六道骸とその弟子   作:銀の巨人

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リボーンの時系列は黒曜編直後、ワールドトリガーは空閑遊真が日本に来た日より1日〜2日ほど先です。


六道は巡る

『三門市』人口28万人、ごく普通の街である。

ある日この街に異世界への門が開いた。その門から『近界民(ネイバー)』と後に呼ばれるこの怪物は異次元からの侵略者。

門付近の地域を蹂躙し街は恐怖に包まれた。

現世とは異なる技術を持つ近界民(ネイバー)には銃やミサイル、戦車等の兵器は効果が薄く誰もが都市の壊滅は時間の問題と思い始めた。

 

その時、突如現れた謎の一団が瞬く間に近界民(ネイバー)を撃退する。彼らは近界民(ネイバー)の技術を独自に研究し現世も守る為に戦う組織、界境防衛機関ーーー通称《ボーダー》

 

短期間で巨大な基地を作り上げ、近界民(ネイバー)に対する防衛体制を整えた。

 

それから約4年が過ぎた頃、とある”危険区域”に指定された工場跡地にて異変が起きる。

ここは近界民(ネイバー)が出現しやすい警戒区域で一般人は原則立ち入り禁止なのだ。門発生時にアナウンスされる避難警告とほぼ同時に門が開くと1人の少年が目を覚ます。

右目は赤、左目は青のオッドアイで、右目には『六』の字が刻まれている美少年だ。そして何処かの学生服の様な格好をしており、近くには彼の所有物だろうか、三又槍が無造作に転がっていた。

 

「ここは・・・・・・」

 

アナウンスの音で叩き起された少年は目覚めが悪そうだ。

いつの間にか見知らぬ場所にいた少年の頭に激痛が走り、最後に見た光景を思い出した。

 

 

 

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「クフフ・・・さぁ、終劇(フィナーレ)と行きましょうか。沢田綱吉!」

 

”六道骸”は一瞬の隙を突きボンゴレ10代目である”沢田綱吉”の背後を取る。更に両腕を掴む事によって綱吉のXグローブから発せられる”死ぬ気の炎”を封じ身動きを取れなくする。

 

幼い頃、彼はエストラーネオファミリーで人体実験の被験体として扱われていた。そこでファミリーの研究員数名を殺害し複数の部下と脱走する事に成功した。この経験からマフィアに対する恨みは強く、この世からマフィアを殲滅せんと暗躍する。そこでボンゴレファミリーの10代目、沢田綱吉の体を乗っ取る計画を立て、今まさにその目的が達成されようとしていた。

 

「骸、お前・・・!」

 

「君は良く頑張りました。僕の為にここまで能力を引き出してくれるとは・・・・・正直想定以上ですよ」

 

背後から頭突きや蹴りを綱吉に向けて打つ。両腕を封じられている為反撃は不可能、為す術が無い綱吉は怯む。

 

「もう休んでーーーいいですよ!」

 

腕を引っ張り正面を向かせそのまま蹴り飛ばす。飛ばされた先は骸の武器である三又槍の先端が剥き出しになる様に壁に突き刺さっていた。あの剣で傷つけられた者は忽ち骸に体を乗っ取れてしまう。

それが原因で仲間を傷つけられた綱吉は覚醒した。

 

(皆・・・・・)

 

飛ばされる最中今も気を失っている仲間が視界に入る。重傷だった仲間の体を散々弄ばれた挙句、骸の部下でさえも壊れて動けなくなるまで操り酷使する。

 

(アイツを・・・・・許せないーーー勝ちたい! オレは骸を絶対に倒す!!)

 

「行け、ツナ。今こそXグローブの力を見せてやれ」

 

赤ん坊の姿に黒スーツで身を包んだ、綱吉の家庭教師であるリボーンはこの状況でも生徒である綱吉の勝利を確信していた。

 

「うおおお!!!」

 

綱吉の”骸に勝つ”と言う覚悟に呼応する様にXグローブが光る。剣が刺さる寸前にXグローブから炎がバーナーの如く逆噴射する。

 

「何ッ!?」

 

そのまま超スピードで向かってくる綱吉に骸は反応が遅れ頭を鷲掴みにする。それでも勢いは止まらない、踏ん張り損ね床から足が離れた骸ごと綱吉を突き進む。

 

「僕が、この僕が・・・・・マフィア如きにッ!!」

 

「お前だけは・・・・・お前だけは! 絶対に許さない!!」

 

死ぬ気の炎が骸のドス黒いオーラを浄化する様に消えて行く。壁に激突しそのまま気絶し戦闘不能になると同時に骸の剣がパリンと割れる。

こうして六道骸による一連の事件は幕を閉じた。

 

 

 

ーー

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「そうか、僕は・・・沢田綱吉に・・・」

 

朧気だった記憶が蘇り、自身の敗北を知った。

しかしおかしい、敗北したその後に何が起きたのか凡その検討が付く、おそらくマフィアの掟の番人で法で裁けない者を裁く存在、復讐者(ウィンディチェ)に捕らえられ牢獄に送られたのだろう。

普通に考えればそうなのだが、此処は牢獄では無い事は子供が見ても分かる。

 

(三門市・・・?)

 

看板に見えた市名により此処が三門市と言う街なのは分かったが聞いた事のない市名だった。

 

「ッ!」

 

突如自身の体に影が指す。雲にでも覆われたのかと思い振り返るとそこには自動車に数本の脚が生えたくらいの大きさで、三つのブレード付きの腕があり異形の怪物が骸を見下ろしていた。

骸が後に知るモールモッドと呼ばれる近界民(ネイバー)が作り出したトリオン兵だ。

 

「おやおや、何処から現れたのでしょうか」

 

実は先程門から出て来たのはでは無かった。このも一緒に出て来ていたのだ。骸を完全に捕捉しブレードを振りかぶる。

 

「とっ・・・・殺す気満々ですか」

 

初撃を躱し、すぐさま追撃を放つが骸は全てのブレードを涼しい顔で躱して行く。ブレードが地面にめり込む様子から生身で当たれば致命傷は避けられないだろう。

モールモッドの連撃を躱しながら三又槍をチラッと見ると前転する事によって地面に転がる三又槍を回収する。

 

「さて、此方も反撃と行きますか」

 

すると骸の右目の数字が『四』に変化し更に紫色の”死ぬ気の炎”の様なオーラを纏う。

彼は前世で六道輪廻を全て体験した事により、様々な技術が使え、その力が右目に集約されている。『一』〜『六』の数字を持っており、それぞれ【地獄道】【餓鬼道】【畜生道】【修羅道】【人間道】【天界道】の力を一つずつ授かっている。

その中でも『四』の【修羅道】は格闘能力を強化する効果がある。

 

反撃の寸前、複数の銃撃がモールモッドを襲う。蜂の巣にされたモールモッドは力尽きその場に倒れ込むと二度と動く事は無かった。

敵は戦闘不能になったと判断し右目を『六』戻す。これが通常形態である【天界道】だ。能力は一定以下の精神力の人間をマインドコントロールをする事が出来る。

 

「君、大丈夫か!?」

 

モールモッドを始末した彼らはボーダー本部所属A級5位の部隊『嵐山隊』。そして骸に駆け寄る男性は隊長の嵐山准。”ボーダーの顔役”と呼ばれるだけあって容姿は抜群で人に対する気遣いも出来ている。

 

「俺達が来るまで良く凌いでくれた。あの回避は大したものだったぞ!」

 

にこやかに軽く骸の背中を叩く嵐山を見ていた『嵐山隊』の女性隊員、木虎藍が厳しい顔で骸を睨む。見た目からして規律に厳しくかなりきつい性格をしていそうだ。

 

「嵐山先輩、ここは警戒区域です。こんな所にわざわざ足を運ぶ様な馬鹿な人を褒めないで下さい。寧ろ叱るべきです」

 

厳しい目を向ける木虎や宥めようとする嵐山を不思議そうな目を向ける。一時期は復讐者(ウィンディチェ)が作り出した幻覚空間だと言う推測したがおそらく違う。幻術に長けた能力を持つ骸がそう判断するのだから間違い無いだろう。

 

「ちょっと聞いてるの? 私達が来なければあなたは確実に死んでいたのよ」

 

同時にここは現実世界だと言う事も分かる。だとすればここは『未来』の世界か、或いは全く別の『パラレルワールド』か、単純に別の場所に転移しただけなのか定かでは無いが、取り敢えずはーーー

 

「申し訳ありません。実は僕、記憶喪失でして・・・此処がどこなのか、あの怪物が何なのか分かっていないのです。分かる事と言えば年齢と名前くらいで・・・・・」

 

この世界の情報を少しでも引き出す為の虚言。

記憶喪失に関しては嘘だが、それ以外は全て本当だ。嘘をつく時は真実を少し練り込みながら話すと真実味が増す、これはある意味幻術(うそ)を操る術者としての基本だ。

 

「あのね、嘘つくならもう少しマシな嘘をついたらどうなの? そんな胡散臭い格好して・・・ってよく見たらその槍本物じゃない! 嵐山先輩、やっぱり怪しいですよ!」

 

とある果物を彷彿とさせる少し奇抜な髪型、オッドアイに謎の学生服、三又槍を見て一瞬で嘘だとバレたがここで動揺すれば事態は悪化する。嘘がバレたとは言え相手はまだ疑っている段階だ。騙し合いは骸の得意分野、人を騙す事など朝飯前だ。

 

「木虎、他人の趣味にとやかく言うものじゃない。それに見た目で判断したら失礼だ。所謂コスプレと言う奴だろう。ところで君、歳いくつ?」

 

「15歳です・・・」

 

服装について貶されたと思う骸だが今は堪える。

 

「嵐山先輩、やっぱり怪しいです」

 

これは紛れも無い真実なのだが・・・・確かに身長は170cm程ありかなり大人びた顔立ちをしているので中学生には見えない。木虎も15歳なので益々警戒心が上がりこのまま行けば銃口を向けられるだろう。

 

「まぁまぁ、何の証拠も無いのに決めつけるのは良くない・・・だが、その槍はちょっと危険だな。悪いが此方で預からせてもらうよ」

 

「えぇ、構いませんよ」

 

そう言って三又槍を嵐山に渡す。正直惜しいが幻術を駆使すれば取り返す事は容易な為今は素直に手放す事にした。取り繕うのも面倒だが、無駄に事を荒立てないのが重要なのだ。

 

嵐山が三又槍を調べているとカチッと言う音が鳴り三又槍の先端が取れた。実は着脱可能で槍にもなり短剣にもなる優れ物だ。

反射的に手が出てしまい剣の先端が掌を掠めるのを骸は見逃さなかった。

 

「おっとすまない、すぐ拾うよ。それにしても変わった武器だな」

 

「あの、手を怪我したのでは?」

 

「ん? あぁ、大丈夫。今は《トリガー》使ってるから平気だよ」

 

聞き慣れない単語が出て来たが接触したのは間違い無さそうだ。内心不敵な笑みを浮かべる。

”禁弾”と呼ばれる特殊弾によって三又槍で傷つけた相手に憑依し体を乗っ取る事が出来る骸は、嵐山を乗っ取りこの場を納め様々な情報を聞き出そう考えたが・・・・・

 

(憑依出来ない? 確かに”契約”は交わされた筈・・・・・)

 

本来なら出来る筈の憑依が失敗した。六道の能力は使用出来たが憑依の能力はあくまでも特殊弾による後付けだ。別世界に飛ばされたと仮定するならリセットされていてもおかしくはない。

 

「それと先程の怪物やトリガーとは何でしょう? 後学の為に知っておきたいのですが」

 

「さっきのはモールモッドって言う近界民(ネイバー)だよ」

 

彼は時枝充『嵐山隊』の一員で眠たそうな目が特徴的な木虎の先輩に当たる隊員だ。

その後骸はこの世界で起きている事、近界民(ネイバー)、『ボーダー』の存在。トリガーについては一般人に情報共有出来る範囲、そして通常の武器ではトリオン兵に勝てない事も教わった。

 

「取り敢えず、警戒区域を出るまでは同行しよう」

 

「わざわざありがとうございます」

 

『嵐山隊』の護衛の下、警戒区域外に案内された。本来なら秘密保持のため記憶を処理されるのだが、元々記憶喪失であるのもあって嵐山の温情により免れた。

 

「さぁ、これで一安心だ。このまま家か病院まで送ろうか?」

 

「いえいえ、後は一人で帰れますので」

 

「そうか。じゃあ気をつけて帰れよ」

 

「これに懲りたらもう二度とあんな真似するんじゃないわよ?」

 

「はい、お世話になりました」

 

辺りはすっかり夕暮れ時、沈みかけの太陽が骸を照らす。これから更にこの世界の情報を集める為に動くのだが、先ずは一つ目的が出来た。

 

「そう言えば君、名前は?」

 

立ち去ろうと『嵐山隊』に背を向け先ずは寝床や食料をどうするか考えていたら、突然気になったのか嵐山が名前を聞く。隠す必要は無いと判断し骸は怪しい笑みを浮かべ正直に答える。

 

 

「”六道骸”」

 

 




主にワートリの世界なので死ぬ気の炎などリボーン側の設定はガバガバです。
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