前回のあらすじ
ヒューズがユーノ司書長を連れてくる→気が合いそうな人だ→話していると唐突に遺跡調査が次の仕事と判明→全力で逃げようとするが失敗→仕方なく話を聞いた(多少抵抗はしたが)
古代ベルカが残した遺跡が海底に沈んでおり、少し前にそれが発見されたらしい
「古代ベルカってさー、戦乱期のでしょ? 絶対単純な罠だけじゃないよ」
あー帰りてぇ
ここからは涙ぐましい努力をして回避したトラップの数々
落とし穴
その下の針地獄
天井落下
水攻め
岩球
「やってられるかぁぁあああ!!」
走って岩球から逃げるなんてなんてベッタベタな
古代ベルカは戦乱時にかなりの技術進歩をしているはずだろ?! それとも一周回って原点回帰か!
「冷静に考えれば、未調査って事はどうせロストロギアが眠ってるんだろ? だったら機動課に頼むべきだろ」
まぁあの司書長は、そう言うのに弱そうだからホントに危険度の少ない遺跡だと思ったんだろうな
何せ、レジャー施設建設予定でようやく発見された今まで無害の遺跡だったんだし
「いっそ、そのまま気付かずに工事しちまえば良かったのに」
何時までも愚痴を言っていてもしょうがないが・・・しかしせめて小隊くらいは欲しかったなー
その時、観察眼が敵性反応を捉える。切らなくて良かった安心情報だな
「ッ!」
それにしても何で生物が存在するんだ
しかも敵性を持てるとなると知性もある。海底に沈んだ遺跡には隔離結界みたいな魔法で水は入らなかったが外からの生物の進入は出来なかったはず
唯一入れる魔導師だって俺が始めての侵入者
「貯蓄開放、オプティックハイド、フェイク・シルエット」
ブースト系のロストロギア、所持者にロストロギアからの魔力配給と大きくは無いが魔法の補助もある
流石はオーバーテクノロジー
たった一つで情報量が多すぎて全部見ようなんて思えない
だが、如何やら魔法補助に重きを置いている節がある
「何だアレ」
フェイクシルエットに先行させ目視出来る距離で走る
人型・・・女性のようだ
電子ゴーグルのような物を付けて平然と徘徊している
数は三体程度なのだが、どれも同じ顔している。体型も背丈も同じ、まるで人工物みたい
「取り合えず行ってこい」
シルエットが近付いてみる
「貴方はイクスを知る者ですか」
斬られた
まさか質問されて答える前に殺られるとは思わなかった、周りの女性は口より手の人が多いが此処まで極端な人は始めてだな
我慢のがの字も知らんのか
両腕の武装化、デバイスが無い所を見ると何かのスキルの可能性が高い
「おいおい・・・帰るか」
観察眼で相手を見る
屍兵器 マリアージュ 軍団兵 魔力ランクB
軍団・・・えーと、つまりは結構数が居るのか
「生命反応」
「やっべ! バレた、何でだ! 貯蓄開放、クロスファイアシュート!」
すぐに幻術魔法を切って威力の低い魔力弾で弾幕を張る
蒐集貯蓄ロストロギアの在庫数は五つ
威力の高い大技用に一つ残すとして残り四つで対処するか
一つのロストロギアで射撃魔法なら十回、砲撃魔法なら五回、収束または儀式魔法なら一回と言った感じだ
「貴方はイクスを知る者ですか」
「戦刀で魔力弾を斬るって・・・全く流石は古代ベルカ、容赦ねぇぇ」
遺跡を壊したらいけないので爆発系は無しにしてと、懐から拳銃を取り出して引き帰しながら背後に向けて撃つ
後ろからは銃弾を弾く音が聞こえる
「イクス」
「挟まれた! 貯蓄開放、バスター!」
目の前からやってきたマリアージュなる固体五体に問答無用で砲撃魔法を放ち背を向け走る
やっぱり魔法は使えても威力が出ないか
瞬間砲撃一撃では倒れてくれそうも無いし、かと言ってチャージする程の余裕は無い
はぁーこれは軽く詰んだな
前倒しのマリアージュ騒動です