緋弾のアリア GuiltySniper 作:TaMaNeGi
最初はどっかで聞いた名前だぞと思いつつ。
最新刊が楽しみですw
「キンジまだ来てないのか。何やってんだ?」
「さぁな、大方寝坊でもしてんだろうよ。そもそも真面目に出席するヤツのほうが珍しい。ていうかタケ、お前さん同じ部屋だろう?」
俺は始業式がおわり教室へ戻って今年も同じクラスになった車両科の優等生、武藤剛気と話していた。
コイツ、乗り物ならなんでも乗りこなしてしまうというとんでも無い特技の持ち主。
見た目は悪くないがガサツなところがモテない理由らしい。
「そうだけど――、今日ちと早めに目が覚めちまってさ。レンジで射撃訓練してたんだよ。」
「なるほどねぇ、まあそのうち来るだろうよ。」
「つったって、もうホームルーム始まるぜ?」
などと話していると――
ガララララ。
「ハァハァハァ・・・・、ひどい目にあった」
噂をすればなんとやら、キンジが息を切らせながら教室に入ってきた。
随分と疲れきった顔をしてるな。何があったんだ?
「朝っぱらからどうしたんだキンジ?やけに疲れてるみたいだけど」
「みたいじゃなくて、当に疲れてるよ。――死ぬかと思った」
「大丈夫かい?遠山くん」
席に着くやいなやぐったりと項垂れるキンジ。
不知火も心配そうに聞いている。
一体全体どうしたってんだろう?
ガラララララ
そうこうしているうちに担任である高天原ゆとり先生が教室に入ってきた。
武偵高の唯一の良心とまで言われている彼女だが過去は傭兵として名を馳せていたらしい。
まあここじゃそういうのは珍しくない。なんだってとんでも無い曲者ぞろいの武偵高だからな。
通名がなんでもブラッディ・ゆとりだったか?
全くといっていいほど想像できねぇ。
「はいは~い、皆さんホームルーム始めますよ」
その一声で全員が自分の席につき始める。
どう見たって普通の先生だよ、それこそ一般校で教鞭とってるような。
「今日はカワイイ転入生の紹介をしますよ~」
転入生?
はて・・・?
――ああ!去年の暮に来たって言ってたなそういえば。
もう三学期も終わる頃だったから全然気にしてなかった。
そうか女子だったのか。
そしてその件の彼女が教壇に立つ、が・・・。
「――小せぇ・・・。」
ヘタしたら小学生でも通りそうな背の低さ、更にピンク色の髪の毛をツインテールで纏めている。
「神崎・H・アリアよ」
ミドルネームか、てことはハーフかなんかなのか?
いろんな意味で目立ちそうな彼女は早々に全員の度肝を抜いた。
「あたし、アイツの隣の席がいい」
その言葉に俺たち全員は一瞬沈黙する。
そして次の瞬間に一斉にキンジの方へ向き・・・。
わぁぁぁ!!
と歓声が上がる。
俺は隣のキンジを見やるが・・・、椅子からずり落ちて唖然としている。
「―――今朝悲惨な目にあったとか言ってたけどあの娘絡みなのか?」
あの様子じゃあの子と何かあったのは間違いなさそうだな。
今日部屋に戻ったらいろいろ聞いてみるか。
「なんでだよ・・・。」
ようやっと出た声で呟いた。
我ながら情けない声だったと思うけどそんなこと気にしてる場合じゃない。
"正義の味方"として利用するってわけじゃないだろう、アイツはまだ気づいてはいないはずだし。
気に入られた――ってこともありえない。
じゃあいったい何が・・・?
「よ・・・、良かったなキンジ!なんか知らんがお前にも春がきたみたいだぞ!先生、俺転入生さんと席変わりますよ!」
まるで選挙に当選した代議士の秘書見たく俺の手を握ってブンブン振りながら右隣の席から武藤が満面の笑みで立つ。
くっそ、人事だと面白がりやがって。
「あらあら、最近の女子高生は積極的なのねぇ~。じゃあ武藤くん、席変わってあげて。」
先生はなんだか嬉しそうに俺とアリアを交互に見やると事情を知らない武藤の提案をOKしてしまう。
おぉぉ~!ぱちぱち。
とうとうクラス中もそのつもりになってしまい、拍手する奴や歓声を上げる奴まで。
――ちっ、違う!俺はアイツの事なんてこれっぽっちも知らない!それどころかアイツはさっきまで俺に向けて銃をぶっ放してたんだ。だから取り消してくれ!――
そう先生に抗議しようと思った時神崎が――
「キンジ、これ。さっきのベルト」
といきなり俺を呼び捨てにしつつ、さっきのベルトを放り投げてきた。
俺がベルトキャッチすると――
「分かった!理子分かっちゃったよ!――コレフラグばっきばきに立ってるよ!」
左隣に立っていた峰理子がガタン!と勢い良く席を立つ。
「キーくんベルとしてない!そしてそのベルトをツインテールさんが持ってた!コレ謎でしょ謎でしょ!?でも理子には推理できた、できちゃった!!」
まずい、どう考えても嫌な予感しかしない・・・。
理子は優秀な奴ではあるが同時に大馬鹿女だ、こんがらがるのは目に見えてる。
ついでに言うとキーくんというのはコイツが俺に付けたあだ名だ。
『タケッ!助けてくれ!』
俺は右斜め後ろの席に座っているタケに目線で助けを求める、が。
『済まないな、キンジ・・・。』
そういうかのように目を逸らす。
そんなやり取りをしている時に――
「キーくんは彼女お前でベルトを取るような何らかの行為をした!そして彼女の部屋にベルトを忘れてきた!つまり二人は――熱い熱い恋愛の真っ最中なんだよ!!」
恋愛って・・・、お前なぁ。
そもそも下脱ぐだけならベルトを完全に取り必要無いだろうが。
だがここはバカの吹き溜まりである武偵高。
クラスは大いに盛り上がってしまった。
「キンジの野郎がこんな可愛い子と!?いつの間に!!」「影の薄いやつだと思ってたのに!」「フケツ!」「男が好きじゃなかったの!?」「キン✕タケだと信じてたのに!!」
武偵高はこの一般教科のクラス分けとは別にそれぞれの専門科目で部活のようにクラスや学年を超えて学ぶ。
だから比較的顔見知り率は高いのだが、お前ら息合いすぎだ。
――ていうか最後の方!とんでも無いこと言い出すんじゃねぇ!なんでそうなる!?
「お前ら・・・。」
俺が頭を抱えて机に突っ伏せていると――
ズバンズバン!!
轟いた銃声がクラスを一気に凍りつかせた。
――見ると真っ赤になったアリアがあの二挺拳銃を抜いてぶっ放していた。
「れ、恋愛だなんて、――くだらない!!」
広げた両腕の先の壁には一つずつ穴が開いていた。
キンキキンキーン・・・・。
銃のエジェクションポートから排出された薬莢の音が更に静けさを強調する。
バカ理子は妙なポーズのまま体をよじらせゆっくりと席に戻る。
――武偵高では「必要以上の発砲はするな」と決められているが、発砲自体は禁止されていない。
むしろ常日頃から発砲に対して慣れておかなければならない、だから別になんら問題は無い・・・・、無いのだが・・・・。
新学期早々の自己紹介でぶっ放したのはコイツが初めてだろう。
「全員覚えておきなさい!!――そういう馬鹿なことを言う奴には問答無用で風穴あけるわよ!!」