刹那は、目の前の光景に言葉を失っていた。
鍔なりの音が聞こえた方に歩き出し、音を出している人物を見つけた。
その人物は、物凄く背が高く、銀の髪に、上下黒色のジャージを着た男だった。
刹那達、魔法関係者は、昨日、学園長から報告を受けていた。
何でも一昨日、死にかけの人物をエヴァンジェリンが、助けたらしくそれを昨日になってエヴァンジェリンが学園長に報告したらしい。
そしてエヴァンジェリンの報告によると、昼間、結界に反応があり、反応があった場所に行ってみれば血まみれの男が倒れていた。
そしてエヴァンジェリンは、その男の素性を調べるために記憶を覗いたらしい。
記憶を見るのは、規則として禁止されている魔法であるが、
相手の素性が分からない時や侵入者の場合は、使ってもよいと、なっている。
で、結果は、白だった。
その男は、ある人物と戦いそして負けて、気を失い気付いたら、麻帆良にいたらしい。
何とも信じがたい話では、あるが、学園長は、その報告に「…そうか。」とだけ言ってそれ以上聞かなかった。
男の特徴は、190cmで銀色の髪、そして青いコートを着ていて、物凄く端正な顔をしていると報告を受けている。
何でも男は、帰る場所がなく暫くエヴァンジェリンの家でやっかいになるらしい。
刹那は、(……あのエヴァンジェリンさんが……珍しい事もあるものだ…)と心の中で呟いた。
それもその筈、エヴァンジェリンは、気まぐれで、めんどくさがりやで通っている。
そしてその男は、近い内に私と同じ警備員をするとも報告受けている。
情報では、刀を使うと聞いている。
刹那は、どんな刀を使いどんな剣術を使う相手なのかちょっとワクワクしながら男と会うのを楽しみにしていた。
刹那は、待望のその男、バージルと体面した。
その男が今自分の前で刀を振るっている。
刹那が見ていて10秒くらいで、バージルは、刀を振るのを止め「…何かようか?」と刹那に喋りかけた。
「!?…あ…いえ……えっと…」
刹那は、焦った。
まさかこんなにも早く自分に気づかれるとは、思っていなかった。
刹那は、確かにバージルを見ていたが、場所は、バージルの後ろ、そして気配を消しながらである。
刹那は、一応バージルに対して警戒をしていた。
理由は、近衛このかの敵なのか、只それだけである。
お嬢様loveな刹那にとっては、理由としては、充分である。
(……もしお嬢様の敵ならここで…)と刹那は、気配を消しながら刀の鞘を強く握りしめ何時でも刃を出せる状態にしてバージルを見ていたのである。
だがバージルの振るう太刀筋を数秒見た刹那は、
(……)
言葉を失っていた。
そして見とれているところにバージルから喋り掛けられたのだから焦ってもしょうがない事だろう。
「……は、初めまして、さ、桜咲刹那と申します…」
吃りながら自己紹介をした。
「……」
無言で刹那に振り向くバージル、そこで初めてバージルの顔を間近で見る刹那。
「……きれい…」
「?」
「い、いえッ!?何でもあり…ません…」
バージルを見た刹那は、咄嗟にきれいと口にしてしまい、慌てて誤魔化した。
「…それで、俺に何のようだ?」
常に無表情のバージル。
「あ、いえ、鍔なりの音が聞こえてきたので誰かいるのかと見に来た、だけです…邪魔をしてすいません…」
刹那は、ペコリと頭を下げるその言葉にバージルは、少し目を細め刹那なにこう切り出した。
「……そうか…俺は、てっきり襲われると思ったんだがな。」
「ッ!?」
刹那驚愕した。バレている……と
「……私は、魔法関係者の者です。それで昨日学園長から貴方の事を聞いておりまして、もし貴方がこのかお嬢様に危害を加えるような方ならここで排除しようと思っておりました……]
この人に嘘は、通じないと直感的に思った刹那は、正直に話した。
それに今の自分では、この人の足元にも及ばないと言うことも。
だが刹那は、今この男に襲われても一太刀ぐらい浴びさてみせると、自分を奮い立たせていた。
「……その、お嬢様と言うのは、知らんが。だがいいのか?そんな簡単に自分の護衛対象の名前を言っても?」
「え?……あッ!?」
刹那の天然炸裂!!!!
「う~……」
刹那は、自分の失態に気づき頭を抱えながらしゃがみこんでしまった。
「フッ、殺気を出したり、落ち込んだり忙しい奴だな。お前は」
「ウッ!?……」
「何、安心しろ。俺は、この学園をどうこうするつもりなど、微塵もないからな。」
刹那は、バージルの言葉を聞き顔を上げた。
「それに、俺は、エヴァのところで厄介になっている身だ。それと俺の命の恩人でもある。迷惑をかけるつもりもない。」
そう言ったバージルは、刹那に手を差し出す、差し出された手に刹那は、「?」疑問符を浮かべる。
「……あ」と何故バージルが手を出しているのか気づきオズオズと手を掴む。
「……すいません」
「フッ、気にするな、……1つ聞きたいんだが……お前は、神鳴流の使い手か?」
「…そうですが、何故それを?」
「エヴァから聞いたまでだ。」
「そ、そうですか、あ、あの私も1つお聞きしてもいいですか?」
「何だ?」
「あなた「バージルだ」え?」
[さっき名乗られたからな、俺のことは、バージルでいい。まぁ報告がきていると言う事は、俺の名前などとうに知っていると思うがな。」
「は、はいでは、バージルさんと…では、私の事も刹那とお呼びください。」
「わかった、すまないな話の腰を折ってしまって。で聞きたいこと言うのは?」
「はい、さっきのは、居合いですか?」
「ああ」
「…あのいきなりで申し訳ないんですが…居合いを見せて頂いてもよろしいですか?……」
刹那は、バージルの剣術に興味を持っていた。
さっき見たバージルの太刀筋あれは、自分なんかで到底できるものでは、ないと刹那は、思っていた。
(……バージルさんの太刀筋を見れば何が私に足りないのか解るかも知れない。)
「……」
「…あ、あのやっぱり無理でしょうか?」
「いや、良いだろう。」
「あ、ありがとうございますッ!」
刹那は、行き良いよくお辞儀した。
「だが…見えるかは、保証しないぞ…」
バージルの言葉に刹那は、?疑問符を浮かべた。
さっき後ろから見ていたが普通に見えていたからだ。
(…何故そんことを?)
[……はい、わかりました。]
刹那がそう言うと、バージルは、刹那に刀が届かない距離まで移動していった。
バージルの持つ刀は、刹那が持つ刀より圧倒的とまでは、いかないが刹那の刀よりは、短い。
バージルは、居合いの体制に入り、そして丁度よくヒラヒラと世界樹の葉っぱがバージルの一メートル先に落ちてきた。
そして……
「!?」
キンッと音がバージルの刀から聞こえた。
目の前の葉っぱは、綺麗に横一文字に切れていた。
(……ま、全く見えなかった…手が動いたのも…)
「これで良いか?」
「……はい、ありがとうございました…」
刹那は、やっとさっきのバージルの言葉に気がついた。
本気では、なかったと……
「…なに、気にするな」
「……はい」
「…俺からも1つ頼みを言っても言いか?」
「え?は、はい何でしょうか?」
「俺と手合わせしてもらえないか?」
いきなりの申し出に驚く刹那、まさかバージルから誘いが来るとは、思っていなかったからだ。
「…でも私では、役不足なのでは?」
「いや、ただ…神鳴流がどうゆう剣術か興味があってな、それを見て見たいんだ。」
「…わかりました。その申し出受けさせて頂きます、でも今からですか?」
「いや、もう朝食の時間だからな、戻らなければならない。……今日は、学校か?」
「あ、はい」
「では、すまないが、学校が終わったあとエヴァの家まで来てもらえないか?」
「え?でも…エヴァンジェリンさんの迷惑になるんでは?」
「なに気にするな。俺からエヴァの方に言っておく。」
「…わかりました。学校が終わり次第向かわせて頂きます。」
「ああ、よろしく頼む……それとそんな畏まったしゃべり方じゃなくても良いぞ。」
「…で、ですが」
刹那は、普段からこんなしゃべり方なので別に気にしていなかった。
それにバージルからは、何かこうちゃんとした言葉遣いじゃないといけない雰囲気を感じていた刹那は、バージルの言葉に困惑した。
しかも刹那は、バージルの年齢は、完全に30は、過ぎてると思っていた。
「気にするな、若い内からそんな言葉遣いじゃ疲れてしまうだろ?。だからもっと砕いて喋れ。」
「…はい、わかりました!」
「フッ、それでいい、それでは、またな。」
「はい。」
そう言って二人は、帰って行った。
「おかえりなさいませ、バージルさん。」
「ああ…ただいま。」
「食事の準備が出来ています。」
「わかった。」
バージルは、椅子に腰掛け朝食を食べ始める。
すると「…おはよう~茶々丸」とエヴァンジェリンが欠伸しながら茶々丸に挨拶をしていた。
そしてバージルにも
「おはよう、バージル。」
「…おはよう。」
と挨拶を交わす二人。
するとチャチャゼロが後ろから
「オイ、ゴ主人トバージル、オレニハ挨拶ナシカ。」
「ああ、そうだったな。おはよう、チャチャゼロ。」
「……おはよう。」
「オウ、オハヨウダ。ゴ主人、バージル。」
何ともほのぼのな雰囲気だろう。微笑ましい。
挨拶を終えたエヴァンジェリンは、椅子に座り朝食を食べ始める。
「そうだ、エヴァ」
「何だ?」
「今日、刹那が家に来る。」
「なに?刹那なとは、桜咲刹那の事か?」
「ああ。」
「いつの間にそんな仲になったんだ……」
「朝、茶々丸に教えてもらった、世界樹広場で鍛練していたらたまたま会っただけだ。」
「…それで何で家に来ることになるんだ?」
「手合わせを頼んだからだ。」
「な、なに!?今日は、私とチャチャゼロだろ!?それに桜咲刹那では、お前の相手は、つとまらんだろ!?」
「務まる務まらないなど関係ない。ただ神鳴流がどんな技を出すのか気になっただけだ。それにちゃんとお前らの相手もするさ。」
「…まぁ、それならいいが」
「そう言う事だ、よろしく頼む。」
「ふん。」
まだまだ1日は、長そうである……