ショウとは別に少女がヒスイ地方に送り込まれたそうです。 作:クロの騎士
翌日の朝。
ピカチュウと共に朝食を摂る。
今日のご飯はオレンのみとモモンのみ。
調理器具とか調味料があれば料理が出来るけど、無いからそのまま食べるしかない。
ウォロさんに今度頼もうかな?
でも、流石にもうタダと言う訳にはいかないだろう。
「何か売れる物……物々交換が出来る物を用意しておかないとなぁ……」
と言うことで、今日は道具集めをすることにした。
テントを畳んでその場から移動する。
今日は夕暮れまで探索する予定だ。
===
一時間後。
木の実や鉱石や薬草など、色々と手に入った。
けど、まだ足りないだろう。
「もう少し集めないと……ん?」
前方に誰かが倒れているのが見えた。
女性の人だ。
怪我をしているようで、動けないみたいである。
「ピィカ?」
「みたところギンガ団やコトブキムラの人間じゃなさそうだし……声を掛けてみようかな?」
見て見ぬふりをするのも後味が悪いので、私は女性に声を掛けることにした。
「大丈夫ですか?」
「……足をくじいちゃって……でも、大丈夫」
どう見ても大丈夫ではない。
それを解っていながら質問した私も馬鹿だった。
「あれ、それって……」
「あぁ、シズメダマの材料さ」
シズメダマ。
その材料を用意していると言うことは、バサギリと同じく荒ぶるポケモンがいると言うことだろう。
「ルージュさーん!!」
私を呼ぶ声が聞こえる。
その方向を見ると、ガチグマに乗ったショウがこちらに近づいて来た。
「昨日ぶりです!」
「うん。昨日ぶり」
このやり取りも昨日したね。
「ガチグマ……どうやら鎮めることが出来たんだね」
「はい、助けましたよ」
「よかった……あたし……罰が当たったのか、ポケモンに追われて足をひねっちゃった」
どうやら、足をくじいた女性とショウは知り合いのようだ。
そして、ガチグマの一件にも関わっているみたいである。
「いたいた。貴女がヒナツだね」
「ひゃあ!?」
現れたのはユウガオさんとビーダルである。
ヒナツと呼ばれた女性は、何故かユウガオさんを見て声を上げた。
「あ、あの、ユウガオさん……あたし、あたし……」
「この通り謝りますよ。コンゴウの小娘と思い、あしらっていたことを含めてわしが悪かったね。申し訳ない」
「え? あの、だって……」
「ドレディアが荒ぶったのもガチグマが暴れたのも貴女は悪くない。むしろ二匹を助けようとしたのでしょう? なのに貴女の話を聞かなくてさ……これでは長く生きている意味がないよ」
「いえ……あたしもきちんと説明できなくて。荒ぶったドレディアに近づいたガチグマがドレディアの香でおかしくなってしまったのに……」
「やはりガチグマについていた粉はドレディアのものだったのね。ルージュ……彼女が草タイプのポケモンが関係しているのではないかと言った時、そうではないかと思っておりました」
ユウガオさんとヒナツと言う女性の話によると、ドレディアと呼ばれるポケモンがバサギリ同様に荒ぶり、そのドレディアに近づいたガチグマがおかしくなったようだ。
恐らく、ガチグマはドレディアを助けようとしたのだろう。
「で、その足はどうしたんだい?」
「シズメダマの材料を……集めていて転んで足をひねって……」
ヒナツはコトブキムラを訪れ、ガチグマのことをギンガ団に頼んだらしい。
その際、シズメダマの作り方を学んだと言う。
「ギンガ団の技術はすごいなぁ。あたしも色々教わりたいよ」
「だったら、事態を解決しねえとなあ!」
「リーダー」
いきなり見知らぬ男性が現れた。
ヒナツさんがリーダーと言ったことから、コンゴウ団の長なのだろう。
「なあに、一人でしょいこんでんだ。そんなに頼りないか、俺は? ……まあ、頼りねえよな。シンオウさまをみたこともねえし。ドレディアの異変も想定できなかったし」
男性はショウの方を見る。
「おい、ショウ! ヒナツがこしらえたシズメダマを舞台の戦場まで運んでおくからよ!」
「はい! 後は任せてください!」
ショウは荒ぶるドレディアを鎮める為に舞台の戦場へと向かうらしい。
さて、私はどうしようか?
と考えていると、ショウに話し掛けられた。
「ルージュさんも一緒に来てください! そして、私を応援してください!」
「うん、解った」
二つ返事で答える。
私が行っても何も出来ないだろうけど、ショウが危なくなったら囮になるつもりだ。
最悪、ピカチュウに頼めば助けてくれるだろう。
「ところで、アンタもギンガ団の人間なのか?」
「いえ、私はショウと同じく時空の裂け目から落ちて来たルージュと言います」
「……そうか、アンタが」
コンゴウ団にも私のことは伝わっているらしい。
本当に有名人になりつつあるなぁ。
「俺はセキ。コンゴウ団のリーダーだが、長って言うのは性に合わないからやめてくれ」
「解りました」
互いに名乗った後、私とショウとセキさんは舞台の戦場へと向かう。
ユウガオさんとヒナツさんはヒナツさんの足の治療を終えた後に合流する予定である。
「着いたぜ。此処が舞台の戦場だ」
途中でコンゴウ団の集落を通り、目的地へと到着した。
「荒ぶっても美しいドレディアの姿をとくと拝見させていただこうぜ!」
ドレディア……私がいた世界でも同名のポケモンがいた。
けど、姿が同じとは限らないだろう。
「お待たせしましたね」
ユウガオさんとヒナツさんが後を追ってやって来た。
「ほら、ヒナツの足もわしの塗り薬でばっちですよ」
「ユウガオさん、シンジュ団のアンタにいろいろ迷惑をかけて申し訳ねえ……」
「この子は自分一人で解決しようとして抱えきれず、かえってみんなに迷惑をかけましたが、行動の根底は善心です」
ヒナツさんは荒ぶっているドレディア……クイーンのお世話をしているキャプテンと言う話だ。
責任重大の役職だからこそ、一人で抱えてしまうのだろう。
時には仲間に頼ること……それは大切であり時には難しいことかもしれない。
「よし、じゃあドレディアを呼び出すぜ! 準備はいいか?」
「はい! 行きます」
奥へと歩いて行くショウ。
そして、ヒナツさんがドレディアを呼び出した。