今回は南地区編です。
結局東地区編から読まざるを得ない投稿ペースになってしまっていますね。ごめんなさい、何でもしますん。
では気を取り直して、南地区編、どうぞー!
「D.Rs」とは
デルトリアの治安を密かに守り続ける秘密組織である。
その構成メンバーは不明であり、誰もその活動を認知したことはない。
そのため、単なる都市伝説ではないか、とも言われる。
ーーーーーー
デルトリア南地区「ハーミュラ」
美しい海と砂浜が、観光客を魅了する土地。
大型ショッピングモールに劇場、ありとあらゆる娯楽施設が乱立している。
人の行き来が活発で、それを狙った犯罪が相次いでおり、ハーミュラは別名、
ーーーーーー
『はいどーも!みんなー!「グッドモーニングハーミュラ」、始まるよ!』
ハーミュラの街中、とあるビルの一階。
道から見える様にラジオブースが作られている。
ガラスの向こうにいる「推し」を一目見ようと、たくさんの人が立っていた。
『ラジオ、スマホで聞いてるみんなも、そこからボクを見てる君たちも、元気に行こーね!』
中にいたのはピンク色の髪をツインテールにした、可愛さを具現化したような人だ。
ガラスの向こうのファンにウィンクをして手をふると、前にいた数人は倒れそうになり、周りの人に支えられながらもその可愛さを見ようとした。
「今日お届けするのはこのボク!ユーリ・ノシィだよ!」
「アシスタントもいまーす」
「よろしくね」
ユーリとアシスタントが向かい合わせに座り、マイクに向かって挨拶をする。
「ラジオはもちろん、ボクのワーピクアカでも配信してるからね!コメントするならワーピクで聞いてね」
ワーピクというのは、この世界で30億人以上が使うSNSだ。
ユーリのアカウントは300万人のフォロワーつまりファンがおり、一度投稿をすればどの界隈もが沸き上がる。
ユーリの影響力は絶大と言っていいだろう。
「さて!今日はみんなから貰ったお便りを読んでいくよ!アシスタントくん!今日の一枚は?」
「読み上げますね。…ユーリちゃん、アシスタントさん、おはようございます!」
「「おはよう!」」
「毎朝元気を貰っています。会社に行く電車の中が楽しみになりました!このラジオが生きがいです。これからも頑張ってください!…だそうです」
「ボクのラジオで元気になってくれてるなんて、なんか嬉しいなっ。お仕事大変だと思うけど…応援してるよ!」
「このお便り…わかる。俺も昔そういうラジオがあった…」
「いまは?」
「今はここ一択!」
「ふふっー。ありがと」
ユーリがあどけない笑顔を見せると、ガラス越しに見ていた人々は「はぁ…」とため息をつく。
恋する乙女がたくさんいるようだ、と周りの人は思っただろう。
「…ねぇね」
「ん?なに?」
外からユーリを見ていたカップルの女の子が、小さく彼氏に問いかけた。
「このビル、なんのビルなの?」
ラジオのブースが入ったビルを指差し、首を傾げる。
少し悩んだあと、思い出したように彼氏は彼女の方を向く。
「あぁ確か、バルトマンメディシンのビルだよ」
「バルトマンメディシン?」
「俺が務めてる会社の親会社で、国内トップのシェアを誇る医薬品の会社さ」
「はぁ、道理で大きいわけね」
エントランスホールをちらと覗くと、とても一社のものとは思えないほどの広さだった。
社員たちがいそいそと出社をしている。
「社長さんはさぞかし凄い人なんだろうけど、誰も見たことがないらしいんだよね」
「いないわけもないだろうし…公表してないだけなのかなぁ。ともかく、スッゴイお金持ちだと思う!いいなぁ」
「おい、俺だって手取りは多めだろ」
「ごめんなさ~い」
ーーーーーー
ニ時間後
バルトマンメディシンビル 受付
受付嬢が暇そうに枝毛を探している。
横にある空のコーヒーカップに三日月があった。
そんな彼女の元に、ハイヒールをカツカツと鳴らした人が向かっていった。枝毛探しに夢中で受付嬢はまだよそ見をしていた。
「ねぇお姉さん」
「はっ、はい!」
仕事を全うすべく、髪をいじる手を止めて、慌ててその人の方を向く。
その瞬間、受付嬢はぽかんとした。
目の前に実に美しい女性が立っていたのだ。
スタイルが抜群によく、派手な赤いワンピースを着こなしている。
茶色っぽい髪を巻いて、ふわっとした印象だが、顔は整いビシッとしていて、真面目そうな印象もあった。
まるで絵の中から出てきたような不思議な雰囲気もある。
女性は受付嬢と目が合うと、ニコッと微笑み口を開く。
「社長に会いたいんだけど…いる?」
「………」
「?どうかしたの?」
「はっ!す、すみません!」
あまりの美しさに固まってしまった受付嬢を、不思議そうに見つめる。
「大丈夫。朝から大変ね」
「いえいえ…し、社長ですね?アポは…?」
「社長にメロノが来た、って伝えてくれないかしら?それで通じると」
ーーーーーー
バルトマンメディシンビル最上階 社長室
「メロノ?…分かった、通しておいて」
内線をガチャリと切り、深くため息をつく男性。
大きなデスクには大量の書類がきっちりと積まれ、手はつけられていないようだ。
スーツの胸ポケットには、名札がついていて
『ロック・バルトマン』
と書かれている。
「全く…何しに来たっていうの?忙しいのにさぁ…」
かけた丸いサングラスを直し、書類に目を向ける。
『新薬開発費用について』
『開発中の頭痛薬の進捗』
『株式会社セルクトへの発注について』
「メロノが来る前にやっちゃおうかな…うぅ…セルクトの話もある。ここの仕事ちょっと雑なんだよな……契約やめたいんだけど、取締役と仲良くしてるしなぁ…うーんでも…ここはまだ…」
カツカツカツ…
ロックが頭を抱えていると、軽い靴音が老化に響く。
社長室に近づくその足音に、ロックはまたため息をついた。そして、重々しい音とともに扉が開く。
「早すぎやしないかなぁ……。メロノ、おつかれ」
「ほんとにね。もうちょっと低いビルにしてくれないの?」
ロックはメロノの姿を見るやいなや文句をいい、メロノは笑って答えた。
「君がエレベーターを使わないから大変なだけだろう?ちゃんと用意してるんだから使えばいいじゃないか」
「私エレベーター苦手なの、知ってるでしょ?」
談笑が始まる前にと、ロックが手を叩く。
「で、君は何しに来たの?理由もなく来たわけじゃないだろ」
「ええもちろん!お仕事の報告に来ただけよ」
満面の笑みでそう言うと、ハンドバッグからメモ帳を取り出す、
「お仕事というと、マフィアのこと?なにか進展が?」
「うん。…今日の23時、事務所に入れそうなの」
「ふーん…ようやくだね」
「あなたにも来てほしいのよ。それを頼みにきたの」
「僕に?何故?」
「ここのマフィアね、実は……」
そういうと、メロノはロックの耳元でなにか囁く。
ロックはそれを聞くと、はっとしたような表情をしたが、すぐににやっとした。
「分かった。23時…だね?」
「ええ、協力に感謝するわ、ロック♡」
「やめてくれ。誰かに聞かれたらどうするつもりだ?」
「冗談よwあなたを誘うよりもっと楽しいことがあるんだから」
「それはそれで傷つくよ…」
ーーーーーー
22時51分 ハーミュラ北部路地裏 マフィア事務所近く
普段は人通りの少ないこの場所に、数人の人だかりができている。全員がなにやら武器をもち、不具合の有無の確認をしていた。
その中には、スーツ姿で肩に厚いコートをかけたロックの姿もあった。二丁の拳銃をもち、カチャカチャと引き金を引いている。しかし、周りをキョロキョロと見回すと無線のスイッチを入れて小声で話し始める。
「…ねぇメロノ、きこえてる?」
『聞こえてるわよ。どうしたの?』
「なんで君はここにいないのさ。来いって言ってきたのはメロノじゃないか」
『そっちに行けないから呼んだの。そのへんの空気が嫌いでさ…それに、あたしの武器は遠距離だから!』
「あー…了解」
気まずそうに訳を話すメロノの声はどこか焦っているように聞こえた。
「最初から言ってくれれば良かったのに…」
苦笑いをしながらも再び人だかりの方へと向く。
すると頭数が一つ多い。
「…?」
疑問に思いながらもロックは、増えたであろう人物に声をかける。暗い中で顔がよく見えず、誰か分からない。
「あの…」
「ん?なんだ、ロックちゃんじゃねぇか!」
「あ゛!!」
ロックにちゃんをつけるこの男に、ロックは覚えがあった。このいろいろな人がいるD.Rsという組織の中でも一二を争うほどに絡みのある、めんどくさい人物。
「ガッツ…!!!」
「よぉ元気そうだなぁ」
そう言ってガッツは肩を組んでくる。
ガッツ・リットロー。
表の顔はベテランの探偵だが、今は西区長としてここに来ているのだろう。
このノリが、ロックは嫌いだった。
「何でいるんです?あんたはこの作戦には入ってなかったでしょう」
「暇だったんでな、来ちまった」
「はぁ………」
「何も溜め息つくこたねぇだろ!」
「ちょ…静かに。敵の拠点の近くなんですよ」
少し離れているとはいえ、普段から人通りの少ないここでは、話し声だって十分聞こえてしまう。
それを分かっているはずなのに、分かっていなければならない立場なのに、こんな行動をするというのはいただけない。
「なっはっは!大丈夫だって!どうせ何にも起こらねぇさ」
「あんた、一応区長ですよ」
「一応な。やらされてるだけだ」
「探偵だってそうでしょうよ」
「ありゃあ、俺がやりたくてやってんだよ。根本的に違うね」
「おいロック。時間だぞ」
肩をぽんと叩かれ振り向くと、そこには作戦に参加している隊員がいた。腕時計は23時を指している。
「あ、あぁ分かった。今行くよ」
「がんばんな、ロックちゃん♡」
「気色悪いやめてください」
よってきたガッツを押しのけてさっさと行ってしまうロックを見ながら、ガッツは少し悲しそうにつぶやく。
「つれないねぇ…」
ーーーーーー
「行くぞ…」
事務所の扉のノブに手をかけ、全員が息を呑む。
ガチャンッ!!
一人が勢いよく扉を開け、それに続いて他の隊員も流れ込む。
しかしそこには誰もいない。
「…?」
「どういうことでしょうか…」
数人が武器をおろし、室内を探し始める。
ロックも例にもれず探すが、人のいた形跡はない。
「この作戦を知って逃げたか?」
「いや…それはどうだろうか。この作戦は昨日の夜決まったんだ。漏れようがないだろう。それに、このことは俺ら以外知らないはず…」
「じゃあ私達の中に…そんなこと、ないわよね」
「………」
沈黙が続く中、ロックが口を開く。
「ガッツ…区長なら…やりかねないけど」
「「「「うん…確かに」」」」
酷い有様である。
その場にいた全員が否定しないほど、ガッツの信用はないようだった。
『ねぇロック?何かあったの?全然動きがないみたいだけど』
急に無線からメロノの声がし、少し驚きながらも状況説明をする。
『なにそれ?はぁ…来て損したわ。先に帰ってもいい?』
「うん、先にっていうか…僕らも帰るさ。明日も仕事だしね」
『わざわざ来させちゃったのに、悪いわね。おつかれ様』
「おつかれ」
その後他の隊員達もそそくさと帰っていき、ロックも少し事務所を物色したあと出ていった。
手には茶封筒が握られていた。
ーーーーーー
「なぁ嬢ちゃん…」
「ちょ…やめてよ!」
「一緒にホテルでもどうだ?」
「…ちっ」
ドゴッ…!
「ぐぁっ…!!?」
「今君と話してる暇ないの。邪魔なんだよね」
細い路地で、二人の影が見える。
一人は早足でその場を離れ、もうひとりは壁にもたれ掛かり動かない。
ピンク色の長い髪が、揺れていた。
如何だったでしょうか。
なんだか書いていて
「あれ?これ難しくなりそう」
となってしまいました。精進します。
南地区編のキャラ紹介、いきましょう!
ガッツ・リットロー
年齢:46
身長:183cm
体重:75kg
西地区長。
西区でも有名な探偵事務所に所属するベテラン。
飄々とした性格で、周りからの評価はバラバラだが、区長という立場上、慕うものも多い。
手先が器用。
ロック・バルトマン
年齢:32
身長:172cm
体重:64kg
西地区隊員。
バルトマンメディシンという大企業の社長で、社員からの信頼は厚い。
真面目に生きることこそ一番と考えるがゆえに、ガッツのような人間を苦手としてしまう。
サングラスと帽子を集めるのが趣味。
メロノ・ゾート
年齢:35
身長:163cm
体重:51kg
西地区隊員。
毎日オシャレを求めている。
自分磨きに余念がなく、様々な事に気を使っている。
週に数回弓道の教室に行き、子どもたちに教えている。
明るく人当たりがいいので、男女問わず人気。
ユーリ・ノシィ
年齢:23
身長:172cm
体重:67kg
西地区隊員。
SNS「ワーピク」にて、400万人のフォロワーをもつインフルエンサー。
身長が高いことをよくネタにされるが、あまり気にしていない様子。
本人曰く「これだってボクのアイデンティティ!」
こんな感じですね。
そういえば、Twitterアカウント開設しました!
まだ何も投稿していないのですが、フォローだけでもして頂ければそのうちなにかします。
わたくし、恐ろしく情弱なため、アカウント名だけおいておきますので、探していただければ幸いです。
マリアナ海溝の住人、として活動しています!
それではまたお会いできれば幸いです!
ありがとうございました!