前回のあらすじ
体内のロストロギアについて問題視→正直今更感が拭えなかったが、まぁなるべく被害の少ない方で検討→イクスの説明を聞き終えたっぽいヴィヴィオに質問攻めにされる→根掘り葉掘り。終わった頃には俺とヴィヴィオ以外は全員が眠りについてしまうくらいの時間だった
それから何日か経ち。俺はレヴィを見送った直後から、家族全員に取り囲まれて病院行きにされていた
・・・いやぁ驚いた。笑顔で見送って、いざ帰ろうかと思ったら突然さっきまでの笑顔と打って変わって真剣な皆に包囲されてるんだからな
「なぁアギト」
「駄目だ」
「何も言ってないんだが」
「まだ検査が全部終わってねぇから駄目だ」
検査したところで良い結果が出るとは到底思えない
そんな訳で何度か病院側と交渉して抜け出そうと考えたのだが、監視として残っているアギトが頑として許しはしなかった
なおアギトが残っている理由は、扱いがデバイスなため四六時中の監視が可能だったかららしい
「何度も言うけどさ。俺のこれは検査とかで何か異常が出るタイプのじゃないんだって・・・出たとしても融合率が悪いくらいだよ?」
「それが問題なんじゃねぇか! 良いか、だったらアタシも何度も言うけど! アキハルはもっと自分を大事にしろ!」
「俺にも予定が」
「全部キャンセルだ!」
何度目になるか分からない問答を終えてアギトが複雑な顔をしてモニターの操作を始める
そんなアギトを無理やり抱き抱え、再度説得を試みる
「はなせっ!」
「なぁ明日には大会もあるしさ」
「予選だろ! ヴィヴィオ達も大丈夫って言ってただろうが、親馬鹿」
「でも応援に行かないと怒るだろ?」
「病院抜けてきたって言った方が怒るわ」
取り付く島も無いとはこの事だろうか
いつもならうろたえてくれる行動もアギトは動じずに首を横に振るばかりだ
「いまのところ検査に異常は出てないし無駄だって」
「それがおかしいんだろうが。純度の高いロストロギアを長期間に宿していて正常だなんて、それが最早異常だってウルに言われただろ」
「ウルは、ほら、誇張が過ぎるって言うかさ。オーバーだから」
「それは心外だね。ボクは自分の分野に関しては正直に思ったことしか言ってないつもりだよ」
相変わらずメイド服に白衣と言った奇抜な格好でウルは佇んでいた
「おっと、ノックを忘れてた」
「遅い」
「いやぁ、今日はどんな子といちゃついている姿が見れるのかな。と期待して忍んであけてみたんだよ」
「今日は。とは言い掛かりとつけるな」
「昨日は騎士団の副団長さんだったね。そんなところにまで交友を持つとは恐れ入る」
嗜虐的な笑みをつくるウルは声を弾ませながらカルテを取り出す。あれだな、絶対俺の弱みゲットとか思っているに違いない
「なぁウル」
「それは無理だね」
「まだ何も言ってない」
「同じ問答を繰り返すなんて、好い加減ご主人様も学ばないね。あと数日の拘束は免れないよ・・・ご主人様は自分の立場を自覚するべきだ。わざわざボクが担当に引っ張ってこさせられたのも意味がある事なんだから・・・自分は特別な人間ではない。そんな甘えは此処までだよ」
「平凡な局員なはずなんだけどな」
「そうありたいのなら、まずは聖王や冥王の親と言う肩書きを捨てることだね」
それは出来ないだろう?
黙り込んだ俺にそう締め括ってウルは手に持っていたカルテを読み始めた