ショウとは別に少女がヒスイ地方に送り込まれたそうです。 作:クロの騎士
現れたドレディアは、私が知っている姿ではなかった。
ポケモンの中には生息地によって姿形が異なり、タイプまでも違う種類がいると聞く。
確かリージョンフォームだったかな?
恐らく、このドレディアもそうなのだろう。
「ショウ……大丈夫かな?」
とヒナツが心配する。
そんな彼女の問いにセキさんは即答した。
「アイツなら問題ねえとは思うが、いざとなれば俺らも加勢するぞ」
ショウとドレディアの戦いが始まる。
根拠は無いけど、セキさんの言う通り彼女ならドレディアを鎮められるだろう。
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自身に向かって飛び跳ねて来るドレディア。
ショウはその攻撃を冷静に回避した。
攻撃を避けられ続けたドレディアは、連続で攻撃をする。
だが、それも回避されてしまい、疲れ果てたところでショウはモンスタボールを投げた。
「お願い、ムクバード!」
相性の良いひこうタイプのムクバードを繰り出す。
相性の良いひこうタイプのムクバードを繰り出す。
先行はムクバードだ。
「つばさでうつ!」
ムクバードの攻撃がドレディアに直撃。
効果は抜群である。
しかし、ドレディアを倒すことは出来なかった。
「ムクバード、上昇してドレディアの攻撃を避けて!」
ショウの指示で空高く飛ぶムクバードに、ドレディアの攻撃は当たらなかった。
そして……
「もう一度つばさでうつ!」
二回目の攻撃でドレディアがダウン。
怯んだ隙にショウはシズメダマを投げ始めた。
「……落としきれないか」
息を吹き返したドレディアを見て、ショウは回避に専念する。
そして、再び疲れたところでポケモンバトルを仕掛け、怯んだ後にシズメダマを投げる。
この行為を何度か繰り返した後、ついにドレディアを鎮めることに成功した。
「ふぅ……」
光が散り、元の姿へと戻るドレディア。
危なげなくことを成し遂げたショウは息を吹いた。
===
どうやら終わったらしい。
ドレディアは緑色の板をショウに手渡した。
「お疲れ様」
私はショウに労いの言葉を口にする。
続いて、セキさんが感謝の言葉を伝えた。
「ありがとうな。ドレディアだけではなく、ヒナツを救ってくれてよ」
「ガチグマのことといい、ドレディアのことといい。あんた凄いな!!」
今回の一件で責任を感じていたヒナツは、ショウの活躍に感激しているようだ。
「ふぅ……やっぱりドレディアが荒ぶるのってふさわしくないや」
「ディディ……」
確かに、今のドレディアはおとなしいそうである。
ドレディアといい、バサギリと言い……荒ぶる現況となる雷とは、いったい何なんだろうか?
(時空の裂け目から落ちて来たと言うし……もしかして、私やショウを此処に送り込んだアルセウスの仕業……)
または、この現象を止める為に呼び出した可能性もある。
この時代……この世界の人間じゃない私やショウを巻き込むのってどうかとは思う。
(そう言えば、すっかり忘れてたけど……私、元の世界に戻れるのかな?)
まだ数日しか経っていないが、きっと両親や知人たちは心配しているだろう。
それはショウも同じのはずだ。
すべてのポケモンと出会え。
この世界に呼び出された時、アルセウスフォンと共にその使命を託された。
アルセウスフォンはピカチュウに壊されてしまったけど、使命の方はまだ継続中だろう。
使命を果たせば元の世界に戻れる。
そう考えるのが自然だろう。
けど、もしも帰れなかったら……
(せめて、ショウだけでも帰れるようにしたい)
ギンガ団として命懸けで任務を遂行しているのに、すべてを終えても帰れない……それでは彼女があまりにも可哀そうである。
(よし、元の世界に帰る方法を探してみよう)
時を超えるポケモンがいると聞くし、方法はあるだろう。
まずは使命を遂行しつつ、このヒスイ地方を巡ってみることにした。
===
ある日突然、あの子が姿を消した。
普通に考えれば、家出か誘拐のどちらかで、すぐに警察を呼ぶべきことなのだろう。
けど、私は警察に届けず、まずは知り合いのポケモン博士に相談していた。
「話を聞く限り、ポケモンの仕業の可能性がありますな」
「……やはりそうですか」
家出をする理由は思い当たらないが、家出をしたならば荷物やポケモンを持ち出しているはず。
それが家に置きっぱと言うことは、家出とかではない。
だとすれば、誘拐されたと考えるべきだが、部屋に第三者が侵入した形跡がなかった。
自室にいた娘を誘拐するとすれば、人の力ではまず不可能だろう。
ちなみに、娘の性格上ドッキリとかではない。
娘は人やポケモンが嫌がることをしないようにするタイプである。
「ポケモンの中には瞬間移動するテレポートと言う技を覚えるものもいます。もしもテレポートを覚えたポケモンが関わっているのであれば、見つけることは難しくないかもしれません」
「その言い方ですと、テレポートを覚えたポケモン以外の可能性があるのですね?」
「えぇ……」
博士は少し沈黙し、再び口を開いた。
「時間や空間を操るポケモンがおりまして、もしもそのポケモンたちが関わっているのであれば……」
「手が出せない……そう言うことですね?」
博士は「はい」と答える。
時間や空間を操るポケモンたちは、目撃数が少ない珍しいポケモンだそうだ。
しかし、娘は昔からポケモンに懐かれやすい体質の持ち主。
その珍しいポケモンが娘に引き寄せられたとしても、不思議じゃないことである。
「もちろん、ポケモンの仕業ではない可能性もあります。まずは警察に相談した方が良いかもしれません」
「そうですね……でも、娘は恐らく帰ってくると思います」
「何か根拠があるのですかな?」
「えぇ。実は今朝にとあるポケモンがやってきまして……」
そのポケモンが部屋にあの子がいないことを教えてくれたのである。
そして、ポケモンは不思議なリングを出現させ、私にこう言ってからリングの中に消えて行った。
【オイラが必ずルージュを連れ戻すから!】
リングのポケモンは、かつて怪我をしていたところを娘が助けた子だった。
「……いつも思いますが、彼女は珍しいポケモンに縁がありますな」
博士は教えてくれた。
リングのポケモンが魔神と呼ばれているらしい。
そんなポケモンがあの子の為に動いてくれるのだ……きっと無事に戻ってくるはずである。
次回からルージュに新たなポケモンを仲間にさせる予定です。
(ヒスイ地方のポケモンとは言っていない)