ショウとは別に少女がヒスイ地方に送り込まれたそうです。 作:クロの騎士
だが、後悔はしていない!
ウォロさんに教えて貰った紅蓮の湿地と言う場所に到着した。
湿地と言うことは、水タイプや草タイプなんかが多く生息しているのだろう。
その上、黒曜の原野よりも強いポケモンが生息しているかもしれない。
「まあ、何とかなるかな?」
私は野生のポケモンに襲われ難い体質だが、絶対に襲われない訳じゃない。
混乱状態やバサギリのように我を忘れて暴走しているポケモンであれば、襲って来ることもある。
だから、私の体質を過信するのは禁物だ。
けど、それでも何とかなるだろうと思える。
根拠はもちろん……ない。
「さて、何処にテントを張ろうかな?」
ウォロさんがギンガ団のべースキャンプとコンゴウ団の集落の位置を教えてくれた。
取り敢えず、そこから離れた場所を寝床にしようと考えている。
「すると……あっちの方向かな?」
私は自分で導き出した方角へと歩き始めた。
そして、自分の直感で決めた場所にテントを張る。
「これでよし」
寝床の完成。
私はテントの中に入り、服を着替え始めた。
本音を言えば、お風呂かせめて水浴びをしたかったが、人に見られる可能性があるから辞めておこうと思う。
まあ、私の裸を見ても誰も喜びはしないだろうけどね。
「……さて」
洋服から和服へと着替え終えた。
しかし、着物なんて久しぶりだ。
子供の時はよく浴衣でお祭りに参加していた。
でも、似合わなかったのか、周りの視線が痛かったのを覚えている。
「今も似合ってないかもだけど……」
だが、周りにどう思われようと関係ない。
彼氏とのデートでも無ければ誰かに見せつけようなんて考えもないのだから。
「これで衣食住の衣と住は問題なしっと」
後は食料。
周辺を散策すれば何か見つかるだろう。
「ピカチュウ、お留守番よろしくね」
「ピィカ!」
私はピカチュウを見張りに残し、辺りの散策を始めた。
===
食べられそうな木の実や山菜をバックの中に入れつつ歩いて行く。
すると、見たことのない大きなポケモンに出会った。
「このポケモン……もしかして、バサギリみたいな特別なポケモンなのかな?」
バサギリみたいに光ってはいない。
だが、興奮しているようだ。
「何とかしてあげたいけど……」
シズメダマだっけ?
それがあれば落ち着かせることが出来るかもしれないが、今は手元にない。
あったとしても、バサギリのように荒ぶっていないみたいなので、効くかどうか怪しいものである。
「……ん?」
考えていると、遠くの方で何かが聞こえた気がした。
どうやら、それは目の前のポケモンにも聞こえたらしい。
「え!?」
いきなり私を口で投げ飛ばし、背にキャッチしてから音の鳴った方向へと走り出した。
「い、意外に早い!?」
何処まで行くか解らないが、私は振り下ろされないようにしっかりと捕まる。
そして、しばらく走り続けた後、目的地へと到達したらしい。
「や……やっと止まった」
バタンと地面に落ちる。
そんな私に聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「ルージュさん?」
声の方を見ると、そこにはショウの姿があった。
「あ、ショウ……昨日ぶり」
「はい、昨日ぶりです!」
笑顔で応えるショウ。
恐らく、ギンガ団の任務で此処にいるのだろう。
「何方か存じませんが、ガチグマを落ち着かせるので離れて貰えないでしょうか?」
ショウの隣におばあさんとビーダルがいる。
キクイと同じ紋章のある服を着ていることから、シンジュ団の人間らしい。
そして、私を此処まで運んで来たポケモンはガチグマと言いみたいだ。
「解りました」
おばあさんの言う通りにガチグマから離れる。
すると、ガチグマはショウたちに向かって威嚇を始めた。
「さあ、ガチグマに貴女の力を見せるのです」
「はい! フタチマル、お願い!」
フタチマルとガチグマのバトル開始。
先に動いたのはフタチマルだった。
「早業でアクアジェット!」
フタチマルのアクアジェットが直撃する。
どうやら効果は抜群のようだ。
「今度は力業でアクアジェット!」
相手に攻撃する間を与えず、二回目のアクアジェットでガチグマを倒した。
流石はショウである。
「ルージュさん! 見ててくれました?」
「うん。凄かったよ」
近づいてきたショウの頭を撫でる。
彼女は嬉しそうに微笑んだ。
その後、ガチグマに秘伝のクスリを飲ませて落ち着かせることに成功した。
ショウの話では、荒ぶるガチグマを鎮める為にやって来たと言うことだが……
「バサギリと違って光ってないよね?」
「はい。もしかしたら、別の原因があるかもしれません」
ショウの予想は当たりのようだ。
「ガチグマに何かの粉がついていました。恐らく、これが原因でしょう」
「粉……と言うことは、草タイプのポケモンが関係しているのかな?」
草タイプ……その単語を聞いて、おばあさんは何か心当たりがあるような顔をした。
「ともかく、ガチグマの件はこれで終わりです。ショウさん、この度はありがとうございました」
「いえ、これも任務ですから」
頑張っているなぁ~。
けど、根を詰めすぎていないか心配である。
「ところで、貴女はギンガ団の人間ではなさそうですが……」
「私はルージュと言います」
「ルージュ……なるほど、貴女が」
どうやら私を知っているらしい。
「私はシンジュ団のユウガオと言います。貴女のことはカイ……あの子から聞きました」
やはりそうか。
何を話したかは解らないけど、カイさんから私のことはシンジュ団に伝わっているようだ。
良い意味でも悪い意味でも有名人になりつつある。
まあ、仕方がないか。
「ルージュさんはしばらく紅蓮の湿地にいるんですか?」
「うん。まだ移動する予定はないよ」
ショウの問いに私は答えた。
「じゃあ、また会いに来てもいいですか?」
「いいけど……連絡手段ないから会うの大変かも?」
「それならガチグマに頼むと良いです」
「ガチグマに?」
ユウガオさんが言うには、ガチグマはライドポケモンで特技は宝探しらしい。
鼻がよく効くから、人探しも出来ると言う。
「じゃあ、この子に頼めば何時でもルージュさんに会えるんですね!?」
「えぇ、もちろん。」
やった!
ショウは嬉しそうにピョンピョンと飛び跳ねる。
私と会えることがそんなに嬉しいとは……ちょっと照れるな。
で、ショウはガチグマに笛の音を覚えさせた。
なんでも、笛の音を刻ませることでライドポケモンは力を貸してくれるのだそうだ。
「さて、私はそろそろ行くね」
「はい。また会いましょうね!」
「うん。またね」
私は食料集めをしつつ、ピカチュウの待つテントへと帰るのであった。
設定
・プレートについて
ルージュはバサギリからプレートを貰いましたが、アヤシシとガチグマのプレートはショウが持っています。
・ルージュとショウのいた世界について
ルージュはアニメと同じ世界の人間ですが、ショウは別の世界から来たと言うことになってます。
・魔神について
映画とは別個体。
ルージュとの関係は後々語る予定です。