ショウとは別に少女がヒスイ地方に送り込まれたそうです。   作:クロの騎士

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ピカチュウは可愛い。
どうも、クロの騎士と申します。

更新頻度は遅いかもしれませんが、
エタらないように頑張りますのでよろしくお願いいたします。


第一話 ヒスイの地でサバイバルを強いられているんだ!

 試験に落ちてしまった。

 どうやら、私にはポケモンを捕まえる才能がなかったようだ。

 

 私の名前はルージュ。

 気が付くとヒスイ地方と呼ばれる場所にいた。

 目撃者のラベンと名乗るポケモン博士の話によると、私はショウと言う同い年くらいの少女と一緒に時空の裂け目とやらから落ちて来たらしい。

 

 見知らぬ土地で知り合いもいない。

 そんな私たちは、ラベン博士のご厚意でコトブキムラへと案内された。

 そこで衣食住の提供をしてくれるとのことだったが、流石に無償と言うわけにはいかなったみたいだ。

 ギンガ団と呼ばれる組織で働くことを条件にされ、翌日に試験を受けることになった。

 この試験に合格しないと、衣食住の提供は無し。

 当然、コトブキムラからも退去させられると言う話らしい。

 

 素性も解らない怪しい人間とはいえ、いくらなんでも厳しくないか?

 そう思ったが、口にはしなかった。

 

 で、試験当日。

 試験の内容は、野生のビッパ、ムックル、コリンクと言うポケモンを捕まえること。

 コトブキムラに案内される前、ショウがラベン博士から逃げ出したヒノアラシ、ミジュマル、モクローの三匹を捕獲したことから、この内容になったようだ。

 ちなみに、このヒスイ地方では一匹のポケモンを捕まえるのもやっとと言う話である。

 その話が本当ならば、この試験内容はかなり難しいものだろう。

 つまり、そこまでの実力が無ければ受け入れない……そう言うことらしい。

 

 そして、私は試験に落ちた。

 モンスターボールをポケモンに向かって投げたのだが、全く当たらず。

 相手が止まっているのにも関わらず、明後日な方向へと飛んでしまう。

 結局、一匹のポケモンも捕まえることなく試験が終了。

 もちろん、試験結果は不合格である。

 

 試験に落ちたので、衣食住の話は無し。

 コトブキムラからもその日のうちに追い出されることになった。

 

 尚、ショウは無事試験に合格した。

 自分だけ合格したことに申し訳なさそうにしていたが、私は気にしないように伝えておいた。

 

「さて……これからどうしましょうかね?」

 

 試験場にもなった黒曜の原野と呼ばれる場所まで連行され、そこから自由に身になった。

 食料も水も持たされず、試験前に博士から頂いたヒノアラシも没収され、部屋ぎのまま外に出され……いくら怪しいからと言って、いたいけな十五歳の少女にこれは酷いと思う。

 だが、此処で不平不満を口にしても何にも解決にならない。

 出かけた罵詈雑言を飲み込んで腹を下すとは聞かないし、今は罵詈雑言を飲み込むことにした。

 

 で、話を戻そう。

 これからどうするか……まあ、考えなくても衣食住の確保を優先としなければならない。

 人間、食べて飲んで寝ないと生きていけない生物である。

 

「コトブキムラ以外に集落はあるのかな?……いや、あっても受け入れてくれるとは限らないか」

 

 テンガン山の上空に存在する時空の裂け目を見る。

 私とショウはあそこから落ちて来たらしい。

 二人ともよく無事だったよね……と言う感想は置いといて、私は時空の裂け目から落ちて来た怪しい奴である。

 野生のポケモンを恐れるように、私も恐れられる存在のようだ。

 そんな奴を受け入れてくれる人なんて指で数えるくらいしかいないと思う。

 例え時空の裂け目から落ちて来たと言う部分を伏せたとしても、隠し事と言うのはいつかばれるもの。

 どのみち、いざこざになるに違いない。

 

「と言うことは、サバイバルしかないよね」

 

 サバイバルの経験はほぼ皆無だ。

 しかし、やるしかないだろう。

 

「まずは飲み水と食料の確保……出来れば、雨風を凌げる場所も欲しいわね」

 

 川があるので飲み水は手に入るだろう。

 食べ物も食べれそうな実がなっている木をいくつか見つけたので何とかなるはず。

 問題は寝床である。

 天候が良ければ一日二日なら野宿でも別に構わない。

 だが、雨が降っているのに外で寝るのは自殺行為に等しいことだろう。

 

「洞穴とかあればいいんだけど……」

 

 考えていると、後方の茂みからガサガサと言う音が聞こえてくる。

 どうやら何かいるらしい。

 振り返って身構える。

 すると、現れたのは私の知っているポケモンだった。

 

「ピカァ!」

 

 黄色いボディにギザギザな尻尾……そして、赤い頬っぺた。

 紛れもなくそいつはピカチュウである。

 

 ピカチュウと言えば、私の故郷にピカチュウを相棒とした滅茶苦茶強いポケモントレーナーがいる。

 あちこちの地方の大会で好成績を残しており、今は何処かの研究でリサーチフェローをしていると聞く。

 

 懐かしい。

 昔は「ルーねぇ」と呼んで慕っていたっけ?

 いつの間にか立派に成長していて、お姉ちゃんは非常に嬉しい限りである。

 まあ、それは置いといて……目の前のピカチュウに視線を合わせた。

 

 恐らく野生だろう。

 この世界はポケモンを持っている人は少ないらしい。

 

「ねえ、雨風を凌げそうな場所とか心当たりある?」

 

「ピィカァ!」

 

 言葉が通じたのか「ついて来い!」と言った感じで走り出したピカチュウ。

 私はその後を追う。

 そして、行きついた先には洞窟が存在していた。

 

「此処なら雨風を凌げそうね。ありがと、ピカチュウ」

 

「チャァ!」

 

 頭を撫でるとピカチュウは嬉しそうに声を出す。

 可愛い、可愛すぎる。

 ポケモンの中でも人気があると聞くが、それは納得だ。

 けど、あの子が持っているピカチュウはちょっと恐ろしく感じてしまう。

 それはなぜだろうか?

 

「……あれ、君の尻尾はハート形なのね」

 

 ピカチュウはオスとメスで尻尾の形状が違うらしい。

 確かハート型なのはメスだったはず。

 つまり、このピカチュウはメスのようだ。

 

「まあ、細かいことは気にしないでおこう」

 

 そう、細かいことは気にしない。

 目の前にいるピカチュウが通常よりもかなり大きいことや目が赤く光っていることも気にしないでおくことにした。

 

「何はともあれ、今日の寝床ゲッドだぜ!」

 

「ピィピィカチュ!」

 

===

 

 その日、私はピカチュウと共に眠りにつく。

 洞窟には野生のズバットがいたが、彼らが襲って来ることは無かった。

 ピカチュウが怖いのか……それとも私が怖いのか……何か別の理由があるかもしれない。

 だが、こちらに危害を加えないのであれば無視でいいだろう。

 

(そう言えば、向こうの世界でも野生のポケモンに襲われることが少なかったっけ?)

 

 どうやら私はポケモンに襲われ難い体質らしい。

 それに人の野生の問わず、ポケモンを引き寄せてすぐに仲良くなってしまう。

 友人から「ポケモンホイホイ」なんて言われているが、もしもその能力が本物ならばこの世界でも生きていけるかもしれない。

 そう思いつつ、私は意識を手放した。




登場人物の紹介

ルージュ 15歳 女
本作の主人公。
アルセウスによりショウと共にヒスイ地方へと連れてこられた。
何故かモンスターボールを投げるのがド下手であり、それによりコトブキムラからサヨナラバイバイされてしまう。
だが、ポケモンたちを引き寄せてすぐに仲良くなると言う能力が備わっており、野生のポケモンが彼女を襲うことは滅多にない。
ちなみに、ピカチュウを相棒とした某トレーナーと昔からの仲である。
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