鬼のいる世界で死神を気取る   作:りんごあめ

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評価バーに色がつき、そしてなんと日間ランキングに載ってしまいました……!
読んでいただきありがとうございます、感謝感謝です。
ランキングに載ったのは今回が初めてなのでとっても嬉しかったです、これからも多くの人に楽しんでいただけるよう頑張りやす!


7.護廷くんは蹴り飛ばしたい

「へぇ、いい身のこなしするじゃんお前」

 

「うっせーなー、てめぇ。死ねや!」

 

「おっと、ダメじゃないかそんな汚い言葉使ったら。そういう時はね、

 たいそうにぎやかなご様子でいらっしゃいますところまことに恐縮でございますが、ご逝去あそばしていただければ幸甚に存じます。

 って言わなきゃ。チクチク言葉はよくないぜ」

 

 鬼の放つ攻撃を日輪刀で受け流しながら俺は笑う。

 

「知るかよんなこたァ俺には関係ねェ!人間ごときが俺に説教すんなや!」

 

「ああーそんなに頭に血ぃ昇ちゃってさぁ、そんなんだから簡単に後ろ取られるんだよな」

 

「アッ?何言ってやが……ギアッ!?!?」

 

「哀れですね、そのままもがき苦しんで死んでください」

 

 顔を真っ赤にして声を荒げる鬼に背後から現れたしのぶちゃんはその鬼の腕に躊躇なく注射器を突き刺した。

 

「がああああっっっ!!ぐぁっ、ぐ、苦じいぃ……なにっ、しやがったテメェ……!?」

 

 注射器の液体が注入された鬼は顔を苦痛に歪めて膝から崩れ落ち、地面をのたうち回った。

 

 現在俺としのぶちゃんはとある森で任務中である。同期だからなのかしのぶちゃんと合同での任務はちょいちょいある。

 

「ンがあアッ!はっ、グキぃぃやあ……あぁっ!!!」

 

「毒、効いてるみたいだね」

 

「あぁ、ウガああ!!!あ、熱いッ!ひぎゃああ!!!」

 

「ええ、立っていられなくなるほどの激痛が全身を走り回っているようですね」

 

「うぼおおお、っ……ガワッ!?」

 

「今回ので四回目か、だいぶ効き目も強く「チョッゲプリィイイ!!」……うるせえなオイ」

 

 会話の最中耐えず響き続ける鬼の悶え声にしびれを切らした俺は、視線をしのぶちゃんから鬼へと移す。

 

「あの、流石に長すぎない?いつまで絶叫して悶え苦しんでんだお前。ほんとに毒効いてる?しかも最後なんか別の生き物の鳴き声みたいなの出てたけど」

 

「っ、るせぇ……!ガッ!?これが、芝居に…オエッ!みえ、るのかよ……ゲコッ……!?」

 

「今度はカエルの鳴き声出てきたな」

 

「また失敗ですね、今回の毒も鬼を死に至らしめるまではいかないようです。護廷さんあとはお願いします」

 

 鬼の様子を見たしのぶちゃんが肩を落とす。そうかい、と頷いて俺は刀を握り直す。

 

「さてそんじゃスパッと一発で終わらせますかね」

 

「…シテ、コロシテ……」

 

「お、おう。ンなこと鬼から初めて言われたわ……」

 

 掠れた声で絞り出すように言った鬼に流石に可哀想だと僅かに同情心を抱きながら技を放った。

 

「万象一切灰燼と為せ──」

 

死神の呼吸 壱ノ型 流刃若火

 

 焔を纏ったかのような赫い一閃が鬼の頸と胴を斬り離した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「びゃああ〜美味い!やっぱり任務明けの飯を食ってる時が一番生を実感するね」

 

「それはよかったですね。あ、天ぷら一つ食べます?思っていたよりお腹空いてなくて」

 

「お、それはありがたいねぇ。しかもあーんしてくれるとはしのぶちゃんも随分優しくなったじゃないの」

 

「イヤです!護廷さんったらかなりの寝不足のようですね!頭がおかしくなってひどい世迷言を言ってますよ?あ、それはいつものことでしたね」

 

「おっと、思うてた倍以上の返しが来て護廷くんビックリ。これは目が覚めましたわ」

 

 そんな軽口を叩きながら二人で蕎麦を啜る。

 森に潜む鬼の討伐を終えた俺達は近くの町の蕎麦屋で空腹を満たしていた。

 

「しのぶちゃん的にさ今回の毒は何点ぐらいの出来だったの?」

 

「現場に持ってくる以上常にこれまでで一番の出来だと思える物を作って使用しています。今回も百点の力作だといえる毒をだったのですが……まだまだ改良の余地がありますね、今回の結果を元にまた配合を変えてみます」

 

「それもそうか。まぁ初の試みだからねそんな簡単には成果は望めないよねぇ」

 

 しのぶちゃんにもらった天ぷらをかじりながらぼやいた。

 

 

 しのぶちゃんは体格的に恵まれたとは言えず鬼の頸を斬ることができない。そのため任務では必ず他の隊員と組んで行動し鬼との戦闘では攻撃をくらわして隙を作るといったサポートに徹していた。

 しかしそれだけでは姉と交わした約束を叶えられないと彼女は新たな武器の開発を考案した。

 鬼が嫌う藤の花。薬学に精通している彼女はその花から鬼を殺す毒を精製しようと研究を始めた。

 しかしまだ研究は始まったばかり。原作の蝶のように舞い蜂のように刺し毒殺する姿を拝めるのはまだ先のようだ。

 

 腹ごしらえを済ませ蕎麦屋を後にした俺は大きく伸びをしてからしのぶちゃんの方へ向く。

 

「うし、花もあげてきたし飯も食ったし帰るか」

 

「そうですね、姉さんへの貢ぎ物の花束も買わせずに済みましたしやることは全部終わりましたからね!」

 

「ちぇ、しのぶちゃんと一緒の任務だとそれが厄介なんだよな。鉄壁の守り見せてくんだもん、俺とカナエさんの恋路を邪魔するなんてさ。妹なのにそんなひどいことしていいのかい」

 

「妹だからこそしてるんです!姉さんに悪い虫がつかないように!!」

 

「おいおいしのぶちゃん、それじゃまるで俺が悪い虫だと言ってるみたいじゃないか」

 

「そうですけどなにか問題でも?」

 

「え?」

 

「え?」

 

 歩きながらそんなことを言っているとしのぶちゃんが当たり前じゃないかと言わんばかりの顔をしてくる。

 きょとんした顔で首を傾げると、煽っているのかしのぶちゃんも全く同じようにきょとんと首を傾げてきた。え、この子俺を悪い虫だと思ってんの?もしかして思ってる以上にしのぶちゃんからの好感度って地の底をいってるのかもしれない。

 

「あら、鬼殺隊の隊士がいますね。私、街で見かけるのは久々です」

 

 ちょっと複雑な気持ちになっている俺のことはお構いなしにしのぶちゃんがそんなことを言ってきた。

 

「ふーん、そ?あんま気にしたことなかったな。それより俺は将来のためにキミからの好感度を上げる方法を考えてて忙しいんだ」

 

「絶対に不可能なことを考えてるんですね、諦めた方がいいですよ!」

 

「そこまで言っちゃう?もう泣いていい??」

 

 真顔でそう返しながらしのぶちゃんの見た方へと視線を向ける。たしかに反対側から二人の男性隊士が歩いて来ていた。見たところ俺達よりちょっと年上って感じだな。

 

 ぼんやりと考えながらすれ違うと二人の話し声が聞こえてきた。

 

「今のヤツ見たか?アレ花柱の妹だぜ」

 

「へぇ、そうなんだ。たしかに顔立ちとか似てたかも」

 

「でもな、アイツ鬼の頸斬れないらしいぜ」

 

「え、そうなの?それなのに剣士として現場に出てんの!?」

 

「訳わからんよなぁそんなことしたって無駄なのにな〜姉とは天と地の差ってやつだよな」

 

 最後の一言を聞き俺はピタリと足を止める。そしてくるりと振り返りゆっくりと足を前に出す。

 

「ちょっと護廷さん何しようとしてるんです、私は何も気にしてませんから……!」

 

 そんな俺の腕を掴んでくるしのぶちゃん。

 気にしてない?何を言ってるんだが、あんなに唇噛みしめて悔しそうにしておいてそりゃないだろ。

 

「まぁ大丈夫、大したことはしないさ。ちょっくら……」

 

 しのぶちゃんの肩にぽんと手を置いて笑いかける。そして駆け出し、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ドーンだYO!!」

 

「うおおおおぉ!?!?」

 

「ちょっ!護廷さん!?」

 

「ちょっくらこの舐めたこと言ったバカを蹴っ飛ばしただけさっ!」

 

 しのぶちゃんのことをバカにした隊士の背中にドロップキックを叩き込み、爽やかな声で微笑んだ。

 

「なっ!お前いきなり何しやがんだ!?」

 

 ハイ、良い子のみんなは危ないからいきなり人の背中にドロップキックをキメたりなんかしちゃダメだからね。お兄さんとの約束だよー。

 

 背中を擦りながら声を荒げる男にそうだねぇ、と首を傾げながら俺は口を開く。

 

「どこぞのバカ隊員が舐め腐ったことを言ってたもんでね、ついカッとなっちゃって!てへっ!!」

 

「んだその手は!可愛くもなんともねぇよ!!なんだよ、ソイツのこと悪く言ったのが気に食わなかったのかよ……!」

 

「はいはい町のみなさーんこれは遊びなので!よく蹴り合う仲なので気にしないでくださいねー!あれ、何か言ってた?もっかい言ってくれる?」

 

「聞いとけやコラッ!!」

 

 突如町のど真ん中で起きた暴力沙汰にどよめきこちらを見てくる街の皆さんにパンパンと手を叩いて明るい声で言う。

 やばい、めっちゃ見てくる。ちょっと派手にやりすぎたかも。警備の人とか呼ばれたらどうしよ。

 

「まっ、聞いてたけどね。無駄だとか姉とは天地の差だとか随分勝手なこと言ってくれんじゃん」

 

「べつに……何も間違ったことは言ってないだろ」

 

「いいや間違ってんね、何もかも」

 

 ため息をついて吐き捨てる男に俺は静かに首を横に振る。

 

「姉との差なんてもの本人が一番よくわかってんだよねぇ、それを少しでも埋めようといま違う方向から頑張ってる真っ最中なんだわ。

 そんで難しいとわかっていても最初に決めた目標を叶えようと前線に必死こいて立ち続けてんだよね。わかる?覚悟がちげぇんだよ、俺やお前らとは比べもんにならないくらい強い覚悟を持って戦ってんだよ。

 

 それをなにも知らないお前みたいな奴がヘラヘラ笑ってバカにするなよ。この世に無駄なものなんて何一つない。ましてや無駄な人間なんてどこにもいやしない」

 

「……っ…!」

 

 声を荒げたり感情を剥き出しすることなく、淡々と語る俺に男は反論することもなくただ黙って険しい顔をして座り込んでいた。

 

「ありゃ大人しくなっちゃった?悪いこと言ったなぁって少し反省してる?そう思えるんならさーちゃんと考えてから口に出そうよー」

 

 ねーねー聞いてるぅ〜?などと言っているとなにやら騒がしい足音が近づいてきた。

 

「騒ぎを起こしてるのは君達か!?何をしている!!」

 

 案の定派手にやりすぎてしまったようでお巡りさんが駆けつけてきた。これこのままいくと捕まるよなぁそれはめんどくさいなぁ。

 こういう時はやっぱり……

 

 

 

 

「逃げるが勝ちってね!行こうしのぶちゃん、じゃあなとっつぁん〜!」

 

 しのぶちゃんの手を取りどこぞの怪盗のように颯爽と町から逃亡を果たした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「はぁ……また随分派手にやっちゃいましたね。私はいいって言ってるのに。これで何回目ですか」

 

 街から走り去り蝶屋敷の近くまで帰って来た頃、しのぶちゃんがそう肩をすくめた。

 

「なぁしのぶちゃん、俺が嫌いなヤツってどんなのか知ってる?」

 

「ちょっと、私の話聞いてます?」

 

 怪訝そうな顔をする彼女の言葉は受け流して俺は続けて口を開く。

 

「ありがとう・ごめんなさいが言えないヤツと人の努力を嗤うヤツさ。その人がどんな思いしてどんだけ頑張ってんかも知らないで嘲笑うヤツが気に食わないんだよね。大抵そういう輩に限ってろくな努力もしてない、大したことは成せずに死んでいく。

 

 そういや知ってる?こないだ屋敷でしのぶちゃんのことバカにした猿顔の男、任務で死んだらしいよ。生き残ったやつが言うには真っ先に逃げようとして逆に最初に殺られたってさ」

 

 おかしいよねー。と鼻で笑いながら話を続ける。

 

「頸も斬れないクセになんで剣士やってんの?自殺志願者?とかバカにしてたやつがキミより先にくたばったんだぜ。剣の腕には自信あるって言ってたのにな」

 

 余談だがその男にはしっかりと俺が背負い投げを叩き込んだ。

 

 そうですか。としのぶちゃんは小さく頷いて下を向く。

 

「やっぱさー人を嗤ったってろくなことないと思うんだよね。人の努力を嘲笑うヤツはろくな死に方しないってのが俺の持論でさ、だから俺は誰かをおちょくることはあっても、その人の努力とかそれまでの歩みを否定したりバカにしたりはしないんだよね」

 

「まぁたしかにそういうのは言われたことありませんね。それ以外のことで散々ケンカは売られてますけど!」

 

 なるほどと頷いたかと思ったら今度はピキピキしながらこちらを睨んでくるしのぶちゃん。ワーコワイコワイ。

 

「だからさしのぶちゃんを嗤うようなバカがいたらいつでも教えてよ、キミが頑張ってんのはよ〜くわかってるし。俺が何人でもはっ倒してやるからさ!」

 

「っ!!」

 

 そう笑って、いや次はかかと落としにしようか。はたまたもっと派手にジャーマンスープレックスでもキメてみようか!なんて一人で頭の上で手を組み空を見上げながら妄想を膨らませていると、隣から吹き出す声が聞こえてくる。

 

「ふっ、いつもありがとうございます護廷さん。次があったら警察沙汰にならない程度でお願いしますね!」

 

 そう言って笑顔を見せるしのぶちゃん。

 その笑顔にはいつもの眉間に寄ったしわはなく、陽の光に照らされていることも相まってか、眩しくて。綺麗で。

 

 

 

 あぁ、やっぱり姉妹なんだな。

 

 なんて軽口を叩くこともなく素直に思ってしまうんだよなぁ。

 

 そんな柄にもないことを思っていると、そういえばとしのぶちゃんが声を上げる。

 

「私の好感度がどうとか言ってましたが、そういうことを思ってくれてるとちょっとずつ上がっていくかもしれませんよ?」

 

 小さく笑うしのぶちゃんに俺はふむ。と頷き返す。

 そういうこと、あーそういうことね。ハイハイなるほど……

 

 

 そういうことってなんだろう?ハッ!まさか俺がいま思っていたこと筒抜けだったのか!?これは恥ずかしい、ここで黙っているとなんか怒られそうだしハッキリと口に出すか、どうせバレてんだし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやーしのぶちゃんの顔見て、やっぱカナエさんは美しいなって思ってたのがバレてるとは思わなかったよ」

「セイッ!!!!」

 

「ぎゃああああああ」

 

 何故か横腹を思いっきり殴られた。

 恐ろしく早い拳、俺でなきゃ見逃しちゃうね。

 先程までの笑顔はどこへやら、氷のような表情を浮かべたしのぶちゃんがそこにいた。

 

「自ら上げた好感度を一瞬で自ら海の底まで叩き落とすとは。流石ですね護廷さん」

 

「やったー褒められたー」

「褒めてません!!」

 

 うーん女の子って難しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カナエさんただいまー!護廷くんとついでにしのぶちゃんが帰って来たよ!」

 

「なんで私がついでなんですか!ここ私の家なのでついでなのは護廷さんのほうよ!」

 

 なんてことを言いながらカナエさん達のいる居間に入るとそこには蝶屋敷では(・・・・・)見なれない者がカナエさんやアオイちゃんと談笑していた。

 

「あらあら〜二人共おかえりなさい。ちょうどよかったわ、護廷くんお客さんよ」

 

「……ッッ!なん…だと…!?」

 

 カナエさんがそう言うとそのお客さんはスっと立ち上がりしのぶちゃんの前に立った。対するしのぶちゃんは不思議そうに首を傾げる。

 誰ですこの人?って感じでこっちを見てくるしのぶちゃん、そりゃキミは面識なくて当然だろう。だってコイツは……!!

 

 

 

 

「妹のしのぶさん、ですよね?はじめまして!わたくし護廷十三朗の妹、護廷織姫と申します!!」

 

 腰まで届きそうや胡桃色の長髪に、六枚の花弁を持つ花のような形の小さな髪留めをした少女が元気に挨拶をした。

 

 

 

 

 

 蝶屋敷に嵐が吹き荒れる。俺の感が強くそう言っていた。

 

 

 




護廷くんの妹を名乗る少女、その正体や如何に……!

護廷「なんかネギ振り回してそうなヤツが出てきたなぁ…」


4/19 日間ランキング39位入り 思うてた倍くらい順位上がってて草 皆様ありがとございます!励みになりすぎてハゲになります。

よくある主人公の設定集みたいなのあった方よろしい?プロフィールやら技の設定的なのを書く感じになると思われ

  • 当たり前やろ書けや
  • いらんわそんなのよりはよ続き書けや
  • とりあえずカナエさんは今日も美しい
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