一番星に魅せられて   作:黒金剛

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どうも、初投稿になります!黒金剛と言います!よろしくお願いします!


本小説は『ウマ娘プリティーダービー』と『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている』のクロスオーバー作品になっております。本作品はこのシリーズを含めて四シリーズ完結を予定しています。


この作品は基本的にアニメに沿ったストーリーになっています。このシリーズではアニメ1期、2期のストーリーに沿う形にし、そこに八幡を登場させる形になります。
次シリーズからは、作者が勝手に続きを妄想して書いていく感じになります。独自解釈や設定の捏造もあると思うので、そういうのが許せる方だけ読んでもらえると幸いです。アンチコメントは極力控えていただくとありがたいです。


八幡の設定は作中で明かしていく予定です。また、pixivの方でも同じ名前でこの作品とは別の作品を幾つか投稿しています。そちらも読んでいただけると嬉しいです。


初投稿なので至らぬ部分もあると思いますが、暖かい目で読んでいただけると幸いです。何卒よろしくお願いいたします。


〜一番星に魅せられて〜
彼は再び門を潜る


日本ウマ娘トレーニングセンター学園、通称トレセン学園。そこはウマ娘のための設備が整ったウマ娘達のための学園。この学園は日本の多くの地方に展開しており、各地でウマ娘達の育成を図っている。

 

 

「......久しぶりだな。ここに来るのも」

 

 

その中で日本の首都、東京に居を構える通称“中央トレセン学園”。その正門の前に立つのは一人の青年。何かを懐かしむようにポツリと呟いた青年は、ゆっくりとその門を潜る。

 

 

「歓迎!君が再びここを訪れたことを大変嬉しく思う!」

 

 

場所は変わり、ここは中央トレセン学園の理事長室。扇子を広げて快活な声を上げるのはこの学園の理事長である“秋川やよい”その人。見た目はどう見ても小学校低学年にしか見えないが、間違えでもなんでもなくこの学園は正式な理事長である。

 

 

「本当にお久しぶりです。貴方が戻ってこられるのをずっとお待ちしていました」

 

「......戻ると決めたわけではないですよ。むしろその期待は裏切る可能性の方が高いかと」

 

 

半ば興奮気味で瞳を輝かせているのは理事長秘書である“駿川たづな”。そんな彼女に肩を竦めながらそう答える青年。挨拶を終えた青年は、そのまま理事長室を後にする。

 

 

「さて、そろそろ.......」

 

「はっけーん!!確保ー!!」

 

「うぶっ!?」

 

 

突然青年の頭に被せられるずた袋。慌てて暴れるが時既に遅し。被せた本人は青年を担ぎ、掛け声と共に何処かへ運んで行くのだった。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

場所は変わり、ここはトレセン学園に幾つかあるチームの一つであるチーム『スピカ』の部室。ここでは現在、五人のウマ娘と一人のトレーナーによるミーティングが行われている。

 

 

「「「「「アシスタントトレーナー?」」」」」

 

「スピカも随分大所帯になってきたしな。ここらでもう一人トレーナーを付けるのもいいと思ってな」

 

 

スピカの“沖野トレーナー”からの突然の提案に口を揃えて疑問を口にするメンバー。元々メンバー不足で困っていたスピカも今では六人のウマ娘が所属する立派なチーム。そこで沖野トレーナーは新たにアシスタントトレーナーを雇うことにしたらしい。

 

 

「確かにもう一人くらいトレーナーがいた方が、より効率的にトレーニングできるわね」

 

「でもよぉ、アテはあんのか?この時期に担当決まってないトレーナーなんてそうそういないだろ?」

 

 

肯定的な意見を呟く“ダイワスカーレット”と裏腹に、率直な疑問を投げかける“ウオッカ”。年に四回開催される“選抜レース”はとうの昔に終わっており、既にほとんどのトレーナーは担当を持ち、その娘と二人三脚で歩んでいるはずなので、彼女の疑問も当然と言える。

 

 

「心配すんな。アテならあるからよ」

 

「ほんとかなぁ?」

 

 

胸を張って自信満々にそう答える沖野トレーナーに疑わしげな視線を向けるのは“トウカイテイオー”。

 

 

「それで、そのトレーナーさんはいつこちらに?」

 

「それならさっきゴルシに迎えに行ってもらったからもうそろそろ「ゴルシ様のお帰りだぞー!!」.......噂をすれば、だな」

 

 

大声で部室の扉を開けて入ってきたのは芦毛のウマ娘、“ゴールドシップ”。その肩にはずた袋を被せられた人間が担がれている。

 

 

「トレーナー、言われた通り捕獲してきたぜい!」

 

「捕獲は頼んでいないが........とりあえずそこの椅子に座らせてくれ」

 

「あいよー」

 

 

沖野トレーナーに促されるように担いでいた人を椅子に座らせ、被せていたずた袋を取り払う。ずた袋を被せられていたのは、案の定先程の青年だった。人より澱んだ瞳はいきなり明るくなったせいか顰められ、より凶悪な目つきになってしまっている。ずた袋を外された衝撃で、やけに存在を主張する頭頂部のアホ毛がゆらゆら揺れている。

 

 

「えっ?はっ?何ここ?」

 

「よう、久しぶりだな。八幡」

 

 

未だに状況が理解できていない青年を前に、沖野トレーナーはまるで懐かしむような声音で彼の名前を呼ぶのだった。

 

 

 

 


 

 

 

 

さて、とりあえず今の状況を理解しよう。俺こと“比企谷八幡”は理事長に挨拶を終えたあと、いきなりずた袋を頭に被せられて何処かに運ばれたかと思ったら、現在知らないウマ娘に取り囲まれている。うん、どういう状況?

 

 

「よう、久しぶりだな。八幡」

 

 

聞き覚えのある声が聞こえて顔をそちらに向ければ、そこに立っていたのは相変わらず飴を加えた懐かしい顔。

 

 

「.......久しぶりに会うにしては随分手荒い出迎えでしたね」

 

「それはすまん。俺は普通にここまで案内するよう頼んだだけなんだがな」

 

 

俺がジト目でそう言うと苦笑しながら頬を搔く目の前の男性。どうやったら案内が拉致紛いになるのか、まったくもって謎である。

 

 

「ゴルシあんた.......遂にゾンビまで捕まえてきたわけ?」

 

「すげえだろー?今からこいつ解剖して動く死体の謎を解明してやろうぜ!」

 

「おい、誰がゾンビだ。あと解剖はやめろ。やめてくださいお願いします」

 

 

初対面の年下のウマ娘にゾンビ扱いされた件について。いやまあ、それは今に始まったことでもないんだけど。あとそこの芦毛は手に持ってるチェーンソーを置け。何処から持ってきたそんなもん。

 

 

「こいつがトレーナーの言ってたアテなのか?」

 

「ああ、こいつの名前は比企谷八幡。トレーナー養成学校時代の後輩だよ」

 

「.......ども」

 

 

そう言って俺を紹介するのは今言ったように養成学校の先輩である沖野さん。今日俺がこの学園に足を踏み入れたのは他でもない先輩に呼ばれたからなのだ。

 

 

「......それで?なんで今更俺を呼び出したんです?」

 

「ああ、それなんだが........八幡、お前うちのアシスタントトレーナーに「お断りします」最後まで言わせろや!」

 

「先輩だって知っているでしょ。俺はもう二度とウマ娘のトレーナーはしません」

 

 

どうして今更俺なんかをトレーナーにしようとするのか理解できない。“あんなこと”があったというのに。俺なんかより相応しいトレーナーなんて腐るほどいるだろう。

 

 

「お久しぶりです、八幡さん」

 

「スズカか.......マジで『リギル』からこっちに移籍してたんだな」

 

「熱く口説かれたものですから」

 

 

心の中で吐き捨てるように呟く俺の目の前に栗毛の長髪を揺らすウマ娘、“サイレンススズカ”が歩み寄ってくる。

 

 

「ス、スズカさん。この方とお知り合いなんですか?」

 

「ええ、八幡さんにはリギルに入る前から色々指導してもらったの」

 

「「「「「ええぇぇぇぇぇぇぇええ!?」」」」」

 

 

スズカの一言でざわめくスピカの部室内。いや、マジでうるさい.......

 

 

「待て待て、それは誇張しすぎだろ。俺はただ、遅くまで走るお前が羽目外さないか監視してただけだ」

 

「そんなこと言って、度々アドバイスしてくださったじゃないですか」

 

「あれは思ったことを言っただけ。つまり独り言みたいなもんだ」

 

「.......相変わらず捻デレですね」

 

「変な造語を作らないでくれない?」

 

「........なあ、八幡。お前まだ“あのこと”を気にしてんのか?」

 

「.......当然でしょう。“あれ”は俺が一生背負わなきゃいけない過ちなんですから」

 

 

“そうか........”と何処か悔しそうに呟く沖野先輩。隣に立つスズカも悲しそうに俯いている。他のスピカのメンバーは何がなにやらといった表情を浮かべている。

 

 

「こんな奴がトレーナーをやる資格なんてありません。アシスタントトレーナーの件は誰か他の人に........」

 

「それはできねぇ」

 

 

俺の言葉に即答する沖野先輩。先輩なら人望もあるだろうに、どうして俺にそこまで拘るのか。

 

 

「.......なんでですか。俺みたいな最低で最悪な奴なんかに頼む意味なんて.......」

 

「そんなことありません!」

 

 

俺の言葉を遮るように叫ぶスズカ。普段は寡黙なスズカが突然叫んだことで、俺はもちろんスピカのメンバーも驚いている様子だ。

 

 

「八幡さんは最低で最悪なんかじゃありません。とても優しくて、私達ウマ娘のことを一番に考えてくれる人です」

 

「スズカ.......」

 

 

真剣な眼差しで見据えながら力強く訴えかけてくるスズカ。そんな彼女を見てられなくなって、思わず視線を逸らしてしまう。

 

 

「八幡、お前にはこいつらの怪我防止や体調面なんかの身体的なケアを頼みたい。“あの出来事”を経験したからこそ、俺はお前しかいないと思ってる」

 

「......確かにあれからそういう勉強は多少してましたけど......」

 

 

そこまで言った途端、先輩は両膝と両手を地面につき、額を地面に近づけるように下げる。所謂土下座という格好だ。

 

 

「ちょっ.......」

 

「頼む!俺はこいつらの夢の手伝いをしたい!そのためには八幡、お前の力が必要なんだ!」

 

 

......狡い先輩だ。養成学校時代から何かと気にかけてくれて、密かに憧れていた先輩にそこまでされたら退けるわけがない。

 

 

「......頭上げてください。流石にお世話になった先輩の誠意を裏切れるほど俺も腐ってないですよ」

 

「っ!それじゃあ........」

 

「でも、いいんですか?肝心なのはチームメンバーの意見なんじゃ.......」

 

「私は賛成です。また八幡さんにご指導して欲しいですから」

 

 

俺の疑問に真っ先に答えるのはスズカ。だから指導したわけじゃないってのに.......

 

 

「わ、私も賛成です!スズカさんがこれだけ信頼してる方なら、私も信じられますから!」

 

「スペ先輩の言う通りね。トレーナーはともかくスズカ先輩がそこまで言うなら信用してあげてもいいわ」

 

「お、俺もだ!」

 

「ボクはどっちでもいいかな〜」

 

「別にいいんじゃね?そいつがいれば面白いことになりそうだってゴルシちゃんレーダーがビンビン反応してるしな!」

 

 

どうやら他のメンバーも肯定的なご様子。よくもまあ、得体の知れない腐った目の男を信用できるもんだな。いや、正確にはスズカへの信頼か。あと、しれっと先輩の扱いが酷かったような........

 

 

「チームスピカはお前を歓迎するぜ。あとはお前がどうするかだな」

 

 

ニヤリと悪どい笑みを浮かべる先輩。ここまでお膳立てされておいて、断るなんて選択肢はないんだよなあ。

 

 

「.......言っておきますが、俺が口を出すのはケアの面だけです。その他で何か指導する気は毛頭ありません」

 

「ああ、それで構わないさ。それだけでも十分ありがたい」

 

「.......わかりました。そういうことならアシスタントトレーナーの件、謹んで承けさせていただきますよ」

 

 

差し出された先輩の手をゆっくりと握りしめる。我ながら単純な話だと零れそうになる苦笑を噛み殺す。

 

 

「うっし!お前達、改めて挨拶だ。せーのっ─────」

 

「「「「「「ようこそ、チームスピカへ!!」」」」」」

 

 

こうして、俺とチームスピカとの日々が騒がしく始まるのだった。




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