鬼のいる世界で死神を気取る   作:りんごあめ

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4.鬼と妖怪は畑違い

 ようやくゆっくり休めると思ったのも束の間、また任務に駆り出されてしまった俺は目的地の村に到着しすぐに目についた甘味処に吸い寄せられるように入っていき、団子を頬張っていた。

 

 サボるなよとか言うんじゃないよ、ちょっと休憩してるだけだし。休ませてくれないブラック企業な鬼殺隊が悪いんだし? これくらい許されてほしいものである。

 ……そういや鬼殺隊って企業と呼んでいいんだろうか。なんか違う気がする。

 

 

「ごちそうさんでした〜っと……まっ、とりあえず歩いてみますかね」

 

 金を払い店を出てとりあえず村をふらふら歩いてみることにする。見た感じ特に言うべきこともない普通の村である。平和の二文字がよく似合いそうなこの村だが近頃、鬼の被害で何人もの人が行方不明になっているらしい。

 

 村のすぐ近くにある森には滝があり周りの風景と相まってそれなりにいい景色になっているらしく、おまけに夜には蛍が飛び交い幻想的な景色になるとのことで、それを見に来る観光客も多いんだとか。

 

 そしてその観光客が時折村に帰って来なくなる。遭難したのかもと村の人達が捜索しても見つからず、たまにあるのは川の中の石に着物の一部だったであろう布きれが引っかかっていることくらい。

 いなくなるのは夕方から夜にかけて景色を見に行った人ばかりであることから鬼の仕業の可能性があるとのことで今回俺が派遣されたらしい。

 

 

 

 通りかかった村人にその滝が見れる場所への行き方を聞き、一度行ってみるかとしたところ、近くの空き地で声を張る子供達の姿が目に入った。

 

「本当だよ! 僕は昨日見たんだ、人が川の中に引きずり込まれてくとこを!!」

 

 一人の少し気弱そうな少年が気の強そうな少年に必死に声を荒らげている。

 

「へぇ〜そんで引きずり込んでったのはどんなヤツだったんだよ?」

 

「暗くなり始めてたし離れた草むらから覗いてたからハッキリとは見えなかったけど……人みたいな形の腕があった!」

 

「……ぷッ、アハハハハ! ンだよちゃんと見たわけじゃないのかよ! どーせアレだろ熊かなんかと見間違えたんだろ!?」

 

「ち、違うもん! あれは熊じゃなかった……きっとあの川には人喰い妖怪がいるんだよ!!」

 

「ぶははは! 妖怪なんてお前そんなんいる訳ねェだろ! 怖い夢でも見たのかァ!?」

 

「夢じゃないよ! ほんとだもん、ほんとにいたんだもん!!」

 

「へぇ〜そんなに言うなら今晩確かめに行こうぜその人喰い妖怪ってのをさ!」

 

 腹を抱えて笑っていた少年が涙目になる気弱な少年にニヤッと笑ってそう提案した。

 

「だ、ダメだよ! 夜に言ったら僕たちも襲われちゃうよ!!」

 

「へーきへーき俺たち足速いんだし楽勝だろ。来なかったら明日ボッコボコにするからな、覚悟しとけよテル!」

 

「そ、そんなぁ、待ってよゲンちゃん〜!!」

 

 少年の抗議に耳を貸す様子はなく勝気な少年達はブンブン腕を振って空き地から去って行き、気弱な少年も困った顔をしながら慌てて後を追い走りだしていった。

 

 

 

 

 

 

「なるほどねぇ……今日の夜か」

 

 物陰に移動し聞き耳を立てていた俺は少年達の背を見ながらそうつぶやいた。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 その日の夜。寝静まって外を歩く者がいなくなった空き地に辺りをきょろきょろ見回しながら少年が歩いてきた。

 

「おっ、ちゃんと来たじゃねぇか!」

 

「わっ、声が大きいよゲンちゃん。だってゲンちゃんがあんなこと言うんだもん……」

 

「ヘッ、じゃあさっそく人喰い妖怪ってヤツを探しにい──」

「こんばんは」

 

「ッッ! だ、誰だお前!?」

 

 突然耳元でこんばんはと囁いたらめちゃくちゃビビられた。そんな驚くことないじゃないか、幽霊でもあるまいし。

 

「そんなデカい声出しちゃダメだよ、近所迷惑だからね?」

 

「お、お前のせいだろ! 急に出てきやがって……! だから誰だよお前」

 

 しっかりと囁き声でキレてくる勝気な少年、言われた通りにする辺り素直な子ですねとちょっと微笑ましくなる。

 

「そうだねぇ……拙者は流浪人。あてのない旅の剣客でござるよ」

 

「何言ってんだおまえ」

 

「まっ冗談冗談。この辺の森がいい景色と評判だと聞いてね、見に来たんだ。色々あってこんな時間に到着になっちゃったんだけどさ」

 

 声を抑えながら明るい声でそんなテキトーなことを言っておく。勝気な少年はふーんと頷いて、

 

「俺達これから森に入るから一緒に連れてってやってもいいぜ」

 

「……そりゃありがたいね。よろしく頼むよ」

 

 わざとらしく提案してきた少年に小さく笑みをこぼし頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さすがに夜は暗いし歩きづれェな、お前らちゃんとついてこいよ」

 

「ちょ、速いよゲンちゃん! 置いてかないでよぉ」

 

 勝気な少年の持つカンテラの灯りだけを頼りに進んでいるとそんな困り声が聞こえてきた。

 

「そうだよ、君の持つ灯りだけが頼りなんだからちゃんと仲間のことも気にかけて進まなきゃダメだぞ。わかったかい? かっちゃん」

 

「誰だよかっちゃんって! ったく、ちょっとだけゆっくり歩いてやっからついてこれねぇなら置いてくぞ!」

 

「ふっ、ゲンちゃんったら素直じゃないねぇ」

 

「っるせえ! ゲンちゃん言うな!! ……てかお前すげぇなこんな暗い中よくそんな軽やかに歩けるな」

 

「そりゃまぁ鍛えてますから。シュッ!」

 

「ンだそりゃ」

 

 勝気な少年ゲンちゃんに手を顔の前で動かしならドヤ顔をした俺は、一番後ろを歩く気弱な少年のほうへ後ろ歩きで近寄り声をかける。

 

「よっ、しんどいなら俺がおぶっていこうか?」

 

「い、いえ! 自分で頑張ります……護廷さんはすごいですね、僕らと三つしか歳が変わらないのにそんなに動けて」

 

「まぁ小さい頃からずっと鍛えてたからね。キミらと同じ十歳の頃には毎日山の急斜面を全力で駆け回されてたな。頑張って鍛えりゃ案外なんとでもなるもんよ……だから君もヒーローになれるよ緑谷くん」

 

「すみません僕、青山です」

 

「おっとそっちだったかぁ〜イテッ」

 

 額に手を当てあちゃ〜と目を瞑り上を向く、そして木にぶつかる。なにやってんだ俺は。

 

「おいそろそろ着くぞ」

 

「おっ、さすがはゲンちゃん案内ありがとな〜なるほどこれは確かに素晴らしい」

 

「だからゲンちゃんって呼ぶんじゃねえ!」

 

 ゲンちゃんの声かけで足早に進むと、そこには聞いていた通りの景色が広がっていた。

 

 夜のためハッキリと全体は見えないがバシャバシャと大きな水音を立てて流れる滝。そして辺りを淡い光を発しながら飛ぶ蛍達。そしてその光や月の光が川に反射していることも相まって確かに幻想的な景色である。

 

「やっぱ蛍以外なんもいる感じしねェな」

 

「ほ、ほんとなんだからね! 絶対見たもん!」

 

「まぁまぁお二人さん落ち着いてよ、とりあえず座ってひと息つこうぜ」

 

 川の前の開けた場所に座り込み二人に手招きをする。それを見た二人は顔を見合わせ、はぁと息を吐いて静かに俺の隣へ腰を下ろした。

 

「いやぁいいね、今日はいないみたいだけど普段はここでカップルがイチャコラしてんだろなぁー! はあああチクショー爆破したい……」

 

「何言ってんだお前。叫んだりしょげたりよくわかんねェヤツだな」

 

「お子さまにゃあまだ分からんよ。人間ってのは歳を重ねるごとにイチャイチャしてる男女を見ると爆破したり着火したくなる生き物なんだよ」

 

「なんでそんな物騒なことばかり考えるんですか!?」

 

「大きくなりゃ分かるよ、世界は残酷なのさ。いつもいつも周りのやつらばかり選ばれて自分はただ指くわえて見るだけの虚しい日々を送るハメになるのさ……はぁ〜しんど」

 

「お前ほんとに俺達の三つ上か? 無駄に大人びてんな」

 

 川のほとりでうなだれる俺に軽く引いたような顔で隣に座るゲンちゃんとテルくん。やべぇどうしよう気まずい、変な空気なっちゃったじゃん何話そう。

 

「あ〜……二人はいつも一緒にいるの?」

 

 必死に頭をフル回転させた結果、そんな当たり障りのないつまらない質問がポロッと口がこぼれた。

 ゲンちゃんは一度俺の顔を見て視線を川に移してまぁなと頷く。

 

「家が近ェし歳も同じだからな。それにコイツすぐ一人でビクビクしてっから俺が遊んでやってンだ」

 

「う、うん。周りの子に自分から話しかけるのとか少し苦手で……それを見かねたゲンちゃんが僕を引っ張っていろんなとこに連れ回してくれるんです」

 

「幼馴染みか、いいねぇ。そういう縁は大事にしといたほうがいいよ。それこそ大人になってもずっと仲良くいれたら最高だろうな」

 

「ヘッそれはどうだかな。俺はこんな田舎なんて出て警察に入るのさ。そんで悪ぃヤツを片っ端から捕まえてやんのさ!」

 

「僕だって警官になって困ってる人をたくさん助けたい。ゲンちゃんに負けないくらい強くなるんだ……!」

 

「ハッ! テルみたいな弱っちいのがなれるわけねェだろ!」

 

「な、なれるもん! 頑張って強くなるよゲンちゃんに負けないくらいに!」

 

 微笑ましい口喧嘩を始めたゲンちゃんとテルくん。なんかこういうのいいよな、幼馴染みでライバルとか漫画でよくある熱い展開になるお決まりのやつじゃん。是非とも二人で高めあって夢を叶えてほしいものである。

 

 

 ……おおっと。

 

 

「……? 護廷さんどうかしました?」

 

 急に立ち上がった俺にテルくんが不思議そうに首を傾げてくる。

 

「キミらのような未来ある若い芽は摘ませたくないんでね、ちょっくら一仕事するとしようか」

 

「え……えっ、刀!? なんでそんな物持ち歩いてるんですか!?」

 

「ごめんね、滝を見に来たってのは半分ホントで半分ウソなんだ」

 

 川をじっと見つめテルくんにそう答えながら、羽織の中に隠していた刀を普段の腰の位置に戻して静かに抜刀する。

 

「ほらいるんだろ出てこいよ。殺気……ダダ漏れだぞ」

 

「ケッ、勘のいいヤツめ!!」

 

 俺が川に向けてそう言い放った直後、大きな水しぶきを上げ飛びかかって来たソイツを刀で受け止め押し返す。

 

「な、なんだコイツ!?!?」

 

「最近頻発していた観光客が消息を絶つ一件、その犯人だよ」

 

 後ろで驚いた顔をして後ずさりするゲンちゃんにそう答えていると、身体をブルブル震わせてながらテルくんが指をさす。

 

「こ、ここコイツだよゲンちゃん! 昨日見た人喰い妖怪だ!!」

 

「妖怪とは随分ひでぇこと言うじゃねえの……んぉ? お前オレが人を食おうとしてたところをコソコソと後ろで覗いてやがったガキじゃねえか。

 機嫌が良かったから見逃してやったのにわざわざ自分から食われに来てくれるとは嬉しいねぇ!」

 

 テルくんを鋭く尖った爪のある指でさしながらソイツはニチャア…と気味の悪い笑顔を見せてくる。

 

「ひいいい! そんなっ! バ、バレてたなんて……お前一体何なんだよ!!」

 

「コイツはね妖怪なんかじゃないよ。人を襲って喰らう鬼だ」

 

 

 俺の言った言葉に目を細めて舐め回すように俺達を順番に見るソイツは、

 緑がかった身体に(くちばし)のような尖った口、そして水かきのついた手足を持ち、亀のような甲羅を背負い頭に湿り気を帯びた皿のような物体を乗せている。そういう姿をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おまえ河童じゃねぇか」

 

「違っっげえええええよ!!!! 鬼だわオレァ!!」

 

 どっからどう見ても河童にしか見えないその鬼の無駄にやかましい叫び声が夜の静かな森に虚しく響き渡った。

 

 

 

 

 

 




・不定期開催!大正コソコソ噂話・
今回登場した2人の少年テルくんとゲンちゃん。2人のことを軽く紹介すると、
〜テルくん〜
もじゃもじゃの黒髪で緑色の着物を着ている。性格は穏やかでオドオドしがち。やる時はやる男…らしい。

〜ゲンちゃん〜
薄い金色の短髪で赤色の着物を着ている。口調は荒く性格も荒々しい。ガキ大将、度々村の子供達とケンカしてほぼほぼ勝つ。ゴミを無駄に激しく燃やして処分するのが好き…らしい。

性格は真反対だし一見反りが合わなそうな2人だけどなんだかんだ仲はいいみたいですよ。

護廷「プルス・ウ〇トラ〜!!」

よくある主人公の設定集みたいなのあった方よろしい?プロフィールやら技の設定的なのを書く感じになると思われ

  • 当たり前やろ書けや
  • いらんわそんなのよりはよ続き書けや
  • とりあえずカナエさんは今日も美しい
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