せっかくなので誰も求めちゃいないかもしれないが長ったらしく昔話をしよう。
7歳の頃だったか。その日もいつもと同じように目が覚め布団から身体を起こした俺は、静かに頭を抱えた。
突然前世の記憶というやつを思い出したのだ。
普通に大学生やってたら交通事故に遭って死んでしまった。という言っちゃなんだけど、こういうときよくあるベタなヤツである。所謂転生者というヤツだったということだ。
理由なんてもの聞かれても分からない、というか俺が一番知りたいよそんなもの。そして前世の記憶と現在の記憶、2つを有したことによって大きなため息と共に再び頭を抱えた。
現在俺の住んでいる家はそれなりに大きなお屋敷で、家族以外の使用人の人達からは坊ちゃまと言われて大事にされている。そして家族も使用人の人達も皆口を揃えてこう言うのだ。
「夜に外へと出てはいけない。人を襲い喰らう鬼が出るから」
前世、といっても今よりもずっと技術が進歩した時代だったが、その世界にある漫画やアニメという娯楽が好きだった俺はすぐに気づいてしまった。
「死んで過去に来たとかじゃねぇ、鬼滅の刃の世界に転生しちまってんだ俺……!」
転生したら鬼滅の刃とかいう地獄みたいな世界だった件。
冗談じゃないよ、なんでよりにもよって鬼滅の刃なんていう危険すぎる世界に転生させられてんだよふざけんな。
人間じゃとても敵わない鬼という連中がいるこの世界、見つかって襲われでもすればほぼ確実に死ぬことになる。そんな鬼達に対抗する強い人達もいるが、その人達ですら簡単に殺されてしまうことも多々あるクソゲー理不尽ゲーといっても過言ではない世界なのだ。
社会現象といっても過言ではないほど流行っていた人気の作品だけどあれはフィクションとして見ているからよかったのよ、実際にその世界に放り出されたいとは思わないよ、死んでも嫌だよ……あ、俺一回死んでるんだった。
どうせ転生するならもっと平和な世界が舞台の作品へ行きたかった、こうなった以上今さらどうにかできる訳じゃないのだが。
俺の脳内に溢れ出した存在していた記憶に混乱しかけた頭もどうにか落ち着いてきてこれからどうしようかと悩み考えた俺は一つの答えを出した。
「せや!平穏を願って我が家でぬくぬくと引きこもったろ!」
悩み考えたなんてのはウソっぱちである、たいして考えることもなくそう即決した。
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「お前もそろそろ修行を始めてもいい年頃だ」
あれから1ヶ月ほど経った頃、父親からそう告げられた。
修行とはなんぞやと首を傾げていると、わざとらしい咳払いをした父が語り始めた。おかしいな、いつもはおちゃらけたことばかりする人なんだけどなぁ。
「我らは遥か昔から体内に流れる闘気というものを体外へ放出できる力を持った一族。それを定められし言霊を詠唱したのち、名を叫ぶことにより発動する鬼道という術を扱うことのできる一族なのだ!」
…………ちょっと待て、いまなんて?
「我らはこの鬼道を用いてお偉方の用心棒や裏の仕事に就きその絶大や力で富を築いてきたのだ……鬼道衆という名でな!」
一体いつから鬼滅の世界に転生したと錯覚していた?
いいやここは間違いなく鬼滅の世界である、夜に鬼が出るとか絶対に鬼滅やん。
だがしかし、鬼道というのはBLEACHというオサレ作品に出てくる死神というオサレな集団が使うそれはもうとてもオサレな術の総称のはずだ。
俺もBLEACHを読んでいたからよく分かる。ということはこの世界、鬼滅の刃にBLEACHが微妙に混ざったとかそういう感じのものかもしれない。
……めっちゃええやん。
怖いから家でヒキニートとして毎日がエブリデイな日々を過ごしてやろうと思っていたけど、これはなかなかに悪くないかもしれん。
全集中の呼吸を使い更には鬼道を使って鬼を颯爽と狩っていく、めちゃくちゃカッコイイじゃないですか。
素晴らしい提案をしよう、お前鬼殺隊にならないか?
どこからともなく、そんな声が聞こえた気がした。感じた気がした。
正直ツッコミたい所はいろいろとあるが、進むかもしれない未来へ期待に胸を膨らませ、俺は父の提案に二つ返事で元気に頷いた。
あれから半年が経った。
「な、なんということだ。この子には鬼道の才が全くないかもしれん、長男だというのに……!」
なんでやねん。
そこは凄まじい才能、1000年に一人の美少女……!的なノリで持ち上げられてカッコよく無双していく流れでしょうが。
半年間鬼道を使うための修行とやらに励んできたわけなのだが、俺は一向に上達などしなかった。このくらいの歳になればどれだけ下手くそな人でも、半年経たずとも基礎的なことくらいはできるようになっていたらしい。
にもかかわらず俺は基礎の基礎すら習得できずにいた。本当に鬼道を使う才能はなく、からっきしなようだ。
「そんなに落ち込まないでください坊ちゃん、諦めるには早いです。それにもしダメでも何か他に才能のあることが見つかるかもしれませんから」
そう優しく声をかけてくれたのは眼鏡と髭がトレードマークである父の弟、叔父の鉄斎さん。
名前といいその見た目といいBLEACHにいた鉄裁さんによく似ているのだが漢字が違ったり口調も多分ちょっと違ったりで、パチモンじゃねぇかとツッコミを入れたくなったのは秘密である。
鬼道使うのは上手いから俺によく鬼道を教えてくれるし、優しく可愛がってくれているので仲はいい。よく2人で甘い物でも食べながらお喋りする。
「そうだ、剣道なんてどうです?かっこいいし仕事をするうえで必要になるかもしれませんし!」
竹刀を持って鉄斎さんがそう提案してきた。
剣道の経験なんてまったくないけど気晴らしにやってみるか、と誘いを受けて竹刀を受け取り向かい合う。そして──
「ソイヤーッッ!!」
「ぬわーーーーっっ!!」
眼鏡をかち割り、大の字に倒れ伏した鉄斎さんの声が屋敷中に響き渡った。
それからはトントン拍子に話が進んでいった。
「あ、兄上!この子には剣の才能があります!剣を握ったこともないと言うのに私を軽々と吹き飛ばしてしまいました!!」
「そ、そうか。この子は剣でならその力を活かせるかもしれないのだな…………それより鉄斎よ、割れた眼鏡は外したほうがいいぞ」
父と鉄斎さんのこの会話から3日後、屋敷にある人がやって来た。
「この方は先代……あぁ、お前のじいちゃんのことだ。先代が仲良くしていた剣士さんでな、ある組織で長年剣を振るっていた方なのだ」
父が紹介したその人に俺は目を見開いて固まる。
顔に大きな十文字の傷を持ち、長すぎる眉毛に膝まで垂れる長い髭をたくわえ、身体は歳の割にはガッシリとした仙人のような姿の老人。
BLEACHにおける死神の組織、護廷十三隊の一番隊隊長および十三隊の総隊長……山本元柳斎重國その人だった。
すげぇ、本物だぁ……!感動している俺に父が口を開く。
「元鬼殺隊の山本重國さんだ!」
「なんだパチモンじゃねぇか」
「ふんんぬっ!」
つい出てしまった言葉と同時に父の拳骨が炸裂した。
俺はこの爺さんのもとで剣を習うことになった。せっかくだし山爺と呼ぶことにした。
元鬼殺隊ということはきっと全集中の呼吸というトンデモ技術も学び鬼殺隊に入ることになるんだろう。鬼道と呼吸使えるなら悪くないと思ってたけど呼吸だけじゃあねえ?結局鬼と戦うことになっても普通に死にそうでめちゃくちゃ嫌なんですけど。
だがそんなことはお構い無しに山爺の住む山の中の小屋で修行が始まることになった。
その山は屋敷のすぐ近くにある山で、山爺はここで隠居生活をしていたらしい。
そして小屋に着き最初に言われたことは、
「とりあえずお前さん弱すぎるからの、まず身体を鍛えようかの」
そこからは地獄の日々だった。
ひたすら筋トレや山での走り込み、主人公の炭治郎がやっていたような山に備えられた罠をかいくぐって下山する修行など、ひたすらに身体を鍛えたり、剣の基本的な使い方を教わるだけの修行が3年続いた。その間、鬼や鬼殺隊のことは教えてくれたが、呼吸のことは何一つ教えてもらえなかった。
そして3年が経った10歳のある日。
背は伸び、筋力や体力も最初に比べればかなりついてきた頃。
山から家まではそう遠くないため、普段は暗くなる前に山を降り家に帰って、また翌朝に山へ来るという生活をしていたのだが。
今日はいつもより調子がいいからと、いつもより遅い時間まで鍛錬に励んでいた。
気づけば日は落ちかけ、暗くなっていたため足早に帰り支度して小屋を飛び出す。山爺が何か言っていたが、俺はお構い無しに山を降り始めていた。
急いでいるとミスをする、とよく言うがそれは本当らしい。
普段ならありえないような平坦な場所で躓いた俺は、それはもう見事にすっ転んだ。なんならゴロンゴロン岩のように転がり落ちた。おむすびころりんといい勝負ができそうなくらいである。
「痛たたた、死ぬかと思った……」
日頃の修行のおかげか、なんとか受け身をとる事ができて大きな怪我はなかった。軽く動いて確認してみるがどこも折れた感じはしない、傷らしい傷といえば腕から血が出ているくらいだろう。
そんな腕から土を払おうとしたその時だった。
「血ダァ、人間の血の匂いがするぞォ……この美味そうな匂い、稀血だな?しかも濃い、濃ゆいぞォこんなに濃い稀血は初めてダァ、けヒヒヒ!」
不気味な言葉とともに草木を掻き分けて現れたソイツに俺はぽっかり口を開けて固まる。
人の形を成しているが人とは思えぬ血色の悪い肌、血走ってバッキバキになっている眼。どっからどう見ても鬼である。
目の前のソイツが鬼だと認識した瞬間、俺は駆け出した。
「待てや稀血ィィ!喰わせろやああぁぁ!!」
「なんで鬼いんだよチクショー!刀も何も持ってねぇし逃げるしかねぇじゃん!しかも俺稀血なのかよふざけんなァァ!!」
雄叫びを上げ追ってくる鬼に恨み節を叫びながら全速力で山を駆け下りる。どうやら俺は稀血という1人食べるだけで50~100人分の人間を食べるのと同じだけの栄養を得られる鬼から見たら最高のご馳走らしいです。
使いたかった鬼道はまったく使えず、ただただ危険が増える稀血とかいうハズレくじを引かせてくるだなんて、神様霊王様もしかしてケンカ売ってる?ぶん殴っていい??
そんなことを思い半泣きになりながら走るがやはり鬼の身体能力には勝てないようで、次第に距離が縮まっていく。
鬼に肩を捕まれ、もう駄目だお終いだぁ……と諦めたその時、
「シィィッッ──!!」
背後から何か塊がものすんごい勢いで飛んできた。
気づいた時には身体は宙に浮き、そのまま近くの木の幹にぶつかり尻もちをついていた。そして目の前で起こったことに目を見張る。
「万象一切灰燼と為せ──」
死神の呼吸 壱ノ型 流刃若火
「どけ!ジジ……イッ!?ぁ……」
抜刀したその瞬間から刀が炎に包まれ、その赫い炎を纏った刀の一振りで呆気なく鬼の頸を吹き飛ばしてしまった。
それを見届け静かに刀を納めたその人はこちらを向いてため息をつく。
静かだが放っている気迫はなかなかなもので、山爺だと最初は気づかなかった。
「まったく、人の話はしっかりと聞くべきじゃぞ。近頃この辺りで鬼が出たとの連絡があったから送って行くと言おうとしたのに、飛び出して行ってしまうんだもんのぉ……」
未だ尻もちをついたままの俺を抱き起こしポンポンと服の土煙を払ってくれた。
「儂が来るまでよく逃げ延びたな、怪我は……腕だけか。む、腕だけ!?よくそれだけで済んだな!?日頃の鍛錬の賜物か?」
俺の怪我の具合に驚いたような顔をしている山爺に俺は、
「……パチモンとか言ってごめんなさい」
いつの日にか言った言葉に謝罪をした。
その日は山爺に家まで送ってもらった。
翌日、俺はこれまで通りに山爺の住む小屋へと向かった。いつものように修行を始めようとすると、山爺から呼び止められ一冊の本を手渡された。
「お前さんにもそろそろ呼吸を教えてやってもいい頃合いだ」
昨日のこともあってか、ついに全集中の呼吸を教えてくれるらしい。
俺が本のページをめくったところで山爺は語り始める。
「儂の使う呼吸は『死神の呼吸』というものじゃ。過去数百年、鬼との戦いにおいて時折『死神』と呼ばれる剣士達がいた。その者達は鬼達も恐れるほどの強さの優れた剣の腕の持ち主でな。お主に渡したその書によれば、その刃で鬼となった者達の罪を洗い流し魂をあるべき場所へ送るという。故に死神と言われたとされている。
そしてその書に記されている十三の型を総じて死神の呼吸と呼ぶ」
山爺の説明や本に書かれていることを読み俺は苦笑いを浮かべる。
……どう考えても護廷十三隊の隊長達である。
技名やその詳細が明らかにBLEACHにて隊長と呼ばれていた人達のものなのだ、ちなみに使用した人達の名前はやはり微妙に違っているパチモンである。みんな惜しいんだよなぁ、ほんとちょっと違うだけなのよ。
例えば、壱ノ型の生みの親が『山本元柳斎重吉』となっている。うん、一文字違い……。
いやしかし、この書を読んでいて思う。明らかにただの刀じゃ再現できなくね?
できそうな技もなくはないが、そういう技がチラホラ見受けられる。
毒とかどうしろってんだよ、そんなもん持ってねぇぞ。幻覚見せるってお前日輪刀でどうやってそんなことしてたの?普通に無理じゃない?
特殊な能力を持つ斬魄刀だからできていたものばかりじゃないか。
子供の頃一度は憧れた卍解!と叫んでカッコよく戦うアレができるかもと期待したが、その期待も打ち砕かれようとしている。鬼道の事といいふざけんなよほんとに……。
ちなみに山爺もこの本を持っているが壱ノ型の流刃若火しか習得できなかったそうだ。壱ノ型が自分の祖先のものだったということでかそれにしか適正がなかった、とか言っている。
俺アンタより祖先とかほとんど関係ないけど大丈夫そ?壱ノ型すら継承できるか危ういよ?
まぁこの世界では本当に炎とか出るわけではないからな、昨日の山爺の剣だって炎のエフェクトが見えてしまうほどすごい剣技だったっていうだけだし。炎の呼吸みたいなもんだもんな、案外イけるのかも。
山爺いわく、壱ノ型はしっかりと教えてやるから他の型はその書を読んで自分でどうにかしてくれとのこと。放任主義かよと呆れそうになったが一つの型教えてもらえるだけマシだとなんとか自分で自分を言いくるめた。
流刃若火かっこいいし使えるようになるんなら普通に嬉しいしね。
そんな感じでいままでの訓練に加え、呼吸の習得を目指す修行も始まった。
「よし、7日後に鬼殺隊の入隊試験である最終選別が行われる。お主ちょっくらそれ行って受かってきなさい」
あれから2年が経ち12歳を迎えた俺に、山爺が当たり前のようにとんでもないことを言ってきた。
「山爺自分で言ってたよな?最終選別は毎年死者も出る過酷な試験だって。ちょっくら行って受かるワケないだろ」
「五年間お前さんを見てきたからこそ言えるんじゃ。お前はもう選別を突破できる身体と技術を持っておる」
「いや技術ってあんた、俺まだ型を七つ使えるかどうかってとこですよ?ようやく半分折り返し〜ってとこなんだけど」
早まったことを言う山爺に待ったをかける。だいたい半分使えるかも!なんていう中途半端な状態でいけるワケねぇだろ殺す気か?
「いいや、それだけ扱えれば十分。初めて剣を握ったにも関わらず大人を吹き飛ばしたという話はもちろん、この五年見てきてよく分かった。
お前は剣の扱いにおいては神童と言っても過言ではない。呼吸を使わずとも弱い鬼なら簡単に斬り伏せられるはずじゃ。もう教えるべきことは全て教えた。さぁ行け、行くのじゃ……」
「持ち上げてヨイショしたからって納得するとか思うなよ?ガキだからって舐めるなよ?」
「もう教えるべきことは全て教えた。さぁ行け、行くのじゃ……」
「……ねぇ話聞いてる?聞こえてる?歳でついに耳遠くなったか」
「もう教えるべきことは全て教えた。さぁ行け、行くのじゃ……」
「そんな繰り返すんじゃないよ、NPCかよオイ。そして頭を鷲掴みにしないで、ちょっ…………耳遠くなったとか言ってゴメンナサイ!」
「もう教えるべきことは全て教えた。さぁ行け、行くのじゃ……」
「……。」
「もう教えるべきことはすべ──」
「そんな、あんまりだよ。こんなのってないよ……」
こうして俺の最終選別行きが決まった、というか決められてしまったのである。
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「……ってのが俺、
「酷い目に遭った……という所には同情しますが、未来から生まれ変わってきたとかそういう嘘はよくないです。そういうことばかり言ってると周りから信用されなくなりますからね!」
「いやぁ辛辣だねぇ!ねぇなかなかに酷くない?しのぶちゃん俺ウソついてないよ?ほら見て俺のこの曇りなき
「はいはい、大変でしたねーすごいすごい」
「あぁダメや、この人まるで信じちゃくれねえ……!」
藤の花を身体にグルグルと巻き付け身を寄せ合ったまま、俺はがっくりと項垂れた。
なぜこうなっているか、せっかくなので数日前のことから語ってみようと思う。
感想や評価もよかったらお手柔らかにおねげぇーします。
よくある主人公の設定集みたいなのあった方よろしい?プロフィールやら技の設定的なのを書く感じになると思われ
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当たり前やろ書けや
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いらんわそんなのよりはよ続き書けや
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とりあえずカナエさんは今日も美しい