入学してからしばらくの時が過ぎたある日のこと
いろはを連れずに一人での帰宅途中の放課後。
いつものように足りなくなった野菜などを買ってから、いつものように帰宅する。
平塚先生のお陰様で奉仕部とやらに入部することになっちゃったよ………
こっちにも放課後はバイトとかあるっているのに………
流石にある日は休んでも大丈夫とは言われているけどね。
「ただいまーー」
「おかえりなさいはーくん!ご飯にしますか?お風呂にしますか?それとも私ですか?」
「ご飯にするにしてもまだ早いだろJK」
「乗ってくれてもいいのに………」
「そういうのは他に当たれ」
「はーくんはーくん、私ゲームセンターに行きたいんですけど」
「無視すんな」
「ゲームセンターに行きたいんですけど」
「確かに最近行ってないな」
「なので行きましょう!」
「小町は?」
「上で勉強中です。夜ご飯はもう作ってあるので大丈夫ですよ」
「流石に比企谷家での会話に小町が出てこないのは違和感があるんだが………」
「はーくんメタいです」
「メタい人は嫌われちゃうよ?いろはちゃんと早く行ってきなよ」
「はいはい。小町も勉強頑張れよ」
「了解しました!」
パッパッと制服から着替えて家から出る。
日常使いの服なんて三着あれば事足りるんだよな。
これがデートとかならもっとしっかりとした服を持ってくるが遊びに行く程度ならいいだろ
「お前いつもうちにいる気がするけど友達とかいないの?」
「はーくんと違っていますよ?」
「そいつらと行かないのか?」
「そ、それは………」
「そうか………お前には一緒にゲーセン行ってくれる友達がいないんだな………可哀想に………」
「ち、違いますよ!高校入ったらずっとはーくんと一緒だからですよ!?」
「………それはそれで問題じゃなかろうか?」
「そうですか?」
こいつ………俺が卒業したあとにも1年あるのわかってんのか?
大事だぞ?友達は………俺が言えたことじゃないけど。
いろはなら何とかやって活けるんだろうけどな。
というわけで………どういう訳かよく分からんが
バイト先の近くにあるボーリング場にやって来た。
ここには大型のゲームセンターが存在しているからな。
ここは1Fがキャッチャーやプリント等のカップル・女性向けとなっている。
そして、上へと上がるほどにメダルやビデオゲームと内容が濃くなっていくのだ。
ここなら女友達と一緒に来てもつまらない思いをさせる事は無いと保証できる。
俺にはいろは以外に関係のある女子なんて存在しないけどな!
さっき上に行けば行くほど濃くなっていくと言ったがいろはと遊ぶならば1F程度で十分だろう。
別に上へ行く必要はない。
大人しくキャッチャーで無駄に金を使ってしょんぼりするいろはを見るとしよう。
あ、俺に期待するなよ?俺も苦手だからな?
最終奥義の店員さんに頼むを使えば別の話だけどな!
「へぇ、ここってこんな感じなんですね!結構綺麗でビックリしました!」
「どんなとこだと思ってたんだよ」
「うーん?東方仗助みたいな頭した不良さんがタバコ吸いながら遊んでるところ?」
「そんなこと言ったらクレイジーダイヤモンドのラッシュ喰らうぞ」
「はーくんが守ってくれるので問題ないですね」
「別世界の俺もスタンドを持っていなかったと思うんだけど………」
しかし、何故仗助みたいな頭なのか?この前俺の部屋に置いてあるマンガ読んでいたっけ。
もしも仗助みたいな頭の奴やスタンド使いが居れば是非とも見てみたいわ。
「ここは見ての通り女の子同士からカップルまでが楽しめる健全な遊び場だよ」
「なるほど………カップル、カップルですか………」
「なんだよチラチラ見て」
「ふふっ私とはーくんもカップルに見えてるのかなって♡」
「まぁ、いいとこ兄と妹ってとこだな」
「もー!なんでですかー!!」
いやまぁ、実際のところは知らないけどさ。
ただカップル………カップルねぇ………そう考えると下手なカップルよりも深い関係なんだよな。
お義母さんからゴーサイン貰ったからあとは告白するだけなんだけどムードってどう作るの?
文化祭の時とかイベントを狙った方がいいのか?
「で、いろははどれをしてみたいんだ?ここなら大体のものはあるぞ」
「そうですねぇ……はーくんはいつもどんなゲームをしてるんですか?」
「俺か?俺はこのフロアには無いやつをやってるから……もっと上だな」
「じゃあ、上に行きましょう!はーくんがどんなのやってるか見てみたいです!」
おっと、これは予想外な展開だな。
いろはのことだから、プリントシール系のをやりたがると思ったんだが。
「はーくんと撮りたいんです!」とか、絶対言うもんだと思ったんだが………
その後、俺が断って上目遣いに陥落してとる未来まで見える。
アレ?………俺ってチョロインなのかな?
「いいけどお前がやって面白いもんがあるとは思えないんだけどいいのか?」
「大丈夫です!行きましょう!」
「あっ、おい待て!引っ張るなって!」
「よいではないかよいではないか~♪」
その後は滅茶苦茶遊んだ。
ぬいぐるみも幾つか取ることが出来たぜ………財布が軽いけどな。
店員さんが見当たらなかったから最終奥義が使えなかったんだよ。
そして、マリオカートで負けてプリクラ台の前に立っています。
「なんとなくこれをやると思ってたよ」
「流石はーくん、よく私の事わかってますね!
なんですか愛ですか私のことそんなに愛してるんですか?
私はいつでもwelcomeなので早く告白してください!」
「愛がなくてもお前の行動は予測できるぞ?何年間一緒にいると思っているんだ」
「愛してる男性に理解して貰えるこの喜び………!」
「駄目だ………こいつ早くなんとかしないと………」
会話が成立していない!
いろはがプリントシール撮りたいって言わないの不思議だなとは思ったんだよ。
こいつなら真っ先に撮りたい!って言うよな………なんで言わないんだろうって。
俺も少しだけだけど楽しみにしていたから不思議に思っていたんだ。
………まぁ撮りたいって言われても一人で撮れよって返したと思うけどさ。
………こんな断れない状況に追い込まれるとは思わなかったけど………
「私、一回でいいからはーくんとこれやってみたかったんですよねー!」
「最初に言わないのが少し意外だったな」
「なんでです?」
「いや、こういうのって好きだろ?」
「好きだからこそ最後にしたいんですよ」
「さよか」
「何枚取りますか?」
「何枚でもいいぞ」
いろはは硬貨を投入口に入れて操作を進めていく。
ふむふむと説明を聞きながらのいろはは今にも鼻歌でも歌いだしそうなほどに上機嫌だ。
以外にも操作に慣れていない様に見える。
「あまりやったこと無いのか?」
「ええ。はーくんは撮ってくれないし、あまり撮りたいっていう友達がいなかったんですよね」
「そうなのか?女の子はこういうの好きだと思っていた」
「最近はそうでもないみたいですよ?以前ほど手帳にべったり!なんて見かけませんし」
「そうなのか」
「さぁはーくん撮りますよ!」
「はいよ」
「って何突っ立ってるんですか!さぁさぁこっちに!もっと私のほうに来てください!」
「……えーどうしても行かなきゃダメか?」
「もっとくっつかないとフレームに入らないじゃないですかー!
………ってもう!もっとはーくん笑ってくださいよ!」
「いやだって恥ずかしいし」
いやそれにしても、これはちょっとくっつきすぎじゃないか?
いくらフレームの中に二人入れるためとはいえ、顔がめっちゃ近いんだけど!
いくら長年一緒にいるとは言え流石にこいつの顔が目と鼻の先の位置にあると緊張するわけで!
ちょっと横向いたらいろはの顔に鼻先が当たっちゃうぞこれ。
「な、なぁもうちょっと離れないか?流石に近すぎるだろこれ」
「え、なんでですか?」
「………もういいや。好きにしてくれ」
「ほらほら、はーくんそろそろ撮りますからちゃんとカメラ見てくださいね!」
「はいはい」
「はーい5,4,3,2,1……ぱしゃり!
はい、もう一枚撮れますからそのままですよはーくん!」
「おお……もう早くしてくれ……」
いっそ殺してくれ……!辛い……この体勢、本当に辛い!
学校の連中には絶対に見せられんな………このシール………
「はーい5,4,3,2,1…………んっ!」
「へっ?」
――――その時、頬に何か、柔らかなものが押し当てられた。
その感触に驚き、ばっといろはから離れる。
するとほんのりと頬を染めつつも悪戯が成功したような笑みを浮かべる笑顔が目に入り………
「お、おま………お前、今なにやった!?」
「さーて?何やったでしょうかっ」
「何やったでしょうかじゃないだろ……!」
「えーっと今の2枚目はー♪」
ぽちぽちと画面を操作し、今撮られた写真を表示していくと………あった。
画面にでかでかと写しだされた俺の頬に口付けるいろはの写真が!
こいつ、本当にやってやがった!
もしかしたら指を手に当てるとかその程度の可能性もあるかと期待したのに……!
「いや~いい感じに撮れてますねぇ、はーくん♪」
「いやいやいやこれはダメだろいろは………消せ!処分しろ!」
「いやでーす!えーっと日付とデート記念♡っと………」
「おい!」
「はい印刷っと!スマホに貼って毎日眺めよーっと!」
スマホに貼る?………この写真を?
………学校で他の人間に見られるような可能性があるのに?
その時、俺の背筋を冷たいものが伝うのがわかった。
普通の写真程度ならともかくこの写真はまずいなんてものじゃない!
これがクラスの男子どもに見つかりでもしたら一体全体どうなることか!
「ダメです。これは没収です!」
「あーっ!はーくん返して!返してください~!!」
「これは絶対返さない。絶対にだ!」
そういいつつ手を上に上げてやればもういろはの手は絶対に届かない。
恨めしそうな涙目でその場でぴょんぴょんと飛び跳ねるいろはがちょっと可愛らしいな。
………なんて思ってしまったのはここだけの秘密にして欲しい。
「うー!ずっこい!」
「はっ悔しかったらさっさと身長伸ばすんだな!これは俺が預からせてもらう!」
「酷いです!なんでもお願い聞いてくれるって話しだったのに!」
「それは写真を撮るところまででその後までは保障しておりません。
ご了承くださいますようお願いいたします」
「なんでですかー!!」
「もう一枚の方なら貼ってもいいぞ」
「そっちじゃないと意味が無いんです!」
「………そうなのか?」
「そうです!」
「だが断る」
「馬鹿、ぼけなす、八幡」
「八幡は悪口じゃないだろ」
「知りませんよ、意地悪なはーくんの事なんて」
「不貞腐れてもダメな」
そうして、問題の写真は俺の部屋の奥底に封印されることになったわけだが………
いつかこの写真が大きな問題を起こしそうな気がするのは俺の気のせいだろうか?
だが、なんとなく捨てよう、という気にはならなかった。
願わくばこの忌まわしい記憶が二度と表に出ないことを願うばかりである……。
「………絶対にはーくんがいない間に回収するんだから……っ!」
「なんか言ったかいろは?」
「いーえ!なんにも言ってません!!」
「そうか」
………やっぱり処分しておこうかな。
* * *
ゲームセンターを出て家に帰る。
その途中で小町にプリンを買っていく。
受験勉強頑張っている妹を甘やかさない千葉の兄貴がいるだろうか?
いいや、絶対にいないね。断言してもいい。
「そう言えば今日の帰りが遅かったですけど何かあったんですか?」
「………少しな。ご飯食べてる最中に話すわ。小町にも言わなきゃいけないしな」
「わかりました」
今日は俺が料理当番なので冷蔵庫から幾つか野菜を取り出して料理を始める。
最近は肉料理が多かったから今日は魚にしよう………ぶりの照り焼きでいいかな?
醬油の量に気を付けていれば失敗はないだろう。
いろはや小町ほどではないが、俺もそれなりに料理できるのだ。
「いろはちゃん、今日は何して来たの?」
「はーくんと一緒にゲームセンターに行ってきました」
「でも不機嫌だね。何かゴミいちゃんがやったの?」
「はーくんにプリクラを没収されました………」
「お兄ちゃん?」
「ドスの利いた声出すなよ………流石にあのプリクラは駄目だ」
「………いろはちゃん何があったの?」
「不意打ちでキスしたんだけど、そのプリクラを没収された………」
いろははズーンと擬音が付きそうな雰囲気を出しているが、甘やかしちゃダメだ。
まだ俺は告白できていない………俺といろはの関係はただの幼馴染。
幼馴染の内からこんなことを許していたら自分でもブレーキが掛けれなくなる。
2人にぼろくそに言われてしまっているが耐えるしかない………泣きそう。
「そう言えばお兄ちゃんの帰り遅かったけど何かあったの?」
「そうでした。小町ちゃんが居る時に話すって言ってましたよね」
「そうだったな。簡潔に言うと部活に入る事に成った」
「「は?」」
「信じられないものを見たような目を向けるなよ」
「万年帰宅部でいたお兄ちゃんが?」
「自宅こそが聖域………ここから出たくないとか賜っていたはーくんが?」
「酷い言い草だが、事実だから何も言えねえ」
「はーくんが自分の意志で入るとは思えません」
「お兄ちゃん何かやらかしたの?」
「なぜやらかした前提なんだ?」
「だってお兄ちゃんだし」
「だってはーくんですし」
「酷くね?まぁ、変な作文書いた罰だな。
俺が入部することになったのは奉仕部って言うところらしい」
「「奉仕部?」」
「そう奉仕部」
「………そこに行ったらはーくんにご奉仕してもらえる?」
「いろはちゃん、顔が人に見せられない顔になってるよ」
「そういう奉仕じゃないらしい。魚を捕ってあげるんじゃなくて捕り方を教えるみたいな」
「ボランティア活動ってこと?」
「yes」
「部員は何人ですか?」
「俺含めて2人だ」
「女ですか?」
「そうだけどいったん落ち着け。ハイライトが消えてる」
「………その部に私も入ることにします」
「マジで?」
「はい。放課後もはーくんと一緒にいたいので」
「さよか」
「それじゃあ小町も来年になったらその部に入ろうかな」
「部活を私物化するなよ?」
「「はーい!」」
「あ、ダメそう」
一応の捕捉として、いろはの誕生日前にあった出来事です。
原作で奉仕部に入ったのがいつか忘れてしまいましたが
そこのところよろしくお願いします。