「うーん………どうしても嫌われたいなら………」
「早く早く!」
(おいっ!何を出すつもりだ?)
のび太に急かされ、渋々とドラえもんはポケットを漁る。
取り出したのは電球型の瓶だった。※1
「『虫スカン』!これを飲めば確実に嫌われる。だけどしずかちゃんだけじゃなく、誰も寄り付かなくなるよ?」
(虫スカン?何だこのひみつ道具は?)
タケルは虫スカンの知識がなかった。
もっとも、知っていたところで用法用量をきちんと守ればそれほど大事にはならないだろう。
そもそも、のび太は静香にだけ嫌われたいのであって、無差別に嫌われたいと思っている訳ではない。更に言えば対象の静香にだって、本心からいえば嫌われたい訳ではないのだから、タケルはのび太が『虫スカン』を使用するとは思わなかっただろう。
所詮は気持ちが落ちている時の、一時的な気の迷い………とタケルは楽観視していた。
この後『虫スカン』の用法用量を説明し、その上でデモンストレーションをしてから、それでものび太にこの薬を使うのかと尋ねるはずだったドラえもん。
ドラえもんも、タケルと同様にまさかそこまでの度胸は無いだろうと考えていた。
『ダメよ!タケルさん!それを使わせないで!』
『止めるんだタケルくん!忘れないで!ノイズが走ったって事は、確実に良くないことが起きるんだから!』
(やべぇ!そうだった!すっかりノイズの事を忘れていたぜ!)
タケルは慌ててのび太を止めようとした。
接触禁止など、今は構っていられない。いざとなれば『フォゲッター』や『わすれん棒』でタイムパトロールが監視している記憶を消す手段はいくらでもある。
いつもなら解説タイムに突入するので、十分にのび太から『虫スカン』を奪い取る時間がある………はずだった。
しかし、状況がそんなスキを与えてはくれなかった。
しずかの来訪を知ったのび太の母、玉子が階下からのび太に声をかける。
「のびちゃーん!しずかさんが来てるわよー!」
玉子の声で焦ったのび太は『虫スカン』のストローに口を付け、その中身を全て飲み干してしまう。
(遅かったか!)
ほんの僅かに届かなかった手。それが最悪の事態を引き起こしかけるなど、誰が想像できただろうか?
「おい!一口だけで良いのに!」
(何だって!?)
『まさか一気に飲み干すなんて………タケルくん!吐き出させるんだ!』
しかし、既に手遅れだった。
のび太から醸し出し始めた表現不能の何かが、のび太の部屋を支配する。
「ん?何ともないじゃないか?」
のび太自身は気が付いていないが、超即効性の『虫スカン』の効果はすぐに効果を現し、ドラえもんとタケルの双方に影響を及ぼし始めた。
タケルは空中で藻掻き苦しみ始め、ドラえもんはただでさえ青い顔を更に青くさせてしまっている。
『何だこの汚物は………原因がわかっているのに、激しい嫌悪感で僕の心がどうにかなっちゃいそうだ!』
(同感だぜ!四六時中一緒にいるドラえもんだってコレなんだ!気持ち悪い!胃がムカムカする!今すぐこの場から逃げ出してぇ!これは無理だ!)
ドラえもん以上にのび太に接近していたタケル。
のび太から醸し出されているフェロモンなのかオーラなのか良くわからないものに備える間もなく浴びてしまったタケルはたまったものではない。
タイムパトロールにありがちな生命を脅かすタイプのものであるのならば、最前線で慣れているタケルも我慢できていただろう。
しかし、今回の場合はそういった類の攻撃?とは全くタイプの違うものだ。
襲ってくるのは本能に訴えかけてくる嫌悪感。
タイムパトロールの機動1課の隊員と言えども、今まで経験したことのない未知の攻撃を受ければ恐慌状態に陥ってしまうのも無理は無かった。
「う、うぐぐぐ………」
『早く『ニクメナイン』を………でも、影響が強すぎて………』※2
万が一、のび太が『虫スカン』を飲んだとしても、ドラえもんはニクメナインというカウンター薬で打ち消すつもりだったのだ。
適正量ならば多少の嫌悪感を感じたとしても、対処不能になることはなかった。
嫌われる事の本当の恐ろしさを身をもって体感させ、「ほら見ろ。これに懲りたら今後はバカな事を考えるのは止めるんだ」と教訓を植え付けるつもりだった。
それがまさかの一瓶丸々飲み干すとは予想外過ぎた。
野比のび太が生まれもって持つ不運体質。それが今回もバッチリと仕事をしてしまった。
「どうしたの?ドラえもん」
「ダメだ………」
(俺もだ………)
『タケル君!ニクメナインをどこでも窓からすぐに送る!それでのび太君を!』
(簡単に言うんじゃねぇ!この気持ち悪さを体感してみろ!そんな甘っちょろい物じゃねぇぞ!)
一度口にしてしまうと、後は雪だるま式に耐え難い嫌悪感が二人をおそう。
何とか踏み止まろうとしているドラえもんとタケルたったが、その我慢も限界を迎えるのは時間の問題だった。
一口でも強烈な効能を発揮する薬を、のび太は一瓶丸々飲み干してしまったのだから………。
その影響は、のび太の部屋だけに留まらなかった。
一階の居間にいた野比玉子は、上の階から漂ってくる不快な何かに対して背筋を凍らせていた。
「2階から何かイヤなものが………」※3
悪寒の正体を知っているタケルやドラえもんだって気が狂いそうになるオーラ。正体を知らない玉子が受ければこうもなるだろう。
『タケルくん!『ニクメナイン』を………ウッ!ククク………」
屈強な肉体と精神を持っているタケルですら耐えられない『虫スカン』のオーラ。
それを窓越しからとはいえ、まともに浴びてしまったヒデキやサヤカが耐えられるものではない。
「ごめん!無理っ!」
ガラガラガチャン!
開くやいなや、速攻で閉められてしまったどこでも窓。
緊急事態で準備を怠ったのか、それとも『虫スカン』の威力を甘く見積もっていたのかはわからないが、ヒデキもサヤカも速攻でリタイアしてしまう。
(言わんこっちゃない!うう………俺も………限界………だ)
大して期待していなかったとはいえ、それでも希望の一筋には変わらなかったヒデキの作戦が瓦解したことにより、これまで何とか耐えられていたタケルの心もポッキリと折れてしまった。
「そばにいるだけでムカムカする!ごめん!」
(済まねぇ!のび太!レオ、後は頼むぜ!)
同時にドラえもんも限界を迎え、タケルと同時に部屋から逃亡してしまう。
「とても同じ家にはいられない!」
何度もいうが、屈強なタケルですら耐えられないモノを、事情を知らない玉子が耐えられるわけがない。
玉子は早々にギブアップをし、渦巻き走りで玄関を飛び出し、玄関で待っていた静香とすれ違い、ドラえもんと共に走り去ってしまった。
『後は頼むぜ!レオ!』
(無茶を言うな!)
タイムパトロール5人の中では一番屈強なタケルがギブアップした。その事実が丸投げされた玲雄にプレッシャーとなってのしかかる。
そして、更に事態が悪化した。
『飲みすぎて気持ち悪い………助けて………』
(嘘だろ!?いや、それも当然か!)
どんなに安全が確認されていようとも、それは適量を守って摂取していればの話しであり、過ぎれば薬も毒となる。
ましてやここまで超速攻で超強烈な効能を発揮する薬だ。
それを適量を遥かに超えた量を一気飲みしたのび太に副作用が起きないはずがない。
(とにかく助けないと!ヒデキが言っていた、僕のノイズが一番酷かった理由はこれだったんだ!このままではのび太おじいちゃんが死んじゃう!だから、ドラえもんがこの時代に来る理由も無くなって………世界が崩壊しちゃうんだ!)
ピースが揃えばアッサリと腑に落ちる。
自らの先祖が消えれば、日野玲雄という存在が消えてしまうのも道理だった。
口と鼻を押さえて野比家に突入しようとする玲雄だったが、のび太が発する不快オーラを浴びた時、想像以上の不快感が玲雄を襲う。自分の存在が根本から消えつつあると判っていても、根性論だけではどうにもならない時がある。
(ジャンボが耐えられないワケだ!くそっ!こんなのをイキナリ浴びたんじゃ、逃げ出したくもなる!)
一瞬前まではタケルを情けなく思っていた玲雄だったが、オーラを浴びた直後に理解した。
筋肉を固める前に攻撃を受ければ、どんなに鍛えていたとしてもアッサリと激痛で沈むように、無防備にこのオーラをまともに受けたタケルが音をあげてしまうのも納得がいってしまった。むしろ、無防備にオーラを浴びたのに、よく爆心地で数秒も耐えたものだと感心してしまう。
本音を言えばすぐにでも逃げ出したかった。
身構えていた玲雄ですらこの状況だ。無防備に立っていた静香が耐えられるわけがない。
「キャア!」
『なにこれ!他に例えが出せないとんでもない不愉快さが!』
(そうだろうね!身構えていた僕ですらこれだ!)
静香も玉子と同様、回れ右をして逃げ出そうとした。
それが正常な判断である。誰も静香を責めたりはしないだろう。
ところが………。
「飲みすぎて気持ち悪い………助けて………」
のび太が今度は口に出して救助を求める。
すると、静香は信じられない行動に出る。
逃げ出そうとしていた足が、のび太の声を聞いた途端に踏み止まったのだ。
『毒でも飲んだのね!のび太さん!でも………この中を進むのは………う、うぅ………』
ただ、踏み止まっただけ。
言葉にすれば簡単だが、プロであるタイムパトロールですら逃げ出してしまうこの状況で、しかも一度は折れた心を持ち直して素人が、それも小学四年生の子供が踏み止まる………それがどれだけ難しいか………。
(どれだけ………どれだけ人が良いんだよ!源静香!)
感動すら覚えてしまう光景だ。今は逃げ出すか、のび太を救出するかの狭間にゆれている静香。
(だけど……それで良い……君が頑張ってくれた!それだけでどれだけ僕に勇気をくれたことか!)
事情を知らないとはいえ、実の親ですら逃げ出したこの状況。そんな中で、彼女の中ではただの友達に過ぎないのび太を助けたいと小さな少女が勇気を見せてくれた。それが玲雄に大きく影響を与えてくれた。
(素人の少女がここまで頑張ってくれたんだ………大人の僕が………タイムパトロール隊員の僕が頑張らないでどうするんだ!ここで逃げ出したら………僕は野比のび太以下じゃないか!)
借金を残して死んだのび太だって、最期まで情けないままで終わったわけじゃない。未来のび太だって、玲雄に感動を与え、武やスネ夫といった終生の友が付いていてくれた。こんな静香の姿を見た上で、それでも心を折ってしまうようでは、失望していたのび太すらも見上げても見上げても見上げきれない所まで深く落ちていってしまう。
(源静香さん!一緒に行こう!のび太おじいちゃんを助けに!)
玲雄は四次元ポーチからひみつ道具を出す。
『思い切りハサミ』
前は間接的にのび太を絶望へと叩き落としたこのひみつ道具が、のび太を救いに行く道具になるとは誰が思っただろうか。
(君の………そして僕の迷いを………断ち切る!)
チョキン!
それは賭けだった。
静香の博愛が少しでも負けていれば、『逃げ出す』事に迷いが無くなってしまう。
だが、それでも構わないと玲雄は思っていた。
少なくとも玲雄自身は、何が何でものび太を助けるという意志が固まっていたのだから、例え逃げ出していたとしても静香を責める気はない。
(それでも僕は………君を信じる!)
どうやら玲雄は、今の思い切りハサミで静香を疑う迷いも断ち切ったようだった。
そして、玲雄の期待に静香は応えてくれた。
空間をも歪めてしまっているのではないかとすら思えるドンヨリした野比家へと踵を返し、一歩………また一歩と足を進める。
何事にも迷いなく目的に向かって突き進む思い切りハサミ。
それでも相手は同じひみつ道具だ。カウンター道具ではないので分が悪い。方や精神のみに影響を与えるひみつ道具なのに対し、虫スカンは心身両面でダメージを与えてくる。
(こんなモヤがなんだ!のび太おじいちゃんがいなければ、世界がどうにかなってしまう可能性があるんだ!)
『レオ!ヒデキ達が落としたニクメナインが部屋の真ん中にある!そいつを使え!』
「ナイスアドバイスだ、ジャンボ!」
『役立たずで悪いな………レオ』
「何言ってるんだ。ヒデキ達がいたからこそ、ニクメナインというカウンターアイテムを送ってくれたんだし、ジャンボがしばらく耐えていたからこそ、ニクメナインがそこにあるんじゃないか!みんながいたからこそ、のび太くんを救う手が打てるんだよ!」※4
のび太が毒を飲んだと思い込んだ静香は、のび太から醸し出される様々なイヤなモノを我慢しながら、這いつくばりながら2階の廊下にいるのび太の下へと一歩ずつ歩を進める。
「のび太さん!のび太さん!」
「もうダメ………死にそう………」
玲雄は静香をタケコプターで追い抜き、のび太を素通りして部屋の真ん中に落ちているニクメナインを拾う。拾ったニクメナインをのび太の口へと飲ませようとして、そこでヒデキから通信が入る。
『全部を飲ませないようにして!タダでさえ虫スカン一瓶を飲ませきってしまってるんだ!効果を中和させても、成分まで中和させるわけじゃない!せいぜい一口分だけを中和させて、静香おばあちゃんを楽にさせるんだ!』
「了解!」
玲雄はニクメナインを数滴、のび太の口に投入する。
相変わらず強力な不愉快オーラを発しているが、気持ち少しだけ和らいだような気がする。
静香の方も、僅かばかりであるが進む速度が上がり………
「し、しずかちゃん………」
「あたしに掴まって!」
ほんの僅かに中和されたお陰か、静香はのび太に肩を貸し、トイレまで連れて行く。
「吐いちゃえば楽になるわ!」
トイレでのび太は薬品を吐き出す。徐々に虫スカンの効果が和らいでいき、やがてさほど嫌悪感を感じなくなってくる。
影響が薄らいだタイミングを見計らい、玲雄はニクメナインを徐々に投入。やがて完全に2つの薬品の効果が中和された。
「ふぅ………任務完了。色々な意味で疲れたぁ………」
玲雄はタケコプターのスイッチを切り、野比家の階段に座り込む。
のび太と静香も落ち着きを取り戻し、廊下にへたり込んでいた。
「はぁ、助かったよ」
「ああ、ビックリした………毒を飲んだかと思ったわ………」
(ある意味では間違った表現じゃないな………)
一滴だけでも凄まじい効果を発揮する薬物だ。毒物といっても過言では無いだろう。逆の効果を持つニクメナインも飲みすぎれば同じ事になっていたことだろう。
吐かせるだけでは不十分かもしれないが、一先ずは最大の危機だけは去ったようだ。必要ならば後で処置を施せば良い。
虫スカンとニクメナインが持つ毒素の双方に効果を発揮する解毒剤をヒデキが解析して製作をしている事だろう。
「そんなに心配してくれたの!?僕の事を?」
のび太の言葉にヒートアップしたのは静香だった。
何も知らなかった静香にとって、今の発言は許せるものではなかった。
「当たり前でしょ!?お友達なんだから!大体、あなたは弱虫よ!意気地なしよ!先生に言われたくらいで!」
静香は涙を流しながら、のび太の胸を叩く。
安堵した所で緊張の糸が切れ、一気に感情が爆発したのだ。
「のび太さんのバカ!バカ!バカ!」
ポカポカとのび太を叩く静香。
その痛みを1つ1つ受けるたびに、のび太の中では自らの考えの愚かしさを感じ、同時に静香に対する罪悪感がこみ上げてくる。
それ以上に、実の母親やドラえもんすらも逃げ出した虫スカンに立ち向かってまで踏み込んで来てくれた静香の優しさと勇気に感謝の気持ちがこみ上げてくる。
(はぁ………人の苦労も知らずに呑気な事で………)
取り敢えずの山場は超えたと判断した本部は、緊急事態を解除。玲雄はそれを聞いて『さとりヘルメット』を脱ごうとした所で。
『のび太さん、本当に危なっかしくて見ていられないわ。あたしがよく見ていないと………』
(おや?)
静香の心の声を聞き、未来の静香の事を思い出す。
源静香は母性本能が人一倍強いという事に。
本来ののび太と静香の関係は、ゆっくりと、そして確実に自然消滅していったものだった。
今回の場合はのび太が一気に事を進めようとした事で、静香の母性を余計に刺激し、逆の結果になったようだ。
(これ以上は野暮だよね………通常運転に戻るか………)
玲雄は『さとりヘルメット』を脱ぎ、『どこでも窓』をガラッと開け、投げ捨てた。
その夜。
のび太とドラえもんは物干し台から屋根へ上がり、揃って寝転んでいた。
「しずかちゃんに怒られちゃったよ。へへ………」
呑気に言いながら、「今夜は星がキレイだね」と伸びをする。
「呑気な物だ………あれから大変だったって言うのに………」
『玲雄さん。『星がキレイですね』』
「うん。本当にそう思うよ。大変だっただけに今夜は本当に星がキレイだ………」
『サヤカちゃん………レオに『明治時代の文豪』の詩的言い回しが通じる訳が無いだろ?』※5
「???」
スネトのツッコミにサヤカが『そうよね………』とため息をつくが、スネトが言うように現場組の脳筋に通用するわけもなく。
一方でドラえもんとのび太の会話は続く。
「しずかちゃんに嫌われるのは、また今度にするよ」
「その方が良いかもね」
第三者から見れば愚かとしか思えないのび太の行動。
しかし、未来組とドラえもんはわかっていた。
自分の為ではなく、他人の為に動ける………心根の底から良いやつ。それがのび太なのだと。
(こんな騒動がしょっちゅうじゃ、堪らないけれどね。そう言えば今回の事でどんな結果に変わったんだろう)
今回の事で成長したのび太と感じたドラえもんは、タイムテレビを取り出す。そこに映っていたのは………。
(ウソ………だろ?)
目まぐるしくタイムテレビの映像が移り変わっていた。
ジャイ子との家族写真と、のび太にそっくりな子供のお尻を叩いている大人の静香の姿の映像が………。
信じられないことに、この日は野比のび太にとってターニング・ポイントとなっていた。
完全に安定していないものの、のび太と静香が結婚する未来に変わるというものが、与太話では無くなってきた。
(まさか………こんな事が………ん!?)
更に、これまで希薄だったチェックカードの光が、強くなる。
(うぐっ!?)
玲雄から少し、力が抜けていくのを感じる。
(あとどのくらい………僕に時間が残されているんだろう………)
不安を感じている玲雄をよそに、ドラえもんとのび太は仲良くジャレついていた。
二人の仲は、この時初めて親友となっていた………。
本部。
「戻ったわ」
「お帰り。アンテナの回収は終わった?」
「バレていたのね………」
サヤカの手にあるのは『自信ぐらつ機』のアンテナに似たものだった。
『虫の知らせアラーム・改』
『自信ぐらつ機』に『虫の知らせアラーム』の機能を搭載させたスネトが『天才ヘルメット』を使用して作った改造ひみつ道具だ。
虫の知らせアラームが感知した危機察知を電波にしてアンテナをつけた者に不安として知らせる物だ。
ナビゲーションが上手くいかない時の為に作成した物だが、サヤカはそれを入浴中の静香に付けていた。
「のび太さんが変な事を考えたならば、それを止められるのは静香おばあちゃんだけだと思ったからよ。勘が鋭い静香おばあちゃんならば、きっとのび太さんの危険を感じ取ってくれると思ったから………」
「それに気が付く君も、十分すぎるほど堪か冴えていると思うけどね………それよりも、君の体にも異常が起きてないかな?」
「………それが分かっていると言うことは、ヤッパリ………」
続く。
※1
虫スカン
説明通り、誰からも嫌われる薬。
原作、STAND BY MEドラえもんでは飲み薬だったが、わさドラアニメでは何故か香水タイプの霧吹き薬。どうしてわさドラアニメだけがタイプの違う薬だったのかは不明。
なお、同じ飲み薬ではあるものの、元作では錠剤タイプでSTAND BY MEでは液状に変わっている。
なお、別作品でも『ゴーストスイーパー美上 極楽大作戦』のネタを使った事もあるが、似たような効果がある魔法薬が登場し、サブ主人公の横島と、そのライバルを(殺人的な意味で)苦しめたケースがあった。(原液をそのまま飲んだ為、作成者本人ですら嫌悪感を打ち消す事が出来なかった点も虫スカンと同じ)
※2
ニクメナイン
本文でもある通り、『虫スカン』と同型の瓶に入っている薬。
効果は全く逆の物で、瓶の形状から考察するに互いが互いの効果を打ち消す為のセットで使用するカウンター薬だと思われる。
※3
原作漫画準拠
玉子の発言に関しては、完全に原作のセリフを使用。
※4
しかしドラえもん!テメェはダメだ!
ジョジョ風になってしまいましたが。
※5
『ザ・スター』と夏目漱石
あなたに憧れていますという言葉の意味を星に込め、夏目漱石が和訳したと言われている、『アイ・ラブ・ユー』を詩的に表現。
『星が綺麗ですね』は愛の告白の隠語を含めている。
『小説版STAND BY MEドラえもん』で、のび太がドラえもんに対して『星がキレイだね』と言っているが、捉えようによってはドラえもんに………
もちろん、のび太にしても玲雄にしてもそんな知識があるわけもなく………
『虫の知らせアラーム・改(自信ぐらつ機改造電波タイプ)』
本作オリジナルの改造ひみつ道具。
虫スカンとかけて『虫』シリーズの洒落として出してみました。
前話で玲雄が『JBG』の効果で源家の浴室に飛んでいったのも、虫の知らせアラーム・改を仕掛けに行ったついでに吹きかけていたという訳です。
サヤカのエロトラブル予測察知能力は『虫の知らせアラーム』クラスに受信いたします。もはや勘が鋭いとかの領域を超えています。
『STAND BY MEドラえもん』編の前半の山場、しずちゃんさようなら回はこれで終わりです。
次からは『のび太の結婚前夜』編へと進みます。『のび太の結婚前夜』についてはのぶドラバージョンで進むかも知れません。
のび太の結婚前夜編についてのベースは?
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STAND BY MEドラえもんルート
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旧のぶドラ映画版ルート
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その折半ルート