幼馴染八色   作:willtexture

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ハロウィンですねぇ………あ、時系列とか設定とか気にしてないです。
ただ二人をいちゃつかせたかったっていうだけ


トリックオアトリート!!

「トリック・オア・はーくん!」

 

「は?」

 

「はーくんをくれなきゃイタズラしちゃうぞ!」

 

いつものように俺の家で過ごしている何気ない日常。

いろはは猫耳を頭につけて、なかなかきわどい衣装を着て、俺の目の前に現れる。

どこが際どいとは言わないが、大変際どい。

そして、まるで猫のように手を動かしながら、いろはは俺に迫る。

 

「ちょっと待って?まるで意味がわからない」

 

「言葉のまんまですよ?」

 

「その格好は?」

 

「今日は十月の三十一日………ハロウィンです」

 

「にしてもなぜ猫………」

 

「男の子ってこういうの好きなんじゃないのにゃ?」

 

「わざわざ語尾に猫要素を付けなくていい……可愛いだろうが」

 

喉を鳴らしながらいろはは甘える猫のように俺に寄っ掛かり、頬を腕に擦り寄せてくる。

稀にかまくらにもされる動作だが、破壊力がまるで違う。

どれくらい違うかといえば、キョダイゲンスイとキョダイソゲキくらい違う。

例えが分かりずらい?剣盾もどんどん過疎化するんだろうな………

 

「それで、どっちにするの?」

 

「ちなみに俺をあげるとどうなるんだ?」

 

「今日の夜はわたしと一緒に過ごします!!」

 

「………イタズラは?」

 

「今日残りの時間、一緒にいてはーくんが嫌と言っても私は聞きません!!」

 

「………どっちもえらば──」

 

「どっちも選ばないはありませーん。もし、とったとしても自動的にイタズラに移行しますから」

 

コイツが段々といい性格なやつになりすぎて、正直困る。

付き合い始めた時の初々しさも………そんなのあったか?

まぁ、ハロウィンという爆発的なイベントを見落としていたのは不覚だった。

もはや逃げ道は全て塞がれてしまった俺は、素直に俺を選んだ。

俺を俺が選んだという言葉はなかなかにシュールだな。

 

「むふふ~♪」

 

するといろはは上機嫌になり、鼻唄のように息をもらす。

付いている猫耳を見てみるとそれなりに値段の張りそうな………おふくろか?

 

「はーくん!!はーくん!!ぎゅーって抱きしめて欲しいです!!」

 

「………無理って言っても無駄なんだろうな」

 

「流石はーくん!!勘が鋭い!!」

 

「今回に至っては、褒められた気がしねぇ………」

 

口では言いつつも慣れた手つきで、いろはの背中に腕を回し、腰に手を置く。

腰辺りには猫のような尻尾があり、なかなか手を置く位置が迷う。

いろはの体は一瞬、驚くように体を固くするが、直ぐに体の硬直が溶け、体重を預けてくる。

何度も抱き合ったり、なんなら神に成ったりしているのに動きが強張るのは互いに変わらない。

こうしていると、いろはの柔な体つき。

そして、ちょっと力を入れれば怪我をさせてしまうんじゃないかと思うぐらい華奢な体。

意識しまいと努力してもありとあらゆる感覚がいろはを意識する。

今にも壊れてしまいそうなガラスを触るような手付きになってしまうのも仕方ない事だと思う。

 

「んっ………はーくん……エッチ…?」

 

「なっ!!?」

 

俺の探るような手仕草がそんなに擽ったかったのか、いろはは息を吐きながらそう言葉に出す。

その言葉を否定しようにも、無意識にそう感じてしまってる自分がいるのも事実。

強く否定することはできない。

 

「ふふっ♡はーくんはエッチですね」

 

「……うるさい…黙ってろ………」

 

「ふ~ん?恥ずかしがらなくてもいいんですよ?私だって恥ずかしいんですから………」

 

「………じゃあ、なんでやるんだよ」

 

「だって、恥ずかしくてもはーくんにはこの姿を見て欲しかったですし」

 

「はぁ………」

 

「はーくんだって好きな人と同じ時間を共有したいでしょう?」

 

「まぁ、な」

 

いろはの積極性には呆れる、もはや関心までいってしまう。

やはり俺ももっと積極的になった方がいいのだろうか?

 

「はーくんとずっとこうしてられたらいいですよね」

 

「そんなにこっちを見るなよ」

 

「わざわざ悪戯なんてしなくてもやってやるっていうのに」

 

「はーくん♡」

 

「まぁ、飯食うときとか風呂はいるときとか辛いけど………」

 

「はぁ、相変わらずですね………」

 

「そういうところも好きなんだろう?」

 

「ええ、好きですよ♡」

 

わざとずれた反応をしてもコイツはしっかりと正してくる。

尻に轢かれるどころの話では無くて、居なくては生きていけなくなりそうだな………

大方満足したのか、いろはは腕を離し、体も離す。

俺は一先ず落ち着いたが、今晩全てが対象ということを忘れてはいない。

次はどんな頼み事をされるのか心配になりながら待つ。

 

「はーくん、頭撫でてください?」

 

「お、おう……」

 

「にゃ~♪」

 

もっと過激な事を要求されるのかと思っていたが、予想とは程遠い優しいお願いをした。

いろはの頭を撫でると幸せそうな表情を浮かべて、段々と俺の肩に頭を寄せる。

そろそろ俺の身体に頭埋まらない?大丈夫?

どこぞのバグ技みたいに裏世界にでも行ってしまうことが無いか心配になってしまう。

 

「……撫で辛いんだが」

 

「はーくんと一緒に入れて嬉しいので仕方ないですね♪」

 

「……止めてやろうか……」

 

「はーくんのケチ」

 

俺の隣に座り直したいろはは、俺の肩に頭を寄せるように置き、俺は黙々とその頭を撫でる。

時々、頭につけている猫耳が何気に気持ちよくて止まらない。

腰に付いてる尻尾も気持ち良さそうに動いているが、いったいどんな原理なんだ。

そのまま撫で続けていると、コクッ……コクッ……とまるで眠りそうになってた。

だが、大事なことを思い出したかのように急に目を覚まし、俺の目の前に近づく。

 

「そうでした!!ねぇ、はーくん?この衣装どうですか?」

 

「どうって……何がだ…?」

 

「決まってるでしょ?似合ってるか似合ってないか」

 

ここで少し意地悪に答えようとも思った。

けれどもいろはの事だ、色々考えてくれてこの衣装にしてるんだろうなと考える。

俺としては違う衣装が良かったんだが………お金はお袋から出るからオプション付きなんだろうな。

 

「……まぁ似合ってるんじゃねえの………可愛いと思うぞ………」

 

「──ッ!!」

 

俺が素直に褒めたのが予想外だったのか、いろはは一気に顔を真っ赤に染めていく。

後ろを向いたいろはの腰辺りから尻尾が生えてる

……正しくは付いてる尻尾が嬉しそうに左右に動いてるように見える。

視力が落ちたか…目が悪くなったか……どちらにせよ、後で確認しとく必要があるな。

 

「はーくん!!」

 

「今度はなんだ?」

 

いろはが振り向いた瞬間、言葉を出すのを溜まりに溜まった表情を浮かべていた。

口角が情けないほどに上がり、そのせいで口が塞がってるような感じだった。

 

「だーい好き♡!!」

 

「うおっ!」

 

いろはがいつもとは少し違った告白を俺に向けながら、跳び抱きついてきた。

体当たりに近いそれをギリギリ耐え、懸命にいろはの体を守る。

自分が何をしているのかすら意識していないであろう。

心から嬉しんでいるいろはは、先程まで甘えていた時よりも強い力で抱きつく。

まるで誰にも渡さないような、どこにも行かせないような程の強い力で。

 

「いろは?」

 

………返事はない。ただの屍のようだ。

恐らく自分でも何をしてるのかわかってきて、恥ずかしくなってきてる頃合いだろうな。

 

「……どこも行かねぇから、とりあえず離れろ…」

 

「はーくんはエスパーですか?」

 

「お前限定だけどな」

 

「な⁉口説いているんですか⁉心の底から喜びの感情が溢れて来て押し倒しそうですが

 まだ今夜は寝させない展開に入るには些か早い時間ですのでごめんなさい」

 

「はいはい」

 

「はーくんはもう少し真面目に受け取ってください」

 

「つまり、俺は日付が変わる頃に押し倒せばいいと」

 

「な、なんでそうなるんですか⁉」

 

「違ったか?」

 

「………あってますけど」

 

「なら、良かった」

 

「………はーくん、今日の最後のわがままいいかしら?」

 

「なんだ?」

 

「今夜だけじゃなくて、明日の朝までダメですか?」

 

「………はぁ……好きにしろ……そういう条件なんだろ…」

 

正直否定しようとも思った。

だが、いろはのこの笑顔を崩してしまうと考えると、なぜか勝手にその言葉が口から出た。

というか付き合っているわけだし、悪戯じゃなくてもしてあげるんだが………

 

「えっ!?ほ、ほんとうにいいんですか!?」

 

「……いいって言っただろ」

 

いろはは予想外過ぎたのか焦りに焦る。

自分でも驚くほど予想外なんだ。いろはが焦るのもわかりはする。

 

「あ!よ、よかったらパンプキンパイ作りません?丁度ハロウィンだし!!」

 

「食材が無いだろ……というかもう食べただろ?」

 

「あ!じゃあ!買いにいってくるね!」

 

「話聞いてる?あと、その格好で出るのか!?」

 

現在のいろはの格好は猫耳に猫尻尾。

そして、俺を誘惑するために際どい………人目についたら中々危ない衣装で出掛けようとする。

 

「あああ!!さ、せ、そそそうね!!まず着替えなきゃ!!」

 

「あー!!待て待て今脱ぐな!!」

 

「ウニャアーッ!!はーくんに見られちゃった!?」

 

「大丈夫だ!見てない!!振り向くから落ち着いて着替えてくれ…」

 

「え、えぇ………」

 

こんなにも慌てるいろははかなり久しぶりなために珍しく思えた。

俺は後ろを振り向いた後、自分でもわかるほどに笑みを浮かべていた。

 

「はーくん!準備できました!行きましょう!」

 

早々に準備を終わらせ、玄関にまで行ってしまったいろはを一度引き留める。

今のいろはは色々とあぶなっかしいからな。一緒に言っておいた方がいいだろう。

 

「ど、どうしたの?いってらっしゃいのキス?」

 

「違う!!……今のお前だと色々不安だから一緒に行くから、少し待ってくれ」

 

「心配してくれるの!?好き!!大好き!!」

 

脳内でピンク色の爆発を起こしたのかと思うほどに、いろはは俺の言葉全てをピンク色に染めていく。

俺は身支度を出来るだけ早めに整え、いろはと一緒に玄関を出る。

 

「ふふっ♡なんかデートみたいです!」

 

「どうせだ、星でも見るか?」

 

「はい!!」

 

本当にここまで来ると面倒臭さが通りすぎて、暴走してしまっている様だ。

だが、心から楽しそうに、嬉しそうにしているその表情をみると此方も顔が緩む。

星を見に行くという約束を取り付けたことだし、落ち着くまで付き合うか。

 

その後、二人は月明かりに照らされながら思い出に残る一日を過ごしたとさ

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