AKB49 エターニティ   作:とらとらこ

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偉大な先輩

浦川みのりが卒業して早10か月がたとうとしている。

季節は秋に入り、風が涼しく感じ心地よい。

去年はそんな事を感じる暇もなくAKBの事だけを考えていたが今年は四季を感じとれるほど時間の進みが遅く感じる。

 

原因はわかっている。

それは、大学受験を控えているからに他ならない。

実はまだ進路に迷っていた。かれこれ3ヶ月ぐらいは迷っているだろう。

考えている時間は余りない中、

俺のやりたい事ってなんだろうと頭の中でひたすらと考え、

とはいえ【答え】は出ているのだが果たしてこれで良いのか今だに迷っている。

 

相変わらず俺は毎日バイト漬けである。受験生だと言うのにバイトを入れているのには理由があり、定期的に来店してはAKBの裏話をしてくる秋元先生の存在があるからに違いない。

 

そんなある日の事

 

「仕事が終わったら時間があるか?伝えたい事とお前の意見を聞きたい事がある」

じゃがりこをレジカウンターに置きながら秋元先生は問いかける。

いつもと違う雰囲気に圧倒されながらも、それになんの意見か知らないが断る選択肢は俺には無い。それにおれも相談があるし。

 

「分かりました。でもあと1時間ぐらい掛かりますけど…」

バイトを流石に途中で抜けるわけにもいかず申し訳ない気持ちで答えると

 

「終わったらここに連絡をくれ、外に車を回す」

メモ帳に番号を残してじゃがりこを袋一杯にしながら秋元先生は立ち去って行った。

 

「…不気味だ」

不安を感じつつも残りの仕事をいそいそと片付ける。

気になって仕方がない俺は30分早く帰らさせて貰い、メモ帳に記載があった番号に連絡するとすぐに車がコンビニの前にやってきた。

 

ガチャとドアが開くと秋元先生が奥に座って居た。

隣に座ると同時に車は動き出し3分ほど沈黙の末、秋元先生から話が始まる。

 

「こうやってじっくり話すのは久しぶりだな」

「そうですね。じっくり話すのはいつぶりだろ…」

なんだか懐かしい気持ちになる。でも決定的に違うのは、

あの時は浦川みのりで、今は浦山実という点だろうな。

 

「色々と俺の事気を遣ってもらって有難うございます。で、今日はどうしたんですか?」

恐る恐る問いかける。AKB時代は色々と振り回されていたから身構えるが、帰ってきたら答えは意外な物だった。

 

 

「高橋から伝言を頼まれた。」 

「お前が困った時に伝えて欲しいと」

 

 

え?

なんで俺が困っているって分かったんだ!?それに…たかみな先輩だって!?情報量が多い。と考えていると、

秋元先生は後部座席についているモニターを操作しある動画を流し始める。

 

 

「おっす。」

そこにはレッスン着を着た、笑顔いっぱいのたかみな先輩が映し出されていた。

 

「みのり元気にしてっか?秋元先生に無理言って撮って貰ってるんだけど」

「【あの】みのりっちの事だから可能性は低いかも知れないけど、多分【そうなっちゃってる】気がするからこの動画を撮ってます。」

「もしだよ?もしもみのりっちが、将来の事で迷ってたりしたらだよ?」

「前に私が言った言葉を思い出して欲しい」

 

あ…

似たような事が前にもあった事に俺は気づく。

そうだ、映画のオーディションの時だ!

 

あの時は精神的に参って、泣きつくようにたかみな先輩に連絡した。

俺はあの言葉に救われたんだ。

俺はその言葉を思い出し今までの悩みが吹き飛ぶ。

 

 

 

『最後まであなたらしく行け。』

 

 

 

「私はみのり…いや、実君を応援する」

「たかみな先輩…」

 

「あとさー!!みのりっちなんで連絡先変えちゃうんだー!連絡先とれ…」

動画は無常にもここで途切れてしまっていた。

この雰囲気久々だなと俺はクスクスと笑いながら感じる。

元気でたわ!流石総監督だよ!

 

「秋元先生ありがとうございます。なんか今まで悩んでいた事が吹っ飛んじゃいました」

「ほう、ならマネジャーの件はどうだ?」

「【今は】お断りします」

 

秋元先生はニヤっとした顔で

「そうか。」

「今後を楽しみにしてるよ、浦山」

 

あっそうだ。

俺は思い出したかのように秋元先生に

「それより雅希の様子はどうですか?あいつ合格してから忙しく連絡よこさないんすよ」

「妹か、あいつはな…」

こうして久しぶりの秋元先生との会話は2時間ほど続く。

相談事も妹の事だったようで、ビシビシと鍛えて欲しいと意見を言っといた。

 

 

日付が変わる前には解散し、家に着き勉強しながらAKBのラジオでもと聴いていた。

 

今日のMCはまゆゆ先輩とゆい先輩でぶっちゃけトークに俺はくすくすと笑いながらノートにペンを走らせる。

 

「えーっと次の話題ですけど」

ゆい先輩は慣れた様子で次のリスナーからのコメントを読み上げようとした瞬間、10秒ほど時が止まった。

勉強しながらでも気づく違和感、俺はペンを置きラジオに集中した。

 

「あーちょっといいかな」

その声はさっきまで一緒にいた秋元先生の声がラジオから聞こえてくる。

 

「あ…えーと」

MCをしていたゆい先輩が戸惑いの声を漏らす。

 

「あーすまん。少し報告したい事があったから」

「報告ですか?」

まゆゆ先輩からも声が上がる。

 

「みんな少し気になってたようだからさ、少しだけ」

ここにいる2人は頭にハテナを浮かべながらも聞き入る。

なんだろ。重大な発表なのかな?さっき会った時はそんな様子は無かったが…

 

「実は今さっき浦川みのりに会ってきたんだよ」

「「「ええーー!?」」」

 

この場にいる、まゆゆ先輩もゆい先輩も、それを聞いていた俺もビックリして声をあげた。

まてまて!このおっさん何言おうとしてんだよ!?

 

「みのりちゃんと!?」

「ああ、大した事じゃないが用事があってな」

「秋元さんみのりちゃんと連絡取れるんですか!?」

AKB内ではみのりとの連絡を取れる人は皆無と話題で、少し前のたかみなのラジオでも話に上がるほど有名は話題である。

 

「まぁ一応な。元気にしてたぞ。とはいえ既にあいつは一般人だから、あまり話題にしないでくれると助かる」

 

その後はみのりがAKBの研究生時代の話や昔話でかなり盛り上がり、俺は耐え忍ぶ形でこの後も聞き入るのであった。

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