青い悪魔と吸血姫   作:mutu

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8話 新入り

 

 

 

「ところで俺の刀は、何処にある?」

 

バージルは、ふと辺りを見渡し、自分の刀がないことに気づいた。

 

「安心しろ。ちゃんと保管してある。」

 

「……そうか」

 

「お持ち致しますか?」

 

「いや、あるなら別に構わない。」

 

「あ、そう言えば……こちらもバージルさんのですか??」

 

茶々丸は、そう言ってポケットからある物を取り出した。

 

「ッ!……お前が持っていてくれたのか、すまないな。」

 

「いえ、気にしないでください。どうぞ。」

 

「…ああ」

 

そう言って、バージルは、赤い宝石が付いたアミュレットを受け取った。

 

「ほう?そのアミュレット、結構な魔力を秘めているな。それは、何かのマジックアイテムか?」

 

「そうだ。これとあともう1つ同じ物があるんだが、それは、弟が持っていてな。このアミュレットをある剣に翳すとその剣を、本来の姿に戻すことが出来るんだ……まぁその剣も弟のところにあるんだがな……あとこれは、母の形見でもあるんだ。」

 

[…そうか]

 

[フッ、すまんな。つまらん話をした。]

 

エヴァンジェリンは、どう言えば言いか迷っていた。

バージルは、この数時間前まで、弟と壮絶な殺し合いをしていたばかりである。

 

エヴァンジェリンは、思う(……こいつは、私に似ているな)と、全部の記憶を見た訳では、ないが、テメンニグルの塔でのバージルとダンテの掛け合いを聞いていれば何故バージルが魔界を開こうとしたのか位は、わかったつもりだった。

バージルの母親は、悪魔に殺されてしまったんだと……エヴァンジェリンは、家族を魔法使いに……

 

「バージルさん、お食事ほうは、どうなさいますか?宜しければご用意させて頂きますが?それと傷のほうは、大丈夫ですか?」

 

エヴァンジェリンがどう言葉を掛けるか迷っていると茶々丸がそう切り出した。

 

バージルの今の格好は、肩から脇腹にかけて包帯が巻かれている状態だ、もちろん腕や太ももにも巻かれている、だがちゃんとズボンは、履いている。

 

「傷の方は、心配ない。寝ていれば治る。動くだけなら支障もない。食事もとれる。」

 

「それは、良かったです。時間も時間ですし私は、食事の準備に取り掛からせていただきます。」

 

茶々丸にそう言われ、エヴァンジェリンは、壁にかけてある時計を見る。

昼の一時過ぎにバージルを家に連れてきてからもう夕方の5時過ぎになっていた。けっこう話混んでしまったと思うエヴァンジェリン。

茶々丸は、「失礼します。」と部屋を出ていった。

 

 

[……]

 

[……]

 

(…き、気まずい…)

 

今この部屋には、エヴァンジェリンとバージルの二人だけしか居ない。

 

まぁさっきどう言葉を掛けて言いか迷っていたエヴァンジェリンにしてみればこの状況は……最悪である……

 

いつものエヴァンジェリンであれば大丈夫であったかもしれないが……

バージルの記憶を覗いた身としては、下手なことは、言えないと思ってしまうエヴァンジェリンであった。

こんなエヴァンジェリンを見れるのは、凄く希かもしれない。

 

「マクダウェル」

 

バージルは、エヴァンジェリンの名を呼んだ。

またもや先を越されたエヴァンジェリン……

 

「な、なんだ…」

 

いきなり呼ばれたことにちょっと動揺してしまう。

 

「ここは、魔法使いしか居ないのか?」

 

「?……何故そんなことを聞く?」

 

「さっき茶々丸は、ここは、学園だと言っていたからな、日本の魔法学校だと推測したまでだ。違うか?」

 

「確かにここには、魔法使いや私みたいなもの達もいるが。一般人の方が圧倒的に多いな。」

 

「そうか…そうなると余りこういったことは、伏せた方がいいと言う事だな?」

 

「まぁ……必然的にそうなるな。下手に一般人を巻き込んでしまうと正義の魔法使い達がうるさいからな……」

 

「正義の魔法使い?」

 

「何だ?知らないのか?簡単に言えば魔法世界、出身の奴等のことを指すのだがな。」

 

「魔法世界なんて物が存在するのか?」

 

「なッ!?魔法世界も知らんのかッ!?」

 

「…知らんな……そうかそう言った世界も存在するのか…面白いな。」

 

エヴァンジェリンは、もう今日だけで何回驚けばいいのやら。

そうバージルが知っていることと言えば、どうやって魔界に行く事が出来るか。

それだけにしか興味がなかった。

 

だから他の魔法使いや魔法世界の事等眼中に無かったので調べたりもしていなかったのである。

言うなればバージルは、魔法使いや魔法世界のことは、完璧に初心者であった。

 

「しかし貴様ッ!は、さっき魔法世界の英雄やその息子の話をしてもなんの反応もなかったではないかッ!」

 

[?何をそんなに興奮しているか知らんが…魔界があるんだ。他の世界があっても不思議では、なかろう。」

 

「うッ?!」

 

エヴァンジェリンは、心の中で(私がッ!!!!お前の話を聞いたり見たりして驚いたのがアホみたいじゃないかッ!!!)と今日一番の心の叫びをあげた。

 

バージルは、年の割には、すごく冷静に物事を考える事が出来る性格で逆にエヴァンジェリンは、頭の回転やすごく物知りなとこもあるが自分が知らない物でそれが一定の範囲を越えると物事を冷静に考えることができないタイプなのである。

言うなれば子供が知らないものを見たり聞いたりしてテンションが上がるみたいな。

……どっちが年上かわからんな……

 

「もう1つ聞きたいことがある。」

 

「…………何だ?……」

 

エヴァンジェリンは、自分より年下の奴になんか負けた気がしてテンションがガタ落ちてしまっていた……

 

「ここには、裏の仕事と言うものは、あるか?」

 

エヴァンジェリンは、テンションを戻すために心の中で(はぁ~~~)と盛大なため息を吐いた。

 

「あるには、あるが…それがどうした?」

 

「何、ただ住まわせてもらう身でただ飯をもらうのは、どうかと思ってな。金を稼ぐために普通の仕事より裏の仕事の方が効率がいいと思ってな。」

 

バージルがアルバイトとか想像できん!!!!!

 

エヴァンジェリンは、バージルの言葉を聞いてニヤリと笑う、俗に言う悪い顔である……

多分エヴァンジェリンは、バージルが裏の仕事に関われば確実に麻帆良で最強になる。

そうすれば自分の仕事が減って楽が出来るとでも思っているのだろう……

 

「そう言うことなら紹介してやろう!!」

 

「?すまんな。」いきなりのテンションの上がりように一瞬疑問符を浮かべるバージル。

 

とそんな話をしてるところに茶々丸が[食事の用意ができました。」と報告に来たのであった。

 

 

 

 

 

 

       

 

ご飯を食べるためにリビングに降りてきたバージルとエヴァンジェリン。

 

五人掛けのテーブルには、上座にエヴァンジェリン。

その左斜めにバージルが座った。

バージルの正面には、茶々丸。

そしてご飯を食べようとしたバージルに何処からか声が聞こえてくる……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オウ、オマエガ、バージルカ?」

 

「……そうだが、貴様は?」

 

声の正体は、チャチャゼロだった。

 

「ナニ、コレカラ一緒に住む新入リニ、挨拶ト思ッテナ。」

 

チャチャゼロは、バージルから後ろのたなの上にいた。

 

[……]

 

[……]

 

お互いに無言、そしてスッとバージルが立ち上がりチャチャゼロを見下ろす。

エヴァンジェリンは、何故か重苦しい空気なる二人を黙って見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

         そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガシッとバージルがチャチャゼロの手を指でつまみ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…世話になる。」

 

「オウ、世話シテヤルヨ。」

 

 

と仲良く握手?をするバージルとチャチャゼロだった。

まぁバージルは、終始無表情だったが。

それにしても人形と大男の握手中々にシュールな光景だろう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方そんな二人を見たエヴァンジェリンは、ズコっと椅子から転けていた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、マスターが楽しそうです。」

 

「全然楽しくないは!!!このボケロボ!!!!」

 

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