ショウとは別に少女がヒスイ地方に送り込まれたそうです。   作:クロの騎士

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第五話 森の王を鎮める者

 アルセウスと名乗る存在により、ヒスイ地方へと連れて来られた。

 

 戸惑いを隠せないショウ。

 コトブキムラにやって来て更に戸惑う。

 

 明らかに自分の居た世界ではない。

 村の雰囲気から、此処が過去の世界ではないかと感じる。

 

「博士の知り合いかしら?」

 

「変わった格好だな……」

 

「あんなのを村に入れて大丈夫なのか?」

 

 ヒソヒソ話が聞こえてくる。

 その内容から、あまり歓迎されていないことをすぐに理解した。

 

 怖い。

 ショウはその場で立ち尽くしてしまう。

 立ち止まれば、視線も声もはっきりとしたものになる。

 だから、歩かないと……頭の中ではそう思うが、体が動かなかった。

 

「大丈夫?」

 

 立ち竦むショウ。

 そんな彼女に声を掛ける少女がいた。

 

「見知らぬ土地だし不安だよね? 手でもつなごうか?」

 

 自分と同じくヒスイ地方に連れて来られた少女。

 だが、自身と違って少女は恐怖を抱いていない様子だった。

 

「あ……ありがとうございます」

 

 差し伸べられた手を握るショウ。

 その手からは優しさを感じた。

 

 もしも一人であれば、きっと泣き出していただろう。

 ショウは自分と同じ境遇の少女……ルージュがいてくれたことに感謝した。

 

===

 

 用意された宿舎は一つだけだった。

 当然、布団も一つ。

 

「野宿じゃないだけマシと思わないとね……」

 

 アハハっと苦笑いするルージュ。

 そして、ショウにこう言った。

 

「ショウが布団を使っていいよ」

 

「い、いえ……ルージュさんが使ってください」

 

「いいよ。私は雑魚寝でも問題なからさ」

 

 此処で「はいそうですか」なんてショウは言えなかった。

 けど、ルージュは折れてくれなさそうである。

 だから、大胆な提案をした。

 

「な、なら、一緒に寝ませんか?」

 

「一緒に?」

 

 布団は一人用。

 二人で寝るにはかなり難がある。

 

 流石に断られるよね?

 ショウはそう思っていたが、ルージュは数秒考えて……

 

「いいよ」

 

 まさかの了承したのである。

 そして、有言実行。

 ショウとルージュは一つの布団に入った。

 

「じゃあ、お休み」

 

「は、はい……お休みなさい」

 

 女性同士とは言え、まるで恋人のようだ。

 ドキドキするショウ。

 そんな彼女が寝付けなかったのは、言うまでもないだろう。

 

===

 

 試験が終わった。

 その結果、ショウは合格した。

 だが、ルージュは不合格だった。

 

 試験に合格しなければコトブキムラを出て行かなければならない。

 事前に話された通り、ルージュは村を出て行くことになった。

 

「行かないでください!」

 

 門の前で、ルージュに抱き着くショウ。

 ルージュはそんな彼女の頭を優しく撫でた。

 

「私は大丈夫。これでも強い方だから」

 

 自分もついて行きたい。

 そう言えば、ルージュが困るだろう。

 

 彼女を困らせたくない。

 ショウは出かけた言葉を口にしなかった。

 

===

 

 荒ぶるバサギリを鎮める。

 その任務を成し遂げる為、ショウはシンジュ団の長であるカイと同じくシンジュ団でバサギリの世話係であるキクイと共に準備をしていた。

 

 二つの大好物を掛け合わせて出来たシズメダマ。

 このシズメダマを当ててバサギリを落ち着かせようと言う作戦である。

 

「これだけあれば十分だね」

 

「はい。では、手はず通り……お二人は下がっててください」

 

「お一人で大丈夫ですか?」

 

 心配するカイにショウは強く頷く。

 

「大丈夫です。私はこれでも強いですから」

 

 本音を言えば、今すぐにでも逃げ出したい。

 けど、これは自分自身でやり遂げないといけないこと。

 だからこそ、勇気を出す為にルージュの真似をした。

 

(ルージュさん、私頑張ります!)

 

 準備の出来たショウは、巨木の戦場へと向かう。

 そして、キクイの呼びかけによりバサギリが現れた。

 

「グラシァァ!」

 

 襲い掛かるバサギリ。

 ショウは攻撃を回避しつつ、シズメダマを当てる。

 

 斧みたいな大きな手を振り回しながらの突進は、きちんと動きを見極めることで避けることが可能だった。

 だが、もしも当たればひとたまりもない。

 まさに命懸けの任務である。

 

「こっちです」

 

 うまく誘導し、巨木に突進させることに成功。

 ショウはピヨピヨと怯むバサギリにポケモンバトルを仕掛けた。

 

「フタチマル、お願い!」

 

 ラベン博士から貰った最初のポケモンであるミジュマル。

 その進化後のフタチマルを繰りだす。

 

「アクアジェット!」

 

 弱点をついて一撃でバサギリを倒す。

 バトルによるダメージにより動きが止まり、透かさずシズメダマを投げる。

 

「グラシャー!」

 

 大きな声を上げるバサギリ。

 再びショウに向かって突進してくる。

 

「っ!?」

 

 回避はした。

 だが、バランスを崩してしまう。

 

 不味い!

 そう思った時には、バサギリが迫って来ていた。

 

(やられる!?)

 

 身構えるショウ。

 しかし、バサギリの攻撃はある人物の介入により止められた。

 

「……ルージュさん?」

 

 そう、ルージュだ。

 自分の目の前に飛び出してきたのは、紛れもなくルージュ本人であった。

 

===

 

 大きな雄たけびが聞こえてくる。

 その場所へと向かうと、光り輝くポケモンとショウの戦闘に出くわした。

 

 普通のポケモンバトルではない。

 ショウは謎の袋を光り輝くポケモンに投げつけている。

 あれが何かは解らないが、それがあのポケモンを落ち着かせる方法ではないかと考えた。

 

(介入すべきかな?)

 

 恐らく、ギンガ団としての任務なのだろう。

 であるならば、部外者の私が手を出すのはお門違いと言うやつだ。

 

 だが、何かあった時のためにすぐに動けるようにしておこう。

 今のところ、きちんと動きを見極めて攻撃を回避している。

 しかし、それがいつまでも続くかは解らない。

 

(何もなければそれに越したことはないけど……)

 

 なんだか嫌な予感がする。

 そして、その予感は的中した。

 

 光り輝くポケモンをうまく巨木に誘導し、怯んだスキにポケモンバトルに持ち込み、そして勝利してから何かの入った袋を投げつけてる……そこまでは良かった。

 が、息を吹き返した光り輝くポケモンの攻撃を回避した後、バランスを崩してしまったのである。

 

(このままでは―――)

 

 と思う前よりも先にショウの元へと走り出していた。

 

「……ルージュさん?」

 

 私の登場に驚いているようすのショウ。

 彼女とは話したいことがあるが、まずは目の前のポケモンである。

 

(これでこのポケモンが静まるのであれば……)

 

 落ちていた袋を手にし、私は光り輝くポケモンまで歩いていく。

 

「大丈夫……もう大丈夫だよ……」

 

 両手で袋を差し出し、光り輝くポケモンは優しく頭を当てる。

 すると、ポケモンに纏っていた光が分散し、本来であろう姿に戻って行った。

 




次回でメイン任務1~メイン任務7のシナリオが終了です。

さて、今思ったのですが本作とゲームとで時間軸が異なってしまいました。
ゲームでは、
1日目ヒスイ地方に召喚
2日目試験とギンガ団入団
3日目ヨネの依頼
4日目バサギリの調査
となっていましたが、
本作の時間軸ではまだ3日しか経っていません。

直すのは苦なのでこのまま押し切らせてもらいます。
違和感を覚えた方はすみません。

では、また次回もよろしくお願いいたします。
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