「にゃわぁぁぁあああああーーーー!」
雨水さんに見られた! こんな事ならもっと見えない場所に隠しておけば良かったよぉ
そもそも何で雨水さんは私の部屋に・・・確かに鍵は基本掛かってないですけど!
「ちょっと入ります!」
よし! 誰も居ません!
補助魔法を掛けながら来たせいで魔力残量も少ない、雨水さんが追って来た時の対策用にも残しておかないといけないのに
「くっ、せめて何処に置いたか聞いてから・・・」
とは言っても雨水さんは物を多く持つタイプじゃないですし片っ端から荒らせばきっと
◇◇◇◇◇◇
「無い・・・あれ? 無いんですが」
正に重力を逆さまにしたみたいに荒らしましたけどそれらしき物は出てこなかった
もしかして・・・別の場所に隠されている? うん、雨水さんならやりかねない
雨水さんといえば幾らなんでも追ってくるのが遅い。まさか放置ですか?
「探し物はこれか? キャロ・・・って見事に荒らしやがって」
ッ~~! 思ったとおり別の場所にあったんですね!?
「しかし一体あんなに慌てる物とは何だろうと気になってキャロの部屋まで態々取りに行ったが」
「は?」
態々取りに行った?
それはつまり最初から雨水さんは何も見てないし取ってなかったって事ですか?
「まぁ昔の写真とか結構恥ずかしいもんな。アルバムか? これ」
雨水さんが持っているの少し弄れば誰にでも解ける簡易的な電子ロックの掛かった小さなのアルバム
「しかも隠し場所がベットの下の缶ケースの中とかお前はエロ本隠す少年かベタ過ぎ」
「エ、エロってベタじゃないです! と言うかさっきのは全部嘘だったんですか!」
「うん・・・だが、それもたった今から本当になった。さぁキャロ、人質ならぬ物質だ」
なんて極悪人
まさかプリン一つで此処まで発展するとは・・・騒いだのは私ですけど
「竜魂召喚」
「お前! これが見えないのか!」
「くく、アハハ、あーッははは! 抜かりましたね、雨水さん!」
確かにそのアルバムも見られて困る物だし恥ずかしいですけど最初にそれに目をやってくれたのは幸いです
大体私が本当に見られて困るのはその奥に隠してある手紙の数々(正確にはラブレターと言う物ですけど何度も書いては封印の繰り返しで・・・下手に捨てて見つかるの嫌でしたし)
「それがわたしの秘密だと思ったら大間違いですよ! 錬鉄召喚! フリード、ブラストフレア待機!」
「グルルゥ」
残り魔力でも魔力ダメージへの変換と錬鉄での捕縛くらいは出来る。逆に言えばこれで魔力残量は殆ど無くなる訳ですけど・・・
さて、雨水さんもこれでお終いです!
「・・・ふむ・・・ごめん、キャロ」
「へ?」
「いや、だから謝ってるんだよ。勝手に食べて悪かったな、今度から気を付ける」
「え? あ? はえ? 謝っちゃうんですか?」
予想の斜め上過ぎる。諦めの悪い雨水さんだからまだ策を弄すのかと思ったのにアッサリと
「あん? 謝って欲しいんだろ? プリンは今度にでも買ってくるよ」
「は、はぁー」
「じゃ取り合えず鎖とフリードを」
「はい」
鎖を消してフリードを子竜に戻す
「ごめんねフリード、急に呼んじゃって」
「キュクルゥー」
「鎖も外れた事だし」
「まったく、雨水さんは・・・今度から気をつけて・・・ってあれ? ちょ、うすい、さん?」
「形勢逆転ってね」
薄い茜色の光の輪が私を捕らえていた
バインド。しかも魔力光からして雨水さんの・・・
「どう言うつもりですか?」
「いや~プリン食べたのは悪かったなーと思うし勝手にキャロの部屋に入ってアルバム取ってきたのも悪いなーとは思ったんだけど・・・ほら? 俺って負けず嫌いじゃん?」
な、なんて人だーーー!!
子供相手に騙しまで入れて全力で相手に来た! 確かに雨水さんらしいですけど! 最初から素直に謝るなんて変だなーって思いましたけど!
「で、ですが雨水さんのバインド程度なら十数秒で」
「そんなの俺が一番知ってるに決まってるだろぉ~?」
意地悪な笑みを浮かべた雨水さんは私がバインドの解除をする間に普通の布で拘束した
「キャロの残りの魔力も少ない、俺の勝ちだな」
「・・・えぇぇー」
そもそも私のプリンを食べた雨水さんが悪いのにぃぃ~
キャロの隠し物はラブレターにしました、書いたは良いけど下手に捨てると何かの弾みで見られる可能性も有り何処かに保存しておくしかない。