赤宮結華は勇者である   作:三坂

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私は神と名乗るものから突然として人類はあと数年後に天の神によって滅ぼされると告げられた。

最初はほとんど信じられなかったが話を聞いていくうちに現実味ってらやつが大きくなってきがった…。だからこそその神様の力を借りて連中が送ってくるであろう滅びの遣いに対抗出来るシステムを作り上げた…。


これを使う日がこなれければいいが…



2015年7月31日
堀白正宗記録
大和市内の自宅兼研究施設より


第六話 予言者

 

西暦2015年8月6日

神奈川県横須賀市

 

 

 

のちに『7・30天災』と言われることになった運命の日から4日近く経ち、横須賀は絶好の朝を迎えつつあった。しかし人びとの気持ちはそれとは裏腹のようだ…。

 

時間が経つに連れて大まかな世界情勢が明らかにはなったものの日本を覗くほとんどの国との連絡が途絶していることによって何が起こっているのかについての把握が進まずにいたのだ。ましてや日本でも横須賀や富士駐屯地以外のエリア通信が繋がらずほぼ右往左往している状態に近い。

 

 

それどころかあのバーテックスの正体ですら実態を掴めずにいるようで、神社庁職員も天の神が遣わした滅びの存在というところまでしか把握してないようだ。

 

 

…だが分かることとすれば連中の目的は人類を滅ぼすこと。そして現代技術の結晶である兵器の攻撃が通じない、それらに対抗するには神から選ばれ勇者としての加護を持った少女達のみということだけ。

      

 

 

現状この横須賀には首都圏や隣県から逃げ延びてきた避難民が多く押し寄せて身を寄せていた。食料や避難所の管理や維持は今のところ出来てはいるが、いずれかは食料は尽きることは明白な事実。それに今は首都圏に大してあのバーテックス達の攻撃が少ないが今後脅威は確実に増す可能性がある。

 

それを踏まえるとここも長くは持たない可能性があるということになる。防衛戦力はそれなりにいるがそれでも弾薬や食料が尽きれば抵抗など到底不可能になり、勇者がいたとしてもあまり変わらないだろう。避難民の精神状態からしても早急にここよりも安全なところ、はたまた今抱えている問題を解消しなければならない。

 

 

防衛省や政府がそのことについて数日かけて話し合い様々な打開策を模索しているが未だに答えが見つからずただ時間だけが過ぎ去っていくのであった……。

 

 

 

 

横須賀基地

横須賀地方総監部

書類保管室にて

 

 

 

湯月「ったくどうして私がこんな雑用しなきゃならないのよぉー…。姉川先輩とともに活躍したからてっきりいい仕事を貰えると思ったのに…。」

 

 

 

そんな中横須賀基地内にある地方総監部が置かれている建物の中、書類保管室では一人湯月が不満そうな表情を浮かべながら書類の仕分けを行っている。彼女からすれば鬼怒川の戦いで姉川とともに活躍したためそれらしい仕事が出来るとウキウキだったのだが蓋を開けてみれば下っ端がやるような地味な作業だったため少しご立腹のようだ。

 

 

 

湯月「まあ人が足りないって言ってたから仕方ないことなんだろうけど…。結華ちゃんと羽南ちゃんは戦闘訓練してるし…姉川さんは統合幕僚長との会議なのに私は……はぁぁ…(ため息)。」

 

 

 

とはいえど状況が状況のため仕方ないことはわかってはいるもののやはり先輩の姉川や結華、羽南と比べてしまうと自分のやっている作業がちっぽけに見えてしまい思わずため息が溢れてしまう。

 

 

 

湯月「なんかこんなこと考えてたら悲しくなってきたわ…。とりあえずさっさと作業済ませて結華ちゃん達のところにでも…(コン!)いて…!?」

 

 

 

考えていたらきりがないと思ったようでさっさと作業を終わらせるためにペースを早めた直後、棚の上にあったファイルの中からDVDサイズのケースが転がり落ちてきて丁度湯月の頭にクリティカルヒットする。しかも当たったのが角っこのためかなり痛かったのか、思わず頭を抑えて悶絶してしまう。

 

 

 

湯月「痛ったー…、なんなのよもう…。人がせっかく作業してる時に…。」 

 

 

 

ヒットしたところを擦りながら何事かという表情を浮かべて、地面に転がっていた発端の主であるDVDケースを拾い上げる。中にはDVDが入っているようで見た感じキチンと保管されているように見えた。

 

 

 

湯月「しっかしなんでDVDケースがこんなところに…、ここは書類系の保管室なのに…(表面を見て)…っ…!?これは…」

 

 

 

だがなぜDVDケースがこんなところにあるのか…、不思議で仕方なかった湯月だがひっくり返して表面に視線を向けると思わず目を見開いてしまう。そこには太文字で「神の力を得た少女達と天の神による人類粛清」と書かれており、下の方にはこれを作った人と思われる名前「堀白正宗」研究職員という文字も…

 

 

 

湯月「なんでこんなものが…」

 

 

 

 

 

それから数分後

統合幕僚長室にて…

 

 

 

姉川「…なるほど、書類室を整理していたらこんなものが…。」

 

 

 

あれから少しして統合幕僚長の部屋では姉川や幕僚長である大矢、そして湯月や結華、羽南の姿もあり例のDVDケースについて話し合っているらしい。

 

 

 

大矢「堀白正宗研究員…、確か昔は防衛省の装備庁で次世代装備研究所トップとして活動していたらしいな…。かなり有名な奴で一時期は昇進も視野に入るほどの有力候補だったそうだが…、数年前に防衛省を辞めて今は独自に作ったの研究機関を運営しているそうだ。」

 

 

 

湯月「そんな凄い人だったんだ…。名前は聞いたことはありますが…。」

 

 

結華「ということは防衛省でエリートに入るほどの人だった…ってこと?」

 

 

羽南「そうゆうことになるんじゃないかなー?ほら、怪獣系の映画でいる天才科学者みたいな…♪」

 

 

大矢「君たちからすればそれが一番想像しやすいかもな…。なんせ防衛省にいたときはかなりの変わり者とか研究オタクとしていろんな意味の天才だったらしい。あまりにも有名だから上まで話が上がっていたとか…(汗)。…だがそれよりもだ…問題は…」 

 

 

 

姉川「えぇ…、この「神の力を得た少女達と天の神による人類粛清」と書かれた文字の意味です。明らかにこれは現状の状況を指している言葉にしか思えません…。」

 

 

 

そんなに凄い人だったのかと結華や羽南は驚きの表情を浮かべながら例えとして特撮などに出てくる天才科学者などに焦点をあてて盛り上がっていた。だがそれよりも問題なのは、何故この研究員がこの事態を予言するようなものを作っていたのか…?

 

 

 

湯月「神の力を得た少女達…これは恐らく結華ちゃん達のことを指すのでしょうね…。この子たちの能力も神から伝わりしものですし…それに天の神による粛清はあの化け物を意味するものかと…。」

 

 

 

大矢「嘘にしてもこれは出来すぎてる…。ここまでピッタリハマる言葉が揃っているものか…?一体どこでそんな言葉を…。」

 

 

姉川「気にしてても仕方ありません。とりあえず流してみましょう、恐らく私達の考えている答え合わせの回答はこれにあるはずです。」カチ

 

 

 

ここまでピッタリなほどのハマる言葉が予言で出てくるものなのかと、驚きを隠せない大矢と湯月。だがここで考えていても埒があかないため、ひとまずこのDVDを流して見ることにした姉川はケースから取り出してDVDプレーヤーに差し込み、電源のスイッチを入れる。

 

 

 

ザザザー

 

 

テレビをつけて再生すると少しの間ノイズが走っていたがすぐに画面が明るくなって一人の白髪男性が白衣を着た姿で現れる。年齢からして60代ぐらいだろうか…?ダンディそうな見た目をしており、話のあった通りいかにも特撮などに出てくる研究員っぽい雰囲気をしていた。

 

 

 

堀白「この動画を見ているということは…私の予言が当たったのだろう…。いよいよ始まったということだ…天の神による粛清が…」

  

 

姉川「……(真剣に話を聞いている)。」

 

 

堀白「本来であればもっと早くこのことは伝えなければならなのだが…それを証明するには物的証拠が足りなさ過ぎる…。だからこそこのビデオに残しておこうと思って造った…、人類が生き延びるために…」

 

 

 

表情からしてかなり焦っているようにも画面越しにひしひしと伝わってきており、まだ本題に入っていなのにも関わらずどれだけ重大な話なのかというのが雰囲気からして物語っている。

 

 

 

堀白『…このことを知ったのは5年前…、私が防衛省を定年退職して念願の研究に没頭していたある日の夜…。いつものように片付けて寝ようとしたとき…突如として目の前に光の塊が姿を現したんだ…。』

 

 

湯月「ひっ光の塊…?それは本当なのかしら…」

 

 

堀白『まあ、これだけ言っても信用しがたいだろう。もちろん私だって最初は幻覚か夢でも見てるのかと思ったし君たちの立場なら同じことを考えただろうよ…。だが話はこれからが本場だ…、この光の塊はあろうことか突然喋りだしやがったんだ』

 

 

堀白『『貴方が日本の異端児と言われた研究員、堀白正宗さんですね?』ってな…。最初はなんで光の塊が喋っているのかワケも分からなかったよ…しかも人間じゃない生物?が俺の名前を知ってると来た…。』

 

堀白『俺が戸惑ってる間にもソイツは話を続けた。『貴方がたの人類は近いうちに天の神によって滅ぼされます』となんの前触れもなくそう言いやがった。だがソイツが嘘を言ってるようには思えなかった…。第一嘘をつくならもっとマシなやつを言うはずだからな…。』

 

 

結華「ねっねぇ…?天の神によって人類が滅ぼされるって……。」

 

 

羽南「例に漏れず今の状況とピッタリ当てはまるよ…。つまりあの化け物達はその天の神っていう神様が遣わした滅びの存在ってことになるね…。」 

 

 

 

話を聞いていてここまで当てはまることがあるのだろうかときうぐらい的確に予知をするかのように当ててくる堀白の言葉に思わずびっくりしながら結華と羽南は顔を見合わせていた。その間にも彼の話は続き…、 

 

 

 

堀白『最初こそ半信半疑だったが話を聞いていくうちに嘘のようで何故か信憑性が高い話が聞けたな…。聞く限りじゃ神様もこっちでいう抗争みたいなことをするらしくて、そのせいであっちじゃ内乱一歩手前まで来てるそうだ。もしその内乱が起これば人類全体がそれに巻き込まれるときた…。』

 

堀白『そんでその光の塊は天の神から離反した連中の一人でそれが起こる前に予言しにきたそうだ。なんで俺なのかは知らんが偶然にも耳に名前が入ったから…だとさ…。あとは変わり者と呼ばれてるならこの話を聞いてくれる可能性が高いともいってたな。』

 

堀白『だがオレに言ったところで神様同士の内乱に介入出来るわけでもないし止められるわけがない。ところがソイツの目的はそうじゃなくて、それが起こるまでに離反した神様通称『神樹様』の力を貸すから人類に対抗手段を作って欲しいという依頼だそうだ。』

 

 

姉川「…つまり変わり者と呼ばれてはいるものの優秀な研究員だった彼にその離反した神様は力を貸してほしいって理由で訪れたってことか…、人類の滅亡を阻止するために…。」

 

 

大矢「ざっと簡単に現せばそうだろうな…。やれやれ…人間だけじゃなくて神様も戦争っていうのはするもんなんだな…。巻き込まれた俺たちはとバッチリを喰らってるわけだが…(ため息)。」

 

 

湯月「正直やるなら巻き込まないで欲しいっていうのが本音ですけど…、それが出来たら苦労しないしこうもなってませんよね……。」 

 

 

 

つまり、この神様はその神様同士の抗争から人類を護るために自分達の力を生かしてくれる人物を必要としていたようでそれに堀白が選ばれたということに。まさか神様でも戦争をすとは思わなかった二人は驚きつつも話を簡単に纏めて推測する。

 

湯月は神様同士の戦争に人類を巻きこないで欲しいという本音をポロリと口にするがよくよく考えればそれが出来たらこうなってはいないなと思い諦めたような雰囲気を見せていた。

 

 

堀白『その時の俺は本当に信用していいのかと思ったが、力を貸してくれなければ人類は滅びると言われちゃ強力せざる負えないんだよな…。そこから神様の助言や力を得てその来るであろう滅びの遣いに対抗出来るシステムの構築を始めた。』

 

堀白『信用するかしないかは個人の自由だが、もし奴の言っていたことがそっちで本当に起こっている…もしくは興味があれば私の家に来るがいい。きっと滅びの遣いに対抗するための強力な助っ人になるだろうからな。(映像はここで終わり)』

 

 

 

信じるか信じないかは個人の自由、しかしもし困っているなら俺の家にこいと残して映像はそこで終わる。まさかこの人がそんなことになっていたこと、そしてこの破滅をいち早く知っていたという事実に一同はしばらく神妙な顔をして考え込んでいた。

 

 

 

大矢「…もし困っているなら俺の家に来い…か…、堀白元研究長が我々の知らないところでそんなことになっていたとはな…。ましてやこの破滅を周知していたとは…。」

 

 

湯月「どうしますか大矢統合幕僚長…?この人の言っていることは嘘のようには思えません…。確かめるには彼の家に行くしか…。」

 

 

大矢「……。姉川二尉、堀白元研究員の住所は?」

 

 

姉川「えっと…、防衛省にいたときは東京都の渋谷区に住んでいて辞めてからは神奈川県大和市の実家に帰っているそうです。(書類を確認しつつ)」

 

 

大矢「大和市…ここから少し離れてはいるがいけない距離でもないが…、そうなると彼女達も連れて行く必要があるな…。通常兵器が効かない以上…」

 

 

湯月「ですがそうなるとここの防衛が危うくなります…。かと言って分散させるのもリスクが高すぎますし…。」

  

 

 

映像で彼が喋っていた内容が気になっているようで少し考えてから姉川に現在住んでいる住所を確認させる。幸いそれについてはすぐに調べられたため姉川は書類をめくりながらその質問に答え、それを聞いた大矢はいけない距離ではないと思いながらも仮に行くとなれば結華達の協力も必要不可欠になってしまう。

  

 

 

大矢「…姉川君はどうする?この話が確実かどうかは直接確かめるしかないとは思うが……」

 

 

姉川「もちろん私も同意見ですが…どうするかは彼女次第かと…、二人はどう思う?あのビデオを見て…」

 

 

結華・羽南「「……(視線を合わせる)」」

 

 

 

どするかと尋ねられた姉川であったがそれを判断するのは彼女達次第という返答を返しながら結華と羽南に先程のビデオを見てどう思ったかや行くべきかと尋ねる。そう聞かれて二人は一瞬顔を見合わせるがすぐに決心した表情を浮かべて向き直って返答を出す。

 

 

 

結華「…行きましょう…!いや…!行くしかないです…!!それで多くの人が救えるのなら…!!」

 

 

羽南「どっちにしろ他に手がないならやるしかないでしょう…!!この状況が好転するかもしれないのなら…!!」

 

 

姉川「…まっそういうとは思っていたけどね…♪(笑みを浮かべ)大矢統合幕僚長…命令を…!」

 

 

湯月「事実がどうかはさておいてでも確かめる必要はあります…!これの成果によって今後大きく状況が変わるのは確かでしょうし…!!」

 

 

大矢「……もちろん私もみんなと同意見だ。まだ幼い少女達を前線に活かせるのは尺だが…、そんなことを言っていては生き残れないからな…。それでは展開中の部隊から大至急特別偵察隊を編成、彼女らともに堀白研究員の家に訪れてくれ。指揮官は湯月曹長、君に任せよう。」

 

 

湯月「わっ私ですか…!?姉川二尉ではなく…」

 

 

 

どうやら結華達は行くという選択を取ったようで、姉川もそれに賛同する形で行くべきという声を上げる。大矢も部下の意見と同じだったらしくまだ幼い少女達をあまり行かせたくはないが一刻を争うために止む終えない形ではあるものの許可を下した。

 

それに乗じて偵察隊を編成するにあたり指揮官を湯月に任せるように任命したことに彼女は驚きを隠せないようで思わず目を見開いてしまう。

 

 

 

大矢「姉川二尉にはここで部隊の指揮をして貰わないといけない以上残ってもらう必要があるからな。それに君なら鬼怒川の戦いで部隊の指揮を経験してるし実績もある…、問題はないだろう。」

 

 

湯月「はっはい…!分かりました…!」

 

 

姉川「大丈夫…♪湯月さんならきっと出来るわ♪私に近いカリスマ性があるもの…!」

 

 

結華「私達もしっかりサポートするので…!!」

 

 

羽南「湯月さんも頑張ってください…!!」

 

 

湯月「うん…!!」

 

 

 

 

 

それから数時間ほど経過し、夕方5時頃にて…。

 

 

 

湯月「とりあえず部隊はなんとか決まって作戦立案も通ったわね…。」

 

 

 

あれから数時間の間偵察に出す部隊編成や作戦の打ち合わせのため慌ただしい時間を過ごしていた関係か気づけば辺りは日が暮れていた。本来であればこのような作戦立案は確実に成功させるために年密にするものなのだが、現状ではそうもいかないようだ…。

 

 

 

湯月「姉川先輩にも手伝って貰ったからなんとか出来たけど……、本当に上手くいくかな…。今後の命運を左右するし…、いや…!私がしっかりしないと…!」

 

 

 

流れで自分が指揮することになったのはいいものの、下手をすれば国の命運を左右するようなかなり重大な任務。そのため、自分で上手くいくのだろうかという不安げな表情を浮かべるがすぐに首を振って切り替えようとする。

 

 

 

湯月「規模も少ないけど…、それだけ重要な作戦を私は任せられてる…。真意を確かめるには直接行くしかないとなれば…やらざるを得ない…。」

 

 

 

作戦立案書と睨めっこしつつブツブツとつぶやきながら確認作業を湯月は進めていた。やはり一刻も争う以上、変なところで躓くわけにもいかないためか道順や星屑などに遭遇した際の対応方法について最終チェックを行ってるらしい。

 

 

 

湯月「出発は明日の早朝…、ドタバタではあるけど部隊編成もなんとか終わったし食料とか燃料、弾薬の手配も完了出来た…。…そういえばこれからお世話になる隊員に挨拶してこないと…。ついでにあの子達のことも紹介する必要があるわね…。」   

 

 

 

だが自分の指揮する偵察隊に編成された隊員達に挨拶してなかったことや結華達を紹介してなかったことを思い出したのか、書類の入ったファイル片手に部屋を後にするのであった。

 

 

 

 

 

横須賀基地

第1特別偵察隊

待機スペースにて

 

 

 

湯月「第1特別偵察隊…集合!!」

 

 

 

所定の場所で車両の整備などを行っていた第1特別偵察隊に所属することになっている隊員達、湯月の透き通る号令が聞こえるとすぐに駆け出して彼女のもとに集まり整列するように並ぶ。

 

 

 

鈴木「第1特別偵察隊…!以下総勢12名!!全員揃いました…!!」

 

 

 

湯月が指揮することになった第1特別偵察隊、その中で副隊長的ポジションを担っているのはガッチリとした体が特徴の鈴木明宏陸曹長。この中では一番年齢が高く湯月や姉川よりも年上の50歳といったところだ。全員揃ったことを確認すると構えをしている隊員達に休めの指示を送りながら挨拶を行う。

 

 

 

湯月「本部隊の指揮を務めることになりました…!陸上自衛隊中央即応連隊所属の湯月雪と言います…!階級は曹長…!以後…!お見知りおきを…!」

 

 

 

少し緊張したような表情を見せながらも特に問題なく自己紹介を終えられた湯月は内心ホッとしつつもすぐに気を引き締めて話を再び始める。

 

 

 

湯月「本部隊、第1特別偵察隊は堀白元研究員の施設調査のために編成された部隊で人数は僅か12人という少なさではありますが…、ですが私達に与えられた役目は極めて重要です…!」

 

 

姉川「…(ふむふむ、大丈夫かなって思ったけど案外いい感じじゃないの…♪)。」

 

 

 

隊員に話を進めている彼女に気づかれないように影でこっそり見守っていた姉川であったが案外指揮官という役職にピッタリハマっているそうなので一安心の表情を見せていた。その間にも、湯月の訓示的なのは続く。

 

 

 

湯月「この作戦の是非で今後の我々…いや日本の運命は変わると言っても過言ではありません…!!私自身未熟なところが…お互い不足しているところを補って任務をこなしましょう…!」

 

湯月「以上…!私からの挨拶は終わりますが、皆さんには紹介したい子達がいます。それじゃ出てきて♪(手招き)」

 

 

 

自身の話が終わるとともに、湯月は手招きで待機していた結華と羽南を呼び寄せる。呼ばれたため二人は影からゆっくりと出てきて隊員達の前に勇者姿で現れ、その姿を見て隊員達は少しどよめいてしまうが話を聞くために一旦収まる。

  

 

 

湯月「この子たちが今回の偵察任務で共にする子たち、そして化け物に対抗出来る数少ない存在ってところかしら。」

 

 

結華「始めまして…!赤宮結華といいます…!よろしくおねがいします…!(一礼)」

 

 

羽南「焔羽南でーす♪得意技は剣道…!年上でも負けません…!!」

 

 

秋野「この子たち…が…(小声)」

 

 

降月「みたいね…。本当だったんだ…、化け物に対抗出来る力を神様から授かった少女の話…(小声)」

   

 

 

話では聞いていたものの、まさか本当だったとは思わなかったようで第1特別偵察隊の数少ない女性陣である秋野不知火二等陸曹と降月綾音二曹がそれぞれ黒髪と茶髪ショートを揺らしなが聞こえない程度の小声で話していた。その間にも自己紹介を終えたことを確認すると湯月が話を再開する。

 

 

 

湯月「みんなの中には困惑しているものもいるかもしれない。…けど生き残るには彼女たちの協力が必要不可欠なの…!だからこそ私達で全力で彼女達は護るわよ…!」

 

 

隊員一同「「はっ…!!」」   

 

 

湯月「それじゃ!!話は以上…!!明日は早いから今日はしっかり休むように…!!解散!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鈴木「湯月曹長、ちょっとよろしいですか?」

 

 

湯月「?どうされましたか、鈴木陸曹長?」

 

 

 

解散し明日に備えて隊員達や結華達がそれぞれ部屋戻ったことを確認してから自身も部屋に戻ろうとした矢先、鈴木陸曹長が声をかけてきたため首を傾げながら湯月は向き直りながら問う。

 

 

 

鈴木「実は何度か聞いたのですが…、彼女達が化け物共を倒したというのは確かですか…?」

 

 

湯月「…えぇ…そうよ。私もこの目で見たから間違いはないわ…、それにそうじゃなきゃこんな危険な戦場に立たせないわよ…。」

 

 

鈴木「それもそうだな…。失礼しました…(一礼して)それならもう一つ…湯月曹長は彼女達のことをどう思ってるのですか?」

 

 

湯月「……というと…?」

 

 

 

最初の質問は想定していたため難なく答えた湯月であったがまさかその二段構えとは思わなかったようで思わず眉をあげてしまうが鈴木はそのまま話を進める。

 

 

 

鈴木「…現に通常兵器がほとんど効かない状況では彼女達は例の化け物に対抗出来る数少ない…いや唯一の存在…。ですがいくら対抗出来る力を持っていても普段はどこにでもいる普通の子です…。」

 

 

湯月「…つまり鈴木陸曹長は私があの子達を切り札とか頼みの綱にしてるかについて聞きたいのでしょう?下手をすれはば兵器とか思ってるんじゃないかって…。」

 

 

鈴木「大変失礼な話ではありますが…、自分も四国に同じくらいの子供がいますらからつい気になってしまい…。」

 

 

湯月「いいのよ、それなら気になっても仕方ないわ。現にあの子達が化け物に対抗出来る唯一の存在、…となれば縋るしかないわけで…下手をすれば兵器と見られるんじゃないかという不安があるのでしょう?…そして私がどう思ってるのかも…。」

 

 

鈴木「はい……。」

 

 

湯月「…答えられない質問ではないけど…、難しいわね…。」

 

 

 

答えられない質問ではないが、それでも言葉に現すにはかなり難しいのか少し考え込んでいた湯月であったが答えが少し見えたのか真剣そうな目線を向けて鈴木からの質問に答えた。

 

 

 

湯月「…私としてはそうゆうふうには思いたくない…。…けど人類の科学の結晶である兵器が通じないとなれば…士気を保つために…そして戦っていくには彼女達が必要不可欠…、結局何言っても最終的には切り札になっちゃうのね…。」

 

 

鈴木「やはり…ですか…、まあ無理もないでしょうが…。」

 

 

湯月「…けどずっとこうなるわけにもいかない…いやさせないことが今の人類…いやこの先の未来で大切にしなきゃいけないことじゃないかしら?」

 

 

鈴木「この先の未来……」 

 

 

湯月「えぇ…この先ずっと連中に好き勝手されるわけにはいかない…あの子達が戦わなくていい世界を作ること…それが私達自衛隊…いや大人たちの役目だと思うの…!」

 

 

 

 

 

 

月明かりに照らされつつ見上げている湯月の横顔は美しくも絶対に変えてやるという強い意志が感じられた……。

 

果たして彼女の願う世界は訪れるのだろうか…?

 






第七話 初代勇者システム


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