幼馴染八色   作:willtexture

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勝負?

とある日の放課後の事………

俺はテスト前に出される大量の課題に取り組んでいた。

 

「はーくんはどうやったら私を抱きしめながら頭を撫でてくれるんですか?」

 

「え?課題が終わったらやってあげるけど………何かあったのか?」

 

つい先日、いろはと付き合う事に成った。

それから、よくいろはが頭を撫でるなどのスキンシップを要求するようになった。

どうしてそこまで頼み込んでまで、スキンシップをとりたいのだろうか?

付き合ってからというもの、性的な行為を行ったりはまだない。

けれども、触れ合う機会は増えたと思っている。

 

「なんでですか!してくださいよぉ!」

 

「本当に何かあったのか?」

 

「愛する女の子を優しく抱きしめて撫で撫でするのって、男の子の夢かなって」

 

「いろはが壊れちゃったぁ~」

 

「はーくんからの扱いが最近雑な気が………」

 

「気のせいだな」

 

「そうですか………ってそんな訳無いでしょう!?」

 

最近春って何処行ったんだってレベルで暑くなってきた。

きっと暑さでやられちゃったのかな?

あー、そろそろエアコン入れてやらないとだめかなぁ、でも電気代がなぁ。

安定の図書館に引きこもりでもまたしようか。

 

「わかりました……ではこうしましょう、勝負です!」

 

「え、普通に嫌なんだけど」

 

「もう!そこは乗ってきてくださいよお話にならないじゃないですか!!」

 

そう言うと子供が我儘を押し通したいとごねるようにバンバン、と布団を叩く。

おいやめろ、埃がたつだろ、埃が………そろそろ天日干しでもしておかないとな。

 

「いろはストップ。それはメタいからダメ」

 

「じゃあ、勝負してくれますよね?」

 

「はいはい勝負ね勝負、それでお前が勝ったら頭なでろってか?」

 

「もちろんです、ついでに後ろからハグも要求します!」

 

「そのくらいなら何時でもやってやるんだが………」

 

「外でもですか?」

 

「そ、それは………」

 

家の中でかつ、誰も見ていない状態ですらレベル高いなって思うのに、外でやらせるの?

大丈夫?俺死なない?あ、羞恥心じゃなくて嫉妬からね?

いや、人に見られでもしたら羞恥心で死んでしまう。

 

「ちなみに俺が勝ったらどうするんだ?」

 

「そうですねー……じゃあ、お風呂一緒に入ってあげます♡」

 

「え………」

 

「真顔でいらないって言われて本気で傷つきました、謝罪と賠償を要求します」

 

「いや、ドン引きしてるだけだから」

 

「そっちの方が酷くないですか?」

 

「気のせいだな。あと、自分の身体を賭けるような真似はするなよ?」

 

「捻くれながらも、そうやって気遣ってくれるはーくんが大好きです♡」

 

「そうか、俺も好きだぞ」

 

「まぁ、はーくんが勝った時のことは考えておいてください、まだ時間ありますしね」

 

「流されただと!?」

 

「今、必死にポーカーフェイスを保っているので」

 

「あ、はい」

 

~少女葛藤中~

 

「よし、もう大丈夫です」

 

「で、どうするんだ?時間があるって言ったって何を対象にするつもりだ?」

 

「あるじゃないですかお誂え向きにも!」

 

「ま、まさか!」

 

「そう、中間テストが!」

 

そう、思い出したくないので忘れていたが、もうすぐ中間テストの時期なのである。

いろはと付き合ったり、GWやら誕生日で記憶の彼方にすっ飛んでいたが、もう来週かぁ……

今度こそは一位を獲りたいものだ………雪ノ下は手強過ぎるんだよな。

 

「それは合計点数で競おうってことか?」

 

「いえ、順位です。科目数って確か2年生も同じですよね?」

 

「うちは8科目だったか、お前んとこは?」

 

「こちらも8科目ですね。順位が良かった方の勝ちでどうですか?」

 

ふむ……これほど分かりやすい勝負もないだろう。

単純な点数勝負、これが普通の生徒相手ならば問題なく乗るところである。

しかし、うちの学年には雪ノ下雪乃とかいう常にトップをキープしている猛者がいるのである。

 

つまりこの勝負……

 

「絶対お前の方が有利じゃねーか!」

 

「え、そうですか?」

 

「合格証明書を一緒に見たから知っているが、今年の新入生代表だったろ?」

 

「まぁ、一応、そういうことになってますね」

 

「で、俺の学年には雪ノ下がいるだろ?」

 

「そうですね。雪ノ下先輩がいますね」

 

1年最後の期末は、確か満点をとってのトップだったと記憶している。

それでも、俺とあいつでは結構な点差だった気がする。

合計で20点以上は離れてたんじゃなかったかな……?

 

「きっと、はーくんはケアレスミスを潰していけばもっと上に行けると思うんですよね」

 

「そんなもんか……?いや、そう言われると……なんかそんな気も……」

 

たしかに、1科目ごとに限って言えば、あいつと自分にそんなに差はないんだよなぁ。

小さなミスが積み重なって、気がつくと結構な差になってる、ってだけで。

見直しさえしっかりやれば、俺でも勝てるんだろうか?

いや、数学を教科から省けばほぼ互角だ。

 

なんとなく、これなら勝負になる気がしてきたから困る。

こいつ、絶対詐欺師の才能あるな。

うーん、のせられたようでしゃくだがいいだろう、この勝負乗ってやる!

 

「さぁ、勝負をしましょう!!」

 

「あとでほえ面かくなよ?」

 

「さぁそれはどっちでしょうねー!」

 

 

 

 * * *

 

 

結論から言おう。

俺は……小悪魔に……いろはに、負けた……。

 

だって雪ノ下………雪ノ下あいつ、8教科全部満点とか取ってくるんだもんよ。

なんだよ全部満点って、天才か。

ちなみにだけど5点負けてました。ベクトルなんて滅んでしまえばいいのに………

 

「はーくんもなかなか惜しかったですねー♡」

 

「全然惜しくねぇよ……ちくしょぉ……!」

 

今回、俺としても過去にないほどの高得点をマークしていた。

満点は一つを除いて取ることが出来ているのだから、相当頑張っているといえる。

 

今回の結果も、初めて五点以内に食い込んでいたから、かなり健闘しているはずだ。

ただただ、相手が悪かっただけなのだ。

 

相手が小悪魔と雪女のタッグだった、というだけなのだ……。

 

「なぜ……なぜ俺は、なんか勝てるみたいな妙な自信を持ってしまったんだろうなぁ」

 

「さぁ!約束は覚えていますね!?」

 

「屈辱すぎる……!家の中ならともかく、外でなんて………」

 

「後ろからハグしてー頭を撫でながらー耳元で『満点凄いな、よく頑張ったね♡』ですよ?」

 

「あれっ、なんか増えてない?」

 

「気のせいですよ?」

 

「さすがに気のせいでは済ませられないがな?」

 

「いわゆる満点賞ってやつですね」

 

「聞いてないぞそんなの」

 

「まぁまぁ、これくらいいいじゃないですか先輩」

 

「流石いろは。あざとい」

 

と言っても、いろははもう俺の話を全く聞いていない。

さぁさぁ、と言わんばかりに背中を見せて期待に目を輝かせている。

 

というかいろはは恥かしくないのか?

 

俺は恥かしい。死ぬほど恥かしい。

 

いろはがはやく、はやく、と俺を急かしてくる。

うあー……ダメだ、恥かしすぎて死にそうだ!

というか、なんでお前はそんな普通なんだよ、こんな状況なのに!

なんで公園のベンチでやる必要があるんだよ………周囲の人の視線が痛い。

 

もう、こうなったらとことん楽しむしかないか

出来るだけ優しく、いろはの髪をすくように頭を撫でてやる。

 

「んっ……ふふ、気持ちいです。その撫で方……」

 

「いろは」

 

「んんっ!?」

 

「よく頑張ったな、偉いぞいろは」

 

「ふぁ……」

 

「そんな頑張り屋ないろはが、俺は大好きだぞ……」

 

「えっ、好き!?」

 

「ああ、愛してるぞいろは」

 

これだけ言ってやればいろはも満足するだろう。

いろはが「好き!?」と大声で言ったせいでさらに視線がいたくなったが………まぁ、いい。

なんならいろはもちょっとは恥かしがって、俺の気持ちを少しでも理解すればいい!

 

「は、はーくん………恥ずかしいので………」

 

「ん?」

 

「視線が痛いので、放してもらえませんか?」

 

「いろはが頼んできたんだろう?ご褒美でな」

 

「そ、そうなんですけど………」

 

いろはの顔は完全に赤く染まり切っている。

一度視線の方に目を向けてしまったようで、意識せずにはいられないようだ。

プルプル震え始めたことだし、解放してやるか。

 

「まぁ、これくらいにしておくか」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「これで俺の気持ちが少しは分かっただろ?」

 

「はい………スキンシップを要求するのは家の中だけにします」

 

「そうか………んじゃ、帰るか」

 

「はい!」

 

………その後、滅茶苦茶抱き合った。




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