鬼のいる世界で死神を気取る   作:りんごあめ

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戦いませんが刀は抜きます。


16.おめでとう柱、グッバイ日輪刀

「……んん…」

 

 意識が呼び起こされゆっくりと目を開く。まだ頭はぼんやりとしていて考えはまとまらないが自分の状況は察せられる。

 

 鬼を倒した。それも十二鬼月の。やはり普段戦っている鬼とその強さは別格でかなりの苦戦を強いられた。

 そうして激闘の末、満身創痍になりながらなんとか勝利をこの手に収め、プツンと糸の切れたように倒れ意識を失った……気がする。

 

 ということは、だ。これはいつものやつである。原作でも何度かあった。任務を終え目が覚めるとそこは蝶屋敷で、「あ、〇〇さんが起きたー!よかったー!」となるお決まりのやつである。

 

 そうなれば俺のやることは一つ、ぼんやりとしながらボソッこう呟くのだ。

 

「ここは蝶屋敷……!知らない天井だ……」

 

「いえ、ここは藤の花の家紋の家ですよ。おはようございます、気分はいかがですか〜?」

 

 

 マジで知らない天井だった。

 

 

 ひょこっと顔を出し俺の顔を上から覗き込むしのぶちゃんに、苦い顔をしておはようとだけ返した。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「いやぁ〜しっかし、またしのぶちゃんに助けられちゃったな。倒れた俺をここまで運んでくれるとは、感謝感謝です」

 

「いえ、これくらい当然のことなので気にしないでください。あの鬼は護廷さんもいなければ倒せなかったんですし」

 

「そう?じゃあお言葉に甘えてふんぞり返っとくわ。しのぶちゃん、リンゴおかわりー!」

 

「気にするなとは言いましたがもう少し遠慮というものを覚えた方がいいですよー?リンゴはいま剥いてるのでちょっと待ってください」

 

 ニッコリ笑って即答された。うーん、親しき仲にも礼儀ありと言うし俺結構礼儀とかは大事にしてるつもりなんだけどなぁ。しのぶちゃん以外には。どうして伝わらないんだろう?

 

 

 

「本当に身体はなんともないんですか?」

 

「しのぶちゃんも疑り深いね、さっき自分でも見たでしょ?目に見える傷はすっかりなくなってるし身体はどこも痛くないよ。正直、今すぐにでも次の任務行けちゃうくらい身体は元気だね。まぁ、気分は乗らないから死ぬほど嫌だけどさ」

 

 二人でリンゴを頬張りながらそんな話をする。

 なんとびっくり、ついでにしのぶちゃんもびっくり。昨晩の戦いでできた傷はすっかり跡形もなく消えていた。

 術を解くために打ちつけてぱっくり割れた額も傷一つなかったしおそらく打撲もいくつかあったはずなのに、目覚めてからというものどこにも痛みがないのだ。

 試しに布団から起きてピョンピョン跳ねてみたり思い切りバク転してみたり、ブリッジして屋敷の中を這い回ってみたりしたのだが何ともなかった。

 

 ちなみに屋敷を這い回った後、ついでにそのまま外に出ようとしたところしのぶちゃんに見つかり、思い切り頭をはたかれて脚を引きづられる形で部屋に連れ戻された。

 

 傷一つない体に新たに傷ができた気がするのは気のせいだろうか……?

 

 

「受けた傷があっという間に元通り……そんなのまるで」

「まるで鬼みたい、だよなぁ」

 

「……。」

 

 しのぶちゃんの言葉を遮りそんなことを言ってみれば、彼女はちょっとばかり顔を強ばらせる。

 

「本当に意味がわかりません、護廷さんあなたに一体何があったんですか?ほんとは何か知ってるんじゃないんですか?」

 

 真面目な顔でこちらを見るしのぶちゃん。さて、どうしたものか。正直に話した方がいいのか?

 血鬼術をくらったらたまたま、「プルプル!僕、悪い鬼じゃないよ!」って言ってるはぐれ鬼を拾ってシェアハウスすることになったんだよねって?……うーんこれ絶対揉めるやつだな。よし黙っとこ。

 

「さぁね。でもよくない?謎が謎を呼ぶ色男!しのぶちゃんもそういうの好きでしょ??」

 

「いえ、全く。むしろ怖いですちょっと近づきたくないかもしれませんね」

 

「あはは、さっすがしのぶちゃん!辛辣だねぇ〜」

 

 秒で罵倒されておもしろおかしく手を叩いて笑う。そんな俺を横目にはぁ〜とクソデカため息をついているしのぶちゃんにまぁでも、と言葉をかける。

 

「それでも俺は今もこれからも変わらず護廷十三朗だよ。それだけは断言できるぜ?」

 

 少しばかり真面目な声色でまっすぐ目を見てそう告げると、彼女は再びため息をつく。

 

「まぁ確かに、付き合いが微妙に長いせいか今の言葉、あなたが嘘を言っていないということは分かります」

 

「うんうん、そうだよね。さすがしのぶちゃん、将来俺の義理の妹になるだけのことはあるね!」

 

「あなたと姉さんの結婚だけは絶対に認めないのでそんなことには絶対なりませんからね〜変な勘違いしちゃダメですよ〜?」

 

「あ、あはははっ、あの冗談だから!冗談だからそんな手の皮つねるのやめてでででででッッ!」

 

 俺の言ったことにピキピキしながら手を全力でつねるしのぶちゃん。

 やっぱり任務が終わった今の方が身体にダメージを負っています間違いないです。

 

 そんなこんなで二人で騒いでいたそんな時、

 

 

「随分と騒がしいな。そんな大騒ぎをする暇があるのか」

 

 

 抑揚のあまりない静かな声が俺達の耳に届いた。

 誰だと声の主に目を向けるとそこには。

 

 俺よりは短いが長く伸びた黒髪を首の辺りで一本にまとめ、右半分が無地・左半分が亀甲柄の片身替りの羽織りを着た男が立っていた。

 

「「あ、あなたは……」」

 

「水柱・冨岡義勇だ」

 

 まさかまさかの柱が俺達のもとへとやってきた。

 

 

 

 

 

 

「え、えーと富岡さんはどうしてここへ?」

 

 堂々と登場こそしたものの、何も言わず俺達の前を素通りし、少し離れたところへ座った富岡さんに困惑しながら問いかける。

 

「……十二鬼月の出現による応援の要請を受けここに来た。以上だ」

 

「アッ、ハイ」

 

「護廷さん護廷さん……」

 

「……なんだいしのぶちゃん」

 

 俺の問いかけにワンテンポ遅れて答えた後、そこからは黙りこくる富岡さんを見て困った表情を浮かべたしのぶちゃんが俺に耳打ちしてくる。

 

「どうしましょうか。柱に応援に来ていただいたのはありがたいんですけど、もう鬼は私達が倒してしまいましたし……何か話しかけてくる様子もないので正直にこちらからお伝えしたほうがいいですよね……?」

 

「そうだね……せっかく来てもらったとこ悪いけど俺らが教えなきゃ話進まなそうだしなぁ……」

 

 一応富岡さんには聞こえないようにひそひそと話を進める。こほん、とわざとらしく咳払いをしたしのぶちゃんが声をかける。

 

「あの〜せっかく応援に来ていただいたところ申し訳ないのですが、鬼は昨晩私達が討ち取ってしまったのですが……」

 

 申し訳なさそうな顔でそう語りかけると静かにこちらを向いた富岡さんは一言。

 

 

 

「……?知っているが」

 

「「エッ……」」

 

 なに当たり前のこと言ってんだと言わんばかりの顔で呟いてきた。

 

 いや、じゃあ何しに来たんだよあんた。

 

 しのぶちゃんと顔を見合せこれはどうしたもんかと固まっていると、こちらに新たに近づいてくる足音が一つ。

 

「あっ、富岡様もうこちらにいらしてたんですね!

 あ、お二人とも無事で本当によかったです!!」

 

 俺達の気まずさを知ったことかと吹っ飛ばすかのように、明るい顔をした青島くんがやってきた。

 

 

 

 

「へ〜青島くんが応援を呼んでくれたのか」

 

「はい!お二人が任せろと力強く言ってくれたあの後、このままここで俯いてるだけではダメだと思い自分にもできることをしようと思ったんです。

 十二鬼月という非常に強い鬼だというお話だったので、応援を頼む手紙を書いて鎹鴉を飛ばしたんです。まぁ結果としてその必要はなくお二人が倒してくださいましたがね」

 

 応援なんて頼んでないぞと思っていたが、どうやら青島くんがそれをしていてくれたらしい。あんなに心を打ちのめされていたのにすぐに行動をおこせるとは彼もなかなか立派だな。

 

 

「話は済んだか」

 

 その後も少々青島くんとこれからどうするのかなど三人で談笑いると、話の落ち着いたところを見計らってかずっと黙っていた富岡さんが声を上げた。

 

「あ、はい。何かお話があるのでしょうか」

 

 しのぶちゃんが首を傾げると富岡はあぁ。と頷いて続ける。

 

「応援の他に一つ、お館様から伝言を預かっている、お前達が十二鬼月を討伐できた場合のものだ。

 階級が共に『甲』であるお前達が十二鬼月を討った。これにより定めらている『柱』への昇格条件を満たした。これからお前達を正式に『柱』として迎え入れたい、一度産屋敷邸に来て欲しいとのことだ。以上、失礼する」

 

「え、あっ…ちょっと!」

 

「行ってしまいましたね、なんて一方的な方なんでしょう……」

 

 突然饒舌に口を開いたかと思ったら、あっという間に部屋から出ていってしまった。さすがは富岡さん、コミュニケーションというものをまるで分かっちゃいねぇ……!

 

「ま、まぁ何はともあれおめでとうございます!お二人とも柱になるんですね!!」

 

「あ、あぁ。でもいざそうなるとちょっと実感湧かないな……」

 

「えぇ、というかこれは富岡さんが悪い気がします。あんなにあっさりと告げてそそくさと去っていかれては情緒もへったくれもありませんよ」

 

 

 

 

 一年前からの目標を叶えられたというのにも関わらず、以外と飛び跳ねて喜ぶという気も起こらず最終的には富岡さんが悪い、みたいな話になり、俺達は藤の花の家紋の家を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 翌日、俺としのぶちゃんは産屋敷邸を訪れていた。俺は二度目の訪問だがしのぶちゃんは初めてということもあり、心做しかいつもより緊張した面持ちになっていた。

 

 ちなみにそんな面持ちをした彼女に、「あれ、いつにもまして怖い顔してるね。もしかしてお昼食べ過ぎてお腹でも痛い?ダメだよ腹八分目くらいがちょうどいいんだからね〜?」なんておどけてみせたら思い切りケツを蹴り飛ばされました。

 これからお館様との謁見だというのにケツが痛くて仕方ないです……。

 

 

 

 

 

「やぁ、二人とも今日は来てくれてありがとう。二人とも思っていたより元気そうでよかったよ」

 

「ありがとうございます。お館様におかれましてもご健在で何よりでございます」

 

 お館様にしのぶちゃんがお決まりの言葉で返し、姿勢を低くし一緒に頭を下げる。

 

 ちなみにしのぶちゃん、挨拶を間違えるわけにはいかないと意気込んで、昨日カナエさんに何度も確認して練習していた。

 そんな心配なら俺が言うよと提案したものの、

 

「ダメです、護廷さんは黙っててください。絶対に」

 

 と、念押しされてしまった。さすがに信用なさすぎてちょっと泣きたくなったけどまぁたまには言うこと聞いとこうと思い挨拶は彼女に譲った。

 

 

 

「今日来てもらったのは他でもない、君達二人が十二鬼月を倒してくれたことについてだ。

 まずはお疲れ様。十三朗、しのぶ、よく頑張ったね」

 

「恐縮でございます。……まぁ我々にかかれば十二鬼月なんてちょいのぢょッッ!?!?…………こ、これからも自分の力を過信せず鍛錬に励み任務へ向かいたいと思っております……。」

 

 後ろから思い切り背中をつねられ、痛みに悶えて声を震わせながらお館様に答える。まったく、しのぶちゃんたらお館様の前だというのにまるで容赦がないな!…………やばい、これ絶対蝶屋敷に帰ったらキレられるな。今のうちに逃げる準備しとこうかしら。

 

 

「ふふ、謙遜しなくてもいいんだよ。

 それでだ。今回の結果により君達は共に柱になる条件を満たした。

 現状、鬼殺隊はいつも人手不足だ。そして柱に頼らざるを得ないことが非常に多い。既に柱となっている子達の負担を少しでも減らすためにも、ぜひ二人にもこれから柱として任務に励んでほしい。やってくれるかな?」

 

「お館様からのご提案、誠に光栄でございます。

 私事ですが元花柱であり姉のカナエが柱を引退したあの日から私が姉の意志を継ごうと鍛錬に励み、任務を遂行してまいりました。柱となりお館様の力になること、本望でございます。ぜひともこの度のご提案お受けさせていただきたいと思います」

 

 本題に入り問いかけてきたお館様にしのぶちゃんがまっすぐ前を見つめ答える。そうか、とゆっくり頷いたお館様が今度はこちらへ顔を向ける。

 

「十三朗はどうかな、柱になってくれるかい?」

 

「自分も同じ気持ちです。柱となりお館様は勿論、他の隊士の力になりたいと思っています。……それに以前お館様とお話しした際にお約束しました、柱となる条件を満たし空席があるのなら……その時は喜んで引き受けさせていただくと。あの言葉に嘘はありません」

 

 昔の俺は柱なんて仕事増えるしめんどくさいとか思っていたがもう違う。あの日、カナエさんの涙を見てしのぶちゃんと決めたのだ。彼女を泣かせたアイツを倒すために柱になるくらい強くなるんだと。

 

「そうだったね、約束覚えていてくれて私も嬉しいよ。ありがとう」

 

 俺達の答えを聞いてお館様は嬉しそうに微笑んだ。

 

「さて、無事二人の気持ちも確認できたしこれからの話をしよう。ちょうどいいことに一週間後、柱合会議があるんだ。そこで他の柱に君達のお披露目をしよう。その際に二人の柱としての称号も命名する、という形でいいかな?」

 

「はい、異論はありません」

 

「自分も、異論ありません」

 

 なるほど、なかなかにグッドタイミングだったらしい。一週間には早速あのピリついてそうな柱合会議に参加かぁ。原作を読んでいた身としては柱の面々に会えるのは楽しみだけどちょっと怖いなぁ。絶対こんなヒヨっ子認めねぇとかいう奴いるやん、まぁ誰とは言わないが。

 

「それまでは二人ともゆっくり休んでいてくれて構わないよ。刀へ文字を刻む作業も必要になるしね

 それじゃあ、柱合会議で会えるのを楽しみにしているよ」

 

 

 

 

 

 こうして俺達の柱就任が決まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 蝶屋敷に戻るといつもより数段豪華なご馳走が並んでおり、しのぶちゃんから小一時間ほどお説教を受けた後、俺達の柱就任お祝い会が盛大に開かれた。そこで産屋敷邸でガチガチに固まっていた俺達の肩の荷も降り、それはもう見事に夜までどんちゃん騒ぎした。

 

 

 

 そうして翌日。

 

 

「うぎゃぁぁぁぁああぴやぁああああ!?!?!?」

 

「もうなんですか!朝からうるさいんですけど!!まぁ叩き起こす手間は省けるのはいいんですけど!」

 

 俺は朝っぱらから思い切り喉を振るわせ汚い高音の悲鳴を上げていた。

 

「だっ、だってぇ!ほら、ほらコレェ!」

 

 勢いよく扉を開け眉を吊り上げるアオイちゃんに半泣きになりながら手に持つ物を指さす。

 

「え、なんです?あーそれですか、昨日見たので別に何とも思わないんですけど」

 

 慌てふためく俺とは打って代わり、落ち着き払った様子でため息をつくアオイちゃんに俺は首を傾げる。

 

「え、えぇ……昨日?なんのこと……?」

 

「えッ、覚えてないんですか、なんで……?」

 

 鼻水をすすりながらきょとんとする俺に苦い顔をするアオイちゃん、そんなところに。

 

「もぉ、朝から騒がしいですね。また護廷さんが起きないんですか?アオイ、そういう時は思い切り手や背中の肉でもつねって……て、あら珍しく起きてるじゃないですか」

 

 苦笑いしながらなんだか怖いことを言うしのぶちゃんがやってきた。

 

「どどど、どうしよしのぶちゃん!というかいつの間にこんなことに……!そうは見えないかもしれないけどね、俺実は今めちゃくちゃ焦ってるんだよ」

 

「いえ、誰の目から見ても焦って慌てふためいてます。それで?どうしたんです?」

 

 めんどくさいと言わんばかりに目を細めるしのぶちゃんに手に持っているソレを突き出す。

 

 

 

 

 

 

「これ!俺の日輪刀が真っ二つに折れてんだけど!?!?」

 

「あーそれで騒いでたんですか。昨日自分でへーきへーきってヘラヘラと笑ってたじゃないですか」

 

「ん?何の話、自分の刀が折れてそんなヘラヘラしてられる奴なんているわけないじゃん?」

 

「それがあなたって言ってるんです!もうっ、さては寝ぼけてますね?ほら昨日のお祝い会の時に……」

 

 俺のほっぺを引っ張りながらピキピキなさってるしのぶちゃんが語り出す。

 

 

 

 昨日のお祝い会、久しぶりのおめでたな出来事にみんな大いに盛り上がり、豪華な食事ともに話に花を咲かせていた頃。

 

「ハーイ!みんな盛り上がってるしせっかくなのでかくし芸大会しマース!!」

 

 突然俺が手を上げそんなことを言い出した。

 

「ヨシ!それじゃあカナヲちゃん、ちょっと手伝って。このリンゴを一個ずつ俺の方に放り投げて!」

 

 そう言われきょとんと固まった数秒後、硬貨を投げこくんと頷いたカナヲちゃんはリンゴを手に取り、少し離れたところへ立った俺の方にポイとそれを放った。

 

 それを見た俺はすかさず抜刀、落ちてくるリンゴの下に刀を向かわせサクッとリンゴを突き刺した。それを更に続けて三個、放られたリンゴをまるで串のように刀を使いキャッチしてみせた。

 

「ほいっと、こんな感じで刀でリンゴを簡単に拾い上げることもできちゃいまーす!必勝リンゴ剣、受けてみよォ〜……なーんてね!」

 

「わ〜すご〜い!」

 

「「「わ、わあ〜」」」

 

「もう、まったくなにしてんるんだか」

 

「相変わらずしょうもないことしかしないですね……」

 

「…………。」

 

 パチパチと手を叩いて笑うカナエさんに苦笑いするすみちゃん達三姉妹、呆れたように鼻で笑うしのぶちゃんとアオイちゃんに黙ってこちらを見つめるカナヲちゃん。

 色んな反応する面々にどーもどーもとお辞儀をする俺にため息まじりにしのぶちゃんが声を上げる。

 

「そのリンゴどうするつもりですか、ちゃんと食べるんですよね」

 

「あーそれは大丈夫。刀はちゃーんと綺麗に洗って拭いたうえでやってるんで、問題なく食えるよ。あ、心配なら加熱してアップルパイでも作っちゃおうか!」

 

 そんなことを言いながらくるくると小さく円を描くように刀を回している時だった。

 

 

 

 

パキーーン!!

 

 

 

 

 甲高い音が鳴って刀を握っていた右腕で感じていた重さが一気に軽くなった。

 

『『あ。。』』

 

 みんな声が揃う。視線の集中する先には、リンゴが突き刺さったまま真っ二つ折れ床に転がった刀身の上半分。そんなリンゴ剣の残骸を見ながら俺は。

 

「アッ!オレタ!あちゃーリンゴ剣ダメだっかーまぁとりあえず気にしないで。じゃっ!俺はこれ使ってアップルパイ作ってくるから!」

 

 そうして俺はリンゴを一個ずつシュポシュポ引き抜いて台所へと向かった。

 

 それから折れた刀を回収して部屋に戻って就寝して…………。

 あー、あーそうじゃん。

 

 

 

 

 

 

 

 

「リンゴの重みに耐えきれず折れたんだった。浮かれすぎて忘れてた」

 

「なんで忘れてるんですか酔っ払いですか……」

 

 忘れていた記憶を思い出しガックリと頭を抱えた。

 

「いやぁ〜楽しくなると記憶飛んじゃうタイプでさ、酒飲んで酔ったみたいに」

 

「そんな人いてたまるもんですか!もうほんと護廷さんってわりとバカですよねー」

 

 しのぶちゃんにはツッコミついでにあれこれ言われてきたが、ついにバカとまで言われてしまった。

 

「まぁいいんじゃないですか。どの道今日は刀鍛冶の人に一度来てもらう予定でしたし、刀も色々と改良してもらえるよう提案するつもりだったんですよね?ついでにリンゴ刺して折っちゃいましたって言えばへっちゃらですね!」

 

「ん〜そうなると……うん、俺死ぬな絶対」

 

 刀鍛冶は皆プロ意識が高い故に時に刀に何かあれば鬼のように暴れ狂う。無論、俺の担当も例外じゃない。待っているのは『死』一択である。

 

「接着剤でくっつかねぇかなあ〜」

 

 そんな小学生みたいなことをボヤきながら俺は刀鍛冶の人が来るのを待つことになった。

 

 

 

 

 

 

 

「ほぉ〜ん刀を真っ二つねぇ〜よくもまあこんな綺麗にへし折ったなぁ」

 

「あ、アハハ、この間すごく厄介な鬼と戦ったのでね、だいぶ刀にも無茶させちゃったみたいで……」

 

 お昼過ぎ、やってきた担当の刀鍛冶である鋼野さんが蝶屋敷の玄関に足を踏み入れた瞬間、それはもう見事なスライディング土下座をしたおかげか、刃物を持って追いかけ回されるなんてことはなく、背負い投げ一本だけで事なきを得た。

 まぁ十二鬼月とギリギリの戦いを繰り広げていたし、刀が消耗していたのもあながち嘘ではない。まぁトドメを刺したのはリンゴだったんだけどね……。

 

「まぁ、折ったことはほんとすみませんでした。それでなんですが……どうでしょう、新しい刀の提案書読んでもらえました?」

 

 せっかくだし刀に悪鬼滅殺の四文字を刻んでもらうだけではなく、刀も思い切り日輪刀を大改造してしまおうと考えたのだ。柱になるんだしそのくらいいいよね。原作見てると自身に合った特殊な刀を使ってるし柱も何人かいるし。

 

「あぁ。しっかり読まさてもらったぜ。大したもんだよまったく……」

 

「おっ!それじゃあ……」

「刀ナメてんじゃねぇぞクソがあああ!!!」

 

「どわぁぁぁあ!?」

 

 嬉々として前のめりになる俺に鋼野さん渾身のアッパーが炸裂した。そして肩で息をしながら話し始める。

 

「こんなふざけた物を盛り込んだモンを俺は刀だなんて認めるかチクショウ!俺が打つのはその刃一つで敵を斬り裂き持ち主を、人々を護るモノだ!こんなあの手この手やってやろうってモンは刀じゃねぇ!!」

 

 なるほど、やはり彼も職人。職人には職人のプライドってものがあるんだろう。彼の言うことも一理ある。しかし、

 

「そりゃ失礼しました。でもね、俺にも意地ってもんがあるんス。多くの人の命を一つでも多く救えるように、涙を流す人を一人でも減らせるように……そのための力が欲しいんです!あなたの意思に反する物だとしても、なんとか打ってもらえないでしょうか!?」

 

 負けじと食ってかかる。そんな俺を見た鋼野さんはふぅ、とひと息吐いて座り直す。

 

「まぁなんだ、お前の気持ちも分かる。カッとなって悪かったな。確かに既に柱の中には特殊な形や機能を持った刀を使ってるヤツもいるし。それを全否定する気はない。

 結論から言うと俺にはお前の求める刀を打つことはできない。普通の刀なら誰にも負けない立派な最高級の刀を打てる自信がある。だがそういう特殊なのは無理だ。単に俺の力不足、悪いな」

 

 冷静になった彼が静かに語った。彼の言ったことには納得したがしかし困ったな。これまで通りの刀ではきっと限界がくる。十二鬼月の下弦相手に二人がかりでギリギリだったんだ。

 今のままでは俺の使う死神の呼吸を完全には活かしきれない。悔しいが剣の腕だけでなく別の手で戦う手段を増やさなければならない。

 

「あ、そうだ!里長さんはどうでしょう?しのぶちゃんの刀を作った方ですしあの方なら……」

 

「ん〜できなくはないかもしれんがな、彼女も刀の調整をしたいって言ってんだろ?おそらくそっちに付きっきりになるだろうし、お前の奇天烈な刀を一から作る余裕があるとは思えねぇぞ」

 

「あっ、そういやたしかに言ってたな……明日里に行ってくるって」

 

 しのぶちゃんもこの間の戦闘でいろいろ思うことがあったようで、里で刀の改造することにしたって今朝言ってたなぁ……。

 

 

「どうしよ、他にいませんかね?特殊な刀作れそうな刀鍛冶さん」

 

「他の柱の剣作ってるヤツらもなぁ、最近忙しそうにしてるみたいだしなぁ…………あッ」

 

 腕を組んで悩んでいた鋼野さんが突然思いついたような声を上げた。

 

「おっ、もしかしています!?どうか、どうか紹介していただけませんでしょうか!!」

 

 そんな彼へ拝むように手を擦り合わせ頭を下げる俺に、鋼野さんは少し悩んだように唸った後、小さく息を吐いた。

 

「いるにはいるが、あまりオススメはできんな……里の中でもかなりの変人として知られてるヤツだし」

 

「へぇ、いいですね。仲良くできそう」

「まぁ確かに同じ変人同士仲良くできるか」

 

「えっ?」

「ん?」

 

 ……なんかさりげなく貶された気がするけど気のせいだろう。

 

「まぁ紹介はしといてやる。明日胡蝶の嬢ちゃんと一緒に来るといい」

 

「ありがとうございます!ちなみにどんな人なんですか?かなりの変人って言ってましたけど」

 

「そうだな、ソイツは元々鬼狩りの剣士だったんだがな、急にそれを辞めて里に住み始めたんだよ、里長に直談判してな。そんでそれからというもの刀はもちろんだが、他にもよく分からん物の研究なんかをして時々変なものを作ったり……まぁやりたい放題よ。名前は確か………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 浦原黄助。」

 

 

 

 ん〜なんだろう、新たなパチモンの匂いがしますね、ハイ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




・不定期開催!大正コソコソ噂話・

今回の富岡さんのお言葉

「随分と騒がしいな。そんな大騒ぎをする暇があるのか」
→隊士からは二人とも負傷して帰ってきたと聞いたが、随分と騒がしいな。そんな大騒ぎする暇があるほど元気だったのか、それはよかった。

「話は済んだか」
→話が思いのほか盛り上がっているな。俺も話があるのだが話が落ち着くまで少し待ったほうがいいだろう。…………む、話が終わったみたいだな。よし話しかけよう、念の為話しかけていいか確認してからにしよう。話は済んだか?

と、言うことを考えていたらしいですよ。

護廷「え、そんなこと考えてくれてたのか。全然分からんかった。
感動〜!富岡さん案外優しいのね!」

しのぶ「そんなこと言ったら富岡さんに失礼ですよ、思っててもそういうのは言っちゃダメですからね〜。というかこの前も似たようなこと言ってませんでした?」

護廷「それは自分も思ってたって言ってるようなもんですよしのぶちゃん?
まぁそれは仕方ないんだちょっとロスになっててね、しばらくしたら治まるから気にしないでね……」


主人公のプロフィール作るかのアンケート今のところカナエさん票が1番多いので、このままだと護廷くんによるカナエさん観察日記を書くことになりそうです。

よくある主人公の設定集みたいなのあった方よろしい?プロフィールやら技の設定的なのを書く感じになると思われ

  • 当たり前やろ書けや
  • いらんわそんなのよりはよ続き書けや
  • とりあえずカナエさんは今日も美しい
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