位置がズレてるのは気付いてた?」

 

「はい。無論です」

 

「うん、それを危険視して忠告してくれてるんだよ。元の状態に戻すか、いっそ取り出すか。そんな不安定な状態を続けるべきじゃないってね」

 

 

確かにロストロギアとリンカーコアの接続が不安定な状態を放置しておくのは得策ではありませんね・・・しかし、それの修復となりますと、古代ベルカに精通していて、尚且つ技術面を優れていないといけないと言う事になります

 

現代のミッドの技術では難しいのでは無いかと

 

 

「あ、このシュテルさんと言うのは?」

 

「ん? 高町一尉みたいな子」

 

「・・・。」

 

 

好ましくない

 

 

「俺に相応しくない。とっても良い子だよ」

 

「はい、お父様に相応しい人物なんてこの世にいません!」

 

「いや、流石に・・・はぁ、俺の将来はこの世にいないレベルで無理なのか・・・まぁレヴィが来たのが面倒な理由じゃなくて良かったよ」

 

「そうですね。明日には帰れるそうですから、お父様は見送りに行くのですか? 私は学院なのでご一緒は出来ませんが」

 

「時間を作って行かないとね。高町一尉達が率先して行くだろうけど、これを届けてくれ訳だからね」

 

 

お父様はゆっくりと私を持ち上げてベットが降ろした

 

 

「ヴィヴィオも気になっているだろうから、そのまま伝えてあげて」

 

「はい」

 

「あの子は一人で悩み過ぎなんだよなぁ」

 

「ですね。いつもどうでも良いような小難しい事で頭を悩ませています」

 

「早く解決してあげてきて」

 

「はい」

 

 

お父様に背を押されて、ヴィヴィオに説明する為に再びリビングに降りることになった


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