召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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九十二話~side イクス~

身も心も曝け出す

 

意味合いとしては正しく体現されてると言えるのが入浴です

 

 

「うぅー」

 

「いい加減に慣れないか?」

 

 

ワシャワシャと少し乱暴に秋春様が私の髪の毛を洗う

 

このシャンプーが目に入るのだけは、いつまで経っても慣れるとは思えない

 

 

「す、すみません」

 

「まぁ良いけど。熱かったら言えよ」

 

「あ、はい」

 

 

正しく平和的な家族風景ですね

 

昔の戦乱期が嘘だったような気さえしてしまいます

 

それにしても此処まで無防備だと言うのに全く不安など微塵も感じませんね

 

きっと秋春様が傍に居るからに違い有りませんでしょうけど

 

 

「んっ、髪はこんなところかな」

 

「あとは自分で」

 

「そうだな、俺は先に浸かるか」

 

「はい、そうして頂けると助かります」

 

 

いえ、私としてはこのまま秋春様に洗ってもらうと言う選択も味わってみたいと思うのですが、自分の未発達な裸体を秋春様に見せるのは恥ずかしいと言いますか・・・なんです

 

まぁシロくらい成長していれば自信も持てるのでしょう

 

生憎と私の体は成長し難い体質のようなモノなので仕方有りません

 

 

「ふぅ、シロとヴィヴィオはそろそろ起きたかな」

 

「如何でしょう? ・・・んっ」

 

 

この音は

 

 

「わんっ! 私も一緒に入るっ!」

 

「ちぇすと」

 

 

この間、テレビでみた方が気合を入れる時に言っていた言葉なのですがイマイチ気合が入ったとは思えません

 

ともかく私は有ろう事か大人モードで浴室に入ってきたシロを撃退しました

 

 

「うわぁ痛そう」

 

「全く、シロには女性としての心得を教えて上げないといけないようですね」

 

「見た目は逆だけどな」

 

「いじわるです・・・ん?」

 

 

秋春様は近くにあった桶を手に持って防御体制を取りながら驚いた表情で此方を見ている

 

・・・私が秋春様にまで手を上げると思われたのでしょうか?

 

それならば少し心外ですね

 

 

「コホン、それよりシロが起きたって事は」

 

「ですね」

 

 

予想通りトテトテと音を立てながら登場する

 

 

「ヴィヴィオもはいるぅー!」

 

「ちぇすと」

 

「まさかのヴィヴィオにまで?!」

 

 

はい?

 

その驚きは何でしょう?

 

これが当たり前の対応だと思うのですが・・・秋春様と私の時間なんですし

 

邪魔者はいりませんよね?

 

 

「大丈夫です、加減はしましたから」

 

「あの速さで飛んだ石鹸にキミは如何加減を?!」

 

「えと・・・気合で」

 

「気合を入れて投げたよな? チェストって言ってたし」

 

 

ですが思ったより入りませんでしたよ?・・・気合

 

 

「うぇっ」

 

「やばっ! イクス! お前のせいなんだから手伝え! このままじゃヴィヴィオが泣く!」

 

「いま思い出したのですが、秋春様はお風呂上りのアイスはバニラとイチゴのどちらが良いですか?」

 

「それはいま必要なの?!」

 

「はぁ・・・恐らく」

 

 

いまの内に聞いていた方が早いと思ったのですが

 

ああ、そうでしたヴィヴィオを泣き止ますのでしたね・・・斬れば良いのでしょうか?

 

・・・と言うのは少し前の私で、私も少しは考えました

 

 

「ていっ」

 

 

扉を閉めて音を追い出せば良いのです

 

 

「って、そんな現実逃避みたいな方法で大丈夫と思うなぁー!」

 

 

如何やら私の策は秋春様から見ると失策だったようです

 

秋春様はすぐに湯船から上がり尻餅を付いていたヴィヴィオを起こして身振り手振りで泣き止ます事に成功していた

 

 

「流石です」

 

 

やはり私のお父様ですね

 

あの聖王の子孫でさえも手の内です

 

 

「イクス! アイス抜き!」

 

 

・・・え?




ヴィヴィオが散々な目に合いました

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