特別収容プロトコル:SCP-████-JPに関連する全ての生体サンプル、汚染物質、ならびに感染性媒体は、標準的バイオハザード封じ込め手法(生物学的危険度レベル4)に準拠して管理してください。
SCP-████-JPは神奈川県巡ヶ丘市内に広範かつ恒常的に分布しており、地理的条件や環境因子、生態的特性により、完全な収容は不可能です。しかし、SCP-████-JPは巡ヶ丘市外の環境下では安定した増殖を維持できないことが確認されており、通常条件下において巡ヶ丘市外へ自然伝播する可能性は極めて低いと推定されています。このため、現時点では巡ヶ丘市内に存在するSCP-████-JPに対する根絶措置は実施されておらず、感染個体の早期発見・隔離及び局所的封じ込めを主軸とした管理方針が採用されています。
SCP-████-JPに感染した個体(以下、SCP-████-JP-1)が発見、または感染が疑われる場合、対象個体の隔離を行ってください。隔離後、ステージⅠ及びステージⅡ感染個体に対しては、細胞質膜機能阻害剤(抗生物質)の投与等を中心とした薬物療法が行われます。
発見時点で既にステージⅢまたはステージⅣに移行している感染個体については隔離を行った後、治療的介入が無効であることが確認されているため、例外なく即時の完全焼却処分を実施してください。また、該当個体が存在していた区域に対しては徹底した消毒を行い、ステージⅢまたはⅣ感染個体を直接、あるいは間接的に視認した人物に対してはクラスA記憶処理を実施してください。
なお、ステージⅢからステージⅣへ移行後、12時間以上経過したと推定されるSCP-████-JP-1が確認された場合、LK-クラス:“捲られたヴェール”シナリオ及びGH-クラス:“デッドグリーンハウス”シナリオが同時発生する確率が著しく上昇します。
この状況下では、当該感染個体を中心とした半径25km²以内を対象に、使用可能なあらゆる手段(化学的・物理的・異常的手法を含む)による広域消毒を実施してください。本措置は、民間被害の発生を許容範囲内とする最終封じ込め措置として位置付けられます。
説明:SCP-████-JPは神奈川県巡ヶ丘市(旧男土市)に土着している異常細菌種であり、ヒトを含む哺乳類にのみ感染します。SCP-████-JP の潜伏期間は3日から6日であるものの、個体によっては感染から数時間の速さで発症することが確認されています。
SCP-████-JPの大きさは約0.6〜0.8μm程度で、形状は髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)に酷似しています。感染経路は接触感染、飛沫感染、血液感染等であり、感染力の高さからSCP-████-JPの完全な収束は困難です。しかしながら致死率は低く、多くの人間には一般的な風邪の症状のみであり、数日で快復します。そのため、ほぼ全てのSCP-████-JP-1はステージⅢ以上に悪化することがありません。
SCP-████-JPの異常性はステージⅢ以降に現れ、この時点で感染は不可逆的なものになります。加えてステージⅢ以降のSCP-████-JP-1の体内ではSCP-████-JPの急速な変異、増殖が行われ、生成されたSCP-████-JP(以下SCP-████-JP-Ω)の感染力及び致死率は増大します。ステージⅣ感染個体は非感染個体への強い捕食欲及び攻撃性を示し、SCP-████-JP-Ωの大規模な拡散が懸念されます。加えて、ステージⅣ感染個体の体液が非感染個体の体内に侵入した場合、ステージⅠ及びステージⅡの段階を経ずに直接ステージⅢ感染個体に変化します。
また、SCP-████-JP-Ωの潜伏期間については個人差が大きく主に二つに分類されます。
・最短45秒から最長10分以内に発病、数十秒から数時間でステージⅣに移行します。
・最短5時間から2日程度で発病、数日でステージⅣに移行します。
SCP-████-JP及びSCP-████-JP-Ωに感染した際、時間差は存在するものの多くの場合SCP-████-JP-1は以下のステージに沿って症状が出現します。
ステージⅠ:主な症状は軽度の発熱、発汗、吐き気、頭痛等です。個体によっては無症状、無自覚であることが多く、現ステージで快復する場合が約99.8%を占めます。
ステージⅡ:ステージⅠの症状が悪化し、中度から重度の発熱、発汗、吐き気、頭痛等が生じます。細胞質膜機能阻害剤(抗生物質)の投与、あるいは点滴など一般的な治療方法により、3日から1週間程度で快復します。また、現ステージに達した者の内約5%~10%がパラノイアを発症し極度の猜疑心を呈する、あるいは反社会的な人格への変容により攻撃性が増加する、幻覚・妄想等の統合失調症状が生じるなど、個体によって様々な精神症状が現れます。これらの精神症状は快復するにつれて消失しますが、まれに後遺症として残存することが確認されています。
ステージⅢ:重度の高熱(最高体温██℃以上)が持続した後、感染個体は急激な意識混濁を呈し、最終的に昏睡状態へ陥ります。ただし、外部刺激に対する反応は著しく低下しますが、脳波測定では断続的かつ不規則な活動が観測されており、通常の不可逆的な昏睡とは異なる状態であることが示唆されています。
本ステージにおいて、感染個体の体内では視床下部及び脳幹網様体を起点とした、全身的な恒常性の破綻反応(体温調節、内分泌制御、自律神経制御が同時多発的に失調する現象)が生起します。その後、循環器系及び呼吸器系では代償性機能過剰状態となり、心拍数・呼吸数が一時的に異常上昇する一方で、酸素交換効率が急激に低下します。同時に、心電図上では致死性不整脈前駆波形が頻発し、致死性不整脈への変化の後に心停止、脳幹部における不可逆的な機能遮断が見られ、呼吸中枢及び循環中枢への信号伝達の途絶が確認されます。この時点でSCP-████-JP-1は医学的に死亡したと判断されます。
しかしながら、通常の死体において観測されるATP枯渇に伴う筋収縮及び死後硬直は発生しません。その代わりに、全身組織において低レベルながら持続的な代謝活動が確認されており、ミトコンドリア機能の完全停止は起きていないと推測されています。
この異常な代謝維持状態は数時間から十数時間持続し、その後、感染個体はステージⅣへ移行します。
ステージⅣ:本ステージに到達した感染個体の体内では、SCP-████-JPが支配的に定着しており、いかなる医療的介入も有効性を示しません。
本ステージでは、赤血球の酸素結合能が異常に増加し、全身血流速度が低下する一方で、筋組織への酸素供給効率が上昇します。その結果、短時間ながら異常な筋力および筋持久力を示します。加えて、心肺機能が停止もしくは著しく低下している状態であっても、筋組織および神経系は臓器不全の影響を受けずに活動を継続します。その他、血液粘性が高くなり外傷による出血量は極めて少量に留まり、腐敗の進行が遅延する一方で低レベルの代謝活動は持続します。
行動特性に関しては、立位保持・歩行・這行・咬合・把持といった基本的な運動行動は可能ですが、高度な認知機能を喪失するため、言語理解や社会的判断能力は認められません。しかし、生存するヒトまたは哺乳類を想起させる視覚・聴覚・嗅覚刺激に対しては強く反応し、接触可能な距離に入った場合、一貫して攻撃的接近および捕食行動を試みます。
ステージⅣにおける症候は、赤血球酸素含量の増大、臓器不全の影響を受けない筋・神経活動、高粘性血液による出血抑制、認知能力低下および捕食指向行動といった点で、SCP-008の症状と一致します。
ただし、SCP-008は代謝が著しく低下するのに対し、ステージⅣでは代謝低下が不完全であり、個体によっては栄養摂取を必要とします。また、条件行動や本能行動の保持、体組織の可燃性増大といった特徴はSCP-008には見られません。そのため、SCP-008では頭部への致命的外傷が有効とされる一方、ステージⅣでは完全焼却処分が最も確実な無力化手段とされています。
歴史:SCP-████-JPの起源については不明ですが、蒐集院より回収した資料及び巡ヶ丘市における民間伝承から、少なくとも700年代初期には存在していたとされています。資料によればSCP-████-JP-Ωが少なくとも過去█回拡散していると推測されますが、そのいずれも日本全国規模の拡散までに至らなかった原因は現在においても不明です。
721年頃:『刃嶋国風土記』が成立します。同書には「男土(おんど)」と呼ばれる地名が記載されており、水害や疫病に関する記述が断片的に残されています。
735~737年:いわゆる「天平の大疫病」が日本列島各地で発生します。公的記録上では天然痘の流行とされていますが、蒐集院に残された記録及び地方寺院の縁起書には、現神奈川県域、とりわけ男土周辺において「死してなお歩む者」「血の乾かぬ屍」といった存在が確認された旨の記述が複数存在します。
737年には、聖武天皇の勅により、蒐集寮(蒐集院)・陰陽寮・仏院が連携して疫病対策に当たったとされています。具体的な施策の詳細は失われていますが、同時期以降、男土周辺での異常死体の記録が急激に減少していることから、当時既に局所的な封じ込め、あるいは環境的抑制措置が講じられた可能性があります。
1889年:市制施行により男土市が成立します。男土市は漁業及び海運を基盤として発展し、人口増加が進行しました。同時に原因不明の集団発熱や精神錯乱事件が散発的に発生していたことが、地方警察の内部記録より確認されています。これらの事例はいずれも短期間で終息しており、当時は公的問題として扱われることはありませんでした。
1943年頃:大日本帝国陸軍特別医療部隊("負号部隊")が「トキジク計画」の一環としてSCP-████-JPの研究、改良が行われた記録が残されています。
1945年:█月█日には改良型SCP-████-JPを用いた実験的散布が████島にて実施されました。この事件により、島民██名、アメリカ兵███名、日本兵██名が死亡、あるいは行方不明となりました。終戦後、████島は海上封鎖され、後に財団が介入し、サンプル回収及び広域消毒措置を実施しています。
1945年:81管区設立宣言。
1946年:いくつかのSCP-████-JP研究サンプルが財団の管理下へ移行します。これを契機に、SCP-████-JPは正式に異常存在として再分類され、継続的な監視対象となりました。
1952年:財団81管区による日本支部創立宣言。
1968年:9月27日未明、男土市内にて激しく損壊した女性の遺体が発見されます。警察官として潜入していた財団エージェントの通報により、当該事例はSCP-████-JPの発生事例として処理されました。しかし、同年10月1日、市内でSCP-████-JP-Ωの大規模拡散が発生し、最終的に広域消毒措置が実施されます。この結果、男土市の人口は約48%減少しましたが、全国規模への拡散は阻止されました。カバーストーリーとして「不発弾の大規模爆発事故」が適用されています。
1970年:男土市都市計画申請書が当時の神奈川県知事より日本政府へ提出されました。その後新市名の一般公募が開始されました。
1979年:日本政府により男土市都市計画が受理されました。同年、市名を巡ヶ丘市に改名。
1984年:巡ヶ丘市(旧男土市)の人口が、1968年以前の水準を超えました。
2009年:日本生類創研の影響下であったと推測される「リバーシティ・トロン株式会社」及び「アイオスターグループ株式会社」がSCP-████-JPをベースとして兵器開発を行っていたことが判明しました。財団の活動により、これらは財団のフロント企業である「ランダル・コーポレーション」の傘下となり統合されました。以降、「ランダル・コーポレーション」では現在までSCP-████-JPに関する研究、薬剤開発が行われています。また、傘下統合以前に職員用緊急避難マニュアルとして関連会社・法人へ配布されていた冊子を回収、改訂し、再配布されました。
補遺████-JP-A:以下は、1968年9月から10月にかけて発生したSCP-████-JP-Ωの大規模拡散事案後、当該事案の初動対応に関与した職員に対して実施されたインタビュー記録です。本記録は、SCP-████-JP-1の無力化とSCP-████-JP-Ω拡散が同時に発生した経緯を明らかにする目的で保存されています。
対象者:新田 隊員
所属:機動部隊か-1("細菌処理")、後方支援担当
実施日:1968/10/██
インタビュアー:佐伯 博士
付記:対象者以外の隊員は全てステージⅣに移行したため、終了済みです。
<記録開始>
佐伯博士:まず確認します。対象個体は、銃撃による無力化は可能でしたか?
新田隊員:はい。少なくとも、動きを止めるだけなら可能でした。頭部を破壊した時点で、立位保持も攻撃行動も止まりました。
佐伯博士:その判断自体は、誤りではなかったと。
新田隊員:ええ。“無力化”という意味では、成功したと思います。問題は…その後でした。
佐伯博士:その後とは?
新田隊員:対象は止まりました。ですが、“壊れた”んです。撃たれて、裂けて、血が出た。
佐伯博士:その体液が問題だったと?
新田隊員:はい。後から分かりましたが、あの時点で対象の体内には“Ω”が大量に生成されていたようで。
佐伯博士:ふむ…対処はSCP-008準拠の判断で行ったと聞いています。特別収容プロトコルにも“頭部に効果的な外傷を与える”と記載していましたからね。
新田隊員:そうですね。008では、頭を銃で打ち抜けば終わりです。体内の物が外に出て問題になることはほとんど無い。まあもちろん、その後に焼却やら放射線照射をする必要はありますがね。
佐伯博士:SCP-████-JP、いや、SCP-████-JP-Ωは違った。空気感染をしていた、ということですか。
新田隊員:ええ。撃った瞬間に、拡散が始まったんだと思います。血液、体液、飛散物…あれ全部が、Ωだったんでしょう。
佐伯博士:そうですか…。銃で頭を打ち無力化した後、対象個体の再活動については?
新田隊員:確かに再び動きましたが…正直に言えば、それ自体は致命的ではありませんでした。なにせ這うだけでしたから。
佐伯博士:しかし、その間にも拡散は続いていたということですね。
新田隊員:はい。止まっている間も、周囲に残った体液から感染が起きていたんでしょう。防護服の上からとはいえ、触れた、踏んだ、吸い込んだ。気づいた時には…手遅れだった。
佐伯博士:つまり、銃撃は“無力化”には有効だが――。
新田隊員:――封じ込めには、逆効果だった。壊せば壊すほど、Ωが外に出てしまいますね。
佐伯博士:ううん…。さらに厄介なこととしては、SCP-████-JP-1は“燃えやすい”のでしたか。
新田隊員:そうです、体組織が燃えやすくなっていたんでしょう。僅かな火種であっと言う間に燃えてしまいまして…こりゃ焼却の手間が省けていい、なんてその時は考えてまして…。発生した煙や風と共に、さらに拡がったのではないでしょうか。
佐伯博士:では、SCP-████-JP-1を先に隔離した上で完全焼却が行われていれば…。
新田隊員:Ωは、あそこまで広がらなかったと思います。撃って、壊して、放置した。それが一番まずかった。唯一、不幸中の幸いとしてはΩが市外にまで広がらなかったことですね…。
佐伯博士:分かりました。最後に、何か補足はありますか?
新田隊員:あれは…事故じゃない。我々の選択であり、判断の誤りです。その結果――多くの人を殺してしまった。
<記録終了>
追記:本インタビューは、SCP-████-JP-1の物理的無力化が、必ずしもSCP-████-JP-Ωの拡散阻止に繋がらないことを示す一次証言です。後年制定された特別収容プロトコルにおける、ステージⅢ以降感染個体に対する隔離後即時の完全焼却処分という方針は、“感染個体の無力化”ではなく、“SCP-████-JP-Ωを巡ヶ丘市外に流出させない”という思想に基づいています。
実験記録:以下は、SCP-████-JPの研究過程及び研究成果に関する記録です。より詳細な実験記録に関しては別紙の記録████-03から記録████-11を参照してください。
実験記録:████-01
期間:1952/██/██~19██/██/██
実験者:████博士
場所:SCP-████-JPが存在しないサイト-81██
対象:Dクラス職員███名
実施方法:SCP-████-JPを感染させ、経過観察を行う。
結果:███名の内、ステージⅠで快復した者が███名、ステージⅡで快復した者が3名であった。また、███名の中でD-849726のみがステージⅢに移行した。
分析:仮説ではSCP-████-JPが存在する神奈川県巡ヶ丘市出身及び居住ではない人間がSCP-████-JPに感染した場合、SCP-████-JPに対する免疫力を持たないために、少なくとも█%はステージⅢに移行すると見立てを立てていた。しかしながら実際には巡ヶ丘市に居住する人間と同程度の抵抗力が示された。
以上の結果から巡ヶ丘市内にSCP-████-JPの感染が抑制されている理由について、2つの仮説が立てられる。第一に巡ヶ丘市出身及び居住による抵抗力の有無には関わりがなく、巡ヶ丘市内にのみ存在する何らかの物質、生物、もしくは事象が感染の抑制に寄与しているという仮説が立つ。第二にSCP-████-JP自体の脆弱性が大きいため、巡ヶ丘市由来の免疫力が体内に存在せずとも快復が可能であり、巡ヶ丘市より外部への拡散が元から発生しにくいという仮説も考えられる。
実験記録:████-01-2
日付:19██/██/██
実験者:████博士
場所:SCP-████-JPが存在しないサイト81-██
対象:D-849726(ステージⅢ感染個体)
実施方法:ステージⅠ及びステージⅡ感染個体由来の血清を注射し、経過観察を行う。
結果:血清は効果的な反応をもたらさず、D-849726はステージⅣに移行した。その後D-849726は焼却処分された。
分析:血清に効力が見られなかった要因として、ステージⅢ以降のSCP-████-JP-1の体内で起こるSCP-████-JPの急激な変異によるものであると考えられる。
調査記録:████-02
日付:199█/██/██~20██/██/██
記録者:██博士
場所:巡ヶ丘市における土壌、空気中、河川。
目的:SCP-████-JPの場所別の繁殖割合及び巡ヶ丘市周辺以外へSCP-████-JPの拡散を抑制している要因の特定。
方法:各ポイントの土、水などを採取し、SCP-████-JPの繫殖割合を調査する。それに伴い、SCP-████-JPの生命活動を妨げる物質及び微生物についてもサンプルから調査し、追加として巡ヶ丘市周辺で異常な事象発生の有無を観測する。
結果:土壌や空気中と比較し、河川での繁殖割合が高いことが判明した。そして、河川においては下流よりも上流付近での繁殖割合が高いことが分かった。特に巡ヶ丘市に存在する河川の内、朽那川における繁殖割合が有意に高く、その源流である那酒沼は巡ヶ丘市内で最もSCP-████-JPの繁殖割合が高い地点であった。
上記のことから朽那川及び那酒沼に浸漬したゴミの表面や河川壁表面、水生植物、水中より細菌230株を採取し、病原細菌(Ralstonia solanacearum)であるSCP-████-JPに対する抑制能を追加調査した。その結果、25株の細菌がSCP-████-JPを抑制していることが判明した。
また、SCP-████-JPの生命活動を妨げる異常な性質を有する物質及び微生物は見られなかった。加えて巡ヶ丘市周辺で異常な事象の発生についても確認されなかった。
分析:結果から、SCP-████-JPは元々水生の微生物であったことが推測される。それに加えて、巡ヶ丘市における河川の上流には███山が存在し、███山付近にはより多くのSCP-████-JPが繁殖していることがデータから読み取れた。これらの結果からSCP-████-JPの発生源は███山であると推測される。
そしてSCP-████-JPの拡散を抑制している要因として特定された25株の細菌の内、数種が作り出す抗体はSCP-████-JPの変異種であるSCP-████-JP-Ωに対しても有効であることが判明した。この効果について今後検証する予定である。
追記01:1984年に、巡ヶ丘市の人口が1968年以前の水準に達しました。
追記02:巡ヶ丘市の人口増加に伴い、███山付近において199█年から200█年にかけて██ダムが建設されました。これに関する影響については調査中です。
追記03:199█年から20██年にかけて、巡ヶ丘市内におけるステージⅢ及びステージⅣ感染個体の発生率が上昇し続けており、SCP-████-JPの更なる拡散が懸念されています。
██博士の手記
これまで、SCP-████-JP自体の研究はある程度進んでいるものの、肝心のSCP-████-JPに対する血清、特効薬並びに症状を緩和するためのワクチン開発は遅々として進んでいない。SCP-████-JPが財団に認知され、既に50年以上が経過しているにも関わらずだ。この原因として、SCP-████-JPの急激な変異が考えられている。
まず大抵のSCP-████-JPは、人間やその他の哺乳類が持つ生来の免疫力によって簡単に打ち負けてしまう。かと思えばステージⅢ以降にまで悪化する個体に対しては、まるで特効薬が存在していなかった時代のペスト菌の様に手が付けられない程の猛威を振るう。研究初期から中期にかけてステージⅠ及びステージⅡ感染個体由来の血清が作成され、19██年にSCP-████-JPが存在しないサイト-81██において効力を確かめられたが効果は全く無かった。その後幾度となく血清・薬剤開発が進められてきたが効果的なものは何一つとして得られていない。
加えて、SCP-████-JPの感染力が高いにも関わらず、神奈川県巡ヶ丘市内にのみ感染が抑制されていることの矛盾に対する説明は未だ仮説の域を出ていない。
我々に残されている時間はそれほど多いとは言えない。調査では199█年から200█年現在にかけてステージⅢ及びステージⅣ感染個体の発生率が上昇し続けているという。これはSCP-███-JPの存在する環境が変化してきたことに応じて、徐々に変異してきているためと考えられている。研究グループの試算では西暦20██年までにステージⅢ及びステージⅣ感染個体の発生率は約██%となり、これは現在のSCP-███-JPに対する特別収容プロトコルが無意味になることを指している。
ひとまず、この文書を読む者にはこれだけ覚えておいてほしい。SCP-███-JP-Ωは広域消毒を行う手段が存在しなかった過去にも拡散した形跡がある。しかし大規模な拡散には至らなかったことから感染を抑制する要因は確実に存在するはずだ。それを必ず探し出せ。これまで生きてきた者やこれから生きていく者の全てを冒涜するSCP-███-JP-Ωの大規模な拡散を何としても食い止めるのだ。