「着いちゃったなまた。」
この2週間仕事の合間にとにかく俺たちが出演するシーンを穴が空くまで読み漁った。
2週間前に新品で買った洋書とは思えないほど付箋や汚れでいっぱいだった。
岡部はエレーナの仕事で先に渡米しており撮影現場で落ち合う予定でいる。
空港を出るとお迎えのリムジンが待ち構えていた。
さすが大ヒット映画、迎えも豪華で少し引くわ。
緊張しながら車に乗り込み30分ほどで現場に到着する。
かなり大きめのスタジオのようで少しビビりながら楽屋に案内されると岡部が既にメイクばっちりで待っていた。
「ようエレー・・」
「座りなさい」
岡部は待ちきれない様子で俺を椅子に案内する。
お前なんでそんなルンルンしてるんだ。
楽屋には衣装も用意されているけどサイズとかは大丈夫なのだろうか。
「はいっできたっ!」
色々と考えていたらメイクは終わっていたようだ。
相変わらず完璧。エレーナが二人いるわ。
「エレーナありがとう!」
「どういたしまして!」
「もう着替えてるんだな。」
「サイズとか伝えてないはずなんだけどどうだった?」
「あなたも着ればわかるわ。」
うん?なんか意味深だな、まぁ着てみるか。
衣装を着て俺は驚愕する。
「まじか」
袖の長さもピッタリでまるでフィッティング済みのように完璧だった。
岡部が言うに前の映画でデータ化されて共有されているとの事で1年間はサイズ合わせも不要らしい。
衣装は魔法学校の制服をカスタムしカジュアルに着こなしている設定であり、かっこかわいい衣装である。
うむ。小説のままだ。
姉妹とは胸元の色がワンポイントだけ違うだけでお揃いだった。
「さぁ監督に挨拶にいくわよ」
岡部に引っ張られる形で俺は楽屋を出て監督に元に向かう。
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「失礼します。」
「姉リース役を務めますエレーナ・ノイジーです。」
「妹アーニャ役を拝命いたしました浦川みのりです。」
「「本日はよろしくお願いいたします。」」
監督はかなりアメリカンな肉体でムッキムキでかっこいい。
「やあ、急なオファーで済まないね。引き受けてくれてありがとう!」
「こちらこそオファーを頂きありがとうございます。」
「衣装も容姿も、、うん僕が思ったままのリースとアーニャだ。」
「今日は宣材写真だけだから緊張せずによろしくね」
カシャ カシャ
「もう少し杖を傾けて」
カシャ
セットやグリーンバックを背に必死な表情や仲良く二人で笑っている表情など様々な写真を撮る。
少し休憩もしつつ合計1時間ほどだろうか、最後にオフショットが撮りたいってことだったので色々とスタジオ内を回る。
「お!これいいな」
箒が立てかけてあったので俺は箒をマイクスタンドに見立てヘビロテをフリ有りでアカペラで歌ってみたりした。
最後に二人の仲いい?オフショットを撮ってこの日は終了となる。
撮影現場直行だったので用意してもらったホテルに向かう事にした。
はぁ、どうせ同じ部屋なんでしょ岡部と。
と思っていたのだが今回は別部屋で取ってもらっていた!さすが!
いそいそとメイクを落とし、みのりに変身し岡部とタクシーで夜の街に出かける。
「ごめん!ラウルちょっと遅れた!」
「やー!みのりちゃんにエレーナちゃん!」
「君の為なら1時間、いや1日でも待つよ!」
はいはい。
「映画の件ありがとうラウル。重要な役で少しビビってるけど。」
「本当なら違う映画の主役を取ってあげたかったんだけどね、まぁその時は僕の映画で!楽しみにしててよ!」
「あ、ありがとう。」
「今回の映画監督は僕の古い友人でね、みのりちゃんたちの話をしたら興味を持ってくれてさ」
「実はあの映画の完成試写会、僕も友人も参加してたんだよ」
ふぁ!?
「言ってくれればよかったのに!」
「ごめんごめん、一種のテストだったんだよ。この映画にふさわしい人なのかどうかっていうね。」
「エレーナちゃんはともかく、みのりちゃんはアフロディーテの妹分の肩書きあれどAKBとは?だったからさ!説明するより見てもらった方が手っ取り早いと思ったんだよ!」
はぁ。
ん?まてよ!
「えーっとまさかあのサプライズOPライブを仕掛けたのって。」
「あははは!さすがみのりちゃん!そうだよ僕だよ!」
はい!やっぱりね!
これには岡部もあきれ顔である。
「演技も発声も合格。さすがエレーナちゃんとみのりちゃんだと思ったね。」
「一つ聞いても?」
「ん?もちろんなんでも聞いてくれ!」
「なんで私たちにオファーしたんでしょうか?マジックマジカルは大ヒット作品です。普通1年以上前からオーディションで配役が選ばれるはずですよね?」
あ、確かにそうだわ。全然気にもしてなかったが。
「そうだね、既に姉妹役はオーディションで【選ばれていた】よ。でもちょっとした行き違いでね急遽キャンセルになったんだよ」
「それでみのりちゃんたちの事を監督に話したら是非見てみたいとノリノリでね!」
「結果はさっき話したけど満点合格!1年前に出会いたかったって監督は大喜びだったよ!」
次回作マジックマジカルのリースとアーニャの配役がなかなか発表されないのは結構ニュースにもなっていたらしい。
「ついでにひろこちゃんとアリスちゃんも出演できるようにってお願いしたら快くOKを貰ったよ!」
「そんなカラクリが。」
「あ!そうそうこれ見てよ!」
ラウルはスマホの画面を見せる。
うわ!これって・・
「どうだい?もう僕のスマホの待ち受けさ!」
これさっき撮った箒にまたがりヘビロテ歌ってる写真じゃん。。
「これさっき撮ったオフショットだろ?写真も動画も監督にもらっちゃったよ!」
なにしてんのこの人!
「食事でもしながらゆっくり話でもしようじゃないか!。あとでこの写真と動画送るね!」
うわーいらね。。
俺たちが食事を楽しんでいた頃、突如としてマジックマジカル公式HPにて追加キャストの発表が行われた。
《
NEW Cast
昨日撮った宣材写真もばっちり掲載されていた。
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翌朝俺はスマホの音で目覚める。
あ、、俺充電しないで寝ちゃったな。
そういう事を考えながらスマホの見ると通知がえらいことになっており充電も5%を切っていた。
アメリカもそうだが日本でもニュースになるほど話題になっているらしい。
おめでとうメールやらが12期生から妹まで届いているし電話も着ておりこちらは全てたかみな先輩で埋まっていた。
さすがに1個づつ返信は無理だぞ。。
ひろこにも迷惑かけてそうだな、大丈夫だろうか。
あっ!
こうゆうときこその総監督なのでは!?
俺はすぐさまたかみな先輩に電話を掛ける。
「pp」
《もしもし!みのりっち!?》
コールが1秒もしないでたかみな先輩は電話に出てくれた。
《あ、もしもし。たかみな先輩なんか電話してくれたみたいで》
《ねぇ!大丈夫!?日本じゃすごいニュースになってるよ!!》
たかみな先輩は興奮ぎみに話す。
《そうですよねー。急遽決まりまして。あはは。。》
《あっ本題なんですけどたかみな先輩にお願いごとがあって》
《なになに?》
《代表としてみんなに「私は元気です!だから心配しないで!」って伝えてくれませんか?通知がえらい事になってて。》
《ああー!なるほど。任せて!》
《あっあと!お礼ってわけじゃないんですけど。あとで先輩にだけ動画送りますんで後で見てください!それじゃ!》
ふぅこれで多分何とかなればいいのだが。たかみな先輩にあとは任せよう。
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電話が切れ2分もしないうちにメッセージを受信する。みのりっちからだ。
「あははは!かっわいい!」
私はカッコ可愛い衣装を着て箒をマイクスタンドに見立ててヘビロテ踊っているみのりっちの動画を見ていつまでも笑っていた。