ショウとは別に少女がヒスイ地方に送り込まれたそうです。   作:クロの騎士

14 / 20
今日も仕事。
頑張るぞい!


第十四話 長でもやっぱり女の子

翌朝。

目を覚ました私は、朝食の準備を始めた。

と言っても、リュックから木の実を取り出すだけ。

今日はオボンの実とオレンの実にした。

 

「ルージュさん」

 

朝食を食べ終えた私に声を掛け来たのはウォロさんだった。

 

「おはようございます、ウォロさん」

 

「はい、おはようございます。よく眠れましたか?」

 

「えぇ、グッスリと」

 

それは良かった。

相変わらずニッコリスマイルでウォロさんは応える。

 

「ところで、最近この辺りで幽霊が出るそうです。ルージュさんは見ませんでしたか?」

 

「ウォロさんの後ろにいる子なら見ましたよ」

 

「………後ろ?」

 

ウォロさんが振り返ると、そこにはヨマワルがいた。

 

「うぉ!?」

 

「ぽわーん♪」

 

ビックリ大成功!

そんな感じでヨマワルが嬉しそうに鳴いた。

 

「ま、まさかジブンが背後を取られる日が来るなんて……」

 

よほどショックだったのだろう。

何だか悔しそうなウォロさんである。

 

「……話を戻しますが、幽霊が出るんですか?」

 

「えぇ。あちらに火吹き島と言う場所があるのですが、どうやらあそこを住み家としているようです」

 

幽霊の正体は大体ゴーストタイプのポケモンと相場が決まっている。

だが、本当に幽霊がいないと言う根拠はない。

 

「亡霊とかでしょうか?」

 

「亡霊……もしもそうなら、先代のキングかもしれませんね」

 

そう言えば、この群青の海岸にはキングがいないらしい。

不慮の事故で命を落としてしまい、後継者も育たぬままなのだそうだ。

 

「キングの不在で荒ぶるポケモンが出ていない訳ですが、変わりに幽霊騒ぎとは……中々興味深いです」

 

ウォロさんは遺跡や伝承が好きと言う話だ。

だが、どうやらオカルトも好物らしい。

目をキラキラさせていた。

 

「そうそう、幽霊の調査で近々ギンガ団から調査員が派遣されるようですよ」

 

「調査員……ショウかな?」

 

「さぁ? ですが、その可能性は高いでしょう」

 

「……いいように使われているっぽいですね」

 

「まあ、信頼を勝ち取る為ですから仕方がないですよ」

 

信頼を得るには行動するしかない。

そんなことは理解している。

だが、一番心配なのは頑張っているショウをアッサリ切り捨てないかだ。

 

(もしも彼女が捨てられることになるのなら、私が支えてあげないと……)

 

そうならないのがベストだが、役に立たないと見なされて捨てられた実例なので、彼らを信じることは出来るはずもなかった。

 

===

 

ウォロさんと別れた後、私は砂浜を歩いていた。

 

「折角の海なのに……泳げないのは無念だわ」

 

全裸で泳いでもいいけど、痴女扱いされると困る。

まあ、水着で泳いでいたとしても、この時代ではそうなるのだろうなぁ~。

 

「諦めるしかないか」

 

と呟いた時、目の前の空間が歪んだ。

確か「時空の歪み」だったかな?

ウォロさんに教えて貰った。

歪みが発生した場所では、珍しいポケモンや道具が落ちているらしい。

 

「…………」

 

本来であれば、近づくのは躊躇うところである。

だが「全てのポケモンと出会え」と言う使命がある今、行かないと言う選択肢はなかった。

 

「ついでに、珍しい道具を持ち帰ればウォロさんが喜びそう」

 

と言う訳で……

 

「行ってみよう!」

 

「ピカチュウ!」

 

「…………」

 

「ぽわーん♪」

 

私はピカチュウたちを引き連れて、時空の歪みに突入するのであった。

 

===

 

しまったな……

カイは時空の歪みの中を歩いていた。

 

結局、キングの後継者問題は進展せず。

それどころか仲違いして終わってしまった。

そのことを引きずりながら集落へ戻ろうとしていた時、突如として時空の歪みが発生したのである。

 

「早く此処から出ないと……」

 

カイと彼女の隣にいる相棒のグレイシアは、時空の歪みを真っ直ぐと突き進む。

しかし、その途中で後ろから殺気を感じ、振り返るとそこにはサイドン二体とドサイドン一体がいた。

 

「グレイシア、冷凍ビーム!」

 

グレイシアの冷凍ビームが三体に直撃。

怯んだ内に反対方向へと逃げる。

だが……

 

「っ!! もう一体!?」

 

別のドサイドンが待ち伏せをしており、カイとグレイシアは四体に囲まれてしまった。

 

「ど、どうしよう……」

 

万事休す。

グレイシアは威嚇をするが通用せず、ドサイドンたちがじりじりと近づいてくる。

 

(こうなれば一点突破で……)

 

もしも突破出来なければ、そこに待つのは死であるカイは覚悟を決め、グレイシアに前方のドサイドンに攻撃を命令しようとした……その時である。

 

「ヨマワル、シャドーボール!」

 

聞き覚えのある声が聞こえたと同時に、目の前にいる一匹のドサイドンにシャドーボールが直撃。

更に、カイとグレイシアは空から現れた赤いポケモンに捕縛され、そのままドサイドンたちから脱出。

そのまま時空の歪みの外まで運ばれた。

 

「大丈夫ですか?」

 

そこにいたのは、やはりルージュだった。

 

「る……ルージュさん?」

 

彼女の顔を見た瞬間、カイの目には涙が溢れ出てきた。

そして、ルージュの胸へと抱きつく。

 

「こ、怖かった……怖かったです!」

 

シンジュ団の長とは言え、まだ若い少女である。

死ぬかもしれない場面で助かり、安堵するのは当然であり、あまりの恐怖に泣き出すのは当たり前のことだろう。

 

「……怖かったよね」

 

よしよしとカイの頭を撫でるルージュ。

その姿は姉妹か……親子か……それとも恋人か……どのようにも見えるかもしれない。

 

===

 

あの後、カイさんと共にテントまで帰ってきた。

 

「あう……あううぅ」

 

平常に戻り、とても恥ずかしいと思っているのだろう。

カイさんの顔が真っ赤であった。

 

(これは昨日の件については聞かない方が良いかもしれないな)

 

もしも聞いたら、カイさんが大爆発してしまう恐れがある。

 

(なんにせよ、無事でよかった)

 

しばらくして、時空の歪みが消えた。

この現象も時空の裂け目と何か関係があるのだろうか?

あるとすれば、このまま放置するのは不味いのかもしれない。

 




次回はショウちゃん登場……そして、修羅場発生?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。