召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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八十二話~side イクス~

見惚れる

 

秋春様の仕事姿は余り見た事なかったのですけど、予想以上に惹かれるモノが有ります

 

きっと秋春様は無自覚なのでしょう

 

そのカリスマは一国を統率する王にも劣ってないと思える

 

 

「さて、フォワードでは残りキャロだけだけど、何かある?」

 

「アルバム消去しました?」

 

「まだ」

 

「質問終了です、雨水さん・・・あとで話が有ります」

 

「えー」

 

 

ルシエさんと秋春様の関係はとても不思議です

 

ですが二人の話を聞いている内に分かった事は有ります

 

恐らくあの二人は遠慮せずに、素の自分で語り合える仲なのだろうと言う事です

 

 

「シグナム二尉に、ヴィータ三尉は何か有りますか? ベルカの事は詳しく知りませんが多少なら調べて有りますよ」

 

「ほぉ・・・それは興味のある話ではあるが、それより貴様の助手である少女の方に対して質問がしたいと思っている」

 

「・・・ん? イクスに? 如何する?」

 

「構いません」

 

 

戦場では幾度か刃を交えた同士

 

向こうが覚えておらずとも、警戒しない理由にはならない。それにこの人は私の何かに気付いている可能性も有る

 

・・・大体、秋春様に対してこの人達は無礼です

 

 

「貴様の魔法術式はベルカ式だな?」

 

 

秋春様のお願いは平然としている事、娘としてお父様のお願いは叶えたいものですから頑張ります

 

 

「ええ、見ての通り」

 

 

足元にベルカ特有の三角形の魔法陣を展開させる

 

そこからは私の魔力光である、紫色が漏れ出す・・・しかし周囲を舞う小さな魔力の粒子は黒い色をしている

 

秋春様が言うには紫が私自身の色で、黒いのはマリアージュの色が漏れているのでは無いかとの事らしい

 

黒はレア色で珍しいと撫でられた時に何で私が黒でないのかが不満になったのは新しい記憶ですね

 

私自身が黒だったら、もっと撫でてもらえたかも知れないですのに

 

 

「なるほど・・・そうか・・・次の質問だが・・・お前は何者だ」

 

 

騎士の一言で私との間に一触即発の雰囲気が形成された

 

はぁ無粋だ

 

折角秋春様が楽しくしていたのに邪魔するなんて無粋も無粋

 

 

「私はイクスです。秋春様の娘でそれ以外は有り得ません」

 

「そうか、ならば剣で語るのみ・・・手合わせ願おう」

 

 

何を言ってるのか

 

んー質問には答えたのですが何故戦おうみたいになっているのでしょうか

 

・・・好戦的な感じを出し過ぎたのでしょう

 

やはり秋春様みたいに穏便に優しく解決は出来ないのですね、私には

 

 

「シグナム二尉。なにを幼女相手に剣振り回そうとしてるんですか」

 

 

・・・幼女は止めて下さいと言ったのに

 

もう秋春様はいじわるですね

 

 

「止めてくれるな」

 

「止めますよ。高町一尉も威圧に押されてないで、何時もみたいな魔王オーラで参戦して下さいよ」

 

「魔王って如何いう事かな?雨水さん」

 

 

そして私の前に秋春様が立ち、皆には見えないように背後で何か指示を出していた

 

えと

 

まずは戦闘態勢を解いて・・・秋春様に抱きついて・・・秋春様の後ろから覗くような体勢を取る・・・そして指示通りの事を言う・・・

 

 

「・・・怖いです」

 

「ッ!」

 

 

何故か騎士が驚きます

 

流石秋春様です、どんな策なのかイマイチ良く分かりませんけど戦わずして戦意を削っています!

 

 

「ほら、シグナム二尉のせいでイクスが怖がってしまったじゃないですか」

 

「ちょっと待て! 先程までは!」

 

「一体全体、全く持って何の事か分かりませんけど誰が如何見たって子供を脅しているようにしか見えませんよ。ねぇ高町一尉にヴィータ三尉」

 

「んー確かに」

 

「だな、シグナム。諦めろ」

 

 

騎士も納得はいっていないようだが、予想より素直に身を引いた

 

秋春様の策は見事で惚れ惚れします・・・やはり貴方の娘になれて幸せです




シグナムがうっすらイクスに気付く

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