前回のあらすじ
キャロが風邪を引き看病をする→そこそこ順調→だったのだが障害発生→これはセーフかアウトか・・・
まぁセーフだと思ったが、いざキャロのパジャマに手に掛け緩やかに脱がすとなんだかアウトな気がしてきた
脱がすって単語が悪いんだな、きっと
「やっぱ他の」
「・・・。」
「駄目か、うん、駄目だよね」
頬を朱色に染め潤んだ瞳で見詰めてくる
・・・リアクションに困る
正直此処はサラッと流したいのに何だかそんな流れじゃないぞ?
「前は自分で拭けよ?」
「あぅ」
「だから何語なんだ」
キャロを座らせて後ろから蒸れたタオルでゆっくり拭く
少し強くするだけでも妙な声を上げるのでとてもとても作業し難い
子供だから気にするな・・・と言われてもいざ直面すると予想を超えた何かがある
「それにしてもキャロが風邪なんて珍しいよな」
とにかくこの場は適当な話題を振って気を紛らわそう
「ごめんなさい」
「怒ってはないよ。ただ珍しいって話」
「雨水さんにめいわくかけてしまって」
「まぁ俺も仕事休めたからラッキーくらいにしか思ってないさ。あ、ちょっとバンザイして」
「ふにゃ」
たぶんシャンプーか何かなんだろうけど甘い香りが鼻腔を擽る、これが所謂女の子特有の甘い香りってやつなのだろうか
ああ、マジでこんなシーン誰かに見られたら・・・恐ろしいな
「くしゅん」
「あ、お湯が冷めてきたか。入れ替えてくる。毛布に包まってろよ」
「はい」
さっさと取り替えてこないとな、今のキャロは殆ど裸だし風邪悪化しかねん
◇◇◇◇◇◇
「キャロ~ダウンしてないよなー」
「遅いですよ!」
・・・えーっと何でこの人が居るんだろうか
いや、居ても可笑しくないと言うか居て当然なんだろうけど局的に居たら困ると言うか
「フェイトさん?」
「なんですか?」
フェイトさんが凄く怒って立っていらっしゃった
「あの、お仕事は・・・」
「それより!」
「あ、はい。そうでした・・・フェイトさん、キャロの体を拭くのあとは任せて良いですか? 元々男の俺がするのも難でしたので」
「・・・うん、分かった」
たぶんキャロを一人にさせた事を怒ってるんだろうな、この人・・・本当に優しい人だよ
が、このその優しさが怒りに転じた時が恐いのでこの場はキャロを任せて俺への怒りを何処かに放り投げてもらおう
この人が子供を後回しにしてまで怒るとは思えないからな
「や! 最近ぶりだな」
「アルフまで」
外に出ると今度はアルフが立っていた
「なぁアルフ、フェイトさんって執務官だったよね? なんで来れた?」
「あーそうだな、不思議に思うのも無理ないか。フェイト心配性だし、病気って聞いたらすぐに飛んで行く勢いだったらしいぞ? 実際飛びそうになった所を副官が止めたそうだけど」
副官さんの苦労とフェイトさんの慌てぶりが目に浮かぶ
「だから急いで一通り仕事を終えて駆け付けたんだと思う」
「そうですか・・・ま、タイミング的には助かりましたけどね」
「なんでだ?」
「実は人が居なくて俺がキャロの体を拭いてあげてたんですけど、やっぱりキャロも女の子でしょ? 隅々って訳にも」
「あー・・・ま、そうだな~」
中の方で何度かキャロのくしゃみとその後にフェイトさんが心配すると言うやり取りが聞こえ俺とアルフは思わず苦笑していた
健全な看病風景