僕は逆走してアスカを救う! ~シト逆転~ リバース・オブ・エヴァンゲリオン The 3rd   作:朝陽晴空

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第二十六話 まごころが、僕に(2022/08/24 20:10改稿)

 目を閉じてキスしていたアスカの唇の感触がなくなった。

 異変に気が付いて目を開くと、僕は初号機に乗って青空の下に立っていた。

 

 周りを見回すと、同じように立っている弐号機の姿が見えた。

 良かった、アスカは無事なんだ!

 目から思わず涙があふれて流れ出した。

 

 

 

 でも、甲高い鳥の様な鳴き声を聞いて空を見上げると、翼を広げて飛び回る9体の白いエヴァ量産機の姿が見えた。

 アスカの乗る弐号機を槍で滅多刺しにした憎むべき奴ら。

 奴らから弐号機を守らないと、時間を巻き戻した意味がなくなる。

 

「アスカ!」

 

 渾身の力を込めて僕は弐号機の方へとダッシュした。

 一秒でも早く側へとたどり着きたい。

 

『シンジ!』

 

 弐号機に乗ったアスカも、僕の初号機に気が付いた。

 血色の良い元気な笑顔がモニター通信に映し出された。

 お互いに駆け寄り、僕たちは無事に合流することが出来た。

 

 

 

「さあ、一緒にあいつらをやっつけてやろう!」

「ええ、もちろんよ! でもその前に……」

 

 アスカの言おうとしていることが分からなくて頭をひねっていると、弐号機が初号機の頭を押えて、顔を近づけて来た。

 

「えっ、こんな時にキス!?」

「さっきのキスは、血の味がして最悪だったわ。だから口直しよ!」

 

 あの白い砂浜の世界で僕がしたキスのことを、アスカは知っていたのか!?

 もう死んでいたはずなのにどうして!?

 

 

 

 僕が驚いている間に、初号機と弐号機でしたエヴァ越しのキスは、ゴツゴツとした感触で、L.C.L.の味がした。

 すると、弐号機が赤い光を放ち始めた。

 初号機も同じように紫色の光を放ち始めたようだった。

 

 

 

 次の瞬間、弐号機と初号機が合体して、機体が赤紫色の新しい形のエヴァとなった。

 そしてエントリープラグも1つになった。

 

「おえっ、エヴァ同士のキスなんて、するもんじゃないわ」

「僕もそう思うよ」

 

 頭の中に直接響くアスカの言葉に、僕は声を出さずに答えた。

 何かが変だ、僕の心の中にアスカが居る気がする。

 通信用のモニターを鏡代わりにして自分の姿を見た僕は驚いた。

 エントリープラグのシートに座っている『僕』は長い黒髪、アスカの様な青い目をしていた。

 

 

 

「えええーーーっ!? どうなっているのよ!?」

 

 アスカの絶叫が頭の中に響き渡ると、防げるわけが無いのに僕は両手で耳を押えた。

 どうやら身体の支配権は僕にあるようだ。

 

「とりあえず、落ち着いてよアスカ」

「これが落ち着いて居られるかって言うの! アタシは自分の意思で指一本動かせないのよ!」

 

 

 

 いくらもう1度聞きたかったアスカの元気な声だとは言え、至近距離で怒鳴られているみたいで頭がガンガンする。

 

「きっとエヴァから降りれば、元の身体に戻れるはずだよ」

「仕方ないわね、さっさとあいつらをやっつけちゃいなさい!」

 

 身体が融合してしまったことに最初は戸惑ったけど、今は嬉しかった。

 だって一番近い距離で僕の大好きなアスカを守れるんだから。

 

 

 

「シンジってば、な、何を恥ずかしいことを言ってくれちゃってんのよ!」

 

 そうか、今の僕の声はアスカにだだ漏れなんだ。

 じゃあアスカが今言っていることも、本心……。

 

「アタシの心をのぞいてニヤついてる場合!? あいつらを倒さなきゃ、アタシ達の未来は無いのよ!」

 

 

 

 アスカの言う通りだ、僕は気合いを入れ直して、9体のエヴァ量産機が降りて来るのを待ち受けた。

 今気が付いたけど、この新しく誕生した赤紫色のエヴァと、僕は上手くシンクロ出来るんだろうか?

 でも、アスカの応援があれば僕の勇気は100パーセント増しだ。

 

 

 

「シンジってば、聞いているアタシが恥ずかしくなる事をポンポンと。いい? アタシがA.T.フィールドが武器にも使える事を教えてあげるから」

 

 アスカの記憶が僕の頭に直接流れ込んで来る。

 これはやり直す前の世界で弐号機が戦略自衛隊と戦った時のアスカ視点の記憶。

 良かった、アスカも弐号機の中に居るお母さんに会えたんだね。

 

 

 

「A.T.フィールドで槍を作れるなんて、アスカは天才だね!」

 

 防御にしか使えないと思っていたA.T.フィールドを武器にも使えると知って感動した。

 素手で量産機と戦わなければいけないと思っていたから、大助かりだ。

 

 でももしかして、A.T.フィールドで槍を作る以外の攻撃方法も出来るんじゃないのかな?

 試しに腕を十字に組んで、飛んでいる量産機に向かってA.T.フィールドを放出するイメージを描いた。

 

 

 すると新エヴァから赤いA.T.フィールドの十字光線のようなものが飛び出した。

 取り囲むように飛行高度を下げていた量産機のうちの一機の翼に命中して、その量産機は黒い煙を上げて地面に墜ちた。

 

「やるじゃない、シンジ! まるで奴らが蚊のようだわ!」

 

 

 

 アスカに褒められて調子に乗った僕は、次々と数体のエヴァ量産機を撃ち落して行った。

 すると他の量産機はゆっくりと下降するのを止めて、直ぐに地面へと降り立って、両端に刃先のある剣のようなものを構えた。

 量産機の奴らが弐号機を貫いていたのは、量産機の持っていた槍のようなものだと思っていたけど……?

 

 

 

「油断しないでシンジ、ヤツらはあの剣みたいなものを、赤い槍の形に変えて投げ付けてきたんだから! あの赤い槍は弐号機のA.T.フィールドで防げなかったわ……」

 

 そのアスカの言葉の端々に悔しさが感じられる。

 何本の赤い槍が弐号機を串刺しにする姿を、初号機に乗って出撃した僕は目撃していた。

 

 

 

 それでアスカは全身から血を流すほどの傷を負ってしまったんだ。

 エヴァ量産機たちは僕の乗るエヴァが油断できない存在だと考えたのか、直ぐに持っていた剣を赤い槍へと姿を変えた。

 

 

 

 この槍の前に、弐号機は成す術も無くやられたわけだけど……。

 驚いた事に、A.T.フィールドに阻まれて赤い槍の方が折れ曲がった。

 それほどこのエヴァのA.T.フィールドは強力だったんだ。

 

「やったわ! ざまあないわね、アンタ達!」

 

 折れ曲がった槍が地面へと落ちると、アスカの大歓声が僕の頭の中でキンキンと響き渡る。

 頼むから、大声を出さないで欲しいな。

 

 

 

「じゃあ……頑張って、シンジ……」

 

 アスカが甘く囁くように応援の言葉を放つと、僕の心の中は幸せな気分でいっぱいになった。

 

「アスカ、それ、ものすごく気持ち良いよ……もっと……」

「調子に乗るんじゃない!」

 

 大きな声でアスカに叱られてしまった。

 

 

 

 まだエヴァ量産機を倒したわけじゃない。

 すると僕の目の前でエヴァ量産機が恐るべき行動にでた。

 9体のエヴァ量産機が合体して、金色に輝くエヴァになったんだ。

 胸の部分にはハート形に並んだ9個の赤いコアが輝いている。

 

「フン、合体したところで、アタシ達に適うわけ無いわ。シンジ、やっちゃいなさい!」

 

 アスカに言われた通りに金色エヴァのコアの1つをA.T.フィールドの槍で突き刺した。

 金色エヴァは痛みに苦しむように悶えている。

 

「アインス!」

 

 すかさず2個目のコアも槍で貫いた。

 

「ツヴァイ!」

 

 そして勢いを殺さずに3個目のコアも粉砕。

 

「ドライ! この調子よ、シンジ!」

 

 

 はしゃいでいるアスカだけど、4つ目のコアを攻撃しようとしたところで、金色エヴァの1つ目のコアが回復を始めていることに気が付いた。

 もしかして、9つのコアを同時に粉砕しないと、この金エヴァは倒せないのか?

 

 

 

 目の前に居る金色エヴァがウナギのような顔の口をニヤリと歪ませて笑った気がした。

 1度に9個のコアを攻撃するなんて、金エヴァの全身を焼き尽くすほどのA.T.フィールドを撃ち出さないとダメだ!

 

「シンジ、諦めるんじゃない! アタシの事、愛してくれているんでしょう?」

 

 

 

 アスカの言葉を聞いて、僕の頭の中に考えが浮かんだ。

 僕は両手を合わせて、A.T.フィールドのエネルギーを溜めた。

 金色エヴァを焼き尽くすほど破壊力を秘めたエネルギー弾は出せない。

 だけど、これならばきっとあいつを倒せる。

 

「僕もアスカを愛してる!」

「#$&@*!?」

 

 僕はそう叫んで、エヴァの手のひらから、ハートの形をしたエネルギー波を撃ち出した。

 アスカから聞きとれない言葉が漏れた。

 きっと今のアスカの顔を見ることができるのなら真っ赤になっているだろう。

 

 

 

 そのエネルギー波は同時にハート形に並んだ金エヴァの9個のコアを撃ち抜いた。

 9個のコアを撃ち抜かれた金色エヴァは爆発し、復活する様子も無かった。

 

 

 

「やった、アスカの敵を討ったよ!」

「……アタシ、死んで無いんだけど」

「そうだったね」

「アハハ……!」

 

 

 

 

 僕とアスカはお互いに声を上げて笑った。

 でも二人の幸せを噛み締める時間は時間は長くは続かなかった。

 戦略自衛隊の部隊が押し寄せて、第三新東京市を取り囲んだんだ。




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