前回のあらすじ
面倒になってヴィヴィオを持ち帰る→イクスが特攻未遂→シロが知らぬ間に強化→さぁご飯にしよう
エプロンを装着した俺は、シロと一緒に台所に立つ
「雨水秋春とシロの三分クッキング~!」
「わんっ! 献立はハンバーグだよっ!」
「まずは、出来上がり済みのハンバーグをレンジに入れて、四十秒くらいにタイマーをセット!」
終わり
・・・って言うか、いざ台所に立ってみると準備の良いシロが汁物なども作っていた
ヴィヴィオご注文のハンバーグも事前に電子メールを送っていたので温めるのみ
「残り二分二十秒は?」
「特にする事ないな・・・汁物を温め直すか」
「高速クッキングだねっ!」
これが料理番組なら完全にやらせだけどな
推測ではあるが実際に掛かった調理時間は一時間前後だろう
何の為に着たか分からないエプロンを脱いで配膳を済ませる
「秋春様はテレビで見た出来る男って感じでした」
「ん? 如何した? 突然」
「エプロン姿も格好良いです」
・・・余り・・・嬉しくない
むしろ俺よりイクスが嬉しそうなんですけど・・・なんで?
にしてもテレビね、今度イクスが新しそうな言葉を使ったら多分テレビで見たんだろうなぁーって思うか
「やったー! はんばーぐー!」
「なぁイクス、ベルカ時代にハンバーグなんてあったか?」
「・・・無いです」
んーヴィヴィオの記憶が聖王オリヴィエのモノだけだったら、ハンバーグの名前が出てくるのは可笑しいんだが・・・調べてみる価値は有りそうだな
「ヴィヴィオはまだ小さいんだから、がっつくなよ」
口一杯に食べ物を詰めて首を縦に振るヴィヴィオ
・・・遅かったか
「まさか既に食べ始めていたとは」
よほどお腹が空いていたとみえる
確かに病院食って食べた気しないような感じだけどね
「秋春様、私が注意しておきますので秋春様はごゆっくり」
「大丈夫、こう言うのは大人の役目だからね。イクスはシロの作ったご飯を美味しく食べてね」
「・・・分かりました、お父様のそう言う優しい所が大好きです」
俯いて食べるイクスの頬は少し恥ずかしそうに染まっている
・・・か、可愛い
んーイクスはまだ俺をお父様って呼ぶのには慣れてないみたいだな・・・別に秋春で構わないんだが
「むぐぐっ! ふぁ、ふぁき」
「だからがっついて食べるなと」
ヴィヴィオは、よほど喉に詰まったのが怖かったのか俺に駆け寄って抱きついた
もちろん鳩尾クリーンヒット
お前には速度を緩めると言う機能は無いのかッ!
「だ、から・・・勢いを付けて」
「わんっ! ヴィヴィオ、ヴィヴィオ。こっち!」
「ん? ・・・うん」
ん? なにをする気だ
手招きするシロにゆっくり近づいたヴィヴィオを抱き上げて、小分けにしたハンバーグを食べさせてあげていた
あーなるほど、その手があったか
今度から俺もそうしよう、よくよく考えればヴィヴィオはまだ子供だもんな。イクスとかキャロとかの例があったせいで手助けってのを余り考えてなかった
「秋春様」
「ん? なに?」
「わ、私も・・・あの、その・・・いえ、何でもないです」
なにが言いたかったんだろうか
ま、俺もゆっくり食べれそうだからシロ特製のハンバーグを味わいますか
ヴィヴィオが一番幼女らしい幼女と言う事でした