ルソンの螢たち   作:tuzimoto

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ルソンの螢たち 前編

1945年(昭和20年) 7月

フィリピン ルソン島

 

大東亜戦争末期

1月9日に米軍がフィリピン ルソン島に

上陸してから

米陸軍 第6・8軍と日本陸軍第14方面軍の戦いが始まった

しかし、 7ヶ月経ったが未だに両軍の戦闘はケリがつかず

日本軍側は悲惨極まる戦いを強いられていた……

 

 

那智清人(なち きよと)陸軍伍長

「……おい …おいしっかりせんかい!」

 

日本兵「……」

 

古鷹軍一(ふるたか ぐんいち)陸軍軍曹「那智…もう諦めい…」

 

那智「…っ…小林…」

 

古鷹「行くぞ…伊勢、今日は鳥が居らんのじゃのう」

 

伊勢基明(いせ もとあき)陸軍伍長

「あ…ホンマですね、残念…」

 

大宮三郎(おおみや さぶろう)陸軍伍長「ちぇ…食おうとしたんに…」

 

伊勢「…やめんか」

 

大宮「ふふっ」

 

火宮慶次(ひみや けいじ)陸軍上等兵

「皇軍兵士なら腹が減っても我慢するしかないんですよ……」

 

大宮「腹減りまくって気が狂いそうじゃ…」

 

火宮「おい、三島 雨野早う来い」

 

三島直(みしま なおし)陸軍一等兵

「……あぁ……はい…雨野しっかり」

 

雨野優(あめの ゆたか)陸軍一等兵

「…うん…」

 

大和田陸軍曹長「お前ら静かにせんか!

アメ公に見つかるじゃろ!古鷹軍曹 お前からも言っとけ」

 

古鷹「はい、曹長殿」

 

大和田「…それと南に行くぞ こっちじゃ

山井!俺の側へ来い

田中軍曹 古鷹軍曹と殿を交代しろ」

 

田中陸軍軍曹「はい!」

 

古鷹「わかりました! 伊藤前に」

 

伊藤陸軍一等兵「はい 分隊長殿」

 

那智「……のぅ、伊勢…死体だらけじゃ」

 

ジャングルのあちらこちらには日本兵の遺体が何体も野晒にされアリやウジ虫や蝿に食い尽くされてた

 

伊勢「……ほうじゃのう…地獄じゃな」

 

古鷹「離れるなよ 那智 伊勢」

 

那智「はい、軍曹殿」

 

那智・ すゞ子(妻)、靖男(子供)父ちゃんは今、地獄に居るよ

今日も一人また一人戦友が死んだ

この地獄に終わりはあるんかいのぅ……

 

 

 

 

曹長「気おつけて進めよ」

 

山井「はい、曹長殿…」

 

那智「……ん?……んっ!軍曹殿 伊勢!」

 

BAN! BAN!

 

BARRRRRRRRR!!

 

山井「ぎゃっ!」

 

田中「敵襲~!散開しろ!」

 

BAN! BAN!

 

古鷹「……アメ公じゃ!お前ら戦闘配置!」

 

那智「お前ら銃を構えるんじゃ!」

 

大宮「くそ…アメ公!!」

 

日本兵「曹長殿がやられた!」

 

古鷹「…っ…行くぞ!着いてこい!」

 

火宮「三島ァ!鉄帽被れ しっかり結べ!…那智伍長殿!」

 

那智「なんじゃ?!」

 

火宮「敵は小隊規模です!」

 

 

那智「わかった……軍曹殿

敵は小隊規模です!」

 

古鷹「わかった!お前ら側面から行くぞ!……これを使う時が来たのぅ」

 

古鷹は肩に掛けてあった 鹵獲した米軍のM1トンプソンを構え 前に進んだ

 

BAN! BAN!

 

Zip

 

日本兵「うわぁっ!」

 

古鷹「アメ公ぉぉ!!」

 

BARRRRRRRRR!!

 

那智「分隊長殿の後を追うぞ!!」

 

大宮「アメ公がウジャウジャ居るのぅ…」

 

田中「古鷹…のやつやるのぅ……手榴弾を使うんじゃ!」

 

日本兵「喰らえアメ公!!」

 

Pin GAN!

 

BOGAN!!

 

米兵「グレネード!(手榴弾)」

 

米兵「…サノバビッチ!」

 

BAN! BAN!

BARRRRRRRRR!!

 

日本兵「ギャッ!」

 

日本兵「あぁ!」

 

火宮「アメ公……!」

 

BAN!

 

田中「…クソ!」

 

田中は三八式歩兵銃に着剣をした

 

BARRRRRRRRR!!

 

古鷹「……田中?」

 

田中「…ぁぁぁぁ!!!!」

 

田中は米兵目掛けて突進した

 

米兵達は田中に狙いを定め発砲する

 

BAN! BAN! BAN!

 

Zip! Zip! Zip!

 

田中「……っ!……あぁ!……」

 

田中は倒れ込んだ

 

古鷹「た…田中ぁぁぁ!!」

 

BARRRRRRRRR!!…!

 

古鷹「……っ!?……クソ!弾が詰まった!

…やっぱり三八式か」

 

ガチャガチャ BAN!

 

雨野「あぁ…曹長殿も田中軍曹殿も…」

 

米兵「距離を詰めろ!」

 

6人の米兵達がライフルを構え 縦列で前進してきた

 

古鷹「…万事休すか……いや…お前達退却じゃ!退却!」

 

那智「…えっ」

 

古鷹「那智・伊勢皆を連れて早う行け!」

 

伊勢「軍曹殿は?!」

 

古鷹「俺は殿を務める!心配無用じゃ早う行け!」

 

伊藤「自分も残ります!」

 

古鷹「バカタレ!死にたいんか!伊藤も早う行け!わしなら大丈夫じゃ!那智!伊藤を頼む」

 

那智「……伊藤! 火宮!行くぞ!」

 

Pin GAN!

 

古鷹は手榴弾を投げた

 

米兵「…伏せろ!グレネードだ!!」

 

…BOGAN!!

 

三島「…雨野行くぞ!」

 

雨野「うん」

 

古鷹分隊は退却した

 

米兵「…撃ち方やめ!もういいジャップは去った 戻るぞ!」

 

米兵「被害を確認しろ!」

 

 

古鷹分隊は緩い高台まで退却した

 

古鷹「よし…ここまで来りゃええじゃろう

お前ら無事か?」

 

那智・伊勢「はい」

 

伊藤「大丈夫であります」

 

火宮「大丈夫であります 分隊長殿

大丈夫か? 三島 雨野それと大宮伍長殿…」

 

大宮「…ワシはなんとか大丈夫じゃ」

 

三島・雨野「大丈夫です」

 

古鷹「なら、えかった……わしらだけになってしもうたのぅ…」

 

那智「… 軍曹殿 顔に傷が」

 

古鷹「……ん? あぁ大丈夫じゃ かすり傷じゃけえ」

 

火宮「放っておいたら破傷風になりますよ」

 

BAN! BAN!

 

伊勢「敵?!」

 

古鷹は恐る恐る銃声が聞こえる方に振り向いた

 

古鷹「…?」

 

火宮「分隊長殿!あれを!」

 

古鷹「なんじゃ……っ!」

 

古鷹が見ると大和田曹長や田中軍曹ら日本兵の遺体を楽しげに損壊する米兵達の姿があった

 

古鷹「………」

 

那智「……!」

 

伊勢「…惨い…!」

 

火宮「鬼畜じゃ…鬼畜じゃ!アメ公の奴らァ!シゴしゃあげたる!殺したる!殺したる!」

 

火宮は三八式歩兵銃を構えた

 

大宮「火宮落ち着け!三島!雨野!押さえるんじゃ!」

 

三島・雨野「火宮上等兵殿!」

 

三島「落ち着いてください!」

 

古鷹「……クソッタレ…アメ公!」

 

雨野「……あっアメ公達が去って行く」

 

伊藤「分隊長殿…後で曹長殿達を埋めに行きましょ…」

 

那智「…軍曹殿 これからどうしますか?」

 

古鷹「……とりあえず 南じゃのぅ…南に向け転進じゃ……火宮来い」

 

古鷹は胸ポケットから地図を出した

 

火宮「はい」

 

古鷹「現在地は……恐らくこの辺じゃな

南じゃから…と……こうじゃな」

 

大宮「腹減ったのぅ……」

 

伊勢「言うな…余計に腹が減るじゃろ」

 

大宮「鳥来んかのぅ……ほれ、ニワトリとか……焼き鳥にして」

 

伊勢「じゃから食うなや!」

 

大宮「へへっ〜」

 

那智「焼き鳥で思い出した…八丁堀にブチ美味い店あるの知っとるか?」

 

大宮「いえ」

 

那智「ほうか……ブチ美味いぞ…ほいじゃけぇ故郷に帰ったら一緒にどうじゃ?」

 

大宮「はい!是非!」

 

那智「まあ帰られるかどうか…分からんがのう…」

 

伊勢「…(じゃから焼き鳥の話やめてや)」

 

古鷹「……よし、お前ら行くぞ!南に転進じゃ」

 

古鷹分隊は大和田曹長等を埋葬後

南に向け転進を始めた

 

古鷹「大和田曹長殿 田中軍曹 そして兵士達に哀悼の意を込め 敬礼!」

 

ザッ

 

一同「……」

 

古鷹「…行くぞ」

 

 

 

 

那智「……おっ…ぬかるんどる」

 

伊勢「スコール後かのぅ?」

 

古鷹「……伊藤、足元きぃつけろ」

 

伊勢「はい…わぁ……ありこさんがようけ居る…」

 

古鷹「……ン?…静かに!!」

 

火宮「……!」

 

火宮は三八式歩兵銃を構えた

 

森林から数名の影が見えてきた

 

三島「アメ公…?」

 

伊勢「…っ」

 

伊勢も構えた

 

坂城達彦陸軍中尉

「…味方だ!撃つな!」

 

大宮「…えかった」

 

古鷹達は坂城に敬礼をした

 

古鷹「105師団歩兵182大隊の古鷹軍曹であります!」

 

坂城「坂城だ 勤部隊(歩兵105師団の通称)か…

他の者は?」

 

火宮「…中尉殿だ」

 

古鷹「我々のみであります…」

 

坂城「原隊は?」

 

古鷹「ほぼ壊滅しました…」

 

坂城「なら、軍曹 自分の隊に入れ 」

 

古鷹「はっ!」

 

坂城「ちょうど、下士官が居なくてな

自分の隊には安田上等兵しか居なくて

あとは一等兵だ」

 

安田昭陸軍上等兵「安田上等兵であります!」

 

古鷹「よろしゅうのう 安田上等兵」

 

坂城「…伍長が3人も居るのか」

 

古鷹「はい 伍長が3人 上等兵が1人 一等兵が3人になります」

 

坂城「わかった 軍曹、我々の野営地に案内する 着いてこい 」

 

野営地

 

那智「おぉ……こんなに」

 

野営地には大勢の陸海兵がごった返してた

 

雨野「那智伍長殿…海軍の兵も居りますよ」

 

那智「ホンマじゃ」

 

坂城「混成部隊だからな……」

 

古鷹「混成部隊…」

 

坂城「あぁ…みんな軍曹達同じだ」

 

伊勢「…あっ」

 

前からから開襟背広型防暑衣を着た陸軍大尉が歩いてきた

後ろに何名か将校を率いてる

 

一同は敬礼をする

 

真加部陸軍大尉「…新入りか?」

 

坂城「はっ!」

 

古鷹「歩兵182大隊の古鷹軍曹であります!」

 

真加部「真加部だ」

 

秋山海軍少尉「海軍陸戦隊の秋山少尉です」

 

近藤陸軍少尉「歩兵第39連隊の近藤中尉だ」

 

真加部「それと奥に長原憲兵少尉がいる

……狭苦しい所だが楽にしてくれ」

 

古鷹「はっ!」

 

 

 

大宮「はぁ…やっと一休みできるのぅ」

 

古鷹「ほうじゃな」

 

那智「何人くらい居るんじゃろか…」

 

火宮「ざっと……40ぐらいかと」

 

古鷹「とりあえず…休もう」

 

 

衛生兵「…すいません ちょっと手借りてもいいですか?」

 

那智「なんじゃ?」

 

衛生兵「負傷兵の手当の手伝いを」

 

古鷹「…火宮、確かお前は負傷兵の手当をしたことがあったはずじゃが」

 

火宮「ええまぁ…」

 

大宮「ほうなんか?」

 

伊勢「火宮は確か親が医者じゃったかのー

それに…前に死んだ清水が負傷した時手当したのは火宮じゃ」

 

大宮「ほうなんか……火宮は優秀じゃな

手当もできるんか」

 

古鷹「ちぃと手伝ってこい」

 

火宮「はい」

 

衛生兵「ありがとうございます!こちらです」

 

 

日本兵「あ……あの………み…」

 

横たわってる日本兵が那智に話しかけた

 

那智「…どうした?」

 

日本兵「み…水を…」

 

那智「わかった ちぃと待ってろ」

 

那智は腰にかけてある水筒を持った

 

那智「……ん? ……あれ……空だ」

 

伊勢「俺のを」

 

伊勢は水筒を差し出した

 

日本兵「……す……すまねぇ……」

 

伊勢「飲めるか?……ほれ、」

 

日本兵「……んっ……ん………ありがとう…………」

 

伊勢「……おい?…おいしっかりせんかい 」

 

日本兵「…………」

 

伊勢「…し…死んでしもうた……水あげたら……死んでしもうた

 

………戦友が亡くなるのは見慣れとるのにな……やっぱり…心に…来るのぅ……」

 

那智「伊勢…」

 

 

治療場

 

衛生兵「早速、包帯を巻くのをお願いします」

 

火宮「あぁ……ん?…あれ包帯が…」

 

陸軍従軍看護婦

西條由紀子「すみません 包帯です」

 

火宮「……あぁ…ありがとう」

 

衛生兵「ちょっと手伝ってくれ!」

 

由紀子「はい!」

 

火宮「従軍看護婦…」

 

負傷兵「マニラに居た看護婦らしい

…名前は西條由紀子さん」

 

若い伍長が火宮に言う

 

火宮「……由紀子さん」

 

負傷兵「べっぴんだろ?」

 

火宮「…はい/////」

 

負傷兵「…見惚れる気持ちは分かるが…包帯巻いて…」

 

火宮「あっ」

 

 

 

雨野「……この先どうなるんじゃろな」

 

三島「…どうなるかなんてわからんよ…

とりあえず生きて行くしか……」

 

日本兵「……市川分隊長? 市川分隊長!」

 

伊勢「…水あげたら死んでしもうたよ」

 

日本兵「………そうか…市川分隊長も死んでしまったか…」

 

雨野「…ん?」

 

伊藤「どうしたんじゃ?」

 

雨野「……なんか歌が聞こえる」

 

古鷹「…歌?……ほうか?」

 

大宮「……んな歌なんか…聞こえ……聞こえるわ」

 

耳を澄ますと微かに日本の歌謡 ふるさとが聞こえた

 

火宮「……ふるさと?」

 

由紀子「どこから……」

 

真加部「……ふるさとか」

 

坂城「…一体なにが」

 

日系米兵 《山に籠ってる 日本兵の皆さん

米軍はあなた方に名誉ある停戦を提案します 攻撃はしないので武器を捨て両手を上げ出てきてください》

 

伊勢「…投降勧告か」

 

大宮「アメ公の奴ら…」

 

日系米兵「……ハリーもう一度だ」

 

日系米兵「はい、少尉

《山に籠ってる 日本兵の皆さん……》」

 

安田「最近、多いんですよ…投降勧告するの…前なんか こんなのばら撒いてきましたよ」

 

安田は投降ビラを2枚見せた

 

古鷹「……ん?……これが伝単?」

 

大宮「……寿司じゃな」

 

ビラにはカラー写真の寿司が写ってた

 

那智「美味そうじゃのぅ…」

 

三島「食いたい…」

 

安田「アメ公の奴ら 俺たちが飢えてるの知ってこんな伝単撒いてきやがったんですよ」

 

古鷹「酷いのぅ…」

 

雨野「えげつない……」

 

安田「それとこれも……」

 

安田が次に見せたビラは

空襲後の写真が載ったビラだった

 

古鷹「……」

 

那智「これは……まさか…内地(日本本土)の」

 

安田「はい…どうやら東京らしいです」

 

伊藤「…東京?!」

 

古鷹「どうしたんじゃ」

 

伊藤「見してください!」

 

安田「あぁ」

 

伊藤「……どの辺か分かります?」

 

安田「そこまでは分からんな…」

 

古鷹「……伊藤?」

 

伊藤「知り合いが東京に居るんです…」

 

古鷹「……ほ……ほうか」

 

安田「噂ではサイパンとかから馬鹿でかい爆撃機が内地を毎日の様に空襲してるみたいです」

 

火宮「…嘘じゃ!これはアメ公の謀略じゃ!嘘じゃ!」

 

三島「…あれ、火宮上等兵殿いつの間に」

 

火宮「あそこの市川伍長殿を様子を見てこいて言われたんじゃ」

 

伊勢「…市川伍長ならもう死んでしもうたよ」

 

火宮「…ほうですか…………伊藤!こがな伝単は嘘じゃ!」

 

伊藤「……ほ……ほいでも…これは東京ですよ…」

 

火宮「……」

 

那智「手伝いの方はええのか?」

 

火宮「……戻ります」

 

雨野「…廣島大丈夫かのぅ」

 

大宮「帝都が陥落しよったら…日本は……」

 

伊藤「……(雅江ちゃん)」

 

古鷹「戦局もかなり悪化してきておる…なんとか挽回せにゃあいけん」

 

安田「…軍曹殿…あと沖縄にも…米軍が上陸したみたいです」

 

古鷹「…沖縄まで…嘘じゃろ…」

 

伊勢「…えっ…沖縄」

 

古鷹「アメ公の奴らもう、内地まで来たか…!」

 

雨野「…あぁ…ますます、悪うなっとる…」

 

長原「お前達!そこで何をしてる?」

 

安田「げぇ…憲兵……なんでも無いですよ」

 

安田は慌ててビラを隠した

 

長原「……」

 

伊勢「……そこのい…市川伍長が亡くなったので…それで集まっとりました」

 

長原「……そうか……お前、出身どこだ?」

 

伊勢「…廣島の水主町であります」

 

長原「廣島か…じっちゃんが廣島に居たな……まぁ、そういう事ならわかった」

 

安田「……はぁ……ヒヤヒヤした…危ない危ない」

 

古鷹「憲兵 居ったん忘れとったわ」

 

安田「せめて寿司のだけは取られる訳にはいきませんからねー」

 

大宮「ふふっ」

 

 

治療場

 

由紀子「上手いですねー あっお名前 は?

私は西條由紀子です」

 

火宮「火宮慶次言います …父が医者なんで

教え込まれましたわ」

 

由紀子「火宮慶次さん言うんですね、火宮さんはお父様がお医者様なんですね」

 

火宮「はァ…ほいじゃけえ、歩兵ですが 治療は出来ますよ」

 

由紀子「凄い」

 

火宮「…ほうですか/////」

 

由紀子「やり方とか見てていいですか?

私、まだ未熟者なんで……」

 

火宮「…ええですよ/////」

 

由紀子「ありがとうございます」

 

火宮「…あっ!あの……由紀子さん/////」

 

由紀子「…はい?」

 

火宮「あっ……えっ…なんでもないです」

 

負傷兵「惚れたな 兄ちゃん‪w」

 

由紀子「えっ/////」

 

火宮「ち 違う!/////」

 

 

野戦本部

 

通信兵「……ん?………うん……

中尉殿!」

 

近藤「どうした?」

 

通信兵「……これを」

 

近藤「……師団本部から…か…大尉殿!」

 

真加部「うん?」

 

近藤「師団本部からです」

 

真加部「…

残存部隊は米軍に対して一矢報いる

決死の総攻撃を敢行せしめること…」

 

近藤「…大尉殿」

 

坂城「……どうされました?大尉殿」

 

真加部「…玉砕命令だ」

 

坂城「……玉砕」

 

真加部「…坂城みんなを集めてくれ」

 

坂城「…はっ!」

 

 

真加部「…武器弾薬の方は?」

 

近藤「小銃…34丁 軽機重機4丁 擲弾筒二丁 手榴弾は四箱ぐらいあります!」

 

 

秋山「…戦力はそれなりにありますね」

 

真加部「……うん…近藤、数キロ先の米軍陣地へ斥候を頼む」

 

近藤「了解しました!」

 

 

三島「…ん?……分隊長殿……憲兵少尉殿が」

 

古鷹「…なんじゃ?」

 

古鷹達は立ち上がった

 

長原「軍曹 集合だ!」

 

古鷹「はっ!」

 

那智「…集合?」

 

治療場

 

火宮「集合?」

 

由紀子「なんでしょうね?」

 

 

 

 

真加部「…我が残存部隊は師団本部の命令により…決死の総攻撃を行う!」

 

古鷹「……総攻撃」

 

那智「…」

 

兵士たちがざわめく

 

真加部「決行は明朝黎明!…私からは以上だ…」

 

古鷹「……」

 

 

 

 

火宮「…やっと敵に一矢報いる事が出来る!」

 

由紀子「……」

 

衛生兵 伍長「…西條さん ちょっと」

 

由紀子「…はい?」

 

衛生兵 伍長「……」

 

由紀子「伍長殿?」

 

衛生兵「…村井には言ったが…

総攻撃に参加出来ない重病者は……自決させるように…と命令があった」

 

由紀子「……」

 

由紀子は悲しそうに俯いて火宮の方に歩いてきた

 

火宮「…由紀子さん?」

 

由紀子「……重病者は…自決させるように……って……」

 

火宮「…えっ」

 

由紀子「…看護婦が……自決させるなんて……

私は…人を救う為に看護婦になったのに」

 

火宮「…由紀子さん」

 

 

 

伊勢「…遂に総攻撃か…」

 

大宮「ほうじゃな…」

 

雨野「…やっと死ねるんじゃな」

 

三島「…雨野」

 

雨野「皇軍兵士として恥じぬ最期がええ……」

 

那智「……」

 

 

回想

 

靖男「お父ちゃん!」

 

那智「おっどうしたんじゃ?」

 

靖男「高い高いして!」

 

那智「おっ今日は甘えん坊大将か?

ええぞ!」

 

那智は靖男を抱き抱え高い高いをした

 

靖男「あはは お父ちゃん!」

 

すゞ子「ありゃ、靖男お父ちゃんに甘えとるの?」

 

那智「靖男は甘えん坊大将じゃけぇのぅ

…おっ 靖男殿~大きくなりましたのぅ」

 

靖男「ええへ わし、早う大きくなって

お父ちゃんみたいな立派な兵隊さんなって陸軍大将にもなってアメ公いっぱい倒して

お父ちゃん お母ちゃんに腹いっぱい飯を食べさせるんじゃ!」

 

すゞ子「靖男…」

 

那智「それは楽しみであります!靖男閣下!……靖男…靖男はお父ちゃんの宝じゃ」

 

靖男「宝?」

 

那智「ほうじゃ 靖男は宝じゃ お父ちゃんお母ちゃんの宝じゃ

…お母ちゃんもな」

 

すゞ子「おっ…お父ちゃん…/////」

 

那智「お母ちゃん~お母ちゃんも高い高いじゃ!」

 

すゞ「えっ…あっ…ちぃと?!お父ちゃん?!…/////」

 

那智はすゞ子を抱き抱えた

 

那智「へへっ お母ちゃん」

 

すゞ子「お父ちゃん 下ろしって 下ろしってば~もう、バカ/////」

 

那智「すゞ子…すゞ子は最高の妻じゃ」

 

すゞ子「…お父ちゃん…

お父ちゃんもよ///// あっほら、下ろして

ご飯食べよねぇ 靖男ご飯じゃよ」

 

靖男「ご飯 ご飯じゃ~」

 

 

 

那智「……(すゞ子…靖男…すまんなぁ…

お父ちゃんは…空からお前達の事見守るからな…)」

 

伊勢「……那智?」

 

那智「…あぁ…大丈夫じゃ」

 

大宮「……いざ、死ぬとなると……実感が湧かないんもんなんじゃな…」

 

三島「大宮伍長殿…死と言うのはそがなもんですよ…」

 

古鷹「……ほうじゃ!雨野 1曲なんか歌え」

 

雨野「え?」

 

古鷹「ええからほれ!」

 

雨野「い…一曲…ですか…えーと……歩兵の本領?」

 

古鷹「おっええな!」

 

三島「まさにわしらの歌じゃのぅ!」

 

大宮「ほうじゃな!」

 

雨野「…は…恥ずかしいですね…」

 

那智「…久しぶりの雨野の歌か…兵舎以来じゃのう」

 

雨野「…では…萬朶の桜か襟の色

花は吉野に嵐吹く 大和男子~♪」

 

日本兵「…おっ」

 

日本兵「なんだ?」

 

日本兵「歩兵の本領か」

 

雨野「と生まれなば 散兵線の花と散れ~♬︎」

 

伊藤「相変わらずええ歌声じゃな 雨野」

 

雨野「…/////

萬朶の桜か襟の色 花は吉野に嵐吹く 大和男子と生まれなば 散兵線の花と散れ~♪」

 

古鷹「二番からわしらも歌うぞ!」

 

古鷹・伊勢・大宮・伊藤・三島

「…尺余の銃は武器ならず 寸余の剣何かせん 知らずや~♪」

 

救護班

 

由紀子「……ん?…また、歌が…」

 

火宮「……この声は…雨野の」

 

古鷹・伊勢・大宮・伊藤・三島

「茲に二千年〜 鍛へ鍛へし大和魂〜♪」

 

火宮「…歩兵の本領じゃ」

 

由紀子「良い歌声ですね」

 

日本兵「ええ歌声じゃのー」

 

日本兵「あの一等兵、歌が上手いのう」

 

日本兵「歩兵じゃなく軍楽隊にでも行きゃあ良かったんにな…」

 

 

真加部「…敵さんが流す ふるさともいいが…やっぱりこっちだよな」

 

坂城「そうですね」

 

治療場

 

日本兵「……いい歌声だ……兄ちゃんちょっといいか? 」

 

火宮「……はい?曹長殿」

 

日本兵「すまんが 台から拳銃嚢(ホルスター)を取ってくれ…」

 

火宮「……はい」

 

火宮は拳銃嚢を曹長に渡した

 

日本兵「……先に靖国に行ってる……総攻撃の成功を祈ってる」

 

曹長は心臓部に南部十四式を当て発砲した

 

火宮「あっ」

 

BAN!

 

古鷹「武装は解かじ 夢にだも〜…………なんだ?」

 

那智「銃声だ」

 

伊藤「治療場の方からだ……」

 

大宮「……自決しよったんじゃろ」

 

 

日本兵「母ちゃん!!」

 

日本兵「あぁぁぁぁ!!」

 

日本兵「天皇陛下万歳!!」

 

BOGAN!!

 

 

治療場

 

火宮「……」

 

由紀子「…曹長さん」

 

火宮「…っ!」

 

衛生兵「西條さん……これを重病者に」

 

由紀子に渡されたのは自決用の薬だった

 

火宮「…伍長殿…わしがやります」

 

由紀子「えっ 火宮さん」

 

衛生兵「…頼みます」

 

 

火宮「…由紀子さんにはこんとなことさせとうないです…看護婦は人を助けるのが仕事じゃけぇ……人を殺したらいけんのです」

 

由紀子「火宮さん…」

 

火宮「わしは大丈夫ですけぇ……敵も殺してますし…戦友の死じゃって慣れとります…」

 

由紀子「……」

 

 

夕刻 米軍陣地付近

 

近藤「……アメ公は……ざっと分隊から小隊程度はいるな…」

 

日本兵 兵長「中尉殿 重機は1ありますね」

 

近藤は手帳にメモを取った

 

近藤「…いや、まだどこかにあるかもしれんな…よし…戻るぞ」

 

日本兵 兵長「はっ!戻るぞ」

 

日本兵「はい!」

 

近藤「……アメ公の奴ら今に見てろ」

 

 

野営地

 

古鷹「…銃の手入れしっかりやっとけよ

撃てんかったら意味がないけえ」

 

三島「えっと…次は……これでしたっけ」

 

大宮「違う…これじゃ!」

 

伊勢「最後は……弾込めして……ん?」

 

伊勢の鉄帽上にミヤマチャイロヒタキがとまった

 

那智「あっ……ヒタキ?」

 

古鷹「いつもの伊勢になったのぅ」

 

ミヤマチャイロヒタキが鉄帽上から肩にとまった

 

伊勢「…よしよし/////…んっ」

 

大宮「……ん?なんじゃい」

 

伊勢「……食うなよ」

 

大宮「食わんわ!」

 

 

指揮所

 

近藤「大尉殿!斥候から戻りました!」

 

真加部「ご苦労だった」

 

近藤「敵は分隊から小隊程度です

重機関銃1丁が据えてあります 歩哨が高台と正面左側に居ました それと……」

 

 

伊勢「よしよし 可愛ええのー…あっ分隊長殿 中尉殿が来ます」

 

古鷹達は立ち上がった

 

坂城「楽に ……出撃時間が決まった

出撃は01:30だ 私からは以上」

 

古鷹「はっ!」

 

伊勢「…丑二つ時か」

 

大宮「時間は結構あるのぅ」

 

伊勢「……あと、5時間少しか」

 

雨野「…いよいよか」

 

治療場

 

火宮「……」

 

火宮は日本兵を看取ってた

 

由紀子「……」

 

火宮「手厚く葬ってやりましょう…」

 

由紀子「…は…はい」

 

 

雨野「ん?」

 

三島「どうしたんじゃ」

 

雨野「火宮上等兵殿が」

 

大宮「……戦友の遺体を運んどるんじゃな…ん!……女じゃ!女が居る!」

 

雨野「大宮伍長殿?…はぁ」

 

大宮は駆け寄った

 

火宮「足元気をつけて…」

 

大宮「火宮!」

 

火宮「……大宮伍長殿?」

 

大宮「あっ…わしも手伝うぞ」

 

火宮「ありがとうございます 大宮伍長殿!」

 

由紀子「ありがとうございます」

 

大宮「…いいえ/////(べっぴんさんじゃのぅ 看護婦さんか…)……ん…この遺体

…自決兵士か」

 

火宮「…はい…」

 

大宮「ほうか……」

 

火宮「これから手厚く葬って…あげようと…」

 

指揮所

 

真加部「長原」

 

長原「はっ!」

 

真加部「軍旗を……焼却してくれ」

 

長原「……分かりました大尉殿」

 

真加部「うん…坂城」

 

坂城「はっ!」

 

真加部「……自分が死に損なったら その時は頼む」

 

坂城「…はっ!大尉殿!」

 

真加部「秋山少尉 今日まで共に戦えて誇りに思う よく尽くしてくれた」

 

秋山「ありがとうございます!真加部大尉殿!!私もであります!!」

 

真加部「近藤 自分が死んだらあとを頼む」

 

近藤「はっ!大尉殿!」

 

 

 

大宮「このくらいでええじゃろ…

10人ぐらいは入るぞ……火宮入れるぞ」

 

火宮「はい……っしょ……」

 

由紀子「……」

 

火宮達は穴蔵に次々と遺体を入れた

 

火宮「ホンマは…一人一人 墓を作ってやりたかったんですが…スイマセン…」

 

大宮「…まぁ、野ざらしされ虫共に喰われるよりはマシじゃけぇ… 墓作ってやるだけでええ思うぞ…火宮」

 

火宮「…はい、大宮伍長殿」

 

由紀子「…た…」

 

火宮「…?」

 

由紀子「…助けて…あげれなくて…ごめんなさい……ごめんなさい…」

 

大宮「…看護婦さん」

 

由紀子「ごめんなさい……あっ…あぁ…」

 

火宮「…由紀子さんは悪うないですよ……悪うのは…戦争です……戦争が無きゃこの穴にいる兵士達は死ぬ事無かったんですから…」

 

由紀子「…火宮さん…」

 

大宮「ほうじゃ…火宮の言う通りじゃ

戦争がいけんのじゃ……」

 

 

出撃時刻

 

日本兵「…整列急げ!」

 

古鷹「…いよいよじゃな」

 

伊藤「…はい 古鷹分隊長殿…はぁ…」

 

伊藤は御守りを握りしめた

 

雨野「あっ…あぁ…はぁ…はぁ」

 

伊勢「雨野…大丈夫か?」

 

大宮「三島!早う!」

 

三島「…えっと……忘れ物はないな…」

 

大宮「三島ァ!」

 

三島「はい!」

 

 

治療場

 

火宮「では、自分はこれで…」

 

衛生兵「ありがとうございました 火宮上等兵」

 

由紀子「伍長さん!私も行きます!」

 

衛生兵「えっ」

 

火宮「由紀子さん…」

 

衛生兵「君は…女…」

 

由紀子「だからなんですか!女でも自分は皇軍兵士です!共に戦います!」

 

火宮「……」

 

由紀子「自決やアメ公に捕まるくらいなら…戦って…

マニラで死んだ同僚や先輩達の仇を取りたいんです!!」

 

衛生兵「…」

 

坂城「…どうした?」

 

衛生兵「はっ!坂城少尉殿…西條さんが同行したいと」

 

由紀子「お願いします!少尉殿!」

 

坂城「……わかった 火宮上等兵

彼女を援護しろ!」

 

火宮上等兵「えっ…?…はい!」

 

坂城「…行くぞ!」

 

 

近藤「気をつけ!! 頭~中!」

 

ザッ

 

真加部大尉 近藤中尉は肩にタスキをしていた

兵士達も鉄帽にハチマキをしていた

 

真加部「いよいよ 総攻撃だ」

 

一同「……」

 

真加部「諸君らと共に死ぬ事ができ誇りに思う……悠久の大義に生きよ!……以上だ」

 

伊勢「……死ぬんじゃな」

 

那智「…あぁ」

 

残存部隊は米軍陣地に向け前進を開始した

 

古鷹「……ん?…おぉ……星がブチ綺麗じゃのぅ」

 

伊東「ほんまですのぅ」

 

大宮「?…火宮」

 

火宮「はい」

 

大宮「隣の兵士は誰じゃ」

 

火宮「あっ…ゆ……看護婦です」

 

大宮「えっ 看護婦てさっきのか」

 

由紀子「はい…」

 

大宮「…火宮…しっかり守ってやれよ」

 

火宮「はい!大宮伍長殿

由紀子さん 自分から離れんでくださいよ」

 

由紀子「……はい!火宮さん」

 

 

その後 別の歩兵部隊も合流した

部隊は50人あまりになった

 

 

早朝 米軍陣地

 

日本兵達は地面に這いつくばり鋭い眼光で米軍への攻撃機会を伺ってた

 

米軍側からは薄い霧がカバーしてるので見えてない

 

日本兵達「……」

 

古鷹「……」

 

雨野「…はぁ……あぁ……あぁ…」

 

三島「…雨野…後で靖国で会おうぜ」

 

雨野「…三島…」

 

日本兵「……母ちゃん…」

 

日本兵達から家族や恋人の名前を呼ぶ声や涙声の嗚咽が聞こえる

 

那智「……(すゞ子…靖男)」

 

那智は胸ポケットから写真を出し握りしめた

 

火宮「……(由紀子さん…どうかあなたは生き残ってくれ)」

 

真加部「……行くぞ…坂城」

 

真加部は軍刀の鞘から刀を抜いた

 

坂城「はっ……銃を構えろ!」

 

ガチャガチャ

 

日本兵達が一斉に米軍陣地に向け銃を定める

 

大宮「アメ公…殺したる」

 

真加部「…てぇー!」

 

BAN!BAN!BAN!BAN!BAN BAN!BAN!BAN!BAN!BANBAN!BAN!BAN!

 

米兵「ギャァ!」

 

米兵「あぁ!」

 

米兵「敵襲!!」

 

米兵「ジャップ!!」

 

 

 

真加部「行け!突撃ぃぃぃぃ!!」

 

日本兵「うわぁぁぁ!!」

 

日本兵「天皇陛下万歳ー!!」

 

日本兵「バンザーイ!!」

 

米兵「sit…バンザイアタック!!」

 

DADADADADADADA!!

 

日本兵「ギャァ!」

 

日本兵「っ!」

 

古鷹「行けぇぇ!」

 

那智「うわぁぁぁ!!」

 

日本兵達は雪崩のように米軍陣地になだれ込む

 

日本兵「援護しろ!機関銃てぇ!」

 

ガチャガチャ

 

PAPAPAPAPAP!!

 

DADADADADADADA!!

 

後方から軽・重機関銃が火を噴く

 

由紀子達 衛生兵は後方に居た

 

由紀子「…私たちも行きましょ!」

 

衛生兵「待て 西條さん 俺たちは負傷兵を手当てしよう!」

 

由紀子「えっ……でも」

 

衛生兵「それが俺たちの仕事だろ」

 

衛生兵「そうですよ 西條さん」

 

DADADADADADADA!!

 

米兵「くたばれ!ジャップ!!」

 

DADADADADADADA!!

 

日本兵「うわぁぁぁ!!」

 

米兵「…っ!」

 

日本兵達は米兵の塹壕に入り込んで白兵戦を展開し

古鷹達も後に続き塹壕に入り込んだ

 

古鷹「うわぁぁぁ!!」

 

米兵「ファッキンジャップ!!…sit!」

 

古鷹は三八式歩兵銃の銃床で米兵の頭部を殴り 腹部に銃剣を刺した

 

米兵「…あぁ!」

 

米兵「…サノバビッチ!!」

 

それを見たもう1人の米兵が古鷹に向かい

M1ガーランドを構えた

 

那智「あああ!!」

 

横から那智が米兵に襲いかかり 三八式歩兵銃を発砲した

 

BAN!

 

米兵「…っ!」

 

古鷹「那智?!」

 

那智「…はぁはぁ 軍曹殿ご無事ですか」

 

古鷹「…あぁ ありがとう」

 

伊藤「あぁアメ公!」

 

BAN!

 

米兵「あぁ…」

 

伊勢「わあぁぁ!!」

 

火宮「死ねアメ公ぉぉぉぉ!!」

 

伊勢 火宮は米兵に銃剣を刺した

 

米兵「…っ!」

 

DADADADADADADA!!

 

大宮「…っ!」

 

BAN!

 

米兵「…っ!」

 

米兵「ロジャー!」

 

大宮の放った弾丸は米兵の機銃装填手に命中した

 

ガチャ

 

大宮「よっしゃ!」

 

米兵「下がれ!」

 

米兵「クソ!」

 

三島・雨野「うわぁぁぁ!!」

 

2人は逃げようとする米兵に襲いかかり

銃剣を刺した

 

日本兵「擲弾筒用意!」

 

日本兵「…喰らえアメ公!」

 

BAM!

 

BOGAN!!

 

米兵「あぁ!!……あぁ足がァ!」

 

米兵は片足が吹き飛んだ

 

米兵「二ーモータ(擲弾筒)だ!」

 

BOGAN!!

 

DADADADADADADA!!

 

PAPAPAPAPAP!!

 

真加部「突っ走れ!!」

 

日本兵「うわぁぁぁ!!」

 

日本兵「母ちゃん!!」

 

 

DADADADADADADA!!!!

 

米兵「クソ!数々多すぎる!!……くたばれジャップ!!」

 

DADADADADADADA!!

 

米兵「散開しろ!散開しろ!」

 

米兵が新たに2個分隊増えた

 

坂城「クソ!増えやがった!」

 

 

日本兵「あぁ…」

 

衛生兵「しっかり!西條さん 足を持って!」

 

由紀子「はい!」

 

 

 

古鷹「…つぁ……お前ら行くぞ!」

 

 

那智「うわぁぁぁ!!」

 

 

米兵「っ!ジャップが向かって来やがった!!」

 

DADADADADADADA!!

 

銃弾が飛び交うの中でも日本兵達は立ち向かって来たが 無惨にM1919重機関銃で倒れていく

 

日本兵「…っ!」

 

日本兵「…あぁ!」

 

坂城「……クソぉぉ!」

 

米兵「…っ!」

 

BARRRRRRR……ガチン!

 

米兵「ファック!弾が詰まった!」

 

米兵はM1917を発砲する

そこに坂城が米兵に襲いかかった

 

坂城「あぁ!死ねぇぇ!アメ公!!」

 

坂城は米兵の首元を絞める

 

米兵「かァァァ!ああ!離せこのクソが!離せ!……っ!」

 

坂城「~っ!!…あづ!」

 

米兵はM1917の銃床で坂城の顔面を叩いた

 

坂城「……あぁ…」

 

坂城は気を失う

 

 

伊藤「…?!…坂城中尉殿!……アメ公ぉ…!」

 

BAN!

 

米兵「あぁ!」

 

米兵「…クソ!ダリアン!」

 

火宮「喰らえぇ!」

 

Pin ガツッ!

 

火宮は手榴弾を投げた

 

BOGAN!!

 

米兵1名が吹き飛ぶ

 

古鷹「進めぇ!止まるなぁ!撃たれるぞ!」

 

 

 

米兵「装填!方位…約180 弾種 榴弾!」

 

米兵「装填よし!」

 

米兵「ファイヤー!」

 

BAM!

 

米軍は60mm迫撃砲を撃ち始めた

 

Huuuuuu……

 

 

那智「……?!」

 

BOGAN!!

 

那智「…っ!」

 

那智は吹き飛ばれた

 

古鷹「那智?!……那智しっかりするんじゃ!」

 

那智「……あぁ…っ…大丈夫です…」

 

Huuuuuu…

 

古鷹「伏せろ!」

 

BOGAN BOGAN!!

 

日本兵「助けてくれぇー!…っ!」

 

Zip!

 

古鷹「……た…退却じゃ!退却じゃ!」

 

那智「…えっ?」

 

古鷹「退却じゃ!」

 

那智「しかし、軍曹殿!」

 

古鷹「ええんじゃ!退却じゃ!退却!」

 

那智「…は…はい!」

 

古鷹「生き残ってる奴を連れてくる退却じゃ!…伊藤!……伊藤!どこじゃ?!……っ!」

 

 

古鷹分隊の他に多くの日本兵が退却し始め

その後、米兵の援軍部隊が到着し日本軍は益々不利になった

 

米兵「見ろ!ジャップが逃げてくぞ!」

 

米兵「ざまぁみろ!モンキー共!」

 

生き残った日本兵達は再び山中に退却した

日本兵は10人以上生き残り

捕虜が坂木中尉以下数名出た

その中に伊藤の姿もあった

 

 

山中

 

那智「しっかりするんじゃ」

 

日本兵「ありがとう…」

 

日本兵 藤原陸軍曹長(第1師団所属)

「大尉殿しっかり!」

 

真加部「…よい…」

 

藤原「……え」

 

真加部「もう、良い……ここでいい」

 

日本兵達「…大尉殿?!」

 

真加部「ご苦労だった…」

 

藤原「大尉殿!」

 

真加部「…この傷だ…これ以お前らに迷惑はかけられない…それに総攻撃命令が出たのに俺が生き残るのは……許されん…

先に逝った戦友達に申し訳ない…」

 

藤原「…大尉殿!」

 

真加部「…行け!お前ら!お前らは生きて戦い…アメ公共を釘付けにし内地にヤツらを行かせるな!!……これは命令だ!」

 

日本兵達「……」

 

真加部「行け!」

 

日本兵達「……はっ!」

 

真加部「藤原曹長…後頼んだぞ」

 

藤原「はっ!………お前ら……行くぞ!」

 

日本兵達「はっ……!」

 

古鷹「……大尉殿!」

 

真加部「……軍曹 よろしく頼む」

 

古鷹「…はい」

 

古鷹は真加部に最期の敬礼をした

 

真加部は古鷹に返礼をし 軍衣の胸ポケットから煙草を出し吸い始め

写真を見つめた

 

真加部「お前…ハルミ…ごめんな」

 

 

 

BAN!

 

 

 

 

日本兵達「………」

 

古鷹「………」

 

日本兵「…っ!」

 

 

伊勢「…那智…あの曹長殿は?」

 

那智「明け方合流した 部隊の隊長じゃよ」

 

伊勢「…若いのぅ 」

 

大宮「しかも 士官候補生です」

 

火宮「……あっ あの!」

 

日本兵「ん?」

 

火宮「従軍看護婦見とりません?」

 

日本兵「…いや」

 

火宮「看護婦知りません?」

 

日本兵「…知らない」

 

火宮「……」

 

那智「…火宮…」

 

火宮「由紀子さん…」

 

大宮「……火宮」

 

大宮は火宮の肩を優しく2回叩いた

 

那智「……」

 

那智・わしらは生き残ったがこの後

死んだ方がマシだったと思う地獄が待っとったのはこの時はまだ知らんかった…

 

 

米兵少尉「ジャップは居たか?!」

 

米兵「いません!」

 

米兵少尉「OK 次に行こう…」

 

米兵「小隊長!」

 

米兵少尉「どうした?!」

 

米兵「ジャップが1人死んでます!」

 

米兵達が真加部の遺体に近づく

 

米兵「アハハ!WOW…

見ろよサーベルだぜ!」

 

米兵「後で見せろよ おっハンドガンもある」

 

米兵「将校ですね……自殺したかと」

 

米兵少尉は真加部の写真を抜き取り見た

 

米兵少尉「………この日本兵を手厚く葬ってやろう」

 

米兵「……小隊長?」

 

米兵少尉「わかったな?」

 

米兵「イエッサー」

 

 

 

日本兵「あぁ…っ」

 

ドサッ

 

那智「おい!しっかりせんか!…衛生兵は?!衛生兵!」

 

軍医少尉「どうした?」

 

那智「あっ少尉殿」

 

軍医少尉「しっかりしろ 伍長!」

 

日本兵「……少尉…殿……自分はもう無理であります…」

 

軍医少尉「馬鹿野郎 今、手当してやるからな 服脱がす……」

 

日本兵は軍医少尉の手を掴んだ

 

日本兵「…いいんです 俺より別の兵を……俺は助かりませんから……」

 

軍医少尉「……」

 

日本兵「……伍長」

 

那智「?」

 

日本兵「すみませんが……あの木陰まで連れってくれませんか……」

 

那智「何をするんじゃ」

 

日本兵「…お願いします」

 

那智「…………わかった」

 

那智は負傷した日本兵を木陰まで連れて行った

 

日本兵「ここでいいです……伍長ありがとうございました」

 

那智「……」

 

日本兵「…あの……朝鮮てどっち方向ですかね」

 

那智「朝鮮?…えっ……あっ……」

 

日本兵「…多分、こっちですね

…自分…朝鮮人ですけど…靖国に行けますかね?」

 

那智「…あぁ 行けるよ 」

 

日本兵「ありがとうございます……伍長…頑張って生きてください…では…」

 

那智はその場を後にした

すると歌が聞こえてきた

 

日本兵「アリラン アリラン アラリよ~

アリラン峠を越えて行く♪ 青い空には小さな星も多く 我々の胸には夢も多い~♬︎…………オンマ(お母さん)……」

数分後 爆発音がした

 

那智「……!」

 

軍医少尉「……っ!伍長許してくれ…」

 

三島「……あの伍長殿の朝鮮人じゃったんじゃな…」

 

雨野「…伊藤…死んでしもうたんかいのう?」

 

古鷹「……」

 

火宮「あの!軍医少尉殿!」

 

軍医少尉「どうした」

 

火宮「看護婦知りませんか?」

 

軍医少尉「……看護婦 あぁ総攻撃後は見てないな…どうなったんだろうな…

自分と一緒に後方で負傷兵の手当をしてたが……退却の後は見てない」

 

火宮「ほうですか…」

 

藤原曹長「……行くぞ!」

 

 

ルソンの螢たち 中編へ

 

 

 

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