「よー!浦山!」
「おっす古谷元気にしてたかー?」
本日は音羽高校の同窓会に参加している。なんとも懐かしいメンツだな。
年末って事もありみんな忙しい中だが集まりはいい方だと思う。
「浦山お前なにしてんだ?進路確か就職だったよな、つーか何でお前スーツ姿なんだ?今日って仕事?」
怒涛の質問攻めだな。
「あー。実は辞めて今は大学に通ってるんだわ」
「マジで!?お前が!?」
なんかバカにされたきがするのは気のせいだろうか。
「どの大学通ってんだよ。」
「えーっと」
ちなみにだが着ていく男服が絶望的に無いので、なぜかクローゼット内にあったスーツを着ていくことにした、ただそれだけの理由なのだが。
「その大学ってニュースでやってたあの?」
「ニュース?」
はて?なんか事件でも起きたのか?
「今年の学祭にGEKOKU嬢来たんだろ?お前ライブ見れた?」
そっちかよ!ニュースになってたのかよそれって!
とてもじゃないが言えない。
俺もそのライブに参加していたなんて。
「み、見たよ。」
間違ってはないよな多分。
「マジかよー羨ましいな」
「俺みのりファンなんだよ」
・・・
訊かなかった事にしよう。うん。
「あ!」
古谷が、というより俺を除く男どもが驚いた様子で遠くを見ている
俺もそれにつられて振り向くとそこには
「おまたせー」
吉永寛子がそこに居た。
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「ひろこーこっちこっち!」
ひろこは女友達に招かれるように席に座る、俺とはちょうど背中合わせで反対側だ。
今日は撮影終わった後、衣装のフィッティングとか言ってたけど予定通り仕事終わって来れたみたいで何より!
今思うとこのクラスってすごいな。AKB関係者が2人いて、俺の正体を知ってる人も2人いる。
一人は奥平先生だけど。
出席者が全員集まり幹事が軽く挨拶したところで同窓会はスタートする。
「奥平先生、あの時はお世話になりました」
この人には一生頭が上がらないだろう。
「いやいや!それよりよく帰って来てくれたよ!」
「まぁ色々ありまして。」
「映画も楽しみにしてるよ!(みのりちゃん!)」
俺は顔が赤くなる。この姿でみのりって言われると恥ずかしい。
挨拶もそこそこに座席に戻ると
「なぁなぁ浦山」
「なんだよ」
「後ろにいる吉永さんに声かけてサイン貰ってくれって」
「はぁ?お前それぐらい自分でやれって」
一緒にいる時間が長い人からサイン貰うって恥ずかしすぎだ。
「いいじゃんいいじゃん!吉永さんと一緒に補習受けた仲なんだろ?」
なんなら2人だけの卒業式もやった仲だし、AKBの同期です。
「わかったよ。」
俺は後ろで楽しく話していたひろこの会話の隙間を縫い声を掛ける。
「あのぉ」
突然声を掛けられてビックリしていたけど笑顔で
「どうしたの?浦山くん」
よかった!みのりって呼ばれなくて!
「サイン欲しいってあいつから。」
「あー。どうしようか。うーん。」
ひろこは困っている様子だったので俺はひろこに小声で話しかけ
「(一回書いちゃうとキリないからな、無理に書かなくていいぞ)」
「(ごめんね。断ってもいいかな?ちゃんと埋め合わせはするからっ)」
「(OK)」
俺は正面を振り向き手で×を描く、次の機会に期待して待ってな!
その後も席を変えては色々と話をし、盛り上がりを見せる中、仕事の電話がかかってきたので一度お店の外で出ることにした。
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「ええ。あ!はい!わかりました。じゃぁ劇場で」
電話が終わり俺はブツブツと独り言を言っていると、
「みのり忙しそうだねっ!」
「ひろこ!」
みのりってまぁ誰もいないからいいけど、俺も周りの事を考えずにひろこって呼んでしまった。
クスクス!
「さっき見た時ビックリしたけどどうしたのその恰好!」
ひろこは笑いながら楽しそうに話す。
「あ、ああ。服がなくてさ、似合ってないかな?」
「全然!ちょーかっこいい!」
「電話してる姿とかすごく。」
めっちゃ直視されてる。
この時はなんて返せばいいんでしょうか。
ひろこのそのしぐさに俺もキュンっとしてしまう。
「ねぇちょっとだけ話せないかな?」
ドキ!
このタイミングは、まさかな。
でもここで話すのはまずい気がする。
「いいけどまたこの場面撮られたら」
「まぁその時はその時で!」
その時って。
でもさすがにまずいっしょ!
「もうすぐ同窓会も終わるからそのあとでもいいかな?」
「うんじゃぁそれで!」
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「じゃーな浦山また!」
「おう、またな」
俺は途中で同窓会を抜け出しダッシュで大通りでタクシーを拾い家に戻りみのりになり約束していた場所に向かう。
万が一対策でみのりの姿で会うことにした。
場所は某遊園地、指定したのはひろこの方だった。
待ち合わせ場所は入り口付近にある遊園地のマスコットキャラの銅像前。
既に閉園時間の為、人気はまばら。
急いで来た為ひろこはまだ来ていない、
少し息を整える時間はありそうだな。
10分ほど経過したあたりで
「あ!こっちこっち!」
周りから見れば吉永寛子には見えないほど変装しているが俺は見慣れている為に瞬時に分かった。
「おまたせーみのり」
「俺もついさっき着いたばっかりだから」
「でっどうしたんだひろこ」
少しドキドキしながらひろこに聞いてみる。
さっきは外の街灯も薄暗い中だったので気づかなかったけどひろこの顔は赤かった。
「うふふ!捕まえた!」
へ?
何故かひろこにハグされる。
「ちょっと!ひろこ?」
これって相当酔ってる!?
「今の私じゃないと本当の事を言うことが出来ない気がして。」
「ねぇ、黒神様!」
ドッドッドッ!
その言葉を聞いた時ハグされた以上に心臓が鼓動が早くなる。
「私の事をいつでも見ててくれたんだね。」
「AKBは両想いになっちゃいけないんです。このままじゃ私はあなたを好きになってしまうから」
「覚えてるかな?私が最後に黒神様に送ったリプ」
ああ、もちろん覚えてるよ。
「私ひどいね、そんなリプ送ったのにまだ浦山くんの事を考えてる。」
え、それって。
「えへへ!私、浦山くんの事が好き。見たい!」
「少し。このままで居させて」
俺は
どうしたらいいんだ。
理解が追い付かない。
準備はしていたさ、でもいざその時を迎えると。
明日にはひろこは忘れてるかもしれない。
俺は腕をくびれた彼女の胴のあたりを横から抱くように引き寄せて抱擁する。
今だけのひと時なのかもしれない、明日には忘れてるのかもしれない。
うん。俺も好きだよ。と心の中で叫ぶ。
本当ならそう言いたかった。
俺は酷いやつだと思う。
俺の方から言わないといけない言葉を言わせるなんてさ。
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5分ほどだろうか、ひたすら沈黙が続く。
その沈黙を断ち切ったのは俺だった。
「ひろこ、もう遅いから家まで送るよ」
「うん。ありがとう」
すぐさまタクシーを呼び、ひろこと共に家までついていく。
「今日はその、」
「ひろこ何も言わなくていいよ。ゆっくり今日はお休み」
「うん。」
そんな会話をしつつ俺はひろこの家まで送り、そのまま帰宅する。
酔ってるとはいえ告白されたのか俺?
家について俺は今日の出来事を再確認しながら眠れない夜を過ごす。
うん。そうだよな、その前に話さないと。
俺は頭の中で結論を出す。
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私はお酒の力を借りて浦山くんに本音をぶちまけた事を思い出す。
でも浦山くんからは返事はもらえなかった。
急すぎたのかもしれない。それに浦山くんは違う人と付き合っているのかもしれない。
AKBには恋愛禁止条例があるのにそれを破ろうとしている自分が情けなく感じるけど、
そんな条例に私は縛られたくないと思ってるし、縛られる自分が大っ嫌いだ、条例を破る以上の理由は今はあると私は感じている。
明日からどうやって接したらいいんだろ。
今更私は後悔するが後の祭りである。
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翌日
運がいいのか悪いのか、ひろこと俺は雑誌の取材で一緒の仕事現場に来ているわけだが。お互いに昨日の出来事は触れないようにいつも通り会話しているのはなんか気持ち悪かった。
うん。そんなの俺もひろこも望んじゃいない。
取材の休憩中にひろこと2人になった会議室で俺は
「ねぇひろこ昨日のことだけど」
ひろこは体をピクっとしなから俺のほうを見入る。
誰もいないのだがひろこの耳元で小声で話す
「(‥‥だから、‥‥‥‥‥ほしい。)」
ひろこは顔を真っ赤にし頷く。
これにて4章が終わりです!
いよいよラストが近づいて来ました!