ショウとは別に少女がヒスイ地方に送り込まれたそうです。 作:クロの騎士
誤字が多いかもですが、温かい目でお願いします。
私は浅はかだった。
一人では荷が重いだろうと考えて、もう一人の彼女を一緒に送り込んだ。
共に苦難を乗り越え、必ずや役目を果たすだろう。
そう思っていた。
だが、早々に二人がバラバラにされるなんて……これでは意味が無いではないか。
「それどころか、このままだと彼女が死んでしまう」
だが、どうすることも出来ない。
二人をあの世界に送り込んだことすら禁じ手なのに、これ以上私があの世界に干渉する訳にはいかないのだ。
けれど、このまま見殺しにするのはもっと不味い。
「何か良い手は……あぁ!?」
自身が生み出した空間にて、彼女の行動をずっと見ていた。
ちなみに見るだけならば問題ない。
私が連れて来た彼女たちの動向を二十四時間見守るのは私の役目なのである。
「どうしてオヤブンピカチュウが此処にいるのですか!?」
彼女の目の前に現れたのはオヤブンピカチュウ。
通常の個体よりも大きく、強く、そして気性が荒い。
「逃げて! それはあなたが知るピカチュウではありません!!」
このままではピカチュウに襲われてしまう。
そう心配していたのだが、どうやら杞憂に終わったようです。
「な……なんでオヤブンピカチュウを手懐けているの!?」
あり得ない。
だが、現実に彼女はオヤブンピカチュウと仲良くなっている。
初対面で……野生で……オヤブンなのに……
「もしかして、あの子はポケモンと直ぐに仲良くなれる力があると言うの?」
もしもそうなら、やはり二人を一緒に行動させた方が良いだろう。
間違いなく二人揃えば無敵である。
だが、まずは彼女を安全な場所まで導かなければならない。
「あの人間ならばどうにかしてくれるだろう」
私はアルセウスフォンを使い、件の人間が住む場所まで導くことにした。
===
目が覚めるとポケモンたちに囲まれていた。
外だから当然と言えばその通りである。
まあ、みんな敵意がない。
それどころか一緒に寝ていたようだ。
「ピィカァ」
「ピカチュウ、おはよう」
先に起きていたピカチュウに挨拶をする。
私はうーんと背伸びをし、これからについて考え始めた。
今居るヒスイ地方は、感じからして過去のように感じる。
時間を行き来できるポケモンはいるのを知っているので、あり得ない話ではないだろう。
「もしも過去なら、現代に戻る方法を探すべきかな?」
方法はある。
さっき言ったポケモンにお願いすればいい。
しかし、時間を行き来するのだから会うのは相当苦労するはずだ。
正直、ちょう面倒である。
「まあ、最終目標は元の世界に戻るとして、直近はやっぱり衣食住の確保ね」
特に重要なのは住むところだと思う。
この洞窟も雨風を凌げていいが、もう少し人らしい生活がしたいと言うのが本音。
小屋……せめてテントが欲しい。
「ん?」
いきなりポケットのスマートフォンが鳴り響く。
おかげで、寝ていたポケモンたちが一斉に起き上がって逃げてしまった。
「なんかごめん」
いつもなら、寝る時はサイレントマナーモードにしているのだが、昨日はし忘れていた。
と言うか、このスマホはサイレントマナーモードに出来るのだろうか?
この世界に来た途端に斬新なデザインになってしまい、ちょっと戸惑っている。
「ピィカ!」
「これが欲しいの?」
ピカチュウの目の前にスマホを置く。
すると、ピカチュウのほっぺに電気が走った。
「ピィカ……チュゥゥ!」
スマホに向かって十万ボルト。
効果は抜群だ。
「おぉ、真っ黒焦げ」
凄い威力だ。
スマホは原型を留めず真っ黒になってしまった。
確か、ピカチュウは初めて見た物に電撃を浴びせる習性があるらしい。
此処が過去なら当然スマホはないだろうし、初めて見たと言うのも納得である。
「ピィカ……」
やり過ぎた。
そう思っているのだろう。
ピカチュウは私の方を見て、申し訳なさそうにしている。
「誰にでも失敗はあるから気にしないの」
「チャァ」
頭を撫で撫ですると、可愛いく声を上げる。
どんなに大きくても、ピカチュウが可愛いことに変わりなかった。
「さて、うだうだ考えてもしょうがないし……取りあえず、奥に行きますか」
黒焦げになったスマホをポケットにしまい、私は洞窟の中を進んでいく。
途中でワンリキーたちに出くわした。
特に何かされることなかったが、何匹か一緒についてきた。
理由は解らないが、ついてくるだけで害はない。
なので気にしないことにした。
「あ、出口だ」
どうやらこの洞窟は一本道だったらしい。
反対側の出口に到着し、私は外に出る。
当たりを見渡すと、木々や草花が生い茂っており、巨大な木が一本あるのが確認できた。
「大きな木……一体、何年の月日が流れているんだろうか?」
考えていると、何かがこちらに向かって走ってくる音が聞こえてくる。
それはピカチュウやワンリキーたちにも聞こえたらしい。
ピカチュウは戦闘態勢に入り、ワンリキーたちは洞窟へと逃げ戻って行った。
「……来る」
高くジャンプして現れたのは、両手が丸で斧のような形をした……見たことのないポケモン。
姿はストライクに似ているが、ストライクの進化形はハッサムしか知らない。
発光しているのは電気タイプだからだろうか?
よくわからないが、これだけは解る……
「とても苦しそう」
戦闘態勢のピカチュウの横を通り、私はそのポケモンへと近づく。
一瞬、斧の手を振り上げて威嚇されたが、それでも歩みを止めなかった。
「落ちついて……私は敵じゃないよ」
優しく頬を撫でる。
少し落ち着いたらしいが、直ぐにその場から走り去ってしまった。
「あのポケモン……何とか救ってあげたいな」
私はポケモンが走り去って行った方向をジッと見つめながら、そう呟いた。
===
「バサギリが一瞬おとなしくなっただと!?」
「あの女は確か昨日追い出した……」
「このことを団長に報告するんだ!」
登場人物の紹介
アルセウス
ルージュとショウをヒスイ地方へと連れて来た張本人。
自ら世界に干渉しないことに決めている。
特例として二人を呼び出したが、そのことを後悔している様子。
ルージュたちのことを見守るのは自身の責務とし、二十四時間ウォッチングしているらしい。