召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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三百八十六話~side 雨水~

前回のあらすじ

 

病院に連行されて二日目→目を覚ますとヴィヴィオも一緒に寝ていた→学院は休んだらしい→特にする事も無いので、ヴィヴィオの提案で散歩をする事になった→が。それは焦った様子のフェイトさんに出会い、受付までで終了する

 

昨日の夜、丁度見舞いの後だったらしい。シュトゥラの森の魔女を名乗る少女にキャロとイクスが襲われた

 

まぁそれだけ聞けば現在エース級と名高くなりつつあるキャロに喧嘩を吹っかけるなんて。と思うが、その少女はキャロを拘束して誘拐した上にイクスからも逃げ出せたらしい

 

 

「今日は事件の参考データをキャロに渡す手筈になっていまして」

 

「なるほど」

 

「その予定で執務室に向かったら、丁度ルネッサ執務官補と話していたシロが私を見てヤバッて顔をしてたからどうしたのって聞いたら・・・」

 

「いまの話を聞いた訳ですか」

 

「はい」

 

 

ちらっとヴィヴィオの方を見ると、ヴィヴィオはさほど興味が無いのかクリスと睨めっこをして何かしていた

 

 

「ん? なに?」

 

「いや、何でもない。それよりフェイトさん、どうしてこちらに?」

 

 

シロがフェイトさんに知られたくなかった理由はいまいち不明だが、まぁシロも俺と同じで面倒が嫌いだからその辺りの理由なんだろな

 

しかし、イクスから逃げる事が出来た。少なくともその事実はキャロの安全をある程度保障する事になる・・・本当に家族が危険だったならイクスが本気になって魔女程度ならあっさり捻じ伏せていたはずなんだから

 

 

「えっとですね。私も多少は古代ベルカについて調べていますので、シュトゥラが古代ベルカの地名と言う事くらい分かります。なので、すぐに教会に連絡を取って捜索を始めようとしました。しかし、教会もその地を保護区画には指定しているけど、実際何処にあるかは知らない。と言う事らしいです」

 

「・・・保護区画指定をしているのにですか?」

 

「はい。聞けば、古い盟約でその地は不干渉とされてきたらしく。大雑把に、かもしれないと言う地域の全てを教会保護区として指定しているだけで森の民が住んでいた区域の指定は難しい。と言うのが担当している騎士の方の話です」

 

 

なるほど。とすれば後は実際にその場所を知っている、アインハルトちゃんかヴィヴィオに聞くしかない

 

ヴィヴィオを選んだのは確実に覚えているだろうからってところか

 

 

「案内できそうか? ヴィヴィオ」

 

「ん? ん、もちろん。そんなに遠くないし、車で十分な距離にあるよ」

 

手に持っていたクリスからモニターが展開されて、ヴィヴィオはこの辺と指を置く。それを見てフェイトさんは、予想より遥かに近い所にあると知ってか複雑そうな表情になっていた

 

 

「そ、そうなんだ」

 

「まぁまぁあそこは認識阻害の結界もあるから、何であれ知ってる人以外は近づけないよ。だから、フェイトさんがここに来たのも無駄じゃなかったね」

 

「ありがとう、ヴィヴィオ」

 

「にゃはは」

 

「あ、いまさらですけど、すみません」

 

「何がですか?」

 

「受付で聞いたんですけど、いま面会は親族のみなんですよね」

 

 

ヴィヴィオを見ると首を縦に振る

 

 

「ま、この通り元気ですから気にしないで下さい」

 

「ありがとうございます」

 

「さて、ヴィヴィオ。いまから直ぐに案内できるか?」

 

「もちろ・・・んー? あきパパも行く気なの?」

 

「反対か?」

 

 

んー。と唸りながらフェイトさんと俺を交互に見る

 

そして、ヴィヴィオの中で決着がついたのか、諦め気味に溜息を吐く

 

 

「いちおう、ウルに聞いてね? あれでもあきパパの担当医なんだからさ」

 

「分かってるよ」

 

 

ワンコールもしない内に通信に出たウルはその場に居る者に反対者が居ないなら、特に止める理由も無い。とあっさり許可を出した

 

 

「さて、キャロを迎えに行くか」

 

「うん!」

 

「そうですね!」

 

「と、その前に。着替えたいので外で待ってて貰っていいですか?」

 

 

フェイトさんは呆けた表情で病衣の俺を見た後に、ゆっくりと顔を赤らめていき慌てて出て行った

 

 

「ヴィヴィオもだぞ」

 

「え? なんで?」

 

「なんでって・・・まぁヴィヴィオが良いなら気にしないけど」

 

 

病衣の腰紐に手を掛けるとヴィヴィオが後ろにまわって受け取る

 

 

「手伝うよぉ」

 

「ありがと」

 

「あきパパって意外と筋肉あるよね」

 

「非戦闘とは言え元局員だからな」

 

「いや、デスクワーク専門の人はこんなに鍛えないし」

 

 

ヴィヴィオの言う事は最もなのだが、何だかんだで体が資本となる雑用ばかり押し付けられてきたせいでトレーニングくらいは日課になっていた

 

 

「ヴィヴィオ、そろそろペタペタ触るの止めてくれないと上着が着れない」

 

「はぁい」

 

 

どうせなら学院で使う仕事着か管理局の局服が良かったんだが、持ってきてるはずも無いので私服で我慢する

 

 

「よし」

 

「うん、バッチリだね。格好良いよ、あきパパ」

 

「はいはい、ありがと」

 

 

軽い返しに少し頬を膨らます

 

そんなヴィヴィオに手を差し出すと満足そうに笑って確りと握った


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