AKB49 エターニティ   作:とらとらこ

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19.サプライズ

《公演当日》

 

 

公演は夕方からなのだが朝から既に会場には列が出来ている。

なぜかというと朝から公演開始2時間前までチケットを持っていなくてもグッズ購入が可能であり、

チケットが外れてグッズだけでも!と応援してくれてるファンで、朝から人が大勢押し寄せているのだ。

それほどまで期待されているって事か。

 

「えらいことになってるわ・・・・」

俺は窓から会場であるビルを見る。

朝7時の時点で既にビル1周してるほどの人がおり、

警察の指示の元、朝からスタッフが列を整理していた。

俺たちが会場に入るのも大変そうだが、

 

既に【対策済み】である。

 

かなり大胆な方法なのだが。

 

 

《朝9時》

 

 

俺たち4人は一室に集まり決行の時を待つ。

 

トントン

 

時は来たか。

ドアがノックされ俺はドアを開ける。

「みんな準備は大丈夫?行くわよ!」

尚美さんの掛け声で俺たちは部屋を出る。

 

大胆にも俺たちは歩いて会場まで向かう。

ホテルから会場までは歩いて2分ほどで着く距離だ。

 

途中ファンらしき人とすれ違うが、大丈夫なにも心配ない。

 

 

 

なんたって俺たちは【男装】して会場に堂々と潜入を試みてる。

岡部もひろこもアリスもドキドキであるのは間違いない。

俺は、、、素の状態で歩いている。つまり男として。

一応は帽子だけは被っているが。

 

俺は小声でみんなに声をかける。

「(みんな大丈夫か?もっと堂々と歩けって)」

「(みのりはそのままだからいいけど・・・。私たちは初めての【男装】なのよ?)」

「(恥ずかしいに決まってるでしょ!!)」

「(先輩のいつもこんな感じの気分なんですね・・・)」

「(まぁあと少しだからみんな頑張れ!)」

 

よし!無事になんとかビルの入り口まで辿り着いた。

気持ち程度に分けられてる関係者専用口からビルに入るのだが、

グッズ列の横を通らないと楽屋に向かえない。

 

突破できるか!?

 

下を向きながら目立たぬよう移動する。

グッズ列が近い。

頼む!バレないでくれ!

 

「あっ!」

ひろこが何もない場所でつまずく。

前にいた岡部の背中に寄りかかるのだが、

その拍子で変装用にかぶっていた帽子が取れてしまった。

直ぐにかぶり直すのだが後の祭りである。

 

「あ、あれって!ひろこちゃんじゃ?」

「え!男装?してるぽいけど間違いない!それに隣にいるのって愛ちゃん!?」

やばい、ファンに気づかれ始めた。

 

ざわ

    ざわ

 

「ひろこちゃんー!」

 

やばい!やばい!騒ぎが大きくなってきた。

俺たちはアイコンタクトを取り、その瞬間

 

 

 

 

 

ダッシュした。

 

 

あの角を曲がれば危機は去る!

もう少し!あと5メートル!3メートル!1メートル!

よし!俺と岡部とアリスは突破できた!

あとはひろこだけ!

 

なのだが。

ここで思いの寄らぬ出来事が起きる。

 

曲がり角まであと1歩の所でひろこは立ち止まってしまう。

俺は小声で

「(ひろこー止まらないで!こっちこっち!)」

 

ひろこは俺の言葉を無視するかの如くグッズ列の方を向き、変装用の帽子、髪留め、マスクを取る。

 

その瞬間割れんばかりの声援が送られる。

「ひーろーこ!ひーろーこ!」

ひろこはスタッフさんから列整理に使っていたメガホンマイクを借り、なんと挨拶しだした。

 

「おはようございます!吉永寛子です!」

「えー!本日はGEKOKU嬢の公演を見に来てくれてありがとうございます!」

「でも残念ながら会場の都合上見れない方も多くいらっしゃると思います。だから」

「挨拶だけでもしたいなーって勝手にしちゃってます!」

 

岡部はクスクス笑っている。

 

「あの子らしいわね」

「"実君"ダッシュでみのりになってきなさい!」

「ファンたちとの距離もあるからメイクは最低限で大丈夫なはず」

「わっわかった!アリス手伝ってくれ!」

「え!あ、りょーかいです!」

俺はアリスの手を握りダッシュで楽屋に向かう。

 

「仕方のない子ね」

岡部も変装を解き角から顔を出す。

ひろこも笑顔でメガホンマイクを岡部に渡す。

「岡部愛です!今日は会場に足を運んでくれてありがとうございます。」

ひろこと岡部の即興MCが始まる。

 

いそげ俺!

 

色々と配慮している余裕はない。俺は服を脱ぎアリスに衣装を着るのを手伝ってもらう。

さっきの私服でみんなの前に出るのは感づかれる可能性もあるしな。

 

「先輩少し動かないでください」

ダッシュでメイクをする。時間がねえ!

衣装にも着替えてメイクも簡単であるが終わらせる。

「アリスど、どう?みのりかな?」

「んー寝起きのみのりって感じですけど遠目で見れば大丈夫でしょう!」

「先輩早く行ってください!」

「ああ、ありがとうアリス!」

「いえいえ!私も"実君"の裸見れたんでwinwinです!」

 

ゴン!

 

「あいた!」

俺はアリスの頭を叩きダッシュでひろこの元に戻る。

 

 

「みのり遅いわね~」

「ほんと!いつもお客さん待たせてるよね!」

遠目で岡部と目がある。

 

「あっみなさんきましたよー!」

俺は息切れしながら膝に手をつきみんなの前に出る。

 

「はぁはぁはぁ。」

割れんばかりの声援が上がる。

「み、の、り!み、の、り!」

 

ひろこがメガホンマイクを渡そうとするが、

俺は膝を地面につけ土下座する。

 

「すみません!遅れました!」

「実は昨日から泊まり込みで衣装のまま寝ちゃってて!」

「スタッフさんに起こされて事情聴いたらえらいことになってるって聞いたんで、すっ飛んできました!」

岡部が小声で(あんたいつも土下座してるわね)と笑いながら手を差し伸べる。

俺は岡部の手を取り立ち上がる。

ひろこからメガホンマイクを受け取り

「おはようございます!浦川みのりです!」

予定にはない3人での【おはようMC】のおかげで15分ほどグッズ列は捌けなく、あとでスタッフさんから少しお叱りを受けたのは言うまでもない。

 

この伝説のMCは録音され、グッズ販売が終了する時間までリピートで流された。

今日公演へ参加できない人たちにはうれしいサプライズとなった。

 

楽屋

 

「ひろこー!やるなら事前に打ち合わせとかしてくれよ!」

各々準備しながら雑談する。

「あの時思いついちゃったんだもん。それに挨拶したかったのは事実だし、結果オーライだよ!」

「まー私たちいつもこんな感じでしょ?予定通り行った試しがほとんどないわよ」

「確かに・・・」

 

ん?予定通りに行かない?

 

俺はピンッと閃いた。

 

「なぁ今日の前座ガールズの時にさ」

「×××××××××?」

「面白そうだけど時間あるかしら?」

「私やってみたい!」

「だろ!それにこれならアリスも参加しやすいんじゃないかな?」

「え!私もやって良いんですか!確かにやってみたいですけど大丈夫かな?」

「俺の近くにいればきつくなった時助けられるからその時は言ってくれよ」

「先輩!もう限界です!」

「おいこら!まだ何もしてねーじゃねーか!」

「それじゃー決まりだな。スタッフさんに用意してもらおう」

「にししし!楽しみだなぁ!」

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