緋弾のアリア GuiltySniper   作:TaMaNeGi

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さて、我が小説の数少ないアクションシーンです。

いつもより大分長いです。
お陰でワタクシの体力も限界点付近です・・・。


第十二発目

「ううぅっ、寒ぃ~。」

 

 まだ春先。 早朝は結構冷え込む。

 とは言えジャケットを着てるからそこまでではないが。

 

 ――ホント冬なんてやってられねぇ程寒いかんなぁ――

 

 依頼の関係で東京―栃木間を走ったが、あの時は手が凍傷になるんじゃないかってほどだったからな。

 

 

 

 

 

 単純に厚い手袋すればいいんじゃないかと思うかもしれないが厚すぎると今度はクラッチやブレーキの微妙なコントロールが出来ないのだ。

 バイク乗りのジレンマとでも言うか……。

 

 

 

 

「――うっし。 いきますか。」

 

 両サイドにあるキャリアにガンバックを括りつけ準備完了っと。

 

「一挺増えるだけでもここまで大荷物だとはねぇ。」

 

 ――バイク乗りの宿命か――

 と、カッコつけてみたところで素直にクルマ乗れって話なんだけどね。

 

 単純に積載量欲しいならシート上に丸っこいキャリアケースつけりゃイイ話しなんだが……。

 

「アレだけはぜってぇ嫌だ。」

 

 だってカッコわりぃもん。

 

 っと、脳内ノリ突っ込みはここまでにして、さっさと行こう。

 

 跨り、キーを挿して――

 

 

 ヒュルルル、ガウォォン!

 

 フム、絶好調。

 軽く暖機運転をした後武偵校に向け走る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちっくしょう、なんでだ!!

 確かにちょい早めに出たはずなのに何故かもうバスが来てやがる……!?

 

「よっしゃぁ…! 乗れたぜ!! おう、キンジ、イイ朝だな!!」

 

 バスの入口で武藤が叫んでいる。

 

 ――マズイ――

 

 今日は雨ってこともあってかチャリで通学してた生徒が一斉に利用してるらしくかなり混み合っている。て言うか何がいい朝だ、雨だっての!

 

「武藤! 乗せてくれ!!」

 

「そうしてやりたいのは山々だが・・・、無理!満員だ!! 諦めてチャリで来い!!」

 

「俺のチャリはぶっ飛ばされちまったんだ!」

 

「ご愁傷様とだけ言っておくぜ、キンジ! 人生諦めも肝心だ、二時限目にまた会おう!!」 

 

 ふざけんなっ!

 と、言おうと思ったが無情にもバスのドアが閉まる。

 

 こういう日に限ってタケはいないし。

 

 畜生が、遅刻確定だよ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 キンジがバスに乗り遅れていた頃、俺は丁度新しい銃のテストを終えてコーヒーを飲みながら一息ついていた。

 

「久々だったからな、すげぇ懐かしいよ。」

 

 ――"仕事"の時にやっぱり無いと不便だからな――

 

 そう言って傍らにある銃――レミントンM24A3――を撫でながら呟く。

 そう、嘗て俺が使っていたM24の発展型モデル。

 

 昨日装備科に用があったのはコイツを受け取るため。

 

 まあ最もライカにはちょっと怪しまれたし、小早川の奴には気は進まないなんて言われちまったしな。

 

「仕事はいいのに妙なところで心配性だからなぁ。」

 

 と独り言のつもりが……。

 

「全く。誰が心配性だって?」

 

 いつの間にか当の本人がレンジの入り口に来ていた。

 

「来てたんか。 今日テストするとは言ってないんだけどな。」

 

「安心しろ、お前の性格は手に取るようにわかる。」

 

「なにそれ気持ちワリィ……。」

 

 と冗談をかましていると――

 

「あのなぁ……。――そういうところは変わんないな。」

 

「――変えようもないさ。」

 

「確かに、お前だもんな。 んで、調子はどうだ?」

 

「ん、絶好調だね。 さすがお前さんだ。外れる気がしない。」

 

 と銃のことを言われたと思った俺はそう切り返すが。

 

「まあそっちも気になるが……。――"仕事"で必要なんだろ?」

 

 ああ、そっちか。

 

「まあな。――向こうの上司に言われて、な。」

 

「――――もういいんじゃ無いのか?」 

 

 うん?

 

「あの時だって結局犯人は――」

 

「だが、そういう行為を意図的に行おうとした。 それだけで十分なんだよ。――結果がどうであれ、そういう危険思考の未遂犯ってな。」

 

 言い切る前に被せて言う。

 

「それで今の仕事か。」

 

「そういうこった。一介の武偵にどうこうできる問題でもねぇさ。 まあ、タダじゃ利用されてやんねーよ。こっちも最大限に利用してやるさ。」

 

「そうかよ、まぁお前さんがそうと決めたんじゃ、俺はどうこう言えないしな。」

 

「そーいうこと。 なんだよ結局心配性じゃねーか。」

 

「ハハッ、そうみたいだな。」

 

 そうやって互いに笑う。

 全く持つべきは友達だね。

 

 ブー、ブー、ブー

 

 っと俺のケータイか。

 表示を見るとアリアになっていた。

 

 

「どうした?」

 

『事件よ!! 今何処にいるの!』

 

 大音量で叫ぶアリア、様子からして結構ヤバめらしい。

 

「狙撃科のレンジに居る。 ――どうすればいい?」

 

『狙撃科……? まあいいわ、バスジャックよ。 C装備で女子量屋上に集合、と言いたいところだけど……。』

 

 こっちは先行したほうが早いな。

 

「こっちが先行しよう。 ――で、そのジャックされたバスってのは?」

 

『武偵校の通学バスよ。7時58分にアンタの寮前に来る奴。 ――学園島を一周してそろそろ台場に入るわ。』

 

 マジかよ……!? じゃあキンジは!?

 

「キンジはどうした!?」

 

『安心しなさい、乗り損ねてるわ。 いまは装備を整えて合流する手筈よ。』 

 

「そうか……。 バスの行き先は台場だったな?」

 

『ええ、そうよ。 足はあるの?』 

 

「問題ない。犯人は?」

 

『いないわ。 爆弾が仕掛けられてる。 スピードを落とすと起爆するタイプのね。』

 

「了解した。 使える人間連れて現地で合流。――それでいいか?」

 

『――いいわ、くれぐれも気をつけなさい。』

 

「わかってる。コレでも悪運は強いんでね。――通信終了。」

 

 ケータイを閉じて荷物をまとめる。

 

「事件か……?」

 

 小早川が聞いてくる。

 

「ああ、それも結構ヤバ目のな。 ――バスジャックだとよ。」

 

「そうか、まぁお前さんの事だから大丈夫だとは思うがくれぐれも気ィつけろよ。」

 

 ホント持つべきもんは友達だね。

 

「安心しろ、そうそうおっ死ねるかっての。」

 

 そう言って、レンジを後にする。

 さてと、問題は使える人員だ。

 

「そう都合よく電話に出っかね……。」

 

 つい最近、新しく登録された番号を呼び出しコール。

 

 ――やはり授業中か――

 

 しばらくコールするが出る気配がない。

 仕方ない、一人で行くか。

 と、耳からケータイを離しかけた時。

 

『もっ、もしもし!?』

 

 よし。

 

「よく出た! 今大丈夫か!?」

 

 走りながら電話越しに叫ぶ。

 

『大丈夫じゃないですよ! おもいっきり授業中ですって!!』

 

 そりゃそうだ。

 

「んで、抜け出してきたんか?」

 

『そうですよ。 で、どうしたんです?』

 

「時間がない手短に行くぞ。 武偵校の通学バスがジャックされた。C装備で武偵校校門前に来い!」

 

『なっ!? 』 

 

 まあ、普通は驚くわな。

 けどなライカ、慣れておかないと後々大変だぜ。

 

「因みに、これをアミカ選定試験とする。 つー訳で早く来い。――通信終了。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『因みに、これをアミカ選定試験とする。 つー訳で早く来い。――通信終了。』

 

 言いたいことだけ言って切りやがったよ、先輩……。

 だけどバスジャックか。

 

「さっきの感じじゃ巫山戯てるってんじゃないみたいだし。」

 

 というかイタズラだとしたらそれこそ先輩だろうがなんだろうがキレるな。

 

 それに選定試験がこれじゃ行くしか無いじゃん。

 

「だーもう! どうにでもなれ!!」

 

 そうぶち撒けると装備を整えるためにロッカーへ急ぐ。

 

 

 

 

 

 

 

 ――ドドドドドド……――

 

 装備を揃えて校門に行くと独特な形をしたバイクに先輩が跨って待っていた。

 

「来たか。インカムは付けてるな? ――詳細は走りながらだっ。早く乗れ!」

 

「はッ、ハイ!」

 

 先輩に急かされて慌ててバイクに跨る。

 

「しっかり掴まってろ。 落っこちたら笑いもんだぞ。」

 

「大丈夫ですよ。 急ぐんでしょう?! 早く行きましょ!」 

 

「ああ、――そのつもりだ!」

 

 

 ガウォォォォォォン!!

 

 ――先輩のバイクはアタシが乗っているのにも関わらずものすごい勢いで飛び出していく――

 

 

 

 

 

 

 

 

『いいかよく訊け。 バスは今台場に向かってる。そろそろ入るはずだ。』

 

 インカム越しに、先輩が何時に無く真面目な声色で状況説明をはじめる。

 

『俺達の他にもアリアとキンジたちが動いてるが、時間がかかる。 そこで俺たちが先行する。』

 

 ――ここまで質問は?――

 

『大丈夫です。』

 

『よし、バスと合流したらバスに横付けするからライカは中に潜入、爆弾の捜索と被害状況の確認。』 

 

『了解です。』

 

『仕掛けられている爆弾は速度が落ちると起爆するタイプ。よって犯人が車内にいる可能性は限りなくゼロに近いが油断はするな。』

 

 この間バイクは結構なスピードで走っているのだが全くといっていいほどブレない。

 アタシと装備があって、だ。

 只でさえバイクのタンデムは難しいって聞くのに……。

 

『どうした? 緊張してるんか?』

 

 返答がなかったのを気になって先輩が聞いてくる。

 ――集中しないと――

 

『大丈夫です。』

 

『ん、そうか。――大分ヤバめな事件で安心しろ、とは言わないが俺達がいる。――問題ない。』

 

 心配してくれてなのか、先輩がそう言ってくれる。

 ――この人、自覚ないのかなぁ――

 

『見えたぞ!!』

 

 いた、武偵校の通学バス!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ようやく見つけた暴走バス、

 道行く人がケータイを構えてるのがわかる。

 

 と、その直後。

 

 

 ――バララララララ……――

 

『なっ、なに!?』

 

 後ろでライカが驚いていた。

 

『ヘリだ。 ――ヒューイか。 アリアだな。』

 

 結局一緒になっちまったか。

 まあいい。

 

『作戦変更、あいつらが降りてきたら突入だ。』 

 

『了解。』

 

 

 っと言ってる間に降りてきたな。

 結局キンジだけか。

 

 まああんないきなりじゃな。

 

 無事に降りられたようなので、こっちもバイクを横付けする。

 

『ライカ、いけたか!?』

 

『大丈夫です。』

 

 それを聞き一旦離れる俺。

 

『キンジ、アリア、ライカ。 爆弾は?』

 

『車体下にあったわ。プラスチック爆弾、炸薬容量は見ただけでも3500立方センチ!』

 

 なんだそりゃ……、明らかに多すぎる。

 装甲車や戦車なんかだって目じゃない量だぞ。

 

 全員が言葉を失っている時。

 

 ――ギャァァァァ――

 

 スキール音とともにオープンスポーツカーが現れた。

 ありゃぁルノーか、しかもUZI付きで……。

 

 バスと併走していた俺に対して斉射する。

 それを見ていたキンジとライカが。

 

『先輩!!』

 

『タケ避けろ!! んで持って全員伏せろ!!』

 

 ――叫んだ――

 

 俺もどうにかして躱そうと思ったがこの至近距離。

 躱せるはずもなく、カタナに被弾する。

 

 バランスを崩し転けそうになる。

 

 ――無理だっ、立て直しが効かない――

 

 横を見ると止めを刺そうというのか、UZIの銃口がこっちを向いていた。

 すまねぇ、相棒……。

 

 倒れるギリギリのところで飛び上がりワイヤーをオープンカー、ルノーのドア部分にくっつける。

 と同時にワイヤーを巻き上げ、飛び移る。

 そのまま銃座の死角に入りガバをぶっ放し破壊する。

 

 ――ガシャァン! ギギィィィ……――

 

 だが、操り手を失ったカタナはそのまま倒れてしまう。

 しかも、勢いが残ったままだったために四・五回、回転して停止した。

 

「修理は、難しいかもな……。 武藤に怒られそうだ。」

 

 しかし今は相棒を失って意気消沈している暇は無い。

 思考を切り替え、コントロールを奪取する。

 

 と同時に逆サイドからもう一台出てきやがったッ……!

 

 ――ドゴンッ!――

 

 出てきたと同時にそのままバスに体当たりをかます。

 アリアは後ろで宙吊りじゃ…!?

 

 近寄って確認しようとしたが――

 

「間もなく このクルマは 自爆 し やがります。」

 

 ――カウント、残り20――

 とラジオから機械音声が流れる。

 

「なっ!?」

 

 ヤバイ! もしかして決められた行動から外れた場合の……?

  

 ――キキィィィィッ!!――

 

 咄嗟に俺はブレーキを踏んでいた。

 

「こういう時に限ってAT車かよッ! くッ、止まれっての!!」

 

 駄目だ、止まり切れねぇ…。

 速度は――だいぶ落ちた、これならッ。

 

 ――カウント残り 10――

 

「ハァッ!」

 

 考えてる暇はねぇ。

 

 ――と、俺はルノーから身を投げ出していた――

 

「ぐぅぅッ…!」 

 

 咄嗟の事で上手く受け身を取れずに転がる。

 

 ――ズドォォ……ン――

 

 前方を見ると煌々と燃えるルノーがあった。

 

「あぶねぇ…。」

 

 ――ゾクッ――

 

 後少し遅れていたら、そう思うと寒気が走った。

 今回は助かったからよしとしよう。

 

「問題は――」

 

 足を完璧に失ってしまった。

 武装もハイキャパガバが一挺おジャンだ。

 

 どうする…。

 

 ――バララララララ………――

 

 とそこへ、頭上にヘリが。

 アリアが乗ってきたヒューイか!

 

『長臣さん、今梯子を垂らします。 上ってきてください。』

 

 インカム越しに聞こえるこの抑揚の少ない声は――

 

『レキか?』

 

 ――はい――

 

 とそれだけ返ってくる。

 

『長臣さんを回収次第、バスの追跡を続行します。』

 

『了解した。』

 

 そう言って俺は垂らされた梯子を上る。

 

 




書いててタケがなんとも強引だなぁと思った次第ですが・・・。


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