僕は逆走してアスカを救う! ~シト逆転~ リバース・オブ・エヴァンゲリオン The 3rd 作:朝陽晴空
マクラーレンF1GTRはレース用の車なので1人乗り、
マクラーレンF1が乗用車で3人乗りだとpixivでコメントを頂きました。
作中ではマクラーレンF1が正しい表現です。
コメントありがとうございます。
エヴァのフュージョンが解除されると、当然僕の姿も元に戻った。
初号機に乗ってケージに戻った僕は、エントリープラグに入った状態でチェックを受けた。
「DNAパターンも一致、サードチルドレン、碇シンジ君に間違いありません」
マヤさんが報告すると、発令所に居るネルフのみんなもホッとしているようだった。
あれだけ強いA.T.フィールドを発生させたのだから、使徒と疑われても不思議じゃない。
「プラグスーツの補助も無しで、良くここまで……」
リツコさんは初号機とのシンクロ率が高かったことに困惑しているようだった。
逆走前の世界では、学生服を着て落ち込んでいるところをミサトさんに助けられたんだっけ。
でもミサトさんは僕と会ったことがないみたいだけど……。
「シンジ、久しぶりだな。だが、何故お前が初号機に乗っている?」
初号機ケージでエヴァから降りた僕。
前の世界で僕が呼ばれた時のように、僕を見下ろす父さんと対面した。
逆走してきたことを正直に話すべきか。
答えが出せないまま、父さんとは顔をそらさずににらみあった。
「……だんまりか。……まあ良い、せいぜい役に立ってもらうぞ」
前は父さんに褒めてもらうことで心がいっぱいだった。
でも今は父さんの僕に対する気持ちが分かっているから、冷静にしていられた。
動揺を隠しているのは父さんの方かもしれない。
「待ってください! シンジ君をこのまま初号機に乗せ続けるつもりですか!? アスカでさえ、エヴァに乗るのに何ヶ月もかかったんですよ!」
意外にも父さんに食らい付いて反論したのはミサトさんだった。
どうしてだろう、僕をエヴァに乗るように説得したのは彼女だったのに。
「……しかし葛城一尉、君も見ただろう。彼は高いシンクロ率で弐号機と融合し、強力なA.T.フィールドを展開し、量産機を倒した」
父さんの代わりに冬月副司令がミサトさんに答えた。
ネルフにいたみんなも、僕が初号機でこの世界に降り立った時から見ていたんだ。
利用できるものは利用する、父さんの考えは分かったけど……。
他の人たちは僕をどう思っているんだろう。
「碇シンジ君、あなたは半年前に預けられていた家からこつぜんと姿を消したのよ」
「もしかして家出したのかと思われたけど、諜報部が総力をあげても消息をつかめなかったの」
リツコさんとミサトさんの話を聞いて、この世界の状況が分かった。
最初からネルフ本部に居たのは綾波じゃなくてアスカとなっているのか。
「ケージに収められていた初号機も同時期に消えた。あなたが何かをしたの?」
厳しい表情のリツコさんに追及された僕は、何も答えられなかった。
父さんの時のように、黙って嵐が通り過ぎるのを待ち続けた。
でもリツコさんはそれを許してはくれないようだ。
さっきはアスカが側にいてくれていたけど、ちょっと離れただけで、こんなに心細い気持ちになるなんて!
いきなり現れた初号機と合体した弐号機も相当怪しまれているはず。
アスカはずっとネルフ本部に居たことになっているけど、追及を上手くかわせているのかな?
「僕を蚊帳の外にして面白そうな話をしているなんて、ひどくないかな?」
初号機ケージへと乱入してきたカヲル君に、リツコさんたちの注意がひきつけられる。
とりあえず質問攻撃が収まり、ホッと息を吐きだした。
「ファーストチルドレンのあなたは、零号機ケージで待機のはずよ」
腕組みをしたミサトさんが厳しい目つきでカヲル君をなじる。
まさかファーストチルドレンが違っているなんて、綾波はどうしたんだろう?
「ああ、本物のシンジ君に会えるなんて、僕は嬉しくて仕方がないよ」
立ちふさがるミサトさんとリツコさんの間をすり抜けて、カヲル君は僕の手を握った。
そしてさらに僕に顔を近づけてささやく。
「僕たちの邪魔をする老人は、出発前に排除したから安心して」
カヲル君は僕の唇を奪うために、僕の顎をつかむと、その唇を突き出してきた!
しかしそのキスは高速で飛来した赤い物体によって阻止された。
「アンタ、シンジに何をしようとしてたのよ!」
アスカのキックを喰らったカヲル君は何メートルも吹き飛んだ。
壁に頭をぶつけて痛がる彼と、腰に手を当てて仁王立ちする彼女。
瞬間的とはいえ使徒のA.T.フィールドを突き破ったアスカの底力は恐ろしい。
「痛いなあ、僕を殺す気かい?」
「チッ、やりそこなったか」
舌打ちをするところを見ると、本気で息の根を止めようとしていたみたいだ。
カヲル君が使徒だと知っているのならなおさらだ。
「あー、もうなんかあり得ないことを目にしすぎてどーでもよくなったわ」
生身の人間なら首の骨が折れ曲がってもおかしくない衝撃だった。
でもカヲル君は血を流すほどのケガもしていない。
ミサトさんは大きなため息を吐いて投げやりになってしまった。
「アタシも疲れたわ。シンジ、ミサト、帰りましょ」
「おや、どうしてシンジ君が一緒に住むことになっているんだい?」
僕もアスカも顔から血の気が引いた。
まだミサトさんから同居の話など一言も出ていない。
焦りすぎて墓穴を掘った。
「バカシンジをアンタの魔の手から守るためよ。ねえミサト?」
ミサトさんの目は「あんたも十分に危ないわよ」と言っていた。
視界の隅でリツコさんがミサトさんにジェスチャーでサインを送っているのを捉えた。
どうやら同居させることで僕の秘密を暴こうとする考えのようだ。
前の世界ではリツコさんが同居を止めたのに、こんなところまで逆転現象が起こるとは。
「僕の謎については気にならないのかい?」
「あんたまで引き取っていたら、あたしの身体がもたないわよ」
「それは残念。シンジ君、いつでも僕の部屋へ遊びにくるといいよ。君なら大歓迎さ」
カヲル君は株のデイトレードで稼いでタワマンの上層階に住んでいる。
防音室完備でグランドピアノも持っているようだ。
……綾波とは雲泥の差じゃないか。
リツコさんの思惑もあって、またアスカとミサトさんとの三人で同居生活が始まる。
「でも困ったわね、あたしのフェラーリはツーシーターだから、シンジ君を乗せて帰れないわ」
「シンジの膝の上に、アタシが座れば良いじゃん!」
「さすがにそれは危ないわよ。仕方ないわね、フェラーリを下取りに出して、マクラーレンF1GTRを買うことにするわ」
国内メーカーが販売していた青いルノーじゃなくて、赤い高級外車に乗ってる!?
車のローンで悲鳴を上げていたはずなのに、いったいどうなってるの!?
「パーッとシンジの歓迎会をしましょうよ!」
「そうね……あたし特製のスペシャルカレーでもふるまおうかしら」
その言葉を聞いた僕とアスカは血の気が引いた。
でも食べたくないとは絶対にいえない。
ミサトさんはコンビニじゃなくて、外国の食品も扱っている大きなスーパーマーケットで食材を吟味している。
「アスカ、もしかしたら期待できるかもしれない」
「アタシも悲観的にならないで済むと思ったわ」
もしかしたらトウジのカレーよりも美味しいかもしれない。
逆走世界も悪くないかな。
「あれアスカ、何をボケッとしているの? カレーに入れるジャガイモの皮を剥いて?」
「アタシが料理を手伝う!?」
「そっ、掃除に洗濯もしてくれるから、助かっちゃうわ」
何と逆走世界のアスカは良い子ちゃん設定らしい。
今のアスカにとっては拷問だ。
前にジャガイモの皮を剥いた時は、指をばんそうこうだらけにしていた。
「シンジィ……」
「あの、僕も手伝います!」
「シンジ君は台所に立たなくても良い! 男の子でしょ!」
あのミサトさんがそんなことを口にするなんて……割烹着姿も上品さが漂ってる!
潤んだ目で助けを求めるアスカに、何もしてあげられなかった。
ミサトさんは合体したエヴァで強力なA.T.フィールドを発生させて疲れたから、アスカは調子が悪いと思ってしまっている。
明日からアスカは家事の猛特訓だ。
カレーはとても美味しかった。
「ニャーン」
リビングの引き戸を器用に開けて、黒い猫がダイニングへと入ってきた。
「もう一人の家族を紹介するわね。名前はホームズ。とっても頭の良い子でね、あたしたちの言ってることがわかるみたいなの」
名前が〇ジでなくてよかった、黒猫以外の種類でなくてよかったと僕は安心した。
猫を飼っていたのはリツコさんだから、きっとペンペンはリツコさんと暮らしているよね。
ミサトさんとアスカは一緒にお風呂に入るみたい。
キャッキャッと楽しそうな声がダイニングを飛び越えてリビングに居る僕の耳にまで届いてくる。
家出少年にされてしまった僕は荷物がなかった。
だからミサトさんに洋服や家具、チェロを買ってもらった。
明日になれば配送してくれるらしい。
今夜はリビングのソファベッドで寝ることになったんだけど、夜中が待ち遠しかった。
ミサトさんの監視の目がなくなれば、僕はアスカとキ、キスができるんだ。
まだミサトさんは僕に心を許したわけじゃない。
陽気にふるまっているからそう見えるだけなんだ。
「ミサトさん、寝たみたいだよ」
「リビングはマズいわ、アタシの部屋に行きましょう」
監視カメラや盗聴器がないか入念に確認したけど、用心してミサトさんの部屋から離れた。
でも僕たちは見落としていた。
ベランダを通じてミサトさんの部屋とアスカの部屋が繋がっていることを。
「シンジ、しっかりと歯は磨いたわよね」
「うん」
ミサトさんのカレーは美味しかった。
でもキスの味が分かりきっているというのは面白くない。
「さあ、大人のキスをアタシに教えて!」
僕は一気にアスカに近づいてディープキスをした。
予想通り僕たち二人の感情が高まると、体が輝き始めた。
融合する前に少しでも甘美なこのキスを味わいたくて必死だった。
融合して一人になった時、僕は自分の口の周りをなめまわしていた。
「碇シンジ君……で良いのよね?」
ベランダから部屋に入ってきたのは、寝たはずのミサトさんだった。
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