ショウとは別に少女がヒスイ地方に送り込まれたそうです。   作:クロの騎士

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第二十話 この時代で最強なのは彼女である

 スマホロトム。

 スマートフォンにロトムと言うポケモンが入り込み、ユーザーをサポートしてくれる。

 

 ロトムとは五年前にアローラ地方で出会い、一緒に旅をし続けた仲だった。

 だが、端末の機種変更をした時に「この端末がお気に入りだから此処に居続けるロト! そして、しばらく眠るロト!」と言って前の機種に居座り続けたのである。

 

 それが一ヶ月前のことである。

 

「久しぶり、ロトム。約一ヶ月ぶりだね」

 

「一ヶ月!? ちょっと寝坊してしまったロトね」

 

 ポケモンと人間の感覚は違うようだ。

 ロトムにとって一ヶ月はちょっとらしい。

 

「……ところで、此処は何処ロト?」

 

「此処はヒスイ地方……群青の海岸と呼ばれている場所よ」

 

「ヒスイ地方? 確か昔のシンオウ地方ロトね?」

 

「そうなの?」

 

「以前調べたから間違いないロト!」

 

 この子の趣味はネットサーフィンらしい。

 気になることがあればすぐに調べていた。

 おかげでコーヒーの入れ方からミサイルの開発まで様々な知識を得とくしたようだ。

 

「つまり此処は過去ロトか! 時を渡るポケモンの仕業ロト? それとも例の魔神のイタズラロトか?」

 

「……今回は両方とも違うと思う」

 

「まさかあの神様が現地ロトか?」

 

「さあ? もしそうでも、私たちの知っている個体とは違うかもしれない」

 

 彼は有無も言わさず過去や平行世界に送ることはしないはずだ。

 

「まあ、いつもの巻き込まれ体質が発揮されたと言うことロトね」

 

「そんなトラブルメーカーじゃないわよ私……多分」

 

 ポケモントレーナーなら未来や過去や平行世界や異世界へ飛ばされるなんてことは珍しくないだろう。

 知り合いに博士やピカチュウを相棒した彼も体験済みだしね。

 

「此処が本当にヒスイ地方ならもっと慌てた方がいいロトけど、ルージュなら無事に元の世界へ帰ることが出来そうロト」

 

「そうね……」

 

 前もその前もそのまた前も無事に元の世界へ戻れて来た。

 だから、ロトムの言うとおり今回も大丈夫だと思う。

 

「……ところで、ルージュ」 

 

「ん?」

 

「そこの臨戦態勢に入ったピカチュウをどうにかして欲しいロト」

 

 見ると、ピカチュウがロトムを警戒していた。

 

「ピカチュウ、この子は敵じゃないよ?」

 

「ちゃあ?」

 

 私の言葉で警戒を解く。

 私が誘拐されてしまったからか、若干警戒感が上がっているような気がした。

 

「随分と大きなピカチュウロトね」

 

「オヤブンと呼ばれている個体数らしいよ」

 

「オヤブン……ロト?」

 

「うん。この地ではそう呼ばれているポケモンがたくさんいるみたい。それにヒスイ地方のリージョンフォームとかも……」

 

「ルージュ、今すぐ冒険ロト!!」

 

「ごめん……今日は疲れたからまた明日ね」

 

 誘拐にウィンディの件で流石に疲れてしまった。

 好奇心を抱いているロトムには悪いけど、今日は休まして貰おう。

 

「絶対ロト? 約束ロトよ!」

 

「うん……じゃあ、お休み」

 

===

 

 すぐにルージュが眠ってしまったロト。

 恐らく、今まで大変だったロトね。

 

「ちょっとそこのピカチュウロト、ルージュのこれまでの話を聞かせてロト」

 

「ぴぃかぁ」

 

 ピカチュウは二つ返事で了承し、ルージュの話を聞かせて貰ったロト。

 

(ルージュ……やっぱり大変な目にあってたロト)

 

 特にコトブキ村を追放された件ロト。

 試験に落ちたからすぐに追い出すなんて薄情すぎロト!

 空から落ちてくる人間なんて元いた世界じゃ日常茶飯事ロトよ!!

 

「……ルージュが追放されたと言うことがルージュの手持ちがなにするか解らないロトね」

 

 鞄の中に入っているモンスターボールにいるルージュのポケモンたちに視線を向ける。

 ルージュの一番のパートナーであるリザードンもそうロトが、ルージュ以外の人間をめちゃくちゃ嫌っているアイツの耳に入ったら……未来永劫コトブキ村のある場所は更地になるロト。

 

「やったことがやったことだから止めはしないロトが……そうなる未来をルージュは望んでいないロト」

 

 コトブキムラ……ギンガ団とやらがルージュにちょっかいを掛けないことを祈ろうロト。

 

===

 

 ギンガ団団長のデンボクは、ショウおよび自身の懐刀の報告を聞いて難しい顔をしていた。

 その理由はもちろんルージュの件だ。

 

 この村を追放されてもなお生きていることはいい。

 だが、彼女に付き従っているポケモンが強力すぎる。

 

 オヤブン個体や正体不明のポケモン……更には時空の裂け目から現れたと言う赤い竜。

 ポケモンを一匹手持ちにいるだけでも珍しいことなのに複数使役している。

 デンボクの悩みの種としては十分すぎる案件だ。

 

「団員の中には彼女を始末するべきと声が上がっているが……もしも戦闘になって果たして勝てるかどうか……」

 

 普通に戦いを挑めばまず負けるのは自分たちである。

 だが、ルージュを暗殺してはポケモンたちが黙っていないだろう。

 やるのであればルージュのポケモンたちを全て捕まえるのが一番無難な作成である。

 

 それが出来るのはショウだけ。

 

 だが、ショウはルージュととても仲がいい。

 任務としてルージュのポケモンの捕獲を指示しても拒否されるに違いない。

 

「拒めばこの村を追放を……いや、それでは余計に彼女と敵対する可能性が高い」

 

 どう舵をとったとしても村が滅びるかもしれない。

 コトブキ村を守るため、デンボクはルージュに対してどう接するかを今一度考え始めた。

 




自分よりも村の人たちを守りたいデンボクさん。
もしも自分の首一つで許されるのであれば、喜んで差し出すでしょう……。

では、次回も読んでくれると嬉しいです。
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