僕は逆走してアスカを救う! ~シト逆転~ リバース・オブ・エヴァンゲリオン The 3rd   作:朝陽晴空

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最終話 アスカとのキスは死の味がした(2022/08/24 12:43改稿)

 僕は碇シンジ。

 エヴァ初号機パイロット。

 さっきまで初号機に乗って白いエヴァ達と戦っていた。

 

 ミサトさんから聞いた話だと、白いエヴァ達は、ネルフのみんなを殺した悪い奴らの仲間らしい。

 でも奴らの正体なんてどうでもいい。

 奴らはアスカの乗る弐号機を、持っていた槍で串刺しにした、憎むべき『敵』だ。

 

 だけど量産機が羽を伸ばして空に浮かび上がると、初号機も羽を広げて翔び上がった。

 その後、目の前が真っ白になった。

 

 

 

 気が付いたら頭上に星空。

 足元には白い砂の砂漠が広がる。

 周りには地平線しかない。

 静かな世界に立っていたんだ……。

 

「えっ、あそこに倒れて居るのは……アスカ?」

 

 辺りを見回すと、白い砂漠の中に落ちている、【赤い物】を見つけた。

 あの赤いプラグスーツと金色の髪アスカに間違いない。

 

 

 

 アスカを見つけた僕は白い砂を撒き散らしながら、アスカの元へと走る。

 だんだんと近づくにつれて、アスカの赤い部分が多い事に気が付いた。

 倒れていたアスカは……全身から血を流していたんだ……。

 それはきっと、弐号機が槍で滅多刺しにされたせいだ。

 

「シンジ……」

 

 アスカがそう話すと、口の端から血の筋が垂れる。

 出血をなんとか止めようと考えたけど、何もできない。

 

 自分の着ているプラグスーツを破ろうとしたけど、僕の力で破れるものじゃない。

 アスカはそんな僕の手を止めるように押えた。

 

「今度は助けに来てくれたんだ……」

「うん、ミサトさんと約束したんだ、アスカを助けに行くって」

「アンタ、らしいわね……」

 

 

 

 アスカは口からさらに血を吐き出した。

 口の周りがさらに赤く染まる。

 

「アスカ、それ以上喋っちゃダメだ!」

「ありがとう……、シ、ン、ジ」

 

 最後の力を振り絞ったアスカは僕に向かって微笑むと、ぐったりと体の力を抜いて目を閉じた。

 

「アスカ、目を開けてよ、アスカっ!」

 

 身体を強く揺さぶって呼びかけても、アスカは全く反応を示さなかった。

 抱き締める身体に残る温もりが、アスカが生きていた事を感じさせた。

 

 

 

「僕がグズグズしていないで、もっと早くアスカを助けに行けば……うぉぉっ!」

 

 腕の中でアスカの身体はどんどん冷たく硬くなっていく。

 そんな僕の前に、青白い幽霊のように二人の人影が浮かび上がった。

 

 いつもの服を着た父さん。

 もう片方は綾波……? いや、違う。

 【00】と書かれた白いプラグスーツを着ているけど、大人の女性だ。

 

 

 

「父さん……生きていたの?」

 

 二人とも身体は幽霊のように透き通っている。

 でも僕は間抜けな質問をしてしまった。

 

「シンジ、お前は新たな世界を創造する力【アディショナル・インパクト】を手に入れた」

 

 質問に答える代わりに、父さんはスッと腕を僕に向かって突き出した。

 すると目の前にオレンジ色に光る野球のボールほどの球体が出現した。

 

「これはサードインパクトによってL.C.L.と化したヒトの結晶。この力を使えば、新しい世界の創造主になれるわ。そうすれば、大地も建物も、シンジの思いのままよ」

 

 父さんの隣に立つ女の人の優しい声。

 きっとこの人は母さんなのだと思った。

 こんな状況じゃなかったら、再会を喜びたいところだけど……。

 

「新しい世界なんて要らないよ! 僕はアスカが……この腕の中に居るアスカが好きなんだ! 自分でアスカを創るなんて……嫌だよ!」

 

 ほとんど体温を失いかけているアスカをさらに強く抱いて、僕は叫んだ。

 しばらくの間、沈黙が流れる。

 幽霊のように透き通った父さんと母さんは、無表情のままだった。

 

 

 

「ならシンジの望むようにその力を使いなさい」

 

 抑揚のない声で母さんはそう言った。

 怒っているのか、喜んでいるのか、悲しんでいるのか。

 感情は全く感じ取れなかった。

 

 

 

 目の前に浮かぶL.C.L.の球は様々な方向にオレンジ色の光を放ち始めた。

 頭上に広がっていた星空は青空になって、まるで夜が明けたかのようだった。

 もし、自分の願い通りに時間を巻き戻す事が出来るのならば。

 この胸に抱いたアスカとも離れ離れになってしまう。

 

「アスカ、今度は絶対に助けるから」

 

 僕は抱きかかえていたアスカに顔を近づけて思い切りキスをした。

 二度目のアスカとのキスは、冷たい鉄を舐めたような死の味がした。




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